快眠アドバイス『羽毛ふとんよりも温かいと謳う布団に物申す!』 | ウメナ寝具の快眠BLOG

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静岡県三島市の寝具店「ウメナ寝具本店」の【店長(睡眠健康指導士・sleepdesigner)】が書くブログです。睡眠の話、睡眠に絡めた寝具(布団)の話、お店の情報などを載せています。
※6月18日にWebサイトをリニューアルし、記事内のリンクが一部切れています。

ここ数年、インターネットや通販で「羽毛布団より温かい」とか「羽毛布団を超える温かさ」等と謳った化繊素材の掛布団が目に付く様になりました。


お客様からもその手の商品に関する相談を頂く事が増えてきましたので、今回はその手の商品に対する私見を紹介したいと思います。




【どんな羽毛布団と比較している?】




まず、比較対象としている羽毛布団ですが、これは水鳥の羽毛を50%以上使った布団の総称です。


羽毛布団を一つの商品として見た時、中身の羽毛の品質、中身の羽毛の量、布団の側生地の品質、側生地のキルティング方法などの仕様が商品によって異なります。つまり羽毛布団はその商品によって仕様が様々、保温性(温かさ)も様々なのです。


もし自社の布団が羽毛布団よりも温かいと謳うなら、どんな仕様の羽毛布団と比較しているのかハッキリさせるべきだと思います。どんな仕様なのかはWebサイト等を見ても非常に分かりにくいですからね。


そこをハッキリさせないで、羽毛布団より温かいと謳うのは消費者の皆さんに対する表現方法として誠意を感じませんよね。意図的に分かりにくくしているとも勘ぐってしまいます。


【寝具に必要なのは保温性だけじゃない】




人が快適に眠るには寝床内環境(布団の中の環境)を「温度約33度」「湿度約50%」で維持する事が求められます。つまり、寝具は温度を保つ力(保温性)だけじゃなく、湿度を調整する力(吸湿性)も必要になるって事です。


布団の場合、布団の中に使われている「素材(中わた)」の吸湿性はもちろん、布団という商品を構成する「側生地」の素材の吸湿性も大切なのです。


化繊素材は綿や羽毛等の自然素材に比べると、この吸湿性が劣る事を忘れてはいけません。


それから寝床内環境を維持する事も重要な条件です。通常、睡眠は6~9時間もの長い時間をかけて行う生理現象です。寝ようとする最初の気持ち良さだけじゃなく、一晩使って起きた時の気持ち良さまで重要なのです。


湿度調整が苦手な化繊素材の掛布団は夜中に蹴飛ばす可能性が高く、寒くて目を覚ます事も多いです。つまり快適に眠れず、睡眠の質が落ちる可能性が高いという事です。


【洗える事と睡眠の質のどちらを優先する?】




この手の化繊の掛布団は家庭で洗える事をメリットに謳っている場合が大半で、洗える事が羽毛布団より優れている点だと強調します。しかし、家庭で洗えるメリットを優先し、睡眠の質を落としても良いのでしょうか?


先述しましたが化繊の布団は寝床内環境(布団の中の環境)を適切な状態に保つ事が非常に苦手な布団です。


睡眠の質が落ちれば、脳の機能が正常に働かなくなります。免疫力も低下します。肌も荒れやすくなります。


そもそも羽毛布団は家では基本的に洗えませんが、当店やクリーニング店では洗う事が出来ます。家で洗えないのは中まで乾かす事が出来ないからで、専門業者なら洗って乾かせるのです。


それに羽毛布団はカバーを付けて使う寝具です。日常のお手入れはそのカバーを洗う事と、布団本体を乾燥させる事です。


尚、羽毛布団を洗うと必ず側生地が傷み吹き出しのリスクが高まります。それに中の羽毛が絡まって膨らみが出にくくなります。羽毛布団はカバーをまめに洗い、布団本体は数年に一度丸洗いをするのが適切なお手入れ方法になりますよ。


【布団から出ている様に見えるだけの埃】




埃が出ない事をメリットとして強調する場合も多いです。しかし、そもそも埃って寝具に限らず布製品を使えば発生するモノです。つまり服を着て生活しているだけで発生するんです。


羽毛布団などの布団から発生している様に見える埃ですが、寝ている間や日中に空気中に浮遊していた埃が落ちて布団に付着し、その付着した埃が布団を動かした時に再度空気中に舞うのを見て「あたかも羽毛布団の中から出ている様に見ている」だけなんです。


もちろん羽毛布団の生地擦れによって発生した埃が舞っている可能性もありますけど、それは埃が出ないと謳っている布団でも同じことです。


埃が出ないと謳っている布団も一晩使ってみて起きて布団を動かした時に埃が舞う可能性が非常に高く、数ヵ月使って生地擦れを起こせば埃が舞うはずです。


しかも化繊の布団や化繊の生地を使った布団は静電気が発生しやくなるので、埃が付着しやすくなるとも考えられます。これは電化製品を想像すれば分かりやすいですよね。


埃を気にする方は化繊の布製品を避ける方が理に適っていると思います。しかも化繊の生地擦れによって発生した埃って広い意味で考えればマイクロプラスチックと一緒ですから。これを吸い込む方が体に悪影響だと思いませんか?


【ダニやノミは人が使う事が発生の要因】




ダニやノミが発生しない事をメリットに強調する場合もありますが、これも根本的に間違っています。


確かに化繊はダニやノミの餌にはなりません。マイクロプラスチック問題でも分かる様に化学繊維は動物にとって基本的に有害ですからね。そういう意味では発生しない布団だと言えるのですが、その化繊の布団を人が使用する事によって人のアカやフケが寝具に付着します。すると、そのアカやフケが餌になりダニやノミが発生しやすい環境が作られるのです。


羽毛布団や綿布団でもやはり同じです。布団に限らずベッドマットレスだって同じです。更に言えば寝具に限りません。車のシート、ソファ、ジュータンやラグだって人が使えばダニやノミが発生しやすくなりますから。


ダニやノミが発生しない様にするには素材云々ではなく定期的に丸洗いやクリーニングを行う事使っていない期間に乾燥状態を保つ事が大切なのです。


【宣伝に使われる愛用者の感想(口コミ)に対するフィルターの掛け方】




広告やWebサイトにはこの化繊の布団を使っている愛用者の感想(口コミ)が載っている事が多いですが、この感想(口コミ)を鵜呑みにしちゃいけないのは当然です。


では、感想(口コミ)を「どの様な《フィルター(ふるい分け)》に掛けて参考にしなければいけないか」、それを最後に紹介します。


①《愛用者の体型、体質、年齢、使用環境》




その寝具を「どんな人がどんな環境で使っているか」は寝具の実際の使用感や寝心地を知るには必要な事です。


使っているのは若い方なのか、お年寄りなのか、暑がりなのか、寒がりなのか、痩せ型なのか、筋肉質なのか、使っている住居の気密性、住んでいる土地の気温や湿度などの条件によって快適に使える寝具は異なってきますからね。


しかし、そこまで詳細な情報が載る感想(口コミ)はなかなか見当たりません。


②《愛用者が使っていた寝具の詳細(比較対象の寝具の詳細)》




「その感想(口コミ)の対象となる寝具を使う前にどんな寝具を使っていたか」も重要です。


私の様な寝具マニアでも無い限りは何点も寝具を持っている事は無いでしょうし、今まで使っていた寝具の買い替えが基本です。その今まで使っていた寝具がどんな品質のモノかによって、感想の対象となる製品への評価は変わりますよね。


もし羽毛布団を使っていたとしても、先述した様に羽毛布団は仕様が商品によって異なります。どんな保温力の羽毛布団と比較しているのか。また、その羽毛布団を「どれぐらいの期間」使っていたかも重要な点です。


感想(口コミ)の対象となる製品は新品ですからね。例えば比較となる今まで使っていた羽毛布団を10年使っているなら、その年月による経年劣化も考慮して、感想(口コミ)を考えないといけません。


③《デメリットの記載があるか》




自社サイトに掲載される感想(口コミ)や自社調べと注意書きがある(口コミ)は、自社にとって「都合の良い感想が掲載されている可能性」を否定出来ません。


寝具に関する情報を色々調べてみると、どの商品も良い事(良い情報)しか書かれていないので結局何が本当に良いのか分からないって話すお客様もいますし、そう思っている読者の皆さんも多いんじゃないでしょうか。


「デメリットの無い商品は存在しない事」を前提に、その商品のデメリットは何で、それに対してどんな対応方法があるかを知る事が大切です。


デメリットを記載出来る製品は対応方法があるか、仮に無い場合でも商品の情報を正しく伝える事で消費者の皆さんの本当の満足感を求めている商品や会社だと考えて良いと思います。


④《愛用者が寝具の評価基準、睡眠の評価基準を正しく理解しているか》




寝具の良し悪しや睡眠の良し悪しを評価する時に一番大切なのは「起きた時の状態」「日中の覚醒具合(眠気があるかないか)」です。


肌触りが気持ちイイとか、早く寝つける等といったポイントは大切ですが一番ではありません。仮にそこが良くても起きた時にスッキリしないとか日中に眠くなる状態は良い寝具、良い睡眠では無いのです。


感想(口コミ)を書くのは言い方が悪いですが寝具や睡眠の素人さんです。素人さんならではの表現方法や観点も大切な情報ですが、あくまでも「素人さんの感想(口コミ)」という前提を忘れてはいけません。


以上です。布団だけじゃなくマットレスや枕にも通じると思いますので参考にして下さい。





羽毛がアレルゲンのアレルギー体質の方を除けば、基本的に羽毛布団は『多くの方が使える自然素材の寝具』です。


そして羽毛布団を使いたいと思ったら、羽毛布団の『正しい情報』『正しい選び方』、そして『正しい使い方』『正しいお手入れ方法』を知りましょう。


当店もそうですが、皆さんのお近くにある寝具専門店でも羽毛布団に関しては正しい情報を持っている事は多いです。羽毛布団は非常に普及率の高い寝具ですからね。


是非、羽毛布団を販売している側の意見も聞いて、羽毛ふとんよりも温かいと謳う布団を使うかどうか考えてみて下さい。


羽毛布団に関する相談以外でも睡眠や寝具に関するお悩みはささいな事から相談して頂いてOKです。電話やメール、各種SNSでも受け付けていますし、お気軽にどうぞ。

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●当BLOG ⇒ 新型コロナウイルスへの感染リスクを減らしたい方へ(2020年3月2日)
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