あさひのブログ -8ページ目
「火鍋英雄」主役格の許東を演じていたチン・ハオ(秦昊)、「全民目撃」で林萌萌を演じていたデン・ジァジァ(鄧家佳)、「天盛長歌」出演のダイ・シュ(代旭)、そして「鉄面御史」「大秦帝国2」のヤオ・ルー(姚櫓)さんという錚々たるメンバーによるミステリ劇。

「無証之罪-Burning Ice-」(2017年 邦題「バーニング・アイス-無証之罪-」 監督/呂行 主演/秦昊、鄧家佳、代旭)
全12話


原作は紫金陳という有名なミステリ作家の「無証之罪」。
犯人だと分かっているのに決定的な証拠がない…法に則らねばならない刑事のもどかしい心の内を描いたミステリ、のはずなんだけど?

――厳寒のハルピン。絞殺体が雪だるまにくくりつけられているという「雪だるま殺人事件」が発生。雪だるまには「私を捕まえてみろ」という挑戦的な言葉が書かれていた。実は四年前から同じような事件が発生しこれで四件目なのだった。四件とも同じ指紋が残されおもちゃのピースが落ちていた。捜査一課課長の林奇はこの事件の犯人"雪人"を追う。しかし手掛かりは少なく捜査は暗礁に乗り上げた。局長の趙鉄民は彼女のために名探偵を連れて来てやろうという。それは、元刑事課の敏腕刑事だったが不祥事で派出所巡査に左遷された厳良という男だった。

雪だるま殺人事件の被害者・孫紅遠の妻でヤクザの一派を締める李華は、彼が事件直前に若い愛人の朱慧茹と会っていたと知り、慰謝料として500万元を要求した。朱慧茹の元恋人で新人弁護士の郭羽は彼女のために別のヤクザの一派である老炎の手下、通称キンパツを紹介する。キンパツは10万元で李華と話をつけてやると朱慧茹に言う。
金を支払うとキンパツは橋の下で李華も交えて話し合おうと言う。朱慧茹が橋の下へ行くと李華はおらず、キンパツは朱慧茹を強姦しようと襲い掛かって来た。そこへ心配してかけつけた郭羽がキンパツを氷塊で殴りつけた。さらに気が動転した朱慧茹が護身用の果物ナイフでキンパツを何度も刺す…キンパツは出血多量で死んでしまった。人を殺してしまった…震える二人の元に、一人の男が近づいてきた。彼は言う、もし捕まりたくないのなら、自分の言う通りにしろと――
(各話あらすじはOwndで公開しています。)

ミステリとしての物語は面白くできてるのだけど、話の見せ方っていうかさぁ、この脚本&演出は、ちとビミョー…。チーン
厳良と謎の男・駱聞があたかも主人公のようなポスター作ってるけど実際は郭羽と朱慧茹の二人を中心に物語が展開されてて、おそらく監督は単なるミステリではなく純愛もしっかり描き出したいと思ったんだろうけど、やりすぎてミステリの方がかすんでしまってる。
おそらく本来の主人公はホームズ役の厳良とワトソン役の林奇なんだろうなと思うけど、彼らは終盤以外はちっともさっぱり活躍しない。むしろ犯人に振り回されてる無能警察な印象。そして郭羽と朱慧茹の純愛パワーがキラキラキラキラしすぎててサスペンス性がない。こんな善人の少年少女が捕まるわけがないという変な安心感に守られててちっともハラハラしない。
第七話まで見てよっぽどリタイアしようかと思ったけど、でもここを踏ん張ると謎の男が現れて警察とガチ対決に向かっていって大変面白くなっていく。

見た目あまりパッとせず表情も乏しそうに見える青年・郭羽を演じるダイ・シュはいやいや終盤は鬼気迫るお芝居だったし、ヒロイン朱慧茹を演じるデン・ジァジァちゃんは童顔でお人形さんみたいに可愛いのに時々ゾッとするような大人の顔を見せるし、駱聞を演じるヤオ・ルーさんはさすがの貫録で主役かっさらう勢いだし、キャストは実力派揃いで豪華。ただ厳良を演じるチン・ハオはちょっと可哀想だったな…。風変わりな天才肌の刑事という魅力的なキャラクターを作りあげてるのにうまく活用されていなかったっていうのが。こういう個性的なキャラクターを主人公にしたいのなら犯人側をこと細かに描かずむしろ謎にしておいた方が面白くなるし、犯人側を中心に展開したかったのなら刑事側にこんなクセのあるキャラを配置しちゃダメだ。視聴者が共感する視点がブレちゃって、正直厳良に共感する要素が少なすぎてただの面倒な男に成り下がっちゃってたなぁ。
そして最も目を引いた、びっくりした俳優さんが、中盤から出て来る二人目の謎の男を演じるニン・リー(寧理)!まだ無名の人みたいだけど誰もが彼の表情に釘付けになると思う。すごく印象的なキャラクターを演じてて、ネタバレになるからあまり書けないけどとにかく見てほしいと思うお芝居!ヤバい!滝汗

この作品は2017年に「白夜追凶」と並んで話題になったそうだけど、同じ刑事ものでもタイプが全然違う。こちらの方が王道なミステリで物語重視、老若男女問わずな感じ。「白夜追凶」はミステリよりサスペンス性が強く、若者向けで見た目重視だと思う。
「鳳凰の飛翔」(原題「天盛長歌」)の怪演が記憶に新しいチェン・クン(陳坤)主演の映画。

「火鍋英雄」(2016年 監督/楊慶 主演/陳坤、白百何)
95分

※日本語版はありません。

英題が「Chongqing Hotpot」で、「重慶の火鍋」という意味。

――劉波、許東、メガネこと王平川の幼馴染三人男は重慶の地下に多く残っている防空壕で街の名物料理の火鍋を食べられるという"洞窟火鍋店"をオープンさせた。良いアイディアだと思ったのだが予想に反して儲けが出ず負債を抱えてしまう。店を広げてもっと客を入れようと勝手に洞窟を掘り広げ始めた。するとなんと銀行の金庫の床に通じてしまった!
さてどうする…金を奪って高飛びしようにも劉波の家には母と介護状態の祖父がいる。正直に警察に通報すれば違法に洞窟を掘っていた事がばれて確実に店は没収される。穴をふさいで補修するにもこちらからだけではどうにもならない…。
と、その銀行に高校時代の同級生の于小恵が勤務していることがわかった。于小恵を呼び出して協力を仰ぐ。小恵は劉波が修理工として金庫へ入れるようにうまく図ってみると言ってくれた。だが劉波はなぜこんな危険な話に協力してくれるのかと思わず聞いてしまった。小恵は学生時代に劉波にラブレターを出したことがあった。彼女は協力する代わりにその手紙を返してほしいと言う。ところが劉波にはラブレターをもらった記憶がない。実はラブレターを託されたメガネが劉波に渡す前に許東が見つけて皆に言いふらしはやし立てた、そのどさくさでラブレターはどこへ行ったかわからないのだった――

[ここからネタバレ-----
劉波は金を借りているヤクザの七哥から二日以内に返済しなければ家族に危害を加えると脅され、銀行の金庫から金を持ち出しギャンブルで増やして返済しようと考えた。だが自宅が火事になったとの報せで慌てて戻る。幸い母も祖父も無事だった。
店へ戻ると七哥が手下を引き連れて待っていた。七哥は劉波らを殴り痛めつけ金の入ったバッグを奪って帰っていった。あの金は銀行のものだ、どうにかして返さないと…うろたえるメガネに許東は盗った金を返すために金を集めるなんて馬鹿げてると反論する。劉波は洞窟を掘ったのも銀行から金を盗んだのも全て自分一人がやったことにして自首すると言う。

翌朝、于小恵にも自首することを告げ劉波は警察署へ向かった。ちょうどその頃、銀行には仮面をつけた4人組がバンで乗り付けた。銀行強盗だった…。
劉波が警察官に洞窟を掘って銀行の金庫に通じてしまったと話したその時、警察に緊急連絡が入る。銀行強盗が入ったと!警察官は皆慌てて出て行った。強盗…小恵が危ない!劉波は慌てて店に戻り金槌を手に洞窟の奥へ向かう。

銀行強盗らはパトカーの音を聞き行員を人質に取り立てこもる。と、その一人が金庫の奥に人の気配を感じて向かう。見ると床に穴が開いている。そして穴から劉波を心配したメガネが顔を出した。強盗はメガネに銃を突きつける。が、背後から劉波が金槌で殴りつけ失神させた。劉波は強盗の服と仮面それに銃を奪って身に着ける。
フロアでは行員が集められ銃を向けられている。于小恵は皆を助けるため、銀行の秘密の出口を知っているので金を奪って分け合おうと強盗の頭に持ち掛ける。強盗の頭はたわごとだと言って信じないが、その時仮面をつけた劉波が強盗の頭に銃を突きつけ小恵に皆を出口へ連れていけと言う。小恵は皆を金庫へ誘導するが、金庫からは意識を取り戻した強盗がメガネにナイフをつきつけ出て来た。メガネは自分にかまうなと叫ぶが劉波は銃を手放す。

その頃、許東は密かに七哥の後をつけていた。七哥が一人車に乗って出た所をわざと追突して横転させ、金の入ったバッグを奪い返す。意気揚々と店へ戻って来るが劉波もメガネもいない。代わりにナイフや銃を持った強盗の男らに取り囲まれた…。

強盗らは皆を縛り上げ洞窟を通って金を運び出し、そして店内に油を撒き始めた。死を目前にメガネは于小恵のラブレターは実は自分がずっと持っていたと告白する。彼は小恵の事が好きだったのだ、だから劉波には渡せなかった。すると許東も彼女の事が好きだったと告げる。劉波も本当は彼女の事が好きだった。皆が皆素直になれなかっただけなのだった…。
強盗らは油を撒き終えるとライターを取り出すが、その時七哥が手下を引き連れ報復へとやって来た。七哥は強盗らに襲い掛かる。激しい殺し合いの最中、劉波はポケットに隠し持っていた折り畳みナイフを使って縄を切る。最後まで残った強盗の一人は金の入ったバッグを持って出ていく。皆が危険だと制止する中劉波は後を追う。メガネは于小恵のラブレターをあのバッグに入れたと言っていた、劉波は執念で強盗を追い続け、ふらふらになった強盗は道路へ飛び出したところを車にはねられた。劉波は這うようにしてバッグから手紙を取り出す…。

劉波の退院祝いに許東、メガネ、于小恵が集まり皆で火鍋を囲んでいた。許東はまた新しい火鍋の店を出そうと思うと切り出す。今度は3人じゃない、4人だ。(終)
-----ここまで]

若干のお約束を踏みつつもよくまとまっていて余韻が心地いい物語。コメディなのかと思ってたけどこれは…青春物語?ラブストーリー?
冒頭銀行強盗のシーンから始まるのでサスペンスかと思うけど中身はハートウォーミングな人間ドラマでした。

洞窟掘って銀行の金庫に到達するなんて古くさいプロットだし危機を運の良さだけで切り抜けていく主人公という流れはコメディテイスト。表向きのストーリーはこんな感じに適当に作られてるけど描きたいテーマは人と人のつながりで、劉波、許東、メガネ、于小恵の四人の気持ちを繊細に描き出してる。
まともな職にもつかずギャンブルがやめられない劉波、唯一妻帯者だがその妻から逐一干渉される許東、三人で始めたはずの火鍋屋を結局一人で切り盛りするメガネ。銀行員という手堅い職につくものの周囲からの理不尽なイジメに遭ってため息つく毎日の于小恵。人生に閉塞感を感じる4人はそれぞれが人生を今から変えていこうと決意する。その矢先に事件が起こり…「今のままではダメだ」という意識が彼らに勇気を与え、しかしその中で「変えたくないもの」「変えてはならないもの」の存在を見出す。

主人公・劉波を演じるチェン・クンはさすがだねぇー。顔はイケメンなのにお芝居でちゃんとダメ男に見える。滑舌悪くムニャムニャ言っててちゃんと地元のヤンキーっぽく見えるし。劉波と許東は時々字幕とは明らかに違う言葉を喋ってるけどこれは方言なのかもしれない。
その点ヒロイン于小恵は、もちろん美女だけどきれいな標準語でありきたりのお芝居で印象が薄すぎる。(チェン・クンの芝居が濃ゆいだけかもしれんが…。ニヤニヤ
メガネを演じるユィ・オンタイ(喩恩泰)は「大秦帝国之縦横」の主人公・張儀を演ってた人。彼はこういうトホホな役が非常に似合う。ニヒヒ
許東はちょっと見た目にもキャラ的にも劉波とかぶってて、チェン・クンのキャラが強すぎて隠れちゃってたなぁという気が。もっとおっさんくさい人にするとかインテリキャラにするとか変えたら話もくっきりして良かったような気がする。

なんかタイトルの火鍋は全然関係なかったような…。重慶といえば火鍋、みたいなイメージが中国ではあるのかもしれないけど、外国人にはわからない。
「アイスマン2」には随分ガッカリしたので他のドニー・イェン(甄子丹)×ワン・バオチャン(王宝強)の作品を。

「カンフー・ジャングル」(2014年 原題「一個人的武林」 監督/陳徳森 主演/甄子丹、王宝強)
96分


――武芸の一門の師範を務める夏侯武はある時誤って殴った相手を殺してしまい自首する。
三年後、トンネル内で男が殴り殺される事件が発生。現場には鳥の形を模した謎の楔がこれみよがしに刺さっていた。服役中の夏侯武はそのニュースを知り事件の担当刑事の陸玄心に面会を要請する。殺された男は武林(武芸の世界)では7大英雄と呼ばれる達人だったのだ。夏侯武は犯人が武芸の達人を殺すことで自分がナンバーワンの存在であることを示そうとしている可能性があると説くが、陸玄心はそんな古くさい物語のような話を信じられるわけもなく呆れて出て行った。
だが夏侯武が7大英雄として挙げた人物が一人また一人と殺されていく。現場にはやはり謎の楔が残されていた。陸玄心は夏侯武に捜査への協力を仰ぎ仮釈放させる――

[ここからネタバレ-----
次に狙われるであろう7大英雄を守るため陸玄心らは警察隊を引き連れて向かったが一歩遅くすでに殺されていた。だが夏侯武は現場でやはり武芸の達人である封于修の姿を見る。彼はニヤリとして立ち去っていく。夏侯武は後を追いかけるが封于修はビルを飛び越えて逃走していってしまった。警察隊が後を追ったが見失い、そして同時に夏侯武も姿を消していた…。

夏侯武は故郷へと戻っていた。一門は夏侯武が逮捕投獄されたことで弟子は殆ど去ってしまっていたが妹弟子の単英が細々と守り通していた。単英から数日前に見知らぬ男がやってきて鳥の形の楔を置いて行ったと知り、封于修が自分を狙っていることを知る。夏侯武は自ら陸玄心に連絡を取り、改めて事件捜査に協力するため単英と共に香港へと戻る。

警察の捜査で封于修の家が判明。家を捜索すると彼の妻の位牌が。ちょうど一年前に癌で亡くなったのだ。封于修は妻の一周忌に必ず自宅へ戻って来るはずだ。
警察が周囲に監視カメラを仕掛け潜伏し待っているとやはり封于修が花束を持って戻って来た。だが様子がおかしい事を察知した彼は監視カメラの死角へと姿を消す。だがその行く手に現れたのは単英。単英は剣を抜き封于修に対峙するが、激闘の末敗北。重症を負った妹弟子の姿を発見した夏侯武は陸玄心に救援を求め自らは封于修を追いかける。

単英はすぐに救急車で運ばれ命に別状はなかった。だが夏侯武はそのまま行方をくらましてしまった。結局彼は封于修と組んでいたのではないか…。と、残る7大英雄の一人から陸玄心に連絡が。現在トラックの運転手をしている彼の元に夏侯武がやってきたと言うのだ。

走行中のトラックの前に封于修が立ちはだかる。急停止したトラックから降りて来た運転手はゆっくりと彼の前に立つ…それは夏侯武だった。
封于修はカンフーは人殺しの術だと言い放つ。癌で亡くなった妻が望んだ、武林の頂点に立つためには、完全勝利つまり相手を殺さねばならないと言い襲い掛かって来る。次々と車が走り抜けていく道路上で二人は激闘を交わす。そしてその戦いは夏侯武が制した…だが夏侯武は二度と人を殺さないと亡くなった師匠と妹弟子に誓った、その拳を寸前で止める。お前が殺さなければ俺がお前を殺すぞ!封于修は逼りつかみかかる。と、走り抜けるトラックに衣服が引っかかり夏侯武は数十メートル引きずられた。動けなくなった夏侯武を封于修は側道へと引っ張って来て、そして鳥の形の楔を取り出しとどめを刺そうとする。
夏侯武が目を開けるとすぐ隣に息絶えた封于修の顔が。駆けつけた陸玄心が封于修を射殺したのだった…。

その後夏侯武は事件解決に協力したことで減刑され釈放された。元気になった単英と共に故郷へ戻り、彼女と結婚し子供をもうけ、そして彼の武芸一門は多くの弟子ができて繁栄していった。(終)
----ここまで]
※中国語で見たので多少誤りがあるかもしれません。

ぜ、前半が異様に長く感じる…。
でもクライマックス(ラスト15分)のドニーとワン・バオチャンのタイマン勝負はそれまでのしんどさを吹き飛ばすだけのカッコ良さがあったから許す!!!爆  笑

ドニー演じる夏侯武は非常にまっとうな、正義を貫き愛する女性を守るためという全世界共通な"主人公道"を行くキャラクターでよしよしよし!チュー
加えてワン・バオチャン演じる封于修も、共感できなくはない辛い過去を負っているという設定が任侠ものらしい、まさに武林らしいカッコイイ悪役でダブル主演ぽくなってる。
カンフーで敵(というか警察)をばったばったとなぎ倒したりビルや民家を逃げ回る鮮やかさはアクション映画として十二分に見ごたえあり、それだけで充分なのに、なんか妙に物語が凝ってて従来の香港アクション映画とは勝手が違うような…。陸玄心が率いる警察チームの内部事情とか捜査状況とかの刑事ミステリな側面が特に前半は大きく出ていて、これは賛否両論じゃないかと。アクションを求めてる人には重箱の隅をつつくような理論はいらないし、ミステリを求める人は現実重視だからいろいろツッコミ入れてしまう。
ただすごく面白いと思ったのはラストのオチ。[ここからネタバレ-----封于修は車に轢かれて死にかけの夏侯武をそのまま殺すのではなく、敢えて側道へ避難させてから自らの技で殺そうとする、これは生死ではなく勝ち負けを重視する武林の思想からだ。相手が勝手に自滅したのでは勝った事にならないからだ。そういう所を正々堂々としたかった彼を無情(?)にも陸玄心が射殺する。これは理論をとやかく言わず格好良さを求めるアクションものに対して客観的で現代的なミステリが「でも実際強いのは拳より銃でしょ」と冷徹に撃ちぬいているようで----ここまで]、どちらが正しいという話ではなく、なぁんかシニカルな結末だなぁと思った。

ワン・バオチャンが悪役というのは結構意外だったけど、まぁお世辞にも整った顔立ちではないしちゃんと悪いカオさせれば悪者に見えるんだなぁ。でもファンのおばちゃんとしてはどうしても彼を応援しちゃう!デレデレ そしてアクションがとっても素敵だった!武器持たせてもカッコイイわぁー。前半はドニーはあんまりアクションシーンなくてワン・バオチャンが武芸の達人を次々と倒し…もとい、殺していくのでねぇ。
あとヒロイン…ではないか、助演になるのかな、陸玄心を演じるチャーリー・ヤン(楊采妮)が素晴らしかったな。疲れた顔のベテラン女刑事という妙にリアリティあるキャラになってて。アクション映画ではなくサスペンス劇で見てみたいと思うお芝居。

本編終了後に謝辞が映し出されその後今までカンフー映画に関わって来た有名な俳優やスタッフらが実は脇役やモブで多数出演していたことが明かされる。香港映画マニアにはそういう所もお楽しみいただけるのでは。

「ストームブレイカーズ」(原題「万万没想到」)の元企画であるコメディ連作。

「王大錘伝奇の万万没想到」(監督/叫獣易小星 主演/白客)
第1季(2013年):全10話、番外編全5話
第2季(2014年):全11話、番外編全5話
第3季(2015年):全6話

※日本語版はありません。

タイトルは「王大錘物語・まさかこうなるとは」くらいの意味かな。中国語では「・(中点)」を「之」という字で表す。「之」は日本語で「の」と書くので、それを逆輸入した形。

これはドラマというかショートコント。
シーズン1は数分のショートコントを1~2本ずつの計5分程度で、シーズン2は5~15分と長めのコント1本、シーズン3は映画公開に合わせて作られた特別編で5分程度の新作コント一本とスタッフによるCMコントと映画の宣伝という構成。
コントの舞台は現代社会だったり古代だったり架空の世界だったりといろいろだけど、常に主人公は王大錘という名の青年(※人間じゃない場合もある)で、「俺の名は王大錘、」と彼のモノローグで始まり、最後「俺の名は王大錘、まさか×××になるとは思わなかった。(我叫王大錘、万万没想到×××。)」という決め台詞のオチで終わる。

特にシーズン1が、安さを逆手に取った、いかにも若者向けのネット受けしそうな若干マニアックな笑いで個人的にツボ。笑い泣き
シーズン2からはかなり予算がついたみたいで笑いもやや一般的な方向へ向いて、あと固定メンバーによる掛け合い中心になってドリフっぽい。
スポンサーやCMも笑いとしてネタに組み込んでてこういう所はネット配信ならでは。「勇者ヨシヒコ」シリーズが好きな人なんかにオススメ。

これを見た後に映画の方を見ると、映画はなんてマトモでマジメに作ってるんだ!滝汗と驚きを隠せない。もっとフザケててもおかしくないしあの映画の大団円ぶりは違うだろ、王大錘はそんなキャラじゃないだろってツッコミすら入れたくなる。どうにしろひっじょうに愛すべきキャラだわ…。

* * * * *

「王大錘伝奇の万万没想到-小兵過年-」(2014年 監督/叫獣易小星 主演/白客、馬可)
全6話


シリーズ番外編。「小兵の年越し」というサブタイトル。別名「賀歳篇」。2014年の旧正月に放送された作品で、時系列としては「万万没想到<第一季>」の次に作られたもの。
通常のシリーズとは異なりこの6作は通して、三国時代を舞台にした王大錘・王小可兄弟の物語となっている。

――三国時代の劉備に仕える一兵卒の王大錘とその兄の王小可は、新年に故郷へ帰省しようと主君に休暇を申請しようとするのだが…。
やっとのことで帰省しようとするも車のチケットがなかなか手に入れられない…――

なんか…面白くないんですが。
この作品では王小可がボケ、王大錘がツッコミで統一されてるんだけど、なんか小可のボケが当たり前すぎていつものような面白さがないのと、普通こういうベタなボケとツッコミの掛け合いだと最後にツッコミがボケて〆るところを、最後までそのまんまだし大錘が兄貴に振り回されるただの可哀想な人で、いやぁ正直バイ・コー(白客)は実力半分も出してないじゃんって、めちゃくちゃ物足りない!もっと笑わせろ!ムキー
シリーズ本編でも劉備を演ってたチャン・ベンユー(張本煜)は濃ゆくて好きだな。この人との掛け合いだったらもっと面白くなっただろうに。
一昨年に大ヒットしたウェブドラマ。

「白夜追凶」(2017年 監督/王偉 主演/潘粤明)
全32話

※日本語版はありません

白夜は高緯度地域で一日中太陽が沈まない現象の事ではなく、白は白昼とか白日とかに使われる白、つまり日中という意味。昼も夜も凶(犯罪)を追うというタイトル。昼は敏腕刑事の兄が、夜は兄に成りすました弟が犯罪を追い続ける刑事サスペンス。

――呉一家五人が惨殺される事件が発生、残された指紋から犯人は関宏宇と断定し全国に指名手配した。刑偵支隊長(捜査一課課長)で敏腕刑事と名高い関宏峰は彼の双子の兄だった。容疑者の親族が捜査に関わることは規定で禁じられており、弟の潔白を証明することができない宏峰は辞職した。彼の後を継いで支隊長となった周巡はしかし関宏峰の能力が捜査に不可欠と考え、独断で顧問として迎え入れた。だがその実は、関宏宇が兄に連絡を取るに違いないと踏み宏峰を監視下に置くためだった。

実は宏峰は弟・宏宇を自分の部屋に匿っていた。宏宇は自分が犯人ではないと言うし彼も弟が殺人を犯すとは信じられなかったからだ。
しかし宏宇は誰にも気づかれないように一日中静かに部屋に籠っていることに嫌気がさして来た。そこで宏峰は自分と瓜二つになるよう弟をダイエットさせ、夜だけ自分に成りすまして外へ出る事を提案する。というのも、宏峰は二年前のある事件がトラウマとなり暗闇になるとパニック発作が起こる「暗闇恐怖症」に陥っていたのだ。宏峰は宏宇に捜査中の事件について詳細に教え込み、夜は自分の代わりに捜査に行かせることに――
(各話あらすじはOwndで公開しています。)

日本で22時以降にやってそうな感じのシリアスな刑事サスペンス。いろいろと、今までにない雰囲気の中国ドラマ。
小さな事件を幾つも解いて行って最終的には最初に提示されている大きな事件の真相が明かされるという構成。出演者が、設定の割には若者ばかりで偏っていたり正直上手いとは言えないお芝居だけど、ロケやアクションは映画みたいに本格的で安っぽさがないし、全般通してこのドラマを「面白い」と思わせるのが画面の撮り方!逐一カッコイイ構図なんだよ!ラブ
特に第一話の"つかみ"部分が素晴らしい!何者かわからない殺人者の存在を暗示し、オープニング(これがまたクール!)、そして早朝空き地で発見された死体を調べる捜査一課の面々が映し出されるが、5分以上のワンカットでまるで自分もそこにいるかのような臨場感。何も知らない新人刑事の周舒桐と全く同じ目線で物語に引き込まれて行く…非常に巧い!他にも俯瞰の構図や物陰から覗くような構図を多用してて見た目にカッコイイ上に人物の心理を暗示するのにも使用されてて、いやぁクールだわ。

関宏峰・宏宇兄弟が事件の手掛かりや核心を突き止めることで解決していくという展開だけど、正直そのこまごまとした事件自体はどうでもよくて、捜査の最中にしょっちゅう周巡に疑われ宏宇の存在がバレるんじゃないかというハラハラがとにかく面白い。双子設定だと大概ホクロとかつけて視聴者に区別つくようにするものだけど、この兄弟は見た目が全く同じという設定で視聴者にも区別しにくくしており(台詞や動作によってどちらか明かされる)それをも利用した物語。いつも周巡はギリギリの所まで彼らの秘密に迫るんだけど偶然に偶然が重なって逃すという、毎回手に汗握る展開で楽しませてくれる。

予算があまりないウェブドラマということで主演のパン・ユエミン(潘粤明)以外はまだあまり有名ではないこれからを期待されるような若手俳優で埋め尽くされてる。彼らは外見で選ばれてるなーって感じの美男美女揃いでその分お芝居はウーン…チーンって思ってしまう。周巡を演じるワン・ロンジョン(王瀧正)はまあ準主役に選ばれるだけの事はあるかなとは思ったけど。彼のイケメン俺様キャラで女性のハートをわしづかみにし、ヒロイン周舒桐のあの清純でウブなキャラが男性を虜にするんだろうなぁと、キャラ設定はハッキリ言ってあざとい。
でもそういう欠点を補ってなお面白い作品だと思わせるに至るのが先述のカメラワークと、パン・ユエミンの見事な一人二役でしょう!
見た目はそっくりでも兄はクール、弟はやんちゃという王道設定だけど、弟は人前ではクールな兄を真似しているという設定で、その微妙な設定をちゃんと演じ分けてるのが凄い。いつの間にか一人で演ってるということを忘れ去ってしまうほどしっかりとキャラクターが作られてる。(画面の合成技術も見事。)

途中で続編を作ることが決定したようで、物語は一応完結しているとはいえ少し謎を残して終わっている。でもこれ同じメンツで続編作っても面白くはならないだろうから設定に苦労しそう…。


* * * * *
主な登場人物(序盤)

 関宏峰
長豊区署の刑偵支隊長で敏腕刑事と名高い男だったが、弟の事件を捜査できない事に憤り警察を辞めてしまった。過去の事件のトラウマで暗闇の中にいると幻覚幻聴が起こる「暗闇恐怖症」に陥っている。

 関宏宇
宏峰の双子の弟。生真面目な兄と違い若い頃から酒や女や悪い遊びに手を出して来た。機動隊にいた事があり腕っぷしは強い。殺人事件の容疑者として指名手配され兄の部屋に転がり込む。

 周巡
長年関宏峰と組んで様々な事件を解決してきた、破天荒だが優秀な刑事。宏峰の辞職後支隊長に任命される。関宏峰を顧問として招くがその実は彼が弟と連絡を取り合っているのではないかと疑っている。

 周舒桐
警察学校を卒業したばかりの新人刑事。周巡から密かに関宏峰を監視するよう命じられる。

 高亜楠
長豊区署刑偵支隊の主任監察医。関宏宇の恋人だった。

 劉長永
長豊区署の刑偵支隊副隊長。自分よりもずっと若い関宏峰や周巡が支隊長になっていることに劣等感と嫉妬を抱いている。

 趙茜
周舒桐の警察学校時代の先輩。市警察から長豊区署に出向してきた。情報技術担当。

 劉音
関宏宇の行きつけのバーのママ。何かと彼に協力してくれる。

 趙馨誠
海港区署刑偵支隊長。周巡の同期生。

 韓彬
有名な犯罪心理学教授を父に持つ弁護士。海港区署刑偵支隊の顧問として招かれている。

 崔虎
関宏宇の親友。パソコンおたくでハッキングもお手のもの。裏の世界にも通じている。