朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~ -78ページ目

朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

他の同様の本よりも、頭ひとつ抜きん出ている素晴らしさがありました。

数多くの定年本がありますが、現状把握もしっかりと検証されており、提案内容が濃くて啓発されました。

 

第二の人生でいまの仕事が豊かで満足できるものであるのかどうか。

無理のない仕事と豊かな生活を両立しながら、幸せに暮らすことができているのかどうか。

 

定年後は、「他人との競争」よりも、「他者への貢献」や「人の役に立つ」ことにシフトすべき。

 

統計上、仕事量が多くて責任も重い「大きな仕事」よりも、目の前にある「小さな仕事」に意義を感じていく姿が定年後のキャリアの典型となってきている。

 

高齢期の仕事が「小さな仕事」であったとしても、誰かの役に立っているのであれば、その仕事に誰もが敬意を示し社会にも報いることができる。

 

定年後の日本は、小さな仕事を積み重ねていくことで、小さくても豊かな国を作り上げることができる。

 

◎7P

本書の目的は、定年後の仕事(概ね60歳以降の仕事)の実態を明らかにすることにある。

 

第一部は、家計の収入や支出、仕事内容などに関する様々なデータから定年後の仕事の実態を15の事実としてまとめた上で明らかにしている。定年後の仕事の全体像をつかむことができる。

第二部は、7人の定年後の就業者の事例を通して、歳を取るにつれて仕事に対する姿勢がどのように変化していくのかを迫った。

第三部は、少子高齢化が進展していく中で、社会が定年の仕事に対してどう向き合っていけばよいかいくつか提案をしている。

 

将来このように仕事ができたらベターかと思います。

◎207P 定年後に幸せに働き続けられる「仕事の条件」

・健康的な生活リズムに資する

 仕事を通じて起床や就寝の時間が安定して生活リズムが整う。

・無理のない

 無理をせず過度なストレスがない仕事が好ましい。

・利害関係のない人たちといつ解消してもよいような緩やかにつながり

 幸せに働き続ける要件。仕事を通じて人とのつながりを持てることは、幸せに生活していく上で重要な要素である。

 

この箇所は、定年後の仕事に対して言い得て妙だと思います。

219P 健康なうちは無理せず稼ぐ

仕事から得られる収入の額は、その人がなした仕事による成果に応じて決まるものであって、決してそれがその人自身の価値を決めるものではない。定年後は、高い給与を稼ぐから偉いのだとか、低い給与の仕事はそうでないのだとか、そういう競争意識にとらわれる必要はない。

仕事とは自身の生活を豊かにするために、その結果として誰かの役に立つためにあるものであって、キャリアの良し悪しを他者と比較して競うためにあるものではない。

そうした考え方で自身に合う仕事がないかを探していけば、身近な仕事のなかに、自身にとっても社会にとっても双方に価値のある仕事がきっと見つけられるのだ。

 

【目次】

はじめに

第1部 定年後の仕事「15の事実」

事実1 年収は300万円以下が大半

事実2 生活費は月30万円弱まで低下する

事実3 稼ぐべき額は月60万円から月10万円に

事実4 減少する退職金、増加する早期退職

事実5 純貯蓄の中央値は1500万円

事実6 70歳男性就業率は45.7%、働くことは「当たり前」

事実7 高齢化する企業、60代管理職はごく少数

事実8 多数派を占める非正規とフリーランス

事実9 厳しい50代の転職市場、転職しても賃金は減少

事実10 デスクワークから現場仕事へ

事実11 60代から能力の低下を認識する

事実12 仕事の負荷が下がり、ストレスから解放される

事実13 50代で就労観は一変する

事実14 6割が仕事に満足、幸せな定年後の生活

事実15 経済とは「小さな仕事の積み重ね」である

 

第2部 「小さな仕事」に確かな意義を感じるまで

事例1 再就職先で一プレイヤーとして活躍

事例2 週末勤務で会社を支える

事例3 包丁研ぎ職人を目指して独立

事例4 近所の学校で補助教員として働く

事例5 同僚、患者とのやり取りを楽しむ

事例6 幕僚幹部から看護師寮の管理人に

事例7 仕事に趣味に、人生を謳歌する

 

第3部 「小さな仕事」の積み上げ経済

1.定年後も働き続ける人に必要なこと

2.高齢社員の人事管理をどう設計するか

3.労働供給制約時代における経済社会のあり方

おわりに

 

1985年生まれ。リクルートワークス研究所研究員・アナリスト。一橋大学国際・公共政策大学院公共経済専攻修了。厚生労働省にて社会保障制度の企画立案業務などに従事した後、内閣府で官庁エコノミストとして「経済財政白書」の執筆などを担当。その後三菱総合研究所エコノミストを経て、現職

 

【No1211】ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日本社会を救う 坂本貴志 講談社(2022/08)

富山は鉄軌道王国。富山行きにこころ浮かれる鉄道オタクの夫、範太郎。

彼にあきれる妻のみゆきとの対比が、この物語を面白いものとするような予感を抱かせたのだ。

 

みゆきと範太郎の中三の息子、昴が突然の家出をした。

行き先は、小学校時代に引っ越した昴の友だちが住んでいる富山県氷見市だった。

昴は木曜日に学校をさぼって行って日曜日までいるという。

みゆきと範太郎二人が、仕事を休んで富山に迎えに行くことになった。

彼らは、倦怠期の真っ最中だったが、いろいろな出会いや出来事を経て、家族や夫婦の絆を確かめあうような素敵な旅となった。

291P

富山の旅は厄落としというより、なにかのターニングポイントだったのではないかと思う。

富山では、北アルプスが見えるたびに感動していたけれど、地元の人にとってはごく当たり前の景色なんだろうなと、今頃になって思う。

富山に行く前は、夫とほとんど口を利かなかったが、今は朝会えば、おはよう程度の挨拶はするようになった。

昴が就学してから小学四年生頃までは、バトル期間だ。言い争いで喉が嗄れることも多かった。正論は通じないのだと思い知った。

続いて、昴の中学受験期から富山旅行前まで、互いに目を合わせることなく、呼びかけもなし。必要最低限の会話すら避けていた冷戦期間。

そして、富山旅行後の今を、みゆきは、まるで執行猶予期間のように感じる。富山旅行での微妙な変化が、はたしていいことだったのかそうでなかったのかは、今後にかかっている。

 

岩瀬浜や富岩運河環水公園のスタバ、池田屋安兵衛商店、富山市ガラス美術館、一万三千尺物語、ヒスイ海岸、ひみ番屋街、潮風ギャラリー、光禅寺、珈琲駅ブルートレイン・・・。

 

当たり前の風景は、じつは幸せにつながっていると思う。

潤っている、人柄がよい、品がある、ゆとりや余裕がある等々……。

うちにいると見えていないものが、客観的に見てみると見えてくるものがあるようだ。

 

76P

目の前に富岩運河。緑の芝上では、体育座りをして肩を寄せ合っているカップルや、気持ちよさそうに寝転んでいる人、ベビーカーをのぞきこんでいる夫婦たちが見える。

「富山って、なんだかとても潤っている気がする」

みゆきが言う。

「町はきれいだし、空気も澄んでいるし、人柄もいい」

範太郎はうなずいた。富山港線の案内所の女性は懇切丁寧な説明をしてくれたし、富岩水上ラインの切符売り場の男性は、出発時間が迫って慌てている範太郎に、やさしく声をかけてくれた。

「なんていうのか、みんな気持ちゆとりがある気がする」

余裕があるというか、品がいいというか。

 

 <目次>

一 旅のはじまり

二 旅をしたって溝は埋まらない

三 旅の自由時間

四 鉄軌道の旅

五 氷見の旅

六 昴の旅

七 旅はつづく

 

1970年神奈川県生まれ。2002年『十二歳』で講談社児童文学新人賞を受賞しデビュー。07年『しずかな日々』で野間児童文芸賞、08年坪田譲治文学賞、17年『明日の食卓』で神奈川本大賞、20年『昔はおれと同い年だった田中さんとの友情』で小学館児童出版文化賞を受賞

1項目4ページの読み切りスタイルでどこからでも読める。

Q&A形式でわかりやすく解説する。

イラストや図表で一目で把握できる。

ニュースを読み解く用語解説を収録している本。

 

年金額を自動調整するマクロ経済スライドという給付水準を調整できる仕組みがありますが……。

26 物価高でも年金が減ったのはなぜでしょうか?

A:公的年金を維持するために負担と給付を調整する仕組みがあります。前年の賃金や物価の動向を受けて年金が下がるケースがあります。

 

1965年には高齢者1人を9.1人(胴上げ型)の現役で支えていたが、少子高齢化が進んだ2015年には、2.1人(騎馬戦型)で1人を支えることになり、2050年には1.2人(肩車型)で高齢者を支える厳しい時代がやってくる。

 

国民年金や厚生年金は、現役世代が納めた保険料を原資にして、引退した世代が年金を受け取る、世代間で助け合う方式・賦課方式で成り立っています。

世代間の支え合いです。

保険料を積み立てて引退後に受け取るのではなく、現在二分の一の国費負担を加えていますが、現役世代が支払う保険料が引退世代に回っているのです。

例えば、年金の給付額の計算について国民から見て難しいと感じるのは、(役人たちを含め)年金制度を難しくしているからではないか。

数字と計算を単純にしてできれば誰にでもわかるようにしたらと。

 

ずっと言われている少子化対策についても同様、年金の給付と負担については、直接税や間接税などの税金を上げていくような対策しか考えられないのか。

これまでの小手先!?の改正でなく、少子超高齢社会に対応できるよう抜本的に根本的な年金制度について、ガラガラポン的に考えなおす時期があったけれども、遠い過去に置いてきて過ぎ去った感がして。

 

 <目次>

景気―日本の景気は今どうですか?

物価―世界で物価が上がっていると聞きました。日本はどうですか?

賃金―日本の給料は今後上がっていくでしょうか?

働き方―リモートワークや副業など新しい働き方は進んでいきますか?

人材活用―ダイバーシティは日本企業でも取り入れられていますか?

雇用―日本での失業や倒産はどう変化しましたか?

企業業績―企業業績はコロナやウクライナ紛争でどんな影響を受けていますか?

経営―株式市場再編の影響は?狙い通り効果が出ていますか?

コロナと経済―新型コロナウイルスは経済にどれくらい影響を与えていますか?

流通―インターネットで商品を買う動きはますます広がりますか? ほか

用語索引

 

【No1209】Q&A日本経済のニュースがわかる! 2023年版」日本経済新聞社/編 日経BP日本経済新聞出版(2022/09)

戦国時代は、オセロの白と黒のように、諸般の事情や情勢によって敵味方がすぐに入れ替わるのが面白い。

そのときにどの武将側の誰につくか、主君を裏切るかどうかの決断の差によって、その家が続くのか断絶させられるかの究極の選択時がある。

その選択の経緯や理由を知ることが、後の世から見ていると面白いのだ。

だから歴史は楽しい。

 

謙信は、野心を秘めた侵略者だった。

萩原さんの主張は、上杉謙信に対する過度な英雄視とは決別すべきだという。

北陸を侵略する側とされる側、それぞれの立場や視点の違いによって大きく異なってくるというのだ。

 

4P

筆者としては、謙信という人物に大きな興味を覚えるからこそ、その実像にできる限り迫りたいと思う。ただし、本書では彼の生涯の全貌に迫るのではなく、あえて謙信の北陸侵攻にスポットを当て、信頼しうる同時代史料に拠りながら、最新の研究成果も取り入れつつ、その実態をひもときたい。なぜならば、義の武将という謙信像を、北陸側の視点から捉えなおすことができると考えるからだ。

 

24P 謙信は義を第一に重んじたからではなく、むしろ戦いに臨む家臣たちの士気を高めるべく、わざと「義のための戦い」を掲げたと説く研究者も多い。かくいう筆者も同感である。それだけ信玄を強敵と見なしていたと考えられ、能登の方へ主力を割くわけにはいかなかったのだ。謙信の義を(他国へ攻め入るための)スローガンと捉えなおすことで、この後に繰り返されていく北陸襲来も理解しやすくなると思う。

 

69P

振り返ればこれまで、本心はともかく、表向きは義を掲げて北陸へ兵を進めてきた。しかし、一向一揆勢はもとより、椎名氏や神保氏らかつて盟友たちも今となっては皆、領土とみなす越中を踏みにじる敵だ。要するに、謙信の北陸出兵は、自国を守る建前の侵略戦争へと化していったのである。

 

109P 過度な英雄視と決別 野心を秘めた侵略者

自らを毘沙門天の生まれ変わりと呼び、神仏を篤く敬い、義を第一に重んじ、決して私利私欲で戦わず、領土を広げない上杉謙信。そのようなイメージは、いまなお根強い。だが、食うか食われるか、熾烈な生き残りをかけた戦国サバイバルの世で、聖人君子のような者など存在するのだろうか。

 

111P

謙信と都市の関係を研究した市村清貴氏は、越後から能登までという他の戦国大名には例のないほどの長い海岸線を掌握し、日本海交易の拠点となっている港湾都市を支配することからくる「海の収益」が、謙信の北陸遠征の真の目的ではなかったかと説く。海だけでなく北陸の山野河海が持つ経済メリットの獲得、関東や信濃へ長期出陣を断行するべく後背にあたる北陸の軍事的安定を図る必要、上洛へ向けた交通路の確保など、それら諸々の狙いを満たしたいがゆえに、義をスローガンに何度も侵攻を繰り返したのではなかったか。

 

主要参考文献の量が、おおよそ60冊以上とあり半端ない。

各種文献や史実に基づいての意見や主張がなされていることがよくわかった。

こうだったらいいなという希望や想像ではなく、こういう地道な姿勢がぼくはとても好感が持てた。

萩原さんは真の歴史家だと考えて応援していきたい。

 

 <目次>

はじめに 11度にもわたる出兵 食うための戦争?

第1章 襲来前夜

第2章 盟友救援

第3章 報復攻撃

第4章 侵略戦争

第5章 能州蹂躙

第6章 伝承生起

おわりに 過度な英雄視と決別 野心を秘めた侵略者

謙信軍の兵火を受けた伝承をもつ寺社一覧

主要参考文献

あとがき

 

1982年滋賀県生まれ。2004年山口大学人文学部卒業。2009年京都大学大学院文学研究科博士後期課程中途退学。2013年京都大学博士(文学)。現在、富山市郷土博物館主査学芸員

表紙の上村松園の「わか葉」(名都美術館蔵)が印象的です。

これは、実際生で見たことがあります。

時間を忘れてずっと鑑賞することができるくらいに、日本画を代表する素晴らしい作品だと思います。

 

京都に通い続ける酒井順子さん。

京都に縁のある女性たちの土地を訪ねそのエピソードを語っています。

新しい視点でおいしいところを切り取った京都を楽しむためのガイドなのかと。

歴史に名を刻んだ女人たちの生き方を巡る誘い集です。

京都に都人としての流れのようなものが、いまだにずっと続いているのは面白い発見です。

9P

次第にわかってきたのは、長いあいだ都として存在し続けたことによって積み重なってきた感覚が、現代の京都人の中にも生きている、ということです。都が東京に移ってからは、近代化やらで、都会人のあり方は随分と変化しました。しかし京都の都会人の中には今も、平安依頼続く都会人らしさのしずくが、滴り続けているのです。

 

性の豊かさが芸の豊かさにつながるという箇所が言葉の響きも良く印象に残りました。

64P

この歌の相手は藤原仲平とされていますが。自分を振った元彼からのアプローチに対し、悲しみを滲ませつつもきっぱりと拒絶するこの見事な手法は、やはり様々な男女の機微を知っているが故でしょう。平安時代、それは性の豊かさが芸の豊かさに通じていた時代なのです。

 

平安時代は、相手を「見る」という言葉が肉体関係を持つと同じ意味だったそうです。

男性が女性のところに夜に訪れての婚前交渉や結婚後の不倫などの男女の関係性も緩かったようです。

例えば、長くて重い髪や重ねて重ねる十二単などの装束、御簾越しに見る風景、扇で顔を隠す仕草、牛車の後部から着物の裾を出す行為など、日本人は、千年前から見えないものに対する想像力をかきたてることが必要で大切なことだったのでしょう。

現代はどうでしょうか。

憧れたいもの。

「秘すれば花」なのかなと。

137P

行きたいけれど、行くことができない、会いたいけれど、会うことができない。そんな状況の中で、身体は家の中にいるまま、自分の魂だけがさまよい出てしまいそうなその感じを、私は外出自粛の世において、理解しました。古語辞典を読んで知っていた「憧る」の意味を初めて体感した、と言いましょうか。

(中略)

そこへいくと現代の女性は、叩かれる前から開いている状態なのでした。顔や髪を隠さないのはもちろんのこと、夏が来ようものなら、腕でも脚でも,見せられる部位は全て見せる。

私も若い頃はそのような格好をしていたのですが、しかし今になってみるとわかります。日本の男性は、もっと「憧れたい」のではないか、と。なかなか見ることができない部分を残しておかないと、女性に対して「憧れる」ことができないという、千年前から続く性癖を、彼らは今も持ち続けている気がしてなりません。

むき出しの肢体は、目にした時は「おお!」と思わせますが、その先がありません。既に開いているので、「これを開けたら、向こうには何が……」という探究心が刺激されないことでしょう。対して平安時代の女性たちは、着物の裾だけとか、声だけとか、見過ごしの透影だけとか、自身の気配をチラ見せすることによって男性達を引き寄せるテクニックを、熟知していたのです。

 

 

マル暴総監の栄田光弘警視総監と北綾瀬署マル暴刑事の二人甘糟達男と郡原虎蔵、そして、歌姫(ディーヴァ)の星野アイこと―大河原和恵警視正らの面々が表紙を煌びやかに飾っている。

谷村元警視監がジャズクラブ「セブンス」のオーナーでマスター。

ここで今回の事件が進展していく。

あの任侠シリーズの阿岐本組も出てくる。

メンバーのキャラ立ちがものすごくいいと思う。

彼らが縦横無尽に動いているから、読んでいて楽しかった。

 

甘糟らが麻薬売買の場と噂されるジャズクラブ「セブンス」に潜入捜査するお話だ。

警視総監という警察のトップが自ら所轄の刑事と階級に関係なく仲良くして活躍できるのは、小説の世界だけでなく現実にもあれば世の中が活性化してよいだが。

 

ぼくは、甘糟を見ていると、アナウンサーの安住紳一郎さんの姿が思い浮かんできた。

まるで刑事らしからぬ頼りなさはあるけれど、肝心な時には、誰よりも優れてピカイチな腹が据わった行動力がある。

甘糟刑事。

マル暴らしからぬ彼が地味に活躍していくのは面白い

 

1955年北海道生まれ。上智大学在学中の78年にデビュー。警察小説の人気シリーズを数多く手がける。99年より空手道今野塾を主宰、臨場感溢れる武道小説にも定評がある。2006年『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞、08年『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞

当たり前の死とはなにかを考えさせられた。

健康に留意して普通に生活していた方が、自宅で急きょ亡くなるのはアブノーマル?病気で入院し病院で死ぬのはノーマルなのか。

これまでの戸惑いと違和感は決してぬぐえない。

普通に考えてみると、住み慣れた自宅で医師の判断のもと静かにあの世へ逝かせてもらえないものか。

 

「イジョウ死」

これは、変死とかの不審な死に方、異常な死ではなく、「異状死」

ことばの響きが悪い。

自然死が妥当なのかな。

異状死は、病院や自宅で確実に診断される内因性疾患で死亡した以外の全ての死を言っている言葉だった。

独りで自宅など孤独に亡くなった場合はなおさらだ。

この扱いとなると、犯罪に関係なくても警察が介入してくる。

看取りとして医師に手に委ねたいとご遺族が思っても、医師の死亡判断のまえに警察の事情聴取や検視の対応に追われ遺族の悲しみや別れの心がまえを遮ることとなる。

奇妙な死因究明制度だ。故人の貯金額や病歴などを聴取され、半ば強制的に様々な手続きや金銭の負担を求められるケースがあった。

 

異状死にあたって、これは決して他人事ではないと思う。

親や家族がいる場合、知っておくべきことなのかなと。

いまや既に少子高齢社会となり、ことさら多死社会を迎えて人口がさらに減少していく。

一人世帯も多くなってきており、なかなか連絡が取れないこともある。

鑑みると、状況が変わらなければ、この異常な事態はかなり普通に発生してくる、確実に増えてくると推察された。

 

終活に関する情報や知識を得る機会を持つのはやぶさかではない。

さらに諸般の情勢を学びかつ語り合う機会をつくって、これからのあらゆる状況を想定しておおいなる関心をもって見守っていきたいものだ。

 

 <目次>

はじめに

第1章 父が、母が、「イジョウ死」扱いに

第2章 異状死という日常

第3章 異状死の異常な金銭考察

第4章 異状死は減らせるか?

第5章 施設でも起きる異状死

第6章 死因究明になぜ淡泊なのか

第7章 世論の高まりこそ大切

あとがき

参考資料一覧

 

東京都出身。学習院大学仏文科卒業。編集者を経て執筆活動へ。学生時代から世界各国を巡り、その体験を生かして多角的にアジアと日本の関係をテーマにした作品多数。主な著書に小学館ノンフィクション大賞受賞作『淡淡有情』など

 

【No1205】異状死 日本人の5人に1人は死んだら警察の世話になる 平野久美子 小学館(2022/10)

五編の各の主人公たちは、どこにでもいそうだった。

でも、内容ピッタリの人はいないかもしれない。

家庭教師の仲介営業マンとしてしのぎを削る大学生。

娘のパパ活を案じながらもマッチングアプリに勤しむ中年男。

不妊に悩んだ末に精子提供を始めた夫婦。

リモート飲み会に興じる学生時代の腐れ縁3人。

人気YouTuberを夢見る島育ちの小学生四人組。

家庭教師仲介業、マッチングアプリ、不妊治療、精子提供、リモート飲み会、YouTuber。SNSの身近なツールも使って見事に騙してくれた。

日常に潜む危険な闇だな。

巧みなミスリードから意外な真実が明らかになっていく。

それぞれが見事に予想を裏切った展開と結末がちゃんと用意されていた。

これでもか!これでもか!とたたみかけるほど面白い五編のミステリー短編集。

それぞれの話は独立しており関連はなかった。

これもすごく秀逸な小説だった。

 

 <目次>

惨者面談

ヤリモク

パンドラ

三角奸計

#拡散希望

 

 

1991年、神奈川県生まれ。東京大学法学部卒業。2018年、『名もなき星の哀歌』で第5回新潮ミステリー大賞を受賞し、2019年に同作でデビュー。2020年に『プロジェクト・インソムニア』を刊行。同年、小小説新潮」掲載の短編小説「惨者面談」がアンソロジー『本格王2020』(講談社)に収録される。2021年には「#拡散希望」(「小説新潮」掲載)で第74回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。同年、3冊目の長編作品である『救国ゲーム』を刊行し、第22回本格ミステリ大賞の候補作に選出される

 

誰にでも必ず訪れるのは死です。

人生最後はどのように迎えるべきか。

たとえ余命わずかでも最高の最期を迎えたいものだろう。

4人の終活に待っていたのは各々のサプライズ。

さまざまな形の終活を描いたミステリ短編集。

ブラックの中にもユーモアがあり。

特に最後の「お笑いの死神」は、主人公のお笑い芸人が思っていたとおりの死の神かと思いきや……。

あまりに不気味な死神の正体には、びっくりしました。

ピン芸人が余命幾ばくもないが、グランプリで優勝を目指して精魂尽きるまで奮闘するお話。

これがとてもハートフルでハッピーな結末でありすこぶる秀逸でした。

 

全体的に内容も構成もよかった。

最後まで一気に読んでしまう力と勢いがある面白い内容だった。

また別の作品も読んでみたい。

 

 <目次>

SDGSな終活

最後の終活

小説家の終活

お笑いの死神

 

兵庫県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。ロヨラ・メリマウント大学院にて、映画・TV製作修士号取得。2008年、「雪の花」で第三回Yahoo!JAPAN文学賞受賞。2009年、同作を含む短編集『雪の花』でデビュー

毎週メルマガで発行している「ニュースに一言」の原稿をまとめたものだ。

世のなかを騒がせた様々な事件を取りあげて百田さんの想いが述べられている。

痛快で十分楽しめる内容だった。

3P「人間の業」

「業」とは、仏教やバラモン教の「カルマ」に由来する言葉、「行ない」という意味でしたが、「前世の善悪の行為によって受ける報い」と捉われ、「理性によって制御することができない心の働き」という意味となっています。

つまり、頭でいけないことと理解していても、その行為を止めることができないとき、私たちはそれを「人間の業」と呼びます。

わかりやすく言えば「分かっちゃいるけどやめられない」というやつです。

 

コロナウイルスやワクチン接種に関する記事を取りあげてみた。

毎日罹患者の数が報道されている。関係者がその数を把握すればよいのでは。

だから、もうそろそろ数の報道は止めたらよいのでは。

新型コロナウイルスに対する国民へのワクチン接種政策は、コロナウイルス罹患者が減らないことから、どちらかというと成功しているとは言えないだろう。

重症化を防いでいるかどうか、自己免疫力でじつは防いでいるのでは?

よく分からない内容が入ったワクチンを打つことで、いつか将来人間の体に悪い影響があるものかどうか……など、杞憂であればよいが。

 

コロナワクチンに関するいろいろな情報が関係者だけが持っていて、重要なことが開陳されていないか情報が少ない。

 

体に基礎疾患がある人以外の方は、重症化するリスクが低いとするなら、頭痛や倦怠感などのひどい副反応を避けたいために、お上の言われるままにはワクチンを打たない!という各個人の選択肢も大いにありだと思った。

 

37P ワクチンはゴールではない

もう一度言います、私は決してワクチン否定派ではありませんし、その効果もおそらくある程度はあるだろうと認めています。ただ、無条件に受け入れるのにはもう少し時間と判断材料が必要だと思っています。そして最後の判断はあくまで個人が行うもので、それは尊重されなければなりません。これを認めないのは、最も避けなければならない全体主義にほかならないからです。ワクチンはコロナ禍終息のための手段だったはずが、いつの間にかワクチンを打つこと自体が目的になっているのは、滑稽以外のなにものでもありません。

 

44P ワクチン一辺倒に異議あり

奈良県五條市の中学校で教諭が生徒に新型コロナウイルスワクチンを接種したかどうか調べていたことがわかり、学校が生徒らに謝罪するとともに市教育委員会が再発防止に努めることを表明したというニュースが2021年9月にありました。

ワクチンを接種するしないは本来自由であるべきで、その差により最も公平でないといけない学校が生徒への対応を変えるなんてことはあってはなりません。また接種の有無はそれこそ“個人情報”の最たるものです。

 

59P ワクチンについての私の結論

ワクチンができる前は「ワクチンさえ完成すればコロナは終息する」と多くの人が信じていましたが、今やワクチンはコロナに罹らないためのものではなく、良くて重症化を防ぐことができるに過ぎないものと考えられています。ですから端から重症化のリスクの低い人にはワクチンの必要がないと言っているのです。

私はコロナがどんな病気か分からない時期には絶対に罹らないようにすべきだと考えていましたが、やがて過度に恐れるに足らないとわかってからは、それよりも優先するものがあると主張してきました。

ワクチンは“絶対的完成品”でなければならず、途上ではいけないのです。その意味では一回目、二回目とよくそんなわけもわからないものを平気で自分の身体に入れられたものだと感心します。

コロナとの付き合いも長くなりました。これからは言われるままでなく、自身で最良の選択をしていくべきです。政府は三回目接種が進まないと嘆いていますが当然です。国民は日々学習しているのですから。

 

 <目次>
まえがき
第1章 世に阿呆の種は尽きまじ
第2章 コロナというバカ発見器
第3章 図々しいにもほどがある
第4章 友愛の限界
第5章 現実は時に想像力の先を行く
第6章 正義の味方は厄介だ
第7章 この美しき世界
第8章 納得いかん
第9章 渡る世間は反面教師ばかり
あとがきに代えて

1956(昭和31)年大阪市生まれ。同志社大学中退。放送作家として「探偵!ナイトスクープ」等の番組構成を手掛ける。2006年『永遠の0』で作家デビュー。『海賊とよばれた男』(第十回本屋大賞受賞)等著書多数
ほかの著書に「アホか。」など。