「若さを肯定しつつも はりぼての達観が 青ざめ、挫けていく様を見るのが 私たちは大好きなのです。 芥見下々」
怨念や残酷さ、悪意が満ちている。
やはり湊かなえさんの代表作だ。
この映画をまた見てみたいし、また読み返してもなにかしら新しい発見がある。
だんだんと噛み砕いていくとなにか見えてくるものがある。
教師森口悠子の娘、愛美がなぜ死ななくてはいけなかったのか!
中学校の女性教師のホームルームでの告白から始まる。
教師の元生徒、
少年A、
少年B、
少年Bの姉、
少年Bの母、
彼らの告白から、事実がだんだんと明らかになってきた。
真実の外周りにある、ちょっとした嘘のようなものも。
都合がよいように自己解釈することがあったのか、なかったのか。
正当化とも、行為を美化したものと言ってもよい。
人がなぜ殺されなくてはならなかったのか。
告白されていることのほかに、こうではないかと想像するに値する、とてもよい教材となる小説だった。
<目次>
第一章 聖職者
第二章 殉教者
第三章 慈愛者
第四章 求道者
第五章 信奉者
第六章 伝道者
文庫版特別インタビュー「映画化によせて」中島哲也
1973年広島県生まれ。武庫川女子大学家政学部卒。2005年第2回BS‐i新人脚本賞で佳作入選。07年第35回創作ラジオドラマ大賞を受賞。同年「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞。08年同作品を収録したデビュー作『告白』は、「週刊文春08年ミステリーベスト10」で第1位、第6回本屋大賞を受賞した。