朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~ -77ページ目

朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

いつまで続くのか!

コロナ禍状況が長く感じられる。

長野県の地方病院での新型コロナウイルスと闘う医師達の物語。

 

諸外国や都会だけというような対岸の火事ではなかった。

長野でも日本のどこでも同じだった。

他人ごとではなかったことを早く気づけばよかった。

コロナ診療対応側とそうでない側とでは、深刻さの度合いの認識がかなりずれていた。

積極的にそれらから逃げていた医療関係者がいたことが悲しい。

 

この頃は全てが手探りで、まさに見えない敵と闘っている状態だった。

想像を絶する過酷な医療の現場、働く医師たちの葛藤や本音、医師の家族たちの不安もあってどれもこれも生々しい。

臨場感あふれる医療現場から、初期時期から切実で危険であったことが切羽詰まった事態から深刻に伝わってきた。

 

新型コロナウイルス罹患患者に対して、ワクチンがなくほとんど武器と言える治療薬もない、物資の不足のために使い捨てされないマスクなどの再利用していた状況下、必要に応じ担当医師の識見と体力をもって、やむを得ず処置せざるを得なかったことを知った。

医療関係者の尽力に敬意を表したいと思う。

 

295P

「医師のつとめではありません。人間のつとめだと思うのです」

老医師の細い目が、かすかに見開かれた。

千歳も、日進ですらも、黙って耳を傾けていた。

「病気で苦しむ人々がいたとき、われわれが手をさしのべるのは、医師だからではありません。人間だからです。もちろん医師であればできることは多いでしょう。けれども治療法のない感染症が相手となれば、医学は役に立ちません。だからこそリウーは言ったのです。『これは誠実さの問題なのだ』と」

 

302P

ぬっと太い人差し指をたてて日進が告げた。

「ユーモアというのは、一種の鎮痛薬でしてねえ。病気を治してくれるわけじゃありませんが、パニックを回避して、物事と冷静に向き合う時間を与えてくれるんです。私は誠実さとはあまり縁がありません。こちらの方を担当させてもらいますよ」

「なるほど、心強い限りです」と笑った千歳は、施栓を三笠の方に転じた。

 

264P

むしろもっと急いだほうがよいのではないか。

敷島の胸にはそんな思いが去来する。

感染爆発も起こっていない今の段階で、すでにコロナ診療現場は限界に近付きつつある。

人は足りず、物資も不足している。

医師は総力戦になりつつある。

 

 <目次>

プロローグ

第一章 レッドゾーン

第二章 パンデミック

第三章 ロックダウン

エピローグ

 

1978年大阪府生まれ。信州大学医学部卒。医学博士。認定内科医。消化器病専門医。消化器内視鏡専門医。肝臓専門医。長野県にて、地域医療に従事。2009年「神様のカルテ」で第十回小学館文庫小説賞を受賞しデビュー。同作で10年本屋大賞第二位。

東京での暮らしに見切りをつけて、亡き父の故郷であるハヤブサ地区に移り住んだミステリ作家の三馬太郎が主人公。

そのミステリー作家ならではの視点で物語が展開され推理していく。

連続放火の背景にある実態が徐々に明らかになっていく状態から、ある意味ワクワクドキドキする。事態は複雑で奥行き感をもって進行していく。

誰が味方で誰が敵なのか!

期待と想像を膨らませられて面白い。

 

消防団での活躍、田舎住民との長閑な触れ合いという軽めのものだけでなく、ハヤブサ地区の連続放火事件に隠された大きな闇といったた暗い部分まで、ドラマにおけるいろいろなおいしい箇所がギュッと詰まった、池井戸さんらしからぬ、あんまりスカッとしない、スッキリ感がないお話だった。

 

連続放火事件に隠された真実。

地元の人の誘いで居酒屋を訪れたミステリ作家の三馬太郎は、消防団に勧誘される。

迷った末に入団を決意した太郎だったが、やがてのどかな集落でひそかに進行していた事件の存在を知る。

 

 <目次>

第一章 桜屋敷の住人

第二章 だんじり祭り

第三章 消防操法大会始末

第四章 山の怪

第五章 気がかりな噂

第六章 夏の友だち

第七章 推理とアリバイ

第八章 仏壇店の客

第九章 没落する系譜

第十章 オルビスの紋章

第十一章 或る女の運命について

第十二章 偽の枢機卿

最終章 聖地へ続く道

 

1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒。98年『果つる底なき』で第44回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。2010年『鉄の骨』で第31回吉川英治文学新人賞を、11年『下町ロケット』で第145回直木賞を受賞

「どうしたら、心安らかに、うまいこと老いる生き方ができるのか」

という観点で、92歳の中村さんと54歳の奥田さん、精神科医二人の対談から参考となる箇所を探し出しながら読んでいました。

 

・人間関係の疲れはなかなか取れないので、人は選んで付き合う。

・一人二人に嫌われても気にしない。

・自分は自分。このままでいい。他人と比べない。人の目を気にしない。

・先のことは考えずに、目の前に集中して生きる。

・深呼吸してマインドフルネス瞑想をする。

・オンとオフのバランスを保ちメリハリがある生活をする。

・自己嫌悪感に襲われたら、兎に角、寝よ!

・自分が決めたこと自分がしたいことをする。

・やりたいことを後回しせず、すぐに実行する。

・独りで家で楽しむ、外で楽しむ、グループで楽しめる趣味を持つ。

 

誰にとっても役に立つ名言だと思います。

 

はじめに 中村恒子より

第1章 老いを受け入れるほど人は幸せになれる(いつまでも若くいられる時代だからこそ、老いるメリットを数えてみる。衰えるのは、人間として自然な営み。老いに抵抗し過ぎると、不幸になるだけ。 ほか)

第2章 人間関係はどんどん手放していく(人間関係は人を動かそうとするから辛くなる。諦めからスタートすれば万事解決。仕事というものは、自分が期待しなければ、向こうからも期待してくることはない。 ほか)

第3章 「これまで」や「これから」で頭を満たさない(漠然とした不安の原因のひとつは、不必要に自分と他人とを比べていること。人は夜になるにつれ、不安になる生き物。あえて忙しくすることで、頭から追い出せる。 ほか)

第4章 「死」との向き合い方はちゃんとある(「5年後、死ぬとしたら何をしておきたい?」問いかけておくことで、今が充実していく。やりたいことを後回しにしなかった患者は、人生の終わりも穏やかな笑顔をたたえていた。 ほか)

第5章 終着駅に笑顔で降り立つために(高齢者はいずれ向き合うときがくる延命治療。その実態をしっかり知っておく。ろうそくの炎が消えるような最期を迎えるには、「リビングウィル」を早めに用意しておく。 ほか)

おわりに 

 

中村恒子

1929年生まれ。精神科医。1945年6月、終戦の2か月前に医師になるために広島県尾道市から一人で大阪へ、混乱の時代に精神科医となる。二人の子どもの子育てと並行して勤務医として働き、2019年(90歳)までフルタイムの外来・病棟診療を継続。現在はリタイアして心穏やかな余生を送っている

奥田弘美

1967年生まれ。精神科医・産業医(労働衛生コンサルタント)。日本マインドフルネス普及協会代表理事。内科医を経て、2000年に中村恒子先生と出会ったことをきっかけに精神科医に転科。現在は精神科診療のほか都内20か所の企業の産業医としてビジネスパーソンの心身のケアに従事。著書多数

 

【No1219】うまいこと老いる生き方 不安と折り合いをつけて 奥田弘美 中村恒子 すばる舎(2021/08)

作家・脚本家の内館牧子さんが、我々に提言してくれました。こういう方向性に同調します。

345P「老人が、老人のために老後を尽くすという姿勢こそ、高齢社会の新しい生き方です。」

 

少子高齢多死社会が進む中、

『終わった人』『すぐ死ぬんだから』『今度生まれたら』に続く高齢者小説第4弾です。

 

出演者たちの発言から、こころに刺さる言葉を3カ所取りあげてみました。

86P

(梨子)「ジイちゃんもパパもママも、今の世の中わかってるでしょ。子どもは自由に自分の人生を生きるっていう時代なの。生まれた時から家業を継ぐって決められるとか、結婚相手を決められるとか、そういう時代じゃないの」

92P

俊が克二に言い切った。

「オレ、普通でも普通でなくても、生きていくにはカネが大切だと思っています」

「その通りだ。カネで幸せは買えないって、誇らしげに言ううヤツはいるけどな」

「はい。カネだけで幸せにはなれませんが、カネがないと幸せになれない。俺はそう思っています」

俊は大きく息を吸い、松木の方を見た。

「ならオレは、好きなことを仕事にして、それでカネを得たい。カネが得られるよう頑張ります。やりたくない仕事をしてカネを手にしても、絶対に幸せじゃないですから」

245P

「必ず年は取るものなの。心身は衰えるものなの。だから、そうなった時の準備をしとくのよ。金銭的にも楽しみのある生き方にも」

「サキさんは準備をしてるんだ」

「十分にしてる。私は本さえあれば死ぬまで楽しめますから。それに、色んなことを本が教えてくれるのよ。色んなことを考えさせるし、図書館で借りればお金もかからないでしょ」

 

若い人の立場から見ると害でも、老人から見ると益となっている、生きてる証しとなっていることが新鮮な気付きです。

立場が違うとものの見方や考え方、捉え方が違うという点が勉強となります。

老人も若者も歩み寄れるところは歩み寄って折れる所は折れたらよいのでは。

老人は、自分を客観視できるよう、相手の立場になって同じことを何回も聞いていたらどう感じるか想定してみればよい。説教や自慢などをしてもよいが、あまりくりかえし過ぎないことが必要だと思います。

若者は、またこれかと思うけれども、暖簾に腕押し状態でうまいこと聞き逃すような器量を持つことを望まれます。人生の先輩から学ぶことも多いから聞いたうえでいろいろな観点から教えを乞うてみれば。

 

若者と老人の両者の立場の違いを知ったうえで、これから歩んでいく道の途中で「老害」が過ぎないようにこの教訓を活かして生きていこうと思います。

350P

「だけどな、年取ると昔話とか愚痴とか嘆き節とか、それを言ってる時だけが楽しくてな。生きてる実感があってさ。いつでも仕事にしがみつく老人たちも、その仕事だけが自分を生かしてくれてるんだよ」

何とか取り繕うとする純市を、明代が「黙れ」とばかりに今度はつねった。

「老害ってのは若い人には迷惑で、老人には生きてる証なんだ。この二つを何とか共存させられないものかと、オレはずっと考えてたよ」

(中略)

「老害は若いヤツらには毒だ。だけど老人には薬なんだよ。老害は毒にも薬にもなってんだ。珍しいよ、こんなの」

 

 

双六やカルタの製作販売会社・雀躍堂の前社長・戸山福太郎は、娘婿に社長を譲ってからも現役に固執して出勤し、誰彼かまわず捕まえては同じ手柄話をくり返す。

彼の仲間も老害の人ばかり。素人俳句に下手な絵をそえた句集を配る吉田夫妻に、「死にたい死にたい」と言い続ける春子など、老害五重奏(クインテット)は絶好調。

「もうやめてよッ」福太郎の娘・明代はある日、たまりかねて腹の中をぶちまけた。

 

 <目次>

第一章から第九章

 

1948年秋田市生まれの東京育ち。武蔵野美術大学卒業後、13年半のOL生活を経て、1988年脚本家としてデビュー。テレビドラマの脚本に「ひらり」(1993年第1回橋田壽賀子賞)、「てやんでえッ!!」(1995年文化庁芸術作品賞)、「毛利元就」(1997年NHK大河ドラマ)、「私の青空」(2001年放送文化基金賞)、「塀の中の中学校」(2011年第51回モンテカルロテレビ祭テレビフィルム部門最優秀作品賞およびモナコ赤十字賞)、「小さな神たちの祭り」(2021第25回アジアテレビジョンアワード単発ドラマ/ムービー部門最優秀作品賞)など多数。武蔵野大学客員教授、ノースアジア大学客員教授、東北大学相撲部総監督

富山県富山市八尾を舞台におわら風の盆。

男踊り手に交差する、なまめかしい指と艶やかな浴衣で着飾った女踊り手に魅力された。

 

髙橋治さんの「風の盆恋歌」が人知れずの大人の恋ならば、

「燈火 風の盆」、

これは、時空を超え多くの人の思いが繋がった愛ともいうべきなもの哀しい物語だった。

 

現世では、会うべき人には必ず出会うものだというが、

すれ違うふたり。叶わぬ想い。

小説の世界の中では、たとえ出会っても何かしらの障害があって長続きしないものだという。

フィクションでなくて、ノンフィクションでは、悲しすぎるからそうでなくなってほしいと思った。

 

この物語の意味がここに凝縮されていたと思う。

194P

「人の一生って、幸せより不幸のほうが多いかもしれない。でも、だからこそ人は希望を失わずに、幸せになろうと必死に努力するんじゃないかしら」

 

 <目次>

第一章 平成30年9月3日から令和元年9月1日

第二章 令和2年1月から6月

第三章 昭和13年9月3日から昭和23年9月3日

第四章 令和2年7月から9月3日/昭和17年9月

 

大分県生まれ。成蹊大学文学部卒業。『台南の空ゆかば~ボクとうさぎのマンゴーデイズ』などオリジナル小説を発表する一方、映画やTVドラマなどのノベライズ作品も多数手がけている。

競争の番人」の第二弾。

これからシリーズ化されて続いていく様だった。

 

公正取引委員会の仕事描写の緻密さやプロットの面白さには感心しました。

主人公の白熊楓のキャラは相変わらず魅力的です。

公私とどもさまざまな行動が微笑ましかった。

 

公正取引委員会の審査官、白熊楓は、九州事務所への転勤を命じられる。

ところが配属先は、前任者が次々と離職しているいわくつきの部署だった。

上司の古賀課長のパワハラや人員不足、慣れない土地での生活に苦しみながらも、白熊は、内偵業務のエース、内偵の王子こと常盤とともに、呉服業界の内偵に乗り出す。

この内偵を進めるなかで、巨大なカルテルの可能性が浮上してくる。

小勝負など本局第六審査長(通称ダイロク)のメンバーたちも博多にやってきて調査を開始する。

呉服業界を覆うぶ厚い雲を、白熊たちは取り払うことはできるか?

 

 <目次>

第一章 地方事務所

第二章 古巣

第三章 京都

第四章 下働き

第五章 花火

第六章 東京

 

1991年アメリカ合衆国テキサス州ダラス生まれ。宮崎県宮崎市育ち。東京大学法学部卒業。同法科大学院修了後、弁護士として勤務。第19回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、2021年に作家デビュー

北アルプスの奥地、黒部川と薬師沢の出合に建つ薬師沢小屋。

この山小屋で働いた山と旅のイラストレーターのやまとけいこさんが、小屋開けから小屋閉めまで、リアルな山小屋ライフを楽しい文章と、こころがなごむ可愛いイラストで綴っています。

 

以前の山ガールブームのときに、作家の湊かなえさんの「山女日記」を読みました。

山があるので、山に登る。山が呼んでいる。

山小屋には、予約がなくても泊めてくれる。

頂に登った時の征服・達成感は、何事にも代えられないものだ。

登山者側として山小屋を利用する立場になって彼女の本を読んでいました。

 

124P「山で生活し山で生きる人間は、金銭などにはこだわらず、自分のできる限りのことはしてやるものだ。自分が山でどんな災難に遭おうとも限らないから、人には尽くしておくものだ」

 

電気と電波、携帯電話事情、山小屋の熊などの動物被害、物の輸送、増水と鉄砲水、布団干しと布団1枚に2人の布団事情、シルバーウイーク等山のハイシーズンとカレールーが薄くなっていく厨房事情、バイオトイレと五右衛門風呂、遭難事故、薬師沢小屋閉め等々……。

今回、運営する側の立場になって、また客観視して疑似的な体験させていただきました。

読みながら山小屋での出来事や情景を頭に浮かび上がらせ想像しながら読んでいく作業は楽しかったです。

 

ピッタリこのとおりだという感覚にはなれないけれど、ハイシーズンのお客様対応など物凄い苦労をしても楽しいことしか思い浮かばなくなり、毎年の山小屋生活が止めれなくなる気持ちが伝わってきました。

 

山小屋は逃げ場のない閉鎖的な社会なので、下界以上のコミュニケーション力が必要となってきます。

山小屋での仲間たちと楽しく暮らすためには。地上における人間関係とはまた違った苦労とか、感謝の気持ち、挨拶などお互いに十分な配慮が必要なことを知りました。

 

58P 従業員十人十色

結局のところ、家族だろうが他人だろが、一緒に暮らすのであれば、仲がよいに越したことはない。仕事の効率だって上がるし、精神衛生的にもよろしい。それにはやはりささやかな日々の積み重ねが大切だ。

自分のことよりも相手のことをまず考える気持ち。それを当たり前だと慣れてしまわない、ありがとう、という感謝の気持ち。人の悪口は言わないこと。朝の「おはよう」の挨拶。みんなでおいしいね、と一緒にご飯を食べる幸せ。

たったひと夏の疑似家族ではあるが、私にとっては大切な仲間との一期一会の日々である。次々と起こる事態を乗り越え、ともに笑って過ごすのだ。いろいろと苦労もあるが、楽しくないわけがない。自身、こうして毎年通ってしまうところを見ると、やっぱりこの薬師沢小屋が好きで、仲間との暮らしが好きみたいなのだ。

 

山小屋の暮らしは旅のようだと。

毎日が非日常であり豊かな時間が過ぎていくようだ。

毎日が同じように過ぎていくが、毎日は、じつは違う日々である。

山小屋の仕事と釣りや昼寝の緩急をつけて、天上では至福の時が流れていくのだった。

 

188P おわりに

山小屋の暮らしはまるで旅のようだ。毎日何が起こるかわからない。シーズンになればお客さんが入れ代わり立ち代わりやって来て、旅に出ずとも旅がやってくる。そんな感じだ。薬師沢小屋はまるで黒部源流に浮かぶ一隻の船のようだ。舵窓の向こうでは、季節に合わせて風景がゆったりと流れていく。ときに嵐で屋根が吹き飛ばされたり、遭難事故が発生したりと、ハプニングは尽きないが、天気の良い日には、空をぼんやりと眺め、釣り竿を振ったり、昼寝をしたりして、至福の時を過ごす。実際はなんだがもっと忙しくて、大変だったような気もするが、そういったことは忘れるように人間できているらしい。楽しかった思い出だけが鈍化されていく。記憶とは曖昧かつ都合の良いものだ。

もしも誰かがこの本を読んで、黒部源流に行ってみたいとか、薬師沢小屋に泊まってみたい、なんて気持ちになってくれたらいいなと思う。そのなかでも山小屋で働いてみることに興味を覚えてくれる人がいたなら、なおうれしい。

 

 <目次>

黒部源流概念図

薬師沢小屋見取り図

はじめに

第1章 黒部源流のこと(黒部源流と薬師沢小屋、山小屋創成期)

第2章 薬師沢小屋開け(入山、水事情 ほか)

第3章 ハイシーズン到来(ハイシーズンと厨房事情、物輸ヘリ二回目 ほか)

第4章 秋の源流と小屋閉め(イワナの遡上、上ノ廊下と赤木沢 ほか)

おわりに 

 

大和景子。山と旅のイラストレーター。1974年、愛知県大府市生まれ。武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業。大学時代はワンダーフォーゲル部に所属。卒業後は鈴蘭山の会に所属し、イラストレーターと美術造形の仕事をしながら、29歳で山小屋アルバイトを始め、薬師沢小屋暮らしが始まる。39歳で東京YCCに所属し、クライミングを始め、現在に至る

高齢者専門の精神科医和田秀樹さんが説く70代・80代を安心し快活に生きるヒント集です。

魅力的な理想の老人を「品のある老人」「賢い老人」「おもしろい老人」という3つのモデルに分けて紹介してそのような老人になる秘訣をいろいろと教えてくれます。

 

長年老年精神医学に携わって、6千人以上の高齢者を診てきた和田秀樹さんならではの言葉にはずっしりと重みがあります。

このとおりできればよいという理想論的なお話です。

やるかやらないかは、それぞれその人の考え方次第です。

和田さんが云われることは、全て正しいとか自分に即合っているとは思いませんがけっして間違ってはいないです。

高年齢期をこれらのように生きることができれば、人生はよかったと思い、最後には幸せだったと思って死ぬことができるものだと思います。

 

19P 何を得たいかより、どう生きたいか

結果として望ましいものを得ることとなる

 

86P 常識でないことこそ高齢者のおもしろさ

自分の頭で考え、人が言っていないことを探す必要があります。

 

101P 知識に経験を交えながら議論する

議論する、知識を加工し、自分の経験に溶かし込んで自分の考えとしてアウトプットすることを意識して行うことが賢い老人になる有効な方法です。

 

122P 高齢だから味わえる自由な仕事選び

自分にとってやりがいにあること、世の中のためになること、人の役に立つことのために働けるのが高齢期です。

 

148P 世の中に正解はないと言えるのが高齢者の強み

世のなかに唯一つの正解といえるものはそうそうなく、いろいろなパターンがありうることを体感的に知っている。

なにか知識を得て、それが答えだと納得し、それ以上考えなくなってしまったら、そこでもう終わり。

 

152P 変節は立派だが付和雷同はみっともない

信念、考え方、やり方がうまく行かなかったら、変えてみるのは、悪いことではありません。むしろ考え方を頑なに飼えない高齢者は、頑固老人以外の何ものでもありません。

 

180P 「○○になりたい」から「こうありたい」へ

こうありたいという自分を持たないと、生きていくのがしんどくなる。

 

 <目次>

プロローグ こんな老人に私はなりたい

第1章 老いることにジタバタしない人には品格がある

第2章 加齢を怖がる必要はない

第3章 常識に縛られない、おもしろい老人になろう

第4章 お金や肩書への執着を捨てる

第5章 「だてに歳はとっていない」と誇れる老人になろう

第6章 すてきな高齢者になるために必要なこと

あとがき

 

1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、35年近くにわたり高齢者医療の現場に携わっている。

作家、医師、弁護士、国会議員、パイロット、僧侶、国税専門官、労働基準監督官、火葬場職員。特殊清掃員……等々。

思いつくいまのところこういった立場になることはないだろう。

それぞれの立場になって見えてくる世界はどう広がっているのかとても興味がある。

ぼくは、彼らが記す書を読んで、ぼくならばどうしているのか、どう感じるのかどう思うのか等いわゆる疑似体験をしていきたいのだ。

 

家族、友人、自分自身も必ず行く場所。人間が人間の形でいられる、最後の場所。そんな火葬場で体験したホンマの話です。

 

その道の関係者しか知り得ない秘密の暴露のような内容があった。

 

・黒く焼け残ったところは、体の悪い部分ではなく、副葬品が黒くなる

・服装品や金属類の色が、焼いた骨に付いて花のように見える

・総入れ歯だったのに歯が残っているのは、親知らずがあったため

・喉仏は、軟骨なので火葬すると残らない。実は、首の骨の上から二つ目の第二頸椎である。

・一番きついのは、脳からの匂い。腐敗するので真冬でもドライアイスが必要。

・心臓ペースメーカーが破裂すると、弾丸のように飛んでくるので、確認中破片が富んできて最悪失明する可能性がある

・骨壺は、一人と数える、「持つ」ではなく「抱く」、棺も「持つ」ではなく「抱く」と表現する、ご遺体は「運ぶ」ではなく「連れていく」

・生きたまま火葬するのは、真っ赤な嘘、まったくの都市伝説。死亡診断書、死後硬直、匂い、ドライアイス、火葬には死後24時間経過必要のため。

・過去はもらっていたらしいが、現在ではチップを受け取ると始末書もの。心づけは渡す必要はないしけっして受け取らない。

 

 <目次>

まえがき

第1章 火葬場の噂(遺体が動く火葬中に起きている光景、血が噴水のように噴き出す ほか)

第2章 実録火葬場事件簿(生焼け遺体事件、お骨あげなのに違骨が消えた ほか)

第3章 火葬・葬儀の裏側(大惨事になるNG副葬品、見落としがちな喪服の注意点 ほか)

第4章 火葬技士の証言(火葬中の遺体を職員は見ている!、人間が焼けたらどんな匂いか ほか)

特別収録 ロングインタビュー 下駄華緒エピソード0

あとがき 火葬場の話をする意味

 

元火葬場・葬儀屋職員。火葬技術管理士一級。プロミュージシャンでありながら怪談最恐戦2019年で優勝し“怪談最恐位”の称号を獲得。現在は怪談や火葬場の体験談を語るトークイベントを開催するほか自身のYouTubeチャンネル「火葬場奇談」、田中俊行と共同の「不思議大百科」を配信中

 

【No1213】火葬場奇談 1万人の遺体を見送った男が語る焼き場の裏側 下駄華緒 竹書房(2022/09)

年金にはじめて触れる人にもわかりやすいよう法律用語をやさしい言葉で表現しています。

図表やイラストを用いて年金のしくみをわかりやすく解説している本です。

 

年金は、老年期を生きていく上で収入のベースに必ず上げるものであり、その概要を知っておくべきです。

自分から年金事務所に問い合わせないと教えてもらえないし、自分から相手に請求しないと年金はもらえません。

年金は、難しくてわかりにくいという声をよく聞きます。

年金制度は毎年のように改正が多いことや男女、年齢によって厚生年金の支給開始年齢が異なること、国民年金と厚生年金、老齢、遺族、障害年金、中高齢寡婦加算、加給年金、振替加算、付加年金など種類が複雑多岐にわたっていることがあるからかなと思います。

 

この本からちょっと年金に関する内容を取りあげてみました。

正確さに欠けていますので、興味がある場合は、各自で詳細をお調べください。

 

・年金の繰り上げは、76歳8か月より寿命が短い場合にはお得となる。(昭和37年4月1日生まれ。減額率0.5%で計算した場合)

・年金の繰り下げは。75歳まで可能となっており84%もらえる金額が増える。

・国民年金手帳発行が廃止されて、基礎年金番号通知書が発行されている。

・年金は支給開始年齢となった場合に、自分で年金事務所に請求しないともらえない。

・国民年金保険料は、前納制度があって最大約15,000円節約できる。

・老齢年金をもらう権利は、以前は25年加入だったが現在は10年以上となっている。

40年加入が満額。免除期間や合算対象期間(カラ期間)あり。

・国民年金には、離婚による年金分割制度はない、厚生年金には、年金の合意分割と3号被保険者の分割がある……。

 

年金関係で不明な点や分からない場合は、専門家である知り合いの社会保険労務士さんに聞かれてみてはと思います。

また各事業所に年金事務担当者がおられる場合はその担当者に尋ねてみてください。

さらに、自分で年金事務所にお電話などで問い合わせてみてはどうでしょうか。

ぼくは、たまに問い合わせをしています。

込み入った場合は、直接訪問してご指示いただいています。

年金事務所の職員の方々は、みなさん優しくて懇切丁寧に教えてくれますよ。

 

 <目次>

第1章 今年の重要ポイント

第2章 国民年金の基礎と保険料

第3章 厚生年金の基礎と保険料

第4章 老齢年金のしくみ

第5章 遺族年金のしくみ

第6章 離婚時の年金分割

第7章 障害年金のしくみ

本文中資料

巻末資料

ねんきんコラム

 

下山 智恵子

特定社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー。株式会社インプルーブ労務コンサルティング代表取締役。

 

甲斐美帆

特定社会保険労務士、CFPファイナンシャル・プランナー。

 

【No1212】もらえる年金が本当にわかる本 '22〜'23年版 下山智恵子 甲斐美帆 成美堂出版(2022/09)