ACT196妄想-19-(side/K-9) | 妄想最終処分場

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ネタばれ注意!本誌ACT196(1/5発売)の関連妄想です!

未読の方、コミックス派の方はバックプリーズ!!

















蓮キョ☆メロキュン推進!「ラブコラボ研究所」

にも初提出とさせていただきました!

メロキュンになるかちょっと怪しいですが、よろしくお願いします~


長くなりそうなので、タイトルを分かりやすいようにナンバリングしました。

亀の歩みで進みますがよろしくお願いします。


まさかこんなに長くなるとは思いませんでした汗

あとちょっと…で終われるはず!

最悪でも本誌発売までにはエンドマークつけたいと思っています!

これまでのお話

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まるで私を子ども扱いするみたいに、何度も繰り返して言い聞かせるみたいに言葉をくれる貴方。


子ども扱いされることに小さな不満を持つようになったのはいつからだろう?


貴方は異性の色を滲ませて私の反応を楽しむようにからかう度に、最後はいつも子ども扱いしていた。

私は子ども扱いされたことで恋愛対象外の自分を確認して、安堵する。


そう、安堵していたはずだった。

地味で色気も無くてお子様な私は世の中の下心や真心の災いにさらされる危険もなくて、愛を否定する私にはうってつけの条件だったはず。


もし私が、柔軟な精神を持った大人の女性だったら、『どうにかする』のも吝かでない対象になるんだろうか?

もし私が貴女の恋愛対象になりうる大人の女性であれば…


だから子ども扱いされることに不満を感じていたんだと、自覚した今となっては分かる。


どういうわけか私を恋愛対象として言っているとしか思えないシチュエーションで貴方は私に好きだと言ってくれているのに、繰り返される言葉に子どもに対して言い聞かせているようだと私は感じてしまう。

なぜこうも子ども扱いんなままなんだろうと。


急に膨らんだ小さな不満で、私は「何度でも触れたい」と言った貴方に自分からキスをしてやった。


これで、少しは思い知るかしら?


伸び上って、ほんとに軽く掠める程度のキス。

そうはいっても、どうにも大人の余裕なんてなくて子供っぽいキスだったと思う。

それでも、不意をつかれて驚いた表情の敦賀さんがいて心のすみでちょっとだけムカムカしていた気持ちがおさまった。


(…私はどうしたいんだろう?)


燻っていた不満が消えると、急に冷静になった自分に気が付いた。


この人の傍にいたい。今の自分の欲求だ。


けれど…ヒトの持ちが永遠に続く保証なんてない。

今まで想っても返ってこないことに何度泣いて、あきらめることを覚えたんだろうか。

醜い、黒い感情すら引き起こすほど強力になっていたこの『好き』という感情は、自分が今まで持ちえた中で最大級に大きい。

こんな抱えきれない大きな気持ちを今までと同じように覆されたら、私はどうなってしまうんだろう?


(…怖い)


こんなにも真っ直ぐに伝えてくれた敦賀さんを疑いたいわけではない。

でも、予防線を張らないと自分を保っていられないと、落ち着いた思考は答えをはじき出していた。


「敦賀さん、なにか勘違いしてませんか…?」


(いまなら、まだ…大丈夫)


嘘かもしれない、幻かもしれない。

はっきり伝えられても、どこか現実味が無いような気がして。


「私を好きって…言いました?」


確かめようとして口に出したら、余計に恐怖感が膨張した。

どこかで、『違ってほしい』と自分で願っているような気がしてくる。


「そう、何度も伝えてるつもりだけど。分からない?」


敦賀さんから戸惑いの感情が伝わってくる。


「…ヒール兄弟を演じる中で、カインの気持ちと敦賀さんの気持ちを混同してませんか?」


私がそうであったように。いや、私の場合は逆だったかな。

カインがセツカを愛おしむ気持ちを、敦賀さんが私に対して錯覚していないだろうか?

一度芽生えた猜疑心は、次第に大きく膨らみ始める。

今ならまだ、なかったことにしても私の心が壊れることは防げるかもしれない。

そう、思う一方で・・・


「信じてくれないの?俺の気持ちは俺が一番分かっている」

「本当に?」


きっと敦賀さんから見て、私は掌を返したような態度を取っているのだろう。

私自身だってそうだ。

貴方のキスを受け入れて、喜びを感じていたはずなのに急に怖くなって逃げ出そうとしているのだから。

でも、こんな私の言葉をすべて否定して私を欲してくれるのか…どこかで強く言い聞かせて欲しい気持ちがあったようにも思う。


案の定敦賀さんは、私の態度に少しのいら立ちを募らせているようだった。

同時にもどかしさもあるのか、敦賀さんは眉を寄せて少し苦しげだった。


「俺は聞いたよね?受け入れてくれるのかって。逃げずにキスを受け入れたのは俺を受け入れてくれたことにはならないの?」

「・・・それはっ」


詰問するような問いかけに、思わず声が上ずった。

受け入れたいと思ってないなんて嘘になる。受け入れたいけれど、それ以上に恐ろしいのだ。

問い詰められて、一転窮地に立ったような心境だった。


「どうして私なんですか?…こんなに地味で欠陥だらけで、私は愛の欠落者ですよ?…ありえない…」


ぽろりと、自然に言葉が口をついて出ていた。

それはまさに自分の本音だった。

自分よりずっと高いところにいるはずのこの人が、なんでこんなにも欠陥だらけの私のことを好きだなんて言うのだろう?自分に好かれる要素を見いだせないから、こんなにも不安で恐ろしいのだ。


「好きになるのに理由がいる?」


返ってきた声にはもう私を追い詰める気配はなかった。少しだけほっとして、でも言われた言葉の意味を考えた。


好きだと気が付いたのはついさっきだけど、そう思える前から私は敦賀さんをどう思っていただろう?


最初はお互い良い印象でなかったのは分かる。

でも接していくうちに、この人を誤解していたり不意に触れた誠実さや笑顔に驚いたりもした。

そして、空っぽの自分を作っていく演技の道を行く人。

温かくて私を導いてくれる良き先輩。


そう思っていたのは、私が演じる理由を信じて理解してくれたから。

始まりは、誰も見向きもしなかった私をちゃんと見てくれた人だからだったんじゃないだろうか?


「…ずっと大切な人は作ってはいけないと思っていた」


どこかで聞いたことがある敦賀さんの言葉に意識が引き戻される。


(ああ、あの時だ…)


ダークムーンの撮影中、坊として敦賀さんに接した時聞いた『大切な人は作れない』という言葉。

その時と同じように、辛そうな敦賀さんの表情にぎゅうっと心臓が掴まれたように胸に痛みが走った。


「でも、大切な人は作るとか、作らないとかじゃ無かった。」


私を見る敦賀さんの表情が、ふわりと緩んで穏やかな微笑に変化する。


「気が付いた時には手遅れだった。だから…ずっと隠していた」


私にも覚えはあった。

愛を否定して拒絶してるのに、いつのまにか育っていて雪花の姿を借りて私に存在を知らしめたこの感情。


(敦賀さんも同じだったの?)


「どうして…隠していたのなら、どうして私に好きだなんて言ったんですか…?」

「君が、そばにいてくれたから。俺のお守りでいてくれたから…」


微笑みの奥にほんの少し、困ったような気配を感じた。


ヒール兄弟として過ごす中で、敦賀さんには大きな闇があることは感じていた。

きっと話すべき時が来れば、話してくれるだろう。だからきっと今はその時ではないのだろう。

私はそれ以上聞こうという気にはならなかった。


「君の行動に一喜一憂して、そんな権利もないのに嫉妬して、牽制して。俺のモノにならないなら誰のモノにもなってほしくはなかった。不破に君が挑みかかる度に、憎悪だと分かっていてもアイツに心を捕らわれている君に不快感も感じていた」


私を見ていた敦賀さんの視線が左肩に移動した。私もそれにならって視線の先にある自分でつけた痣に目をやった。


「これが目に入って…。俺のキスマークを拒んだ癖に存在するコレに頭に血が上って、強引に俺の独占欲の印をつけた」


さっき強引に付けられた印を指先でなぞられる。

痛みは無いけれど、触れられたところに小さな電流が流れるかのようにピリピリする感覚。


(敦賀さんの独占欲の印…?)


意外な告白だった。

カインとしてセツカを演じられない自分への罰だと思っていたそれは、私が残したのと同じように敦賀さん自身の私に対する『独占欲』だというのだから。

胸の奥が何だかじわりと熱くなった。


「今だって…どういう意味があってもいいとは言ったけど、これが何を意味するのか気になって仕方がない」


私の付けた痣を見る敦賀さんの目に小さな焔が点るのが見えた。

今ならわかる。あれは嫉妬だ。

カインである敦賀さんのキスマークを拒否した時に自分が感じたものと同じものだったから。


完全に不意打ちだったさっきとは違って、今度はゆっくりと敦賀さんが私の肩に唇を寄せるのを私は見ていた。

逃げることも、拒否することもできたと思う。

むしろ敦賀さんは私に行動の余地を与える事で、私の思考を読み取ろうとしているようだった。


一瞬身体はひるんだけれど、嫉妬を持つほど私に向けられた感情に嬉しさを感じたのも事実だった。


「…っ」


自分でつけた痣の上に、敦賀さんの唇が触れる。すぐにきつく吸われその感触に体の奥がざわめく。

触れた肌から、お前は俺のモノだと強く訴えかけられているような気がする。

ちくっと感じた痛み。肌に更なるうっ血が浮き上がっただろう。


「ああ、綺麗についた」


私のキスマークの上により鮮やかな赤い花が咲いていて、どこか陰のある笑顔で、満足げにそれを見る敦賀さんに意識を捕らわれそうになる。

それと同時に感じたのは小さな罪悪感。


(きっと他の誰かがつけたかもしれないって思っているのよね…?)


「…それ」


上書きされた印を見ると、左胸に付けられたものと同じくらい赤々と鮮やかだった。

こんなにも貴方のことしか考えていないのに、これが誰かのモノであるはずがないのに。

そのことを伝えられたら、敦賀さんは安心できるんだろうか?

でも正直に話すのも少し抵抗を感じる。


(自分でつけたなんて、呆れられるかな…)


キスで気持ちが伝わるんじゃないかって思っていた。

でも、伝わったり伝わってなかったり本当はどっちだか良く分からない。

総ては自分次第なんだ。


バスルームで一人行ったのと同じように、この人の前でもう一度やって見せる。

自分の左鎖骨の端に、たった今貴方が残した印にキスをして。


「…誰のモノでも…ないんです」

「…え?」


(…そうでしょうね)


予想通り、聞き返された。敦賀さんは呆れたような顔をしているだろうか?

そろりと視線を敦賀さんに向けると、案の定戸惑う表情。

どう言っていいものか少し迷っていた私の視界に、見上げた敦賀さんの首筋にまだ赤々と残る歯型とその中心につけた私の独占欲の印が映った。


(私も貴方に刻み付けたんだった)


消えてほしくない、他人に見せつけたいこの人が私のモノである証。


「これと…」


貴方がしたように、そっと手を伸ばしてその印を指先で撫でた。

触れると少し痛むのか、敦賀さんが息をのむのがわかった。

その痛みすら、申し訳ないけど愛おしい。


「これと、同じ」


確かめるように跡をなぞると、敦賀さんは目で答えを要求してきた。

呆れられるかもという気持ちはふっきれず、一息呼吸を整えて言葉を選ぶ。


「これはセツカがカインに付けた印…だと思ってた」


触れることなんてないと思っていた肌に自分の唇で口付けた時はそう思っていた。


「…でもそうじゃないって気が付いたんです」

「どういうこと?」


はっきり言葉で続きを促されて、怖気づきそうになった気持ちを目を閉じてぐっと引き締める。


「セツカじゃなく、私…が…」


私を捕える瞳が力を増す。私のどんな変化も見逃してはくれない。


「これは…貴方に刻み込んだ、私の独占欲」


声が震える。どうしてこんなにも言葉を発するのが苦しいんだろう?


「後でわかったんです。これを付けた時、私はセツカじゃなかった…」


重い口を開いて告白してしまえば、後の言葉は流れる様にすらすらと出てくる。

私の告白を聞いた敦賀さんの言葉を聞くのが怖い。遮るように、ひたすら自分の言葉で時間を埋めたかった。


「カインのキスマークを拒んだのは、カインを演じる敦賀さんの過去に嫉妬したから。セツカはカインに嫉妬なんてしない。私が、敦賀さん対して思ったことを演技に持ち込んで…私はセツカじゃなかった」


「敦賀さんが仕事には厳しいのは十分知ってます…。私がセツカじゃない、演技できないことを悟られたらお芝居の相手ができないならここにいるのを許されないと思って。芝居のできない私は敦賀さんの傍にいる資格がないんだって…」


「でも傍に居たい、そばで演じたい。敦賀さんの近くにいるための条件すら、この想いが壊していってしまうのに!」


「貴方が私が演技の勉強をする理由を信じてくれたから…!」


(私、最上キョーコを作るために演技をすることを信じてくれたのは貴方だから…)

本当に、今日の私は泣いてばかりだ。涙腺は壊れてしまったようで、感情の高ぶりに合わせて目頭が熱くなる。心情の吐露とともにまた涙があふれた。


「…最上さん」


泣きながら訴える私に降ってきたのは優しい声。

指先が目元の涙を拭って頬を撫でてくれるが、その手が更に涙を引き寄せるなんて分かっていないんだろう。


「でも本当は違った。セツカはずっと私の中にいたのに私が逃げて気が付かないようにしてただけ…」


「私自身が経験したことのない感情は演技として表現なんてできやしない。セツカになれなくなったんじゃない…人を好きになるなんて愚かだと思っていた私はカインを愛するセツカと同じ気持ちを自分が持っていることを認めたくなかった」


(セツカになれないと思って気づいたこの気持ちは…本当はちゃんとカインを愛するセツカだった自分を認めたくなかったから)


「敦賀さん…でももう大丈夫。セツカの心は私と共にあるのが分かったから。私はまたセツカを演じられる」


自分の気持ちを白状して、最後に伝えるのは懇願だ。


「…だから、傍にいることを許してくれますか…?」


≪そうよ、アタシは貴女が愛情を知っているから兄さんを愛することができるの≫


雪花が微笑んで私の中に戻ってくるのがわかる。

雪花がたった一人の兄を、カインを想う心が私と同じだってことも。


一度目を閉じて、小さく一呼吸。

さっきまで何度呼んでもできなかったセツカの表情が私の中に生まれる。


芽生えたばかりのこの気持ちを素直に伝える術を、まだ私は持っていなくて。


「…好きよ、兄さん」


両手を伸ばして、男性にしては綺麗すぎる滑らかな頬に手を添えて。

そのまま柔らかな髪をなぞり、首を絡め取って引き寄せる。


「死神でも、殺人鬼でも、誰であっても。アタシはアナタを…」


まだ自分の言葉ではうまく伝えられない。

だからセツカの言葉を借りて、ありったけの想いをこめて。



「…愛してるわ」



キスを。



続き→

ACT196妄想-20-(side/R-11)



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やーーっとここまで来ました!

最後は怒涛のキョーコの告白劇!(というか懺悔部屋??)


あとはこれを受けとった蓮サイドのち(もしかして限定??)エピローグ的なもので終わることができるかしら?あせる


ガンバレ自分!!