棋書「新中級シリーズ コウに強くなる」 #囲碁
加藤正夫による1981年の著作。この新中級シリーズはかなりの良作揃い。ネットをみていると勘違いされている方が多いと思うが、中級というのはいわゆる級位者ではなく、低段ぐらいのレベルだと思われる。初級がそれ以下で、上級が高段者という括りが妥当だと思う。しかし最近では中級というといわゆる5~10級ぐらいの設定の棋書もでており錯綜している感はある。具体的に書けばいいのに。この「コウに強くなる」はコウの原則からかなり難しいテクニックまで取り扱っている。すべてを理解するのは難しいが、読んでいて面白い。難易度としてはこのむずかしい新中級シリーズの中でも一番かもしれない。まずは”損コウを打たない”、”コウをやたらに恐れない”ことを実践すればかなりの打ち手になれると思う。意外に3段ぐらいでもコウについて知らない人が多く損コウ(損なコウダテ)を平気で打ってくることが多い。そうするとコウは必ずしも勝つ必要はなく、相手が勝手にコケてくれることがしばしばである。利かしも最後まで取っておけば最低限コウダテになるのに決めてしまう人もかなりいる。要するにコウに関しては恐怖心を取り除き、冷静な目で見れば宝の山なのだ。プロのコウの利用の仕方は多種多様である。個人的には藤沢秀行が手厚くなったら、序盤からコウを積極的に仕掛けることがあるので参考にしている。他人に本書を勧めた手前、もう一度読んでおくことにする。