朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~ -62ページ目

朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

いくつになっても、何歳になっても読書によって向上を目指したい。

数学者藤原正彦さんの座右の銘、「これからがこれまでを決める」

そして、彼の金言「教養がないと大局観が生まれない」

正直、勇気、慈愛、親孝行、礼節、惻隠の情、もののあわれ、卑怯を憎む心、名誉、恥など、これらは過去に日本人が持っていたものだ。われわれはこれらをどこかに置き忘れてきた感がある。

「国家の品格」や「国家と教養」から、幾分もぶれていないところがすごく気に入っている。藤原さんは、日本人以上に日本人らしい武士道精神の真髄を持っている、日本の歴史を踏まえて世界で行動している真の国際人だ。

 

60P インターネットは教養にならない

情報というのは、それぞれが孤立しています。孤立した情報が組織化されて、初めて知識になる。「情報がつながること」が知識であり、さらに「知識がつながること」が教養。この段階を歩むことが、教養を高めることの意味です。われわれは本を読んだ後、物語や記述の内容に思いを巡らせたのち、今度は身に周りの現実に当てはめて再び考える。この読書時の脳の働きが、人間の教養を育むわけです。インターネットでは得られない経験です。

 

146P 孤独こそが想像の源である

人間の想像力や創造力の源となるのは「孤独」です。たった一人で自分自身と向き合い、本と向き合うことは、他の行為では替えが利かない。孤独を知らず、毎日スマホにメールを分刻みで確認する生活を送っていたら、沈思黙考のしようがない。孤独なしに情緒の深まることもありません。インターネットやスマホは、若い人々から思考や深い情緒の成長を奪っているのです。

 

 <目次>

まえがき

1 国語力なくして国力なし

2 読解力急落、ただ一つの理由

3 読書こそ国防である

4 町の書店がなぜ大切か

5 デジタル本は記憶に残らない

6 本を読まないアメリカのビジネスマン

7 日本は「異常な国」でよい

8 国家を瓦解させる移民依存政策

初出一覧

 

お茶の水女子大学名誉教授・数学者。1943(昭和18)年、旧満洲・新京生まれ。東京大学理学部数学科大学院修士課程修了。理学博士(東京大学)。78年、数学者の視点から眺めた清新な留学記『若き数学者のアメリカ』で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞、ユーモアと知性に根ざした独自の随筆スタイルを確立する。

新田次郎と藤原ていの次男。

著書に『名著講義』(文藝春秋読者賞受賞、文春文庫)、『孤愁 サウダーデ』(新田次郎との共著、ロドリゲス通事賞受賞、同前)、ベストセラー『国家の品格』『国家と教養』(以上、新潮新書)などがある。

沖ノ島の海域でダイバーの水死体が上がったことから捜査が始まる。

沖ノ島の宗像大社沖津宮は入島禁止で、上陸する際には衣服を全て脱ぎ捨て海に入って禊ぎをしなければならない。この神の島全体が宗像大社沖津宮の御神体で、「許可なく立ち入りできない(女人禁制)」「島の物は持ち出してはならない」「島で見聞きしたことは島の外で話してはならない(御言わず様」」

なにか得体の知れないものが漂う、なにか不思議なことが起こる予感がする。

こんな変わったシチュエーションの土地を舞台にしてどうやって真実に近づくのか。

島に上陸しないST警視庁科学特捜隊の捜査過程は見物だった。

こんな困難な状況でSTは着実に真相へと行動していく。

それは読んでいて楽しい。

 

 <目次>

ST 沖ノ島伝説殺人ファイル

解説 西上心太

 

1955年北海道三笠市生まれ。上智大学在学中の1978年『怪物が街にやってくる』(現在、朝日文庫より刊行)で問題小説新人賞受賞。卒業後、レコード会社勤務を経て作家となる。2006年『隠蔽捜査』(新潮社)で吉川英治文学新人賞受賞。2008年『果断隠蔽捜査2』(新潮社)で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞受賞。「空手道今野塾」を主宰し、空手、棒術を指導

「若さを肯定しつつも はりぼての達観が 青ざめ、挫けていく様を見るのが 私たちは大好きなのです。 芥見下々」

 

怨念や残酷さ、悪意が満ちている。

やはり湊かなえさんの代表作だ。

この映画をまた見てみたいし、また読み返してもなにかしら新しい発見がある。

だんだんと噛み砕いていくとなにか見えてくるものがある。

 

教師森口悠子の娘、愛美がなぜ死ななくてはいけなかったのか!

中学校の女性教師のホームルームでの告白から始まる。

教師の元生徒、

少年A、

少年B、

少年Bの姉、

少年Bの母、

彼らの告白から、事実がだんだんと明らかになってきた。

真実の外周りにある、ちょっとした嘘のようなものも。

都合がよいように自己解釈することがあったのか、なかったのか。

正当化とも、行為を美化したものと言ってもよい。

人がなぜ殺されなくてはならなかったのか。

告白されていることのほかに、こうではないかと想像するに値する、とてもよい教材となる小説だった。

 

 <目次>

第一章 聖職者

第二章 殉教者

第三章 慈愛者

第四章 求道者

第五章 信奉者

第六章 伝道者

文庫版特別インタビュー「映画化によせて」中島哲也

 

1973年広島県生まれ。武庫川女子大学家政学部卒。2005年第2回BS‐i新人脚本賞で佳作入選。07年第35回創作ラジオドラマ大賞を受賞。同年「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞。08年同作品を収録したデビュー作『告白』は、「週刊文春08年ミステリーベスト10」で第1位、第6回本屋大賞を受賞した。

女優・エッセイストの室井滋さんの麗しの猫がモデルとなった絵本です。

チョコが生まれた時からの出来事を、表紙や裏表紙で丁寧にわかりやすく描かれています。

全体的に物語としてうまく繋がっています。

情景描写やチャトラの猫の絵がかわいい。

有難くも室井滋さんご本人から読み聞かせていただいた素晴らしい絵本。彼女の直筆サインを目の前でいただいた世界で一冊の宝物です。

 

「いつまでも いっしょだよ」

チョコ(ちよこ)が飼っているチャトラのチビ。

チビは、小さい頃からチョコの傍にいる。

チビは20才の誕生日を迎えた。人で言えば100才になる。

ある時、鏡の精がチビに言った。

「まもなくこっちの世界に来るんだよ」。

チビはもうそろそろ寿命を迎えることを知る。

 

「ぼくが いなくなったら、きっと チョコは ぼくを さがしまわるだろうなぁ。

なきじゃくって、ころんじゃうかも…… チビは チョコを おもうと、むねが いたくなりました」

チビはチョコを悲しませないようにするために、自分にそっくり似ている瓜二つのチビ2号をオーディションで探し出す。

排泄の仕方や飲み物の好物、自分と同じ癖などをチビ2号に教え込んだ。

 

チビ2号と交代へ。

チョコの下へ行くチビ2号を、ドアの隙間からこっそり部屋をのぞき込むチビ。

「チビではなくて、チビ2号だよ」

わかっちゃいるけれど、チョコがまったく気付かないのが切ない。

「いつだって いっしょだったのに」

 

室井滋

富山県生まれ。女優、エッセイスト。2011年に、『しげちゃん』(金の星社)で絵本原作デビュー

 

カワダクニコ

1978年、東京都生まれ。日本大学芸術学部卒業後、デザインの仕事をしながらイラストレーターに。2011年『ねこのにゃーた うみへいく』で第17回おひさま大賞優秀 賞受賞後、『ねこのにゃーた』(小学館)で絵本デビュー

 

「麻酔を使用したとは考えづらい」

「子宮の摘出は医師によるものではなく、医療技術も知識もない一般人が、調理器具等を用いて行ったものと推測できる」

「ろくに止血も縫合もされないまま公衆トイレに遺棄された」

いきなりヤバいぞ。

 

東弘樹警部補、山本卓司警部補、「エポ」、「欠伸のリュウ」ジンさん・陣内陽一、新宿署の小川幸彦、土屋昭子、ミサキ、ジロウ、ジョニー先生(医師)、新世界秩序/NWO、吉崎厳・元警察庁長官、磯谷勝・内閣官房内閣参事官、市村光雄関根組組長、斉藤杏奈、シンちゃん等々。

彼らと何重もストーリーが絡まっておりなす壮大な展開が継続する。

歌舞伎町セブンにかつてない危機が迫る。

息もつかせず一気読み。

いつまでこのシリーズが続くのか!

 

 <目次>

第1章から第5章

終章

 

1969年東京都生まれ。2002年『妖の華』で第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞受賞、03年『アクセス』で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞。ほかの著書に「ストロベリーナイト」など。

物語の種を蒔いて育てて芽が出てきて葉が茂り花が咲き実がなります。

思い出話だったり体験談だったり、キーワードだったり写真だったり、読者や編集者から募った、物語となる「種」から発想を膨らませ紡いだ10編の短編集です。

 

阪急電車、宝塚歌劇団、京都祇園祭などの関西に関わる風景を取り上げるのは、有川さんのほんと真骨頂だな。

例えば、氷のせいで頭がキーンとなっても、見知らぬ者同士が同じ場で微妙に視線を合わせないようにしている、梅田の阪急電車を降りてからスタンドでミックスジュースを飲む習慣は譲れない大切な思い出だ、また、ゆずの高知県馬路村を取り上げるなど地元高知も大切にしているところが伝わってきた。それぞれの物語と風景と映像の広がりがあって面白い。

第7話の百万本の赤い薔薇。

紙婚式から始まったある夫婦の40年にわたる結婚記念日の物語だが、こんな風に温かく付き合っていける夫婦に憧れました。

 

勇気を与えられる力を持った言葉が物語のなかにちりばめられていました。

80P

不運に見舞われたときは、好きをどれだけもっているかが耐久力になる。そのことを中学生という早い時期に学んだのは、今にしては幸運だったのだろう。だからといってモドキたちに感謝するつもりはこれっぽっちもないが。

彼女も親友も好きを増やし続けても社会人である。これからも好きの歴史は増えていくし、共有するだろう。他にも何人か共有できる仲間がいる。

 

 <目次>

はじめに 

SNSの猫

レンゲ赤いか黄色いか、丸は誰ぞや

胡瓜と白菜、柚子を一添え

我らを救い給いしもの 2

ぷっくりおてて

Mr.ブルー

百万本の赤い薔薇

清く正しく美しく

ゴールデンパイナップル

恥ずかしくて見れない

おわりに 

 

高知県生まれ。2004年、『塩の街』で電撃小説大賞 <大賞>を受賞しデビュー。「図書館戦争」「三匹のおっさん」シリーズをはじめ、『阪急電車』『植物図鑑』『空飛ぶ広報室』『明日の子供たち』『旅猫リポート』『みとりねこ』、エッセイ『倒れるときは前のめり』など著書多数。

賛成する、どちらでもない、否定する、などいろいろな主張や少数の意見にも目を向ける器量を持つ大切さや、両極端の主張でも聞く耳は持っていなければいけないと思うのだ。

これまであまり聞こえてこなかった、いままであまり知らなかった関係のおはなしだ。

真実はどうなのか。「日本の財政は破綻状態だ」と国民を脅し続け「財政均衡主義」という教義を財務省が布教し続けている!?

51P

カルトと「カルトのような文化」の差は、どこまでやるかというレベルの問題であって、手法に決定的な違いがあるわけではない。ただ、信者の生活を破壊すると同時に、教祖や教団幹部だけが太っていくというところが決定的な違いになるのだ。

 

異次元の少子化対策としては、子どもが生まれたあと向けよりも、子どもを産みたくなるような、生む前を前提とした対策の整備が必要なのでは。

147P

少子化対策は、最低賃金を大幅に引き上がるか、同一労働同一賃金を徹底するなどして、(正規と非正規の)所得格差を縮めるべきなのだが、そうした対策は一切出てこない。

 

デフレの影響でずっとモノの値段が安くてよいのかと感じていた半面、諸外国と見て比べてみると、日本だけがずっと賃金が上がらなかったのはなぜなのか?

消費税率を上げると実質賃金が減るので企業の売り上げが減り賃上げできない悪循環だと、森永さんは、賃金があがらない理由を消費税の引き上げだと主張していた。

98P

消費税を5%に引き上げるまで、日本の実質賃金は上昇していた。ところが、消費税率を5%にあげた途端に実質賃金の下落が始まった。日本経済がデフレに転落したからだ。消費税率をあげると、その分だけ実質所得が減少する。そうなると消費関連の企業の売り上げが落ちるから、リストラしたり、賃金の低い非正社員に置き換えたりして、人件費を削る。そうすると、また所得が落ちて、消費が減少するという悪循環に陥るのだ。それは2014年に消費税率を8%引き上げたときも、10%に引き上げたときにも起きた。

 

 <目次>

まえがき

第1章 ザイム真理教の誕生

第2章 宗教とカルトの違い

第3章 事実と異なる神話を作る

第4章 アベノミクスはなぜ失敗したのか

第5章 信者の人権と生活を破壊する

第6章 教祖と幹部の豪華な生活

第7章 強力サポーターと親衛隊

第8章 岸田政権は財務省の傀儡となった

あとがき

 

1957年、東京都生まれ。経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。1980年に東京大学経済学部を卒業後、日本専売公社(現在のJT)に入社、「管理調整本部主計課」に配属となる

 

【No1364】ザイム真理教それは信者8000万人の巨大カルト 森永卓郎 フォレスト出版(2023/06)

 

「一日の総消費カロリーは運動しても増えない」。

運動してもそれだけでは痩せることはない。落ちた体重を維持するのには有効。

運動が健康に寄与することは、経験上でもそう思う。痩せるためには、摂取するカロリーが消費するカロリーを下回ればよいと考えていたが。

人間の一日の消費カロリーは変わらない。

INとOUTのOUTを増やしても消費カロリーは変わらない。

INの調整をしても体がカロリーを要求する仕組みなので結局は体が戻ってくる。

運動をするとカロリーの使われ方が変わってくる。

運動によりカロリーが消費されることで、体内のカロリー消費分配が変わって生殖など生きるに重要ではない箇所へのカロリー分配が抑えられる。

過剰に加工食品等脳をバグらせる食べ物を摂取したらそれは脂肪になってしまう……。

 

 

 <目次>

第1章 ヒトと類人猿の代謝の定説が覆った

第2章 代謝とはいったい何か

第3章 カロリー消費量研究に起きた革命

第4章 親切で、適応性に富み、太ったサル

第5章 運動しても痩せないのはなぜか

第6章 ダイエット論争にデータを突きつける

第7章 ヒトの体は運動を必要としている

第8章 ヒトの持久力の限界はどこにあるか

第9章 エネルギー消費とヒトの過去・現在・未来

謝辞

原注

 

ポンツァー,ハーマン[Pontzer,Herman]

デューク大学人類進化学准教授、デューク・グローバルヘルス研究所グローバルヘルス准教授。人間のエネルギー代謝学と進化に関する研究者として国際的に知られている。タンザニアの狩猟採集民ハッザ族を対象としたフィールドワークや、ウガンダの熱帯雨林でのチンパンジーの生態に関するフィールドワークのほか、世界中の動物園や保護区での類人猿の代謝測定など、さまざまな環境において画期的な研究を行っている。その研究は、ニューヨークタイムズ紙、BBC、ワシントンポスト紙などで取り上げられている

小巻靖子

大阪外国語大学(現、大阪大学外国語学部)英語科卒業

 

【No1363】運動しても瘦せないのはなぜか 代謝の最新科学が示す「それでも運動すべき理由」ハーマン・ポンツァー著 小巻靖子訳 草思社(2022/10)

SNSなど検索して他人の考えを利用してもよいが、最終的には自分の頭でものごとを考え判断して行動していく姿勢を強化していく必要があろう。

 

コロナ禍の自粛要請などにおいて、お上に任せておけば大丈夫とか、お上の意向に従っておればよいという傾向があったのではないか。

 

すぐに忘れるから適当に時間稼ぎをしていればよい、こんなことがまかり通って議会などで行われていたのではないか。

 

これから私は何をすればよいのか、自分で考えて働くことができないといういわゆる指示待ち族を育てていこうという愚民化政策が行われていたのではないか。

 

仕事のマニュアルに従って効率的に動くことを意識することで、自分の頭で考えて動く姿勢が奪われ試行錯誤する気持ちが薄れ思考停止状態で機械的に仕事をこなすようになってしまっていたのではないか。

等々常日頃から世の中を見ていて独り危惧していたのであった。

 

思考停止状態に移行しているのではないのかという風な危惧は、全くの誤りではなく間違いでもないことをこの本で確認することができた。

 

思考停止しなくなるためには、まさにこうしていくべきであろう。

216P

思考停止を脱するには、ものごとを複眼的にみる姿勢をもつことが大事である。ひとつの視点に凝り固まらずに、別の視点からどのように見えるのか想像力を働かす。そのためにも、いろんな考え方、いろんな立場の人の意見や感受性に触れるようにすることが大切となる。

 

218P

簡単に答えが出ないことにイラついたりせずに、あれこれ考えるのを楽しむ姿勢が大切なのではないか。それこそが思考停止を脱するための第一歩と言ってよいだろう。

 

 <目次>

はじめに 

第1章 考えることを忘れた社会(成人年齢を引き下げることの愚、「記憶にございません」から何を汲み取るか ほか)

第2章 思考停止に陥りやすい日本人の心理(相手を信頼すべきで疑うのは失礼だ、と思う心理、相手の期待を裏切りたくない、という心理 ほか)

第3章 その根底に流れる教育のあり方(ますます深刻化する読解力の危機、「見ればわかる教材」の功罪 ほか)

第4章 権力者による愚民政策の一環か(どんな政策にも文句を言わない日本人、任せておけば大丈夫という時代ではなくなった ほか)

第5章 考える力を奪う教育からの脱却を(考える力を身につけるための知識・教養の吸収、読書習慣を促し、読解力・思考力を高める ほか)

おわりに

 

1955年東京生まれ。東京大学教育学部教育心理学科卒業。東芝市場調査課勤務の後、東京都立大学大学院心理学専攻博士課程中退。心理学博士。カリフォルニア大学客員研究員、大阪大学大学院助教授などを経て、現在、MP人間科学研究所代表、産業能率大学兼任講師

謎の男たちが集まって陰謀が繰り広げられる墜月荘にて。

美しくてグロテスクでどこか懐かしく哀しい。

これらがどこまでが真実でどこからが錯覚なのかと。

ずっと不気味な空気感が漂っている。

 

283P

私は、いつか行けるでしょうか。生きているうちに、あの場所へ。

莢子が待っているあの場所、私の長い長い夜が終わる場所、いつも遠くに見えるだけで決して手の届かない、夜の汀の果つるところに。

 

昭和初期、三人の母と暮らす子供の目から見えてくる情景。

怪しい雰囲気を醸し出す遊郭墜月荘に集う個性ある人々。

彼らの企みを闇夜でさまようように描いている。

闇夜を抜けた先にある夜果つるところを目指して。

あまりにも不穏な雰囲気は最後まで消えない。

 

 

飯合梓

北海道出身。本書が初めての著作となる

 

恩田陸

宮城県出身。「夜のピクニック」で吉川英治文学新人賞、本屋大賞、「中庭の出来事」で山本周五郎賞、「蜜蜂と遠雷」で直木三十五賞と本屋大賞を受賞。

 

【No1361】夜果つるところ 恩田 陸 集英社(2023/06)、飯合 梓 照隅舎(1975/05)