【01】<first impression>
こちら
前回のお話
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【17】
<first impression>
しばらく俺たちは繋がったまま時を刻んだ。
あの余韻は気だるさの中にも至福に似た感情も混ざっている。

愛しい女性(ひと)となら尚更そう感じる。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

左手首に巻いた腕時計を見る。そろそろ約束の時間だ。
カップを取り残った珈琲を流し込む
そして指先に挟んだLARKを吸い込み紫煙を吐き出した。

心鏡・・

心は何にでも反射し映し出す鏡のよう
もちろん写すことばかりでなく
相手にもソレを投影する力もある

見えないもの・・ではありますけど。
だから魅せることって大事なんだって。
それを伝えたかったんです。

彼女はそう言って『心鏡』について語った。
物語自体登場人物ふたりの心境とも掛け合わせているそうだ。

これは著者自身から聞いた。

なぜそのことを聞くことができたのか?



$ミラーズ(仮)



それは著者=彼女、つまり前嶋彩希本人だったのだ。
著者自身はペンネームで書かれていたので気付くはずもない。

あのときの俺の驚いた顔を今でも話のネタにされるが悪い気はしない
それを言っている時の彩希さんの笑顔がとても素敵だからだ。

だからあの時本を譲ってくれた。
そして物語を語ってくれた

俺への愛と一緒に。。


心も・・体も・・

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

そして俺への想いは
偶然電車で見かけ、日に日にその思いが募っていったそうだ

だが3ヶ月ほど俺を見かけないときがあり
どうしたのかと、とても不安も抱いていたという

3ヶ月・・
その時のことは記憶に新しい。俺はあるプロジェクトで
ここを離れていた次期があった。とても厳しい環境だったが
俺を一回り大きくしたプロジェクトでもあった。

いつもいるのにいない
手を伸ばせば触れられたはずなのに。
想いを伝えられたはずなのに・・
ほんの少しの勇気があったなら。。
自分の気持ちを打ち明けられなかったのをとても後悔したのだと言う

そしてあの本が産まれた。
ネットではあるが、そこで火をつけたらしい。

さらに本日公開する映画にもなった。また違う形で皆の心に残るだろう。

俺への想いが『心鏡』を産んだのだ。


「どうしたんですか?そんな思い詰めた顔して?」


突然の問いかけに俺はハッと顔を持ち上げた。
そこには逆光に佇む彩希さんの姿があった。

「いや。ちょっと前のことを思いだしてまして。
もちろん貴女のことですがね」

前嶋彩希は口角を上げふわりと微笑んだ。
その笑みが葛西秀行の奥底を撫でた。



すぐそこまで秋が迫ろうとしている。
出逢った冬が来て、そして春が来て・・

いついつまでも彼女と一緒に歩きたい。

<fin>


※50代ハイスペックおじさまということで
昨年の7月に書き始めましたが
ようやく終わりました(笑)
いかがでしたでしょうか?
ちょっと難しかったですが反論等ないので良しとします( ´艸`)
ふたりの時間と現実の時間の流れの違いをテーマに書きました
心鏡ともコラボしましたがちょっと無理あったかなw
リンクも貼っておきますのでお時間あるとき
お読みくだされば幸甚です(-_☆)

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