やっぱりトクサツ! | studio7の映像実験室

やっぱりトクサツ!

 私たちの映像は「ウルトラなお友だちの ウルトラなお友だちによる ウルトラなお友だちのための 誕生日&卒園記念パーティー」で上映されるものです。
 そうなると、やはりウルトラなテイストの映像にしたくなります。

 それで『ウルトラファイト』をお手本にした映像を本編として作ったわけですが、パーティー全体をウルトラな雰囲気にしたいというのが主催者であり映像のプロデューサーであるチビセブンさんの希望です。

 パーティーそのものの構成も、ウルトラなお友だち(大人も子どもも…)の協力でウルトラに楽しい雰囲気でした。

 我々映像チームも頑張りました。

 『ウルトラファイト』風の本編映像以外にもいくつかの映像を用意したんです。
 ウルトラテイストにするためには、まあ、本物の『ウルトラマン』などの映像を流すのが一番簡単ですし、子どもたちも喜ぶでしょう。
 個人のホームパーティーですから、著作権上も(ギリギリ?)可能だと思います。
 しかし、チビセブンさんは、お祝いに来て下さった皆さんへのお礼として、パーティーで流した映像をDVDにしてみなさんにお配りしたいという希望も持っていました。
 市販のDVD映像を沢山使うと、お礼用のDVDに収められるのは『ウルトラファイト』風映像だけ…3分足らずです。

 そこで、パーティー本番でも可能な限り“私たちのオリジナル”を作ることにしました。
 しかし、しかし…。「ウルトラマンが登場しないウルトラテイストな映像」…けっこう難しいものです。
 私たちはアイディア…というより「ネタ」を出し合いました。幸いにしてノリノリの顔ぶれですので、ネタの暴走は止まりません。

 しかし、しかし、しかし…。
 確かにそんな映像を流したら面白い、でもどうやって撮るんだよ~~~っ! …というネタのオンパレードです。

 わかりやすい例で言えば、パーティーの主役であるプチセブンくんが変身するシーン。このプチセブンというヒーロー(?)は、変身前も変身後も見た目が全く変わりません(笑) どちらも誕生日と卒園を迎える6歳の男の子の素顔のまんまです。
 そりゃあ、「ベータカプセルをかかげる」とか「ウルトラアイを装着する」というだけでも、ウルトラな参加者の皆さんは“変身シーン”だとわかってはくれますが、いまいち芸がありませんよね。

 『ウルトラファイト』風映像と同様に、ウルトラ作品へのオマージュ溢れる映像を作ることで参加者も楽しめるでしょうし、ファンとしてもウルトラ作品に対する(ある意味で)最大の敬意を表することになるハズです…たぶん。

それを実現するためには、特撮技術を使わなくてはなりません。
一方で「特撮」を入れることで、それだけでもウルトラな雰囲気になったりします。

 よ~し、やりましょう。
 …でも、特撮というと大変な設備・労力・専門知識・人材が必要です。それを同じように作ることは私たちには不可能です。
 そこで活躍してくれるのがパソコンです。

 具体的な技術などを振り返っても意味がありませんので、基本的には「何をやったか」ということを思い出してみることにします。

 今回の映像プロジェクトが始まった頃、『大決戦!超ウルトラ8兄弟』(以下、『超8』)が劇場公開されていました。もちろん、私たち全員がこの映画を(何回も)観ていますし、パーティー開催の頃はDVDも発売になっているでしょう。
 そんな状況だったので、多くはこの映画を“お手本映像”にしました。…ちょっとド素人が初めてやる映像のお手本としてはレベルが高過ぎたかもしれませんが…。


【オープニング映像】
 こういうのを冒頭に流すと、ホームパーティーが突然「イベント」っぽくなります(笑)
 『超8』の中で、『ウルトラマン』の放送が始まった時のシーンがあります。1966年という時代設定です。
 まずはスポンサーの“企業イメージ映像”が流れます。『ウルトラQ』や『ウルトラマン』は武田薬品の提供で、会社のロゴがど~んと屋上に掲げられた本社社屋を(たぶん)ヘリコプターから空撮した映像が♪タケダ タケダ タケダ~…という社名を繰り返すだけの歌詞が付いた音楽とともに画面に表れます。

 …これを、やりたい。

 スポンサーはもちろんチビセブンさん。まずはその本名と頭文字をあしらったロゴマークをでっち上げます。

 しかし、それを掲げるビルも無いですし、ミニチュアを作る時間もありません。

 そこで、3DCGを使うことにしました。
 3DCGというのは、大雑把に言うと「パソコンの中で、バーチャルでフルスクラッチで作ったキャラクターや小物や建物にバーチャルな照明を当ててバーチャルなカメラで撮影する」という作業です。
 形にしても質感にしてもいくらでも凝ることが出来ますし、リアルなものを作ることも出来ます。が、そのぶんデータが重くなってパソコンの処理にも時間がかかります。
 今回は「本物に見える」必要は全くありません。観てくれる人たちが「アレをやりたかったのね」と理解してくれれば良いので、“らしさ”が出れば十分です。
 とは言え、最初に作ったものはあまりにも寂しいものでした。



これに、空を少しリアルにしたり周辺の建物を加えて、同じくCGで作った“居間のテレビ”にはめ込み合成しました。
 さらに続けて『ウルトラセブン』風のメインタイトルが出ます。セブンのオリジナルは、板の上に砂で文字を書き、裏側から板を叩いて文字を崩していったものを逆回転にして“文字が現れる”ようにしたアナログ特撮です。が、そのセッティングをする場所もお金もないので、色々なソフトで加工しました。

 完成画像を紹介しようと思ったのですが、「アメーバビジョン」に画像をアップしたところ「著作権違反と判断されたため公開できません」というアラートが出てしまいました。
 パロディとは言え、映像も音楽も全くのオリジナルで、既製のキャラクターも登場していないのに何で?
 まあ、アメーバの基準から外れていると判断された以上仕方ありませんね。

 ついでに補足しますが、個人のブログなどでもネットで静止画・動画・音楽を使う場合、著作権法上の「私的使用」…つまり個人で楽しむ範囲の使用にはなりません。自分以外の誰かが作ったものをブログで使うためには、作った人本人などその権利を持っている個人または会社・団体(著作権者)から許諾を得なくてはならないんです。
 これは文章も同じです。
 例えば、この文章の著作権者は、私です。著作権法上“studio7の著作物”として保護されます。
 逆に、私が誰かのブログの文章を無断で使うことはできません。


 話を戻しましょう(^^;


【チビセブン変身】
 パーティー直前になってチビセブンさんから「何とかお願いしたい」との要請があり、静止画をベースに変身シーンを作りました。
 ウルトラセブンの変身シーンのオマージュです。
 セブンの変身シーンを思い出してみてください…ダンが「デュワ!」とウルトラアイを装着すると、両目から閃光(ネズミ花火を合成したそうです)が放たれ、顔の上半分から徐々にセブンへと変身していきます。
閃光以外、アナログかデジタルかを覗けば、恐らくほとんど同じ方法で作ったと思います。
 諸般の事情でキャラ入りの映像はご紹介できませんので、合成した閃光だけ…。



【エンディング】
 実は、作業としてはこれが一番大変だったんです。
昨年開催されたケイパパさんのご子息の誕生パーティーで、映画のエンディング…あの延々とスタッフの名前が出て来るヤツですね…をパロディにした映像を作りました。
 それは内輪向けの“文字ネタ”が中心で、同時に流れる映像は静止画を加工したもの…。一応Photoshopという静止画ソフトは長年使っているので、「出来ることは全てやった」というノリでした。

 ところが、今回は「やったことが無いことも全てやってみる」という形にバージョンアップしていました。
 我が家のソフトで色々なことが出来ることは知っていましたし、実験的に「ははあ、こんなことが出来るのか…」という映像を作ってみたこともありました。
 …ありましたが。
 ネタ出しの打ち合わせで『超8』のオマージュとなる映像にしよう、という方向になり、さらにロケもオリジナルと同じ場所(横浜界隈)で行うことが決定。そこで概ねどんなシーンになるかも共通認識が出来たと思います。
 …思いましたが。
 
 例えば、赤レンガ倉庫。
 『超8』には建物の向こうからキングゲスラが登場するシーンがあります。
 ド素人にはそれだけでも大変なことです。
 しかし、そういう映像にしないと、わざわざ赤レンガ倉庫まで行って撮影する意味がありません。

 まずはプチセブン君に「怪獣が出た!」という演技をしてもらいます。



 私はこれでOK出しをしてしまったのですが、ジョギングをしている人が写っていました。しかも、建物のガラスにもその姿が写り込んでいます。

 で、演技をしているプチセブンくんの部分だけを切り出します。



 これをジョギングの人が写っていない映像に重ねます。



 これで素材映像が出来上がりました。
 あとは「パソコン上の手作業」で、建物の輪郭に合わせて背景を切り抜き、別に撮った“マック怪獣”を合成します。
 それだけだと寂しいので、「パーティクル」という機能で作った水しぶきを建物の向こうに合成、さらに手前にもその水しぶきが振ってきた感じで「パーティクル」を入れます。
 諸般の事情で(またかよっ!)“マック怪獣”合成前の映像です。ホントは、ここに登場する“マック怪獣”がキモなんですが…。



 こんな感じで、変身時の光を入れたり人数を増やしたりした映像を作りました。
 4分20秒のエンディング映像で、12のシーンを入れてあります。
 カット数は33カットです。このうち特撮カットは22カットでした。

 しかし、「特撮ではない特撮カット」が一つありました。
 これこそが私たちの作品のテイストそのものです。

 怪獣映画に“逃げ惑う群衆”はつきものです。
 しかし、メンバーは四人しかいません。
 で、こんな映像を作りました。



 ご覧いただいて一発でわかっちゃうと思いますが、四人がカメラの周りをぐるぐる回っているだけです。
 このカットの前に怪獣出現の様子を入れることで、“逃げ惑う群衆”の出来上がりです。

 実は、ネタ出し打ち合わせの時に私が真っ先に「やりたい!」と申し出たのはこの映像でした。
 

 これまでに何度も繰り返し書いてきましたが、私たちは本格的な映像を作ろうとか、完成度を高めようとか、凄い技術を見せようとか、そういう気持ちは全くありませんでした。
 この“逃げ惑う群衆”の撮影方法は古くから(ギャグとしても)使われているものですが、私も含めてこういうノリが大好きなんです。

 なので、ついつい力が入って複雑な合成になってしまった映像などは、「どうでもいいシーンに凝りまくった」というネタとして使いました。


本来、特撮というのは「伝えたいイメージ」があり、そのための映像を普通の条件では撮影出来ない場合に使われるものです。
 ですから、通常は「特撮そのもの」が主役になることはありません。

 一方で、特撮というのはセンス・オブ・ワンダーにあふれた世界だと思っています。そこには様々な技術や工夫や苦労があります。

 そうした意味で、ソフトの機能に頼りきりの合成バリバリだった今回の映像は、私たちが考える特撮スピリッツが足りないように思っています。
 それでも「色々な方法を試してみる」という第一歩ではありました。

 今後、何か映像を作るにしても、私たちが本格的にやることは無いでしょう。
 でも、特撮に込めるべきスピリッツだけは忘れないようにしたいと思います。

【今回のレシピ】
 カメラ=Canon FV M1
 三脚=Sony VCT-870RM
 パソコン=PowerMacG4/iMac
 3DCGソフト=STRATA Studio Pro
 静止画ソフト=Adobe Photoshop CS3
 ビデオ編集ソフト=Apple Final Cut Pro 6
 ビデオ加工ソフト=Adobe After Effects CS3