ネタばれ注意!本誌ACT196(1/5発売)の関連妄想です!
未読の方、コミックス派の方はバックプリーズ!!
にも初提出とさせていただきました!
メロキュンになるかちょっと怪しいですが、よろしくお願いします~
長くなりそうなので、タイトルを分かりやすいようにナンバリングしました。
亀の歩みで進みますがよろしくお願いします。
これまでのお話
ACT196妄想-6-(side/K-3)
「遅い」
セツカの準備万端でベッドにもぐり込んでみたものの、私はどうしていいかまだ迷っていた。
(セツなら兄さんの帰りを待たずして先に寝ちゃうなんてしないでしょ!きっと待ってるよね?っていうかコンビニかどっかに朝食買いに行っただけなのにどうしてこんなに遅いわけ!?)
こっちは物音がしなくてもバスルームから出たら兄さんが待ち構えていてもおかしくないって覚悟してたのに~!!
ドアを開けて無人の室内にほっとして、当初の予定通りにベッドに潜ってみたものの・・・今までセツカが寝ててカインが起きているシチュエーションが発生したことないから自然な感じかどうかも見当が付かない。
部屋の照明も落として真っ暗にしてみたが、何時兄さんが帰ってくるのかドキドキして死刑台に向かっているような心境で居心地が悪い。
(眠そうにして起きていた方がセツカらしいかな・・・?)
ちっとも眠くなんてならない。そもそもこの部屋で、男の人と・・・しかも敦賀さんと一緒に夜を過ごして熟睡できたためしなんてない。
それでもできる時に体を休めてないと、この前みたいに一番サポートしなきゃいけない状況で寝過ごすなんてお守り失格な事態を引き起こしてしまう。
物音がしたら起きて出迎えられるように、ベッドサイドの照明だけスイッチを入れる。
部屋の隅まで見えるほど明るくはないが、周囲が少し見えて薄暗いほうがかえって落ち着くような気もした。
ベッド入って寝入る姿勢を作って、その間に開かなかったドアにほっとしていたのは事実だ。
寝たふりしてから、ほどなく敦賀さんが返ってきたとしたら当初の予定通り狸寝入りで通しただろう。
でも予想以上に遅れた帰宅に、疑問と心配が募ってくる。
(もうっ、どこで油売ってるんだか。・・・まさか、絡まれて乱闘してたり警察のお世話になったりしてないよね!?)
あんな危険度MAXな雰囲気まき散らしていれば、前みたいに私みたいなオマケがなきゃ絡んでくる猛者なんていないか・・・。
なんだか落ち着かなくて、ため息をついてベッドを抜け出す。
ミニキッチンのポットの電源を入れて、マグカップにたっぷり目に紅茶を注ぎ、ソーサーにミルクと砂糖も乗っけてベッドサイドのテーブルに置いた。
自分のベッドに腰掛け、落ち着くために砂糖とミルクも入れようとしたけど昼に食べた菓子パンを思い出してやめた。
温かいカップを両手で包んで紅茶を口に含む。手のひらと喉から内側に広がる温かさにほっとするが、帰ってこない敦賀さんが気にかかり主の居ないベッドに目をやった。
押し倒すはひっくり返すわを繰り返したベッドはすっかりシーツが乱れている。
乱れたシーツに先ほどまでのやり取りが蘇る。
お返しとばかりに、キスマークを残したいと兄さんは言った。
(・・・私、なんで拒んだんだろう。)
拒否して正解だとは思っているけど。
兄さんは拒否されるなんて思いもしなかったんだろうな。
『いいか?』って聞いたくせに返事を待たず形のいいの唇がすぐそこまで迫っていた。
拒否されない自信は・・・カインとセツカだからだろう。
と、いう事はあの行動はカインとしての行動。ならセツカが拒否する理由はない。
セツカ自身は想いさえあれば他人に見せつける証は必要としないけど、兄さんがそれを望むなら別だ。
『いいわよ、好きなだけつけて?』って微笑むのが正解よね?
『刻んでもいいか・・・?誓った証を、ここに』
言われた瞬間何のことだか分からなかったけど、左胸を示して触れた指先が熱かったのは覚えている。
あまりのことに思考がスローモーションのように遅くなっていたと思う。
『しるし・・・』
驚いて呆けたように、私はカインの口からこぼれた単語を繰り返していた。
近づいてきた唇に、そのときは嫌だと思わなかった。
そうよね、セツカとして間違っていない反応。
急に入れ替わった体勢と敦賀さんの雰囲気と近すぎる距離と綺麗な鎖骨や肌蹴た胸元とか・・・
とにかく、一瞬パニックでセツの顔を保つのに必死だったのは事実だけど、カインのキスを受け入れるセツカとしてはギリギリ及第点・・・すくなくとも赤点はギリギリ免れたと思う。
でもあの一言で覆ってしまった。
『実践して教えてやることもできる』
(じゃあ今迄誰かにシテきたてきたの?)
思わず手が動いていた。
(誰かにしたのと同じコト、私にするの?)
(・・・イヤだ、そんなの)
「あ・・・」
自分の声が漏れて、その音にはっと息をのんだ。
(もう一つ余計なことに気が付いちゃった・・・)
「・・・・独占欲って厄介な感情ね、オソロシイ」
もうっ、抱かれたい男No1で、あんな妖しい夜の帝王の顔を持っている敦賀さんが女性経験豊富なことなんてわかっていたじゃない!
優しいとこがあるのは本当だけど、隠れ遊び人って自分で判定だってしたじゃない!
当然女性とあんなことやこんなことだってしたことあるに決まってる!
プライベートな、カインじゃない敦賀さんの過去のことを見せつけられてるようで不満だった。
経験が無いから子ども扱いしてくることも面白くなかった。
敦賀さんも経験が無い自分と同じ条件ならいいのにって・・・思ってた。
だから、表面上はセツカの言葉で「ムカつく・・・」って言った。
セツカじゃなくて私だったんだ、キスを拒否したのも。
(・・・キスをしたのも『私』・・・キスを拒んだのも『私』)
カップをぎゅうっと握りしめると紅茶の水面が揺れる。小さな水面に映った自分の顔が揺らいでいる。どんな顔をしているの知りたくなくて、入れないと思っていたミルクを流し込んで見えなくする。
どうしよう・・・あんなに、何にでもなれるって自信を持っていたのに。自分を作っていけるって思っていたのに。
(だってさっき気が付いてしまったから・・・)
キスしたのも拒んだのも自分と知ったら、バスルームで最後に気が付いた事実にもっと動揺した。
首を傾むけ、ルーズなニットの襟から覗く左肩を見る。
自分でつけた小さな赤い花に眉を顰め、襟を引き上げて覗いていたそれを隠した。
敦賀さんにキスマークを付けたときのように、想いを乗せて口づけた自分の肌はざわざわピリピリと粟立った。吸い上げたときの小さな痛みに胸の奥がチクリと痛んだ。カインが・・・敦賀さんが同じように感じたかもと、考えたくなかった。
自分の気持ちすらこんな風に伝染していく。
キスで本当に気持ちが伝わらないか不安だったから自分で確かめたかった。
そして、確かめて後悔した。
(胸が苦くて甘かったもの)
もしこれをカインとしてでも敦賀さんにされてしまったら・・・
あのひとの独占欲の印を刻まれてしまったら・・・
敦賀さんに独占欲の印をつけた私はもう危ういほど囚われかかっているのに。
ミルクが混ざった紅茶がぼんやり揺れている。
頬に温かい雫が伝った。
セツカでいられなかった私は逃げ出すことのできない鎖の檻に囚われそうで。
演じることで作ってきた自分は虚像だったのじゃないかって。
だから、キスを許してはいけない。
さっきまではダメといって首を振れば蓋をできたのに、もう蓋はできなかった。
独占欲の正体が歪んで迫ってくる。
役の気持ちを上回って湧いてきた不快感は独占欲からくる醜い感情・・・嫉妬だ。
自分の肌から唇を離した時に鏡で見た笑み。
アレは雪花だった。あの微笑はこう言っていたのだ。自分が作り上げた役の最後の抵抗。
≪どう?思い知らせてあげる≫
自分を装う私に、雪花が嘲笑った瞬間だったのだ。
セツカとしてカインを連れ出したはずなのに、演じてたセツカはセツカを装った私自身だったのだ。
ピッ・・・カチリ
最悪のタイミングで、キーを差し込む機械音が聞こえた。
続き→
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・・・キョーコさん、自覚したかしら?
書きたいことがうまく表現できない・・・・消化不良感満載!!大失敗の予感。