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↓『新しい道徳 「いいことをすると気持ちがいい」のはなぜか』北野武著、幻冬舎、2015)より引用(08)
一人の人間が一日、どれくらい他人と「会話」しているのか見当もつかないけれど、大雑把に平均したら、その半分くらいはSNSだのメールだのを経由しているんじゃないか。
そういうものを経由しているってことは、そこにカネを払っているということだ。
実際にカネを払っていることもあれば、間接的に支払っている場合もある。
無料だからといって安心していたらいけない。
世の中の人がSNSに費やしている膨大な時間は、いろんな仕掛けでカネに換算されるのだ。
その昔、日本では、米だけではなくていろいろなもので税を払っていた。
アワビだの昆布だの猪だの、特産品で払う税もあれば、労働力で払う税もあった。
今では自分の時間を、税として払っているというわけだ。
スマホだのパソコンだのの性能が上がって、いろんなインターネットのサービスが増えて、世の中はますます便利になった。
昔では考えられないくらいたくさんの人と「会話」ができるようになった。
地球の裏側にいる、今まで一度も会ったこともない人とだって、簡単に話せる世の中だ。
昔に較べて世の中は自由になったということなんだろうけれど、その反面で、俺たちは知らない間にどこかの戦国大名の領民になっているってこともわかっていた方がいい。
領民ならまだいい方で、彼らは俺たちを牧場の羊くらいにしか見ていないかもしれない。
↑(引用ここまで)
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…『無料だからといって安心していたらいけない。世の中の人がSNSに費やしている膨大な時間は、いろんな仕掛けでカネに換算されるのだ』。
テレビにせよ、インターネットにせよ、SNSにせよ、「”無料”という顔をした”間接的商法”」に、いまだにみなさん手玉にとられているよなあ、とよく思います。それは、私も含めて。
そういう商売人たちは、まずは魅力的な「無料」コンテンツで、庶民を喰いつかせる。まず「時間」を奪うことを考えます。
とにかく「時間」さえ奪えれば、確率論的に、広告バナーをクリックしてもらえるからです。
そりゃあ、「無料」の範囲だけで楽しむ人も大勢いるのでしょうが、そのうち数パーセントが、広告にひっかかってくれればいいのです。
一定数の人間に、有料スタンプを購入してもらえば十分儲かるのです。なにせ、母数が膨大ですから。…「一千万ダウンロード突破!」とか、よく言っているでしょう?(笑)
1パーセントでも十万人ですよ!?
「オレオレ詐欺」がなくならないのと、仕組みは同じです。
ほとんどの庶民は「なんでそんな手口にひっかかるの? アホちゃうか」と考えます。
でも、「数撃ちゃ当たる」という言葉の通り、騙す側の立場からすれば、営業の電話をかける如く(笑)、地道に地道に騙しの電話をかけ続ければ、そりゃあ一定数「騙されやすい人間」は存在しますから、確率論的に大金を振り込んでもらえる、というわけです。
…「カネにならない」「騙されない」「普通の」人間の母数が多ければ多いほど、中には必ず「ひっかかる」「カネになる」人間がいるわけです。
だから、自称「頑固者」の私はよく言うのですが、私たち庶民が、そういう商売人たちに抵抗できる術は、ひとつしかないわけです。
「見ない」。
「時間をかけない」。
それしかありません。
電車の中では、携帯電話を見たくても、我慢して本を読む。
家やらで「無駄にネットサーフィンしてるなあ」と感じたら、パソコンを閉じる。携帯電話やタブレットを置く。
「デジタル」からちょっと身を離して、友人や子どもやらと話したり、遊んだり、料理したりする。
私がこういうことを言いだすと、「精神論」みたいになってくるきらいがありますが(笑)、「やせ我慢」「無駄に頑固」という選択肢を持っていることが、その人を精神的に「自由」にしてくれると、私はよく思うのです。「自分は、”牧場の羊”ちゃうぞ」と。
そこのあなた!
「無料」だと思って、「時間」ばかり奪われる『牧場の羊』になり下がっちゃいませんか!?
