「無証之罪-Burning Ice-」(2017年 邦題「バーニング・アイス-無証之罪-」 監督/呂行 主演/秦昊、鄧家佳、代旭)
全12話

原作は紫金陳という有名なミステリ作家の「無証之罪」。
犯人だと分かっているのに決定的な証拠がない…法に則らねばならない刑事のもどかしい心の内を描いたミステリ、のはずなんだけど?
――厳寒のハルピン。絞殺体が雪だるまにくくりつけられているという「雪だるま殺人事件」が発生。雪だるまには「私を捕まえてみろ」という挑戦的な言葉が書かれていた。実は四年前から同じような事件が発生しこれで四件目なのだった。四件とも同じ指紋が残されおもちゃのピースが落ちていた。捜査一課課長の林奇はこの事件の犯人"雪人"を追う。しかし手掛かりは少なく捜査は暗礁に乗り上げた。局長の趙鉄民は彼女のために名探偵を連れて来てやろうという。それは、元刑事課の敏腕刑事だったが不祥事で派出所巡査に左遷された厳良という男だった。
雪だるま殺人事件の被害者・孫紅遠の妻でヤクザの一派を締める李華は、彼が事件直前に若い愛人の朱慧茹と会っていたと知り、慰謝料として500万元を要求した。朱慧茹の元恋人で新人弁護士の郭羽は彼女のために別のヤクザの一派である老炎の手下、通称キンパツを紹介する。キンパツは10万元で李華と話をつけてやると朱慧茹に言う。
金を支払うとキンパツは橋の下で李華も交えて話し合おうと言う。朱慧茹が橋の下へ行くと李華はおらず、キンパツは朱慧茹を強姦しようと襲い掛かって来た。そこへ心配してかけつけた郭羽がキンパツを氷塊で殴りつけた。さらに気が動転した朱慧茹が護身用の果物ナイフでキンパツを何度も刺す…キンパツは出血多量で死んでしまった。人を殺してしまった…震える二人の元に、一人の男が近づいてきた。彼は言う、もし捕まりたくないのなら、自分の言う通りにしろと――
(各話あらすじはOwndで公開しています。)
ミステリとしての物語は面白くできてるのだけど、話の見せ方っていうかさぁ、この脚本&演出は、ちとビミョー…。
厳良と謎の男・駱聞があたかも主人公のようなポスター作ってるけど実際は郭羽と朱慧茹の二人を中心に物語が展開されてて、おそらく監督は単なるミステリではなく純愛もしっかり描き出したいと思ったんだろうけど、やりすぎてミステリの方がかすんでしまってる。
おそらく本来の主人公はホームズ役の厳良とワトソン役の林奇なんだろうなと思うけど、彼らは終盤以外はちっともさっぱり活躍しない。むしろ犯人に振り回されてる無能警察な印象。そして郭羽と朱慧茹の純愛パワーがキラキラ
第七話まで見てよっぽどリタイアしようかと思ったけど、でもここを踏ん張ると謎の男が現れて警察とガチ対決に向かっていって大変面白くなっていく。
見た目あまりパッとせず表情も乏しそうに見える青年・郭羽を演じるダイ・シュはいやいや終盤は鬼気迫るお芝居だったし、ヒロイン朱慧茹を演じるデン・ジァジァちゃんは童顔でお人形さんみたいに可愛いのに時々ゾッとするような大人の顔を見せるし、駱聞を演じるヤオ・ルーさんはさすがの貫録で主役かっさらう勢いだし、キャストは実力派揃いで豪華。ただ厳良を演じるチン・ハオはちょっと可哀想だったな…。風変わりな天才肌の刑事という魅力的なキャラクターを作りあげてるのにうまく活用されていなかったっていうのが。こういう個性的なキャラクターを主人公にしたいのなら犯人側をこと細かに描かずむしろ謎にしておいた方が面白くなるし、犯人側を中心に展開したかったのなら刑事側にこんなクセのあるキャラを配置しちゃダメだ。視聴者が共感する視点がブレちゃって、正直厳良に共感する要素が少なすぎてただの面倒な男に成り下がっちゃってたなぁ。
そして最も目を引いた、びっくりした俳優さんが、中盤から出て来る二人目の謎の男を演じるニン・リー(寧理)!まだ無名の人みたいだけど誰もが彼の表情に釘付けになると思う。すごく印象的なキャラクターを演じてて、ネタバレになるからあまり書けないけどとにかく見てほしいと思うお芝居!ヤバい!
この作品は2017年に「白夜追凶」と並んで話題になったそうだけど、同じ刑事ものでもタイプが全然違う。こちらの方が王道なミステリで物語重視、老若男女問わずな感じ。「白夜追凶」はミステリよりサスペンス性が強く、若者向けで見た目重視だと思う。