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朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

 

食後に眠いとかだるい、食べ足りない、集中力が下がるのは、糖質疲労かもしれない!

糖質過多は、疲れと病気と老化を生むという。

 

糖質疲労とは、こういう状態のことだ。

食後高血糖及び血糖値スパイク(食後高血糖とその後の血糖値の急峻な降下)により、

1 食後に、眠い、だるい、食べた量にはすぐに小腹が減る、集中力がもたない、イライラしている、と自覚する状態

2 右の状態を自覚せずとも周囲から指摘される状態

3 ご自身で「食後血糖値」を測定して140mg/㎗以上になっている状態

 

糖質疲労の解消にはカーボラストがよいとのことだ。

このカーボラストとは、糖質を最後に食べる食べ方だ。

ご飯やパンなど糖質に手を付けるのは早くても一口目を食べ始めてから20分後が推奨されている。

必ずしもベジファーストである必要はなく、ミートファーストやフィッシュファーストでもよい。

 

自分が糖質疲労者であろうがそうでなかろうが、マヨネーズやバター油をとらないカロリー制限よりも、ご飯やパンなど糖質制限を行い糖質が多いものを最後に食べるように心がけたい。

また日本人は欧米人と比べてインスリンの分泌能力が遅い、欧米人に比べると少ない糖質量でもインスリンが追いつかなくなって血糖異常を起こしやすいということは知らなかった。気をつけていきたい。

 

 <目次>

Introduction 今日のパフォーマンスと、未来の健康を脅かす「糖質疲労」(その眠気、「糖質疲労」かもしれない)

1 体にいいはずの健康習慣が「糖質疲労」を招いている!?(朝の“ヘルシー習慣”。それって正しい?意外とやってる血糖値スパイクを招くランチ習慣 ほか)

2 「糖質疲労」は単なる疲労じゃない!その本当の怖さとは?(なぜ、日本人で糖質疲労が増えているのか、糖質疲労はなぜ放置してはいけないのか?)

3 糖質疲労を解決する「うますぎる食べ方」(糖尿病専門医自らも大変身!糖質疲労を解決する「7ルール」、お米もパンも食べていい!ゆるい「糖質コントロール」 ほか)

4 調べてみよう!あなたは糖質疲労?(まずは自分の「食後の血糖値」を知ろう)

おわりに

 

山田悟さん

医師。医学博士。北里大学北里研究所病院副院長、糖尿病センター長。1994年慶應義塾大学医学部卒業。糖尿病専門医として多くの患者と向き合う中、2009年米医学雑誌に掲載された「脂質をとる食事ほど、逆に血中中性脂肪が下がりやすくなる」という論文に出会い衝撃を受ける。現在、日本における糖質制限のトップドクターとして患者の生活の質を高める糖質制限食を積極的に糖尿病治療へ取り入れている。日本内科学会認定内科医・総合内科専門医、日本糖尿病学会糖尿病専門医・指導医、日本医師会認定産業医。

言葉にするための言語化が上手な人は、質の良いインプットとアウトプットをしています。

多くの人と会話をし、たくさんの本を読むほか、他の人がしていない独自の体験をしています。体験したものを頭の中でじっくりと熟成させながら整理して、書く、話すなどの言葉にする多くの機会を設けているのです。

 

ひとつ目は、このなかで「アウトプット読書法」に注目しました。

全体像を頭に入れて問いを持つことを本を読んでいく際の参考とします。

1 カバー・帯・目次から「見取り図」をつくり、構造を頭に入れて読む

雰囲気、誰向け、推薦コメント、著者の渾身の思いなどを摑み、自分に必要な箇所や何の情報が書かれているか、おおよその全体の構造を頭に入れる。

2 問いを持って「宝探し」をする感覚で読む

著者の伝えたいことは何か!この本から何を得たいのか!

しかし等逆説の接続詞や以上から等まとめの接続詞のあと、一般論のあと持論を展開するパターンなどがある。

 

ふたつ目は、相手から「想いを引き出すテッパンの問い」です。質問できるときには、問いの型を持っていた方が相手の想いを引き出しやすい。

1 時期 いつ頃から○○を始めたのか?

2 影響を受けたもの  あなたの人生や価値観に影響を与えた本を教えてください

3 行動・意思決定 私なら○○と思いそうですが、(そうではなく)○○に決めたのはどんな想いからですか。

 

最後は、「あなたのあり方が問われる」です。言語化することは、その人が誰か他の人に何かを大切なことを伝えたいからです。

言葉にすることは、自分の考え方、あり方、生き方が最終的に問われることになります。

自分とはどのような人間なのか。

何を成し遂げたいのか。

自分は何が好きで何に情熱を感じるのか。

 

 

 <目次>

はじめに 「まとめて言語化する力」は武器になる

第1章 良い言語化の秘密―良い言語化は、「読む・聞く」から始まる(聞くのも、読むのも同じこと、現代のあらゆる仕事は、「読む・聞く、まとめる、言葉にする」でできている「言語化する力=文章力」ではない、「まとめる・言語化する」の前にやるべきこと)

第2章 インプットの習慣―「話を聞く」と「情報を読む」スキル(「インプットの質」がアウトプットの質を決める、聞く技術1 インプットの質を上げる2つの準備 ほか)

第3章 メモする習慣―インプットとアウトプットをつなげるスキル(「メモる力」は武器になる、「インプットメモ」と「アウトプットメモ」 ほか)

第4章 まとめる習慣―「思考」と「情報」を整理するスキル(まとめる力は、「制限」で磨かれる、書いて、減らして、まとめる ほか)

第5章 言語化する習慣―まとめて言葉にするスキル(「まとめて言葉にする」とは?言語化力を高める3つのメリット ほか)

おわりに 

 

松尾美里さん

編集者・ライター/株式会社フライヤーコンテンツDivゼネラルマネジャー。日本インタビュアー協会認定インタビュアー。京都大学文学部にて社会学を学び、インタビュー調査を通じて「聞く」ことの奥深さに気づく。株式会社Z会を経て、2015年株式会社フライヤーに参画。本の要約のライティング・編集を行い、要約制作は850冊に及ぶ。フライヤーや他のメディアにて、経営者・著者・各界のプロフェッショナル約570名にインタビューを行う。ライフワークは、新たな挑戦をしている方々の生き様や想いを聞き、伝えること。特に好きな本は経営ノンフィクションと人・組織に関わる本。本書が初の著書となる。

 

 

2040年は、これから約15年後の未来です。

仕事、教育、自然災害、暮らし、健康の各項目があります。

 

例えば、自然災害での池上さんの予想です。

 

<暗い未来>

原子力発電所を操業する間に、どんどん使用済み核燃料や核のゴミが溜まっていき、処分もできないまま四苦八苦。そのうちに南海トラフ地震によって32万人の死者が出てしまい富士山も噴火。インフラも止まり経済も破綻。気候変動対策に対し消極的だったために、集中豪雨やスーパー台風が頻発、感染症を引き起こす蚊の出現。次々と起こる災害に人々は気力を失う。

 

<明るい未来>

水害や震災は起きるが、迅速な避難で人的被害は出ず、自治体などの避難所にも十分な備蓄があり、混乱も起きない未来。救助活動にはロボットも活躍。インフラは一度はストップするものの、復旧のための訓練もばっちりですぐに復興。特に電力は、原発が稼働していないので事故の心配もなく、再生可能エネルギーの割合が高まり各家庭に太陽光パネルや蓄電池が備えられているため。被災してもすぐに使えるようになっている。

 

未来はこれから創られるものですが、現状このままでなにも改善されないでいくと、少子化対策のように絵に描いた餅のようであれば将来の哀しい予測が簡単に見えてくるのです。

 

池上さんは、引用した自然災害のように、明るい未来と暗い未来の両方を想像し提示してくれています。

 

2040年には暗い未来なのか、明るい未来を迎えているかどうかは、今から、これから、我々の行動にかかっています。

 

【No1643】池上彰の未来予測After2040 すべて未来のあなたに関係することです 池上 彰 主婦の友社 (2024/07)

過去に成功したお話を何度も繰り返し話すような人は、昔から地域におられたと思います。

少子高齢社会なので高齢者の割合が多くなったことがあって、その行動が目立つようになってきたのです。

 

老害とは、一般的に「他人の意見を聞かずに時代遅れの持論を周囲に押し付ける高齢者」を言います。著者の定義では、「加齢変化に気づかずに生活することによって、他人と齟齬が生まれること」とされていました。

 

老害とならないようにするには、自分の行動についてどれだけ客観視ができるかが大事だと思います。

加齢による行動の変化は否めません。年齢を重ねると自分の思い通りにできなくなるし動けなくなるでしょう。若者や他人からのこころ痛い指摘にも耳を傾ける勇気も必要です。

またできることを前向きに考えて、楽しいことやワクワクドキドキすることなど新しいこと見つけてチャレンジしていければと思いました。

 

 <目次>

はじめに 

第1章 こうして人は「老害」になっていく

第2章 「老害」の何が悪いのか

第3章 「老害」にならないために必要なこととは

第4章 家族の壁―こういう人が家庭内で問題を起こす

第5章 仲間の壁―何が友人や知人との距離を遠くするのか

第6章 社会の壁―あなたの生きづらさを加速させるもの

あとがき 

参考文献

 

平松 類さん

医師、医学博士。二本松眼科病院副院長。愛知県田原市生まれ。昭和大学医学部卒業。受診を希望する人は北海道から沖縄まで全国に及ぶ。専門知識がなくてもわかる歯切れのよい解説が好評でメディアの出演が絶えない。また、延べ10万人以上の老人と接してきており、老人が多い眼科医として勤務してきたことから、老人の症状や悩みに精通している。医療コミュニケーションの研究にも従事。YouTube「眼科医平松類チャンネル」(登録者22万人以上)で情報発信を行っている。専門知識がなくてもわかる歯切れのよい解説が好評で、連日メディアの出演が絶えない。

酒井順子さんらしい鋭い視点からのエッセイ集でした。

『負け犬の遠吠え』や『男尊女子』などのように、日本人の根深く続いている階級意識をあぶり出していたと思います。

男女雇用機会均等法などにより制度上の平等が進んでいると思っていたが、まだまだ平等ではないという考え方もあります。

27P 男高女低神話のゆらぎ

結婚する人が減り続け、子どもの数が減り続け、そうして日本の人口がへっていくのは、制度上の平等と精神的平等の乖離から日本人が目を逸らし、放置し続けているから。表面的には「平等ですよ」と言われながら、奴隷的日常を課せられ続けるならば、女性達の腰が引けていくのは当たり前のことです。かといって男性だけが悪いわけでもなく、「自分が下にいることにしておけば、面倒臭くない」と、「下」やら「低」やらにあえて身を置き続けた女性もまた、責任が無いとは言えないのではないか。

 

「やった!」成功したときに出てくる脳内ホルモンのドーパミン。麻薬のような魔力があるのならば、選手を応援してそれを出したくなるわな。

86P ドラえもんが表わす子供社会格差

ワールドカップやオリンピックへの日本人の熱狂ぶりからは、人々が本当はいかに勝ち負けをつけることが好きなのかが感じられるものです。

力と力がぶつかり合う勝負は、人間にとって麻薬のような魔力を持っているのであり、勝利がもたらす歓喜も、敗北による悲哀も、我々に強い陶酔感を与えてくれます。その欲求を野放しにしてしまうと、やれ喧嘩だ戦争だときな臭いことになってしまうので、ルールを定めたスポーツという範囲の中だけで、人々は勝負というレジャーを愉しむことにしたのではないか。

ワールドカップやオリンピックで巨額の金が動くのも、スポーツが合法的な麻薬のようなものだと考えれば、納得がいくものです。「勝ちたい「相手を倒したい」という禁断の欲求を、思う存分放出してもよし、とされているのがその手の場であり、欲求が集まる場所には金も集まるのですから。

 

その無名性の価値観は、それはそれで有名になったら下がるんじゃろ。

99P 有名になる価値の今昔事情

かつては価値あるものとされた全方位的な有名性は、今やムダな重荷となりつつあります。ネットを利用すれば、一介の無名人が有名になることも可能な時代ではありますが、これからは無名性の価値というものが、さらに求められるようになる気がしてなりません。

 

家柄や血筋の高貴さが残っている代表的な事例として。

178P 姫になりたい女の子と、姫として生まれた女の子

現在の皇族というのは、人間平等の世にはそもそも存在しないはずの「無条件の偉さ」を引き受けなくてはならない人々、ということができましょう。それはある種の特権ではなるけれど、その代償として背負わなくてはならないものは、あまりに重い。

 

格差や差別が水面下に潜っていくと一旦に見失いますが無くなってはいないのですから、成熟した社会でまた表面上に上がってくるときがくるのでしょう。その膨張した欲求が爆発しないようにと願いつつも、格差や差別に対抗するために鍛えておく!?どうやって?

262P おわりに

様々な格差や、人を上に見たり下にみたりする欲求は残り続け、その欲求は水面下で膨張しているのではないか。……という思いを持って書いたのが、本書となります。平板化が進む世においては、人々は差を乗り越える術を失い、微細な差にもつまずくようになったのはないか、と。

表面的な格差や差別は、今後も減少し続けるであろう日本。そうしてできたつるつるした世の中は歩きやすいだろうけれど、滑って転んでしまう人もいるに違いありません。つるっとした世では、段差の多い世よりもずっと、立つ時も歩く時も力が必要となるに違いなく、そんな世に向けて、今はせっせと筋力を鍛えるしかないのでしょう。

 

 <目次>

はじめに 

・男高女低神話のゆらぎ

・五十代からの「楢山」探し

・まぶた差別と日韓問題

・“親ガチャ”と“子ガチャ”

・東大礼賛と低学歴信仰

・『ドラえもん』が表す子供社会格差

・「有名になる」価値の今昔事情

・「ひとり」でいることの権利とリスク

・おたくが先達、“好く力”格差

・バカ差別が許される理由

・ミヤコとアズマ、永遠のすれ違い

・「かっこいい」、「ダサい」、「センスいい」

・超高齢化社会のおばあさん格差

・姫になりたい女の子と、姫として生まれた女の子

・デジタル下層民として生きる

・男性アイドルは無常の風の中に

・世代で異なる、斜陽日本の眺め方

・反ルッキズム時代の容姿磨き

・モテなくていいけど、出会いたい

・稼ぐ女と、使う女・遅ればせながらの金融教育

おわりに 

 

酒井順子san

1966年東京生まれ。高校在学中から雑誌にコラムを発表。大学卒業後、広告会社勤務を経て執筆専業となる。2004年『負け犬の遠吠え』で婦人公論文芸賞、講談社エッセイ賞をダブル受賞

長身のバーのマスター・神尾武史は元マジシャン。

人物の観察眼は鋭く、物事をわきまえる判断力は抜群で、決定後の行動力や肝の座り方は目を見張るものがあった。

 

彼の姪で建築士の神尾真世とともに、女性を主にした難事件を解決していくミステリ風ストーリー。

例えば、「相続人を宿す女」。息子の急死で悲しみに暮れる父母夫婦にさらなる厄介事が降りかかる。元妻が息子の子どもを妊娠しているというのだ。相続権を主張する相手の真の目的はなになのか?

 

TRAPHAND-罠の手。

二重三重に亘る各種のぼくが見抜けない罠がこのなかに仕組まれていた。

「よくぞこういう面白い話を思いつくものだ」とまた今回も感嘆した。

これぞ熟練度ある東野圭吾作品。

だから当然なのだと言えばそれまでだが、このシリーズには、また読みたくなる、癖になるくらい読後にうーんと唸るような仕掛けがあった。

まるで饒舌のような彼の筆致のうまさをさらに感じた作品だった。

 

 <目次>

トラップハンド

リノベの女

マボロシの女

相続人を宿す女

続リノベの女

査定する女

 

東野圭吾さん

1958年大阪府生まれ。大阪府立大学工学部電気工学科卒。85年『放課後』で第31回江戸川乱歩賞受賞。99年『秘密」で第52回日本推理作家協会賞受賞。2006年『容疑者Xの献身』で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、12年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』で第7回中央公論文芸賞、13年『無幻花』で第26回柴田錬三郎賞、14年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞、19年に第1回野間出版文化賞、23年に第71回菊池寛賞を受賞。海外での評価も高く、12年に『容疑者Xの献身』がエドガー賞最優秀小説賞、19年に『新参者』が英国推理作家協会のダガー賞の翻訳部門にノミネートされている。多彩な作品を畏年にわたり発表し、その功績により、23年に紫綬褒章を受章

コミュニケーションは、相手の話をまず「聞く」ことから始まります。

話を縦に掘り下げ横に広げる、最近楽しかったことを聞く、一瞬で昔から知り合いと錯覚させるため幼少期の話を聞く、明るさ・素直さ・真面目さのアスマ精神でかわいがってもらう、スポンジのように素直に吸収するなど、考え方、人との接し方、見た目、言動、NG行為、習慣で「つい話してしまった!」と思っても憎めない、「まあ、仕方がないな!」と後味も悪くなく、信頼にもつながる、とてもチャーミングなコミュニケーション術がこの「ずるい聞き方」です。

まずは、相手に「楽しかったことを尋ねる」ことから実践してやってみたい。

 

 <目次>

はじめに コミュニケーションはすべて「聞く」からはじまる

第1章 その気がない相手がつい本音を語ってしまうワザ

第2章 気分よく話してもらう魔法のワザ

第3章 心のガードを一瞬で外すワザ

第4章 リスクを一発で回避するワザ

第5章 ずるさを愛嬌に変えるワザ

第6章 聞く前に人が離れていくNG行為

第7章 あざとくてもゆるされる“聞き上手”の習慣

おわりに 

 

山田千穂 さん

記者。埼玉県川口市出身。1988年生まれ。『週刊ポスト』『女性セブン』で記者を約10年経験。芸能、事件、健康等の記事を担当。取材で、聞く力、洞察力、コミュ力を磨く。3000人以上に取材。直撃取材、潜入取材を得意とする。

 

【No1639】ずるい聞き方 距離を一気に縮める109のコツ 山田千穂 朝日新聞出版(2024/06)

戦国武将がこぞって手に入れようとした欲望が渦巻く石見銀山。

主人公のウメのほか、喜兵衛、岩爺、隼人など登場してくる者はそれぞれ魅力的なキャラだった。

男たちは間歩で働こうとする。彼らは過酷な労働環境下で銀を掘り短命であった。

女たちは、再婚しながら彼らの子どもを産み育て、子らを銀山に捧げて生きていくそんな命が循環する場所であった。

統治者が変わろうとも、世界がどのように動いても、彼らはその場所で淡々と命を繋いで生きていく。

千早さんの濃厚な筆力が読み進める力となった。

生きていく不条理さを鮮やかに描き出した読み応えある物語だった。

 

 

 <目次>

赫然たる山

敷入り

湯の沸く湊

血の道

夜を駆ける

銀堀の病

曙光

 

千早茜さん

1979年北海道生まれ。2008年『魚神』で第二十一回小説すばる新人賞を受賞し、作家デビュー。同作は09年に第三十七回泉鏡花文学賞を受賞した。13年『あとかた』で第二十回島清恋愛文学賞を、21年『透明な夜の香り』で第六回渡辺淳一文学賞を受賞

2作とも京都が舞台だ。

20年前京都の大学へ通うために古い女子寮に入った女性が出会ったのは清少納言!?的な短編「三月の局騒ぎ」。清が「春はあけぼの」ってなぜ叫んだのか!

学校の合同研究発表会に出席するために京都を訪れた社会科教師が巻き込まれた本能寺の変的ドタバタ密室殺人を描いた中編「六月のぶりぶりぎっちょう」。明智光秀を唆して織田信長を葬ったあの本能寺の変のほんとうの真実に迫ったが。

現実とファンタジーが入り混ざり、その具合が絶妙で両方とも読み応えがあった。

「六月…」の「想いを伝えることができるのは、この世に生きている者だけ」という言葉が印象に残った。

 

 <目次>

第1話「三月の局騒ぎ」

第2話「六月のぶりぶりぎっちょう」

 

万城目 学さん

1976年大阪府生まれ。京都大学法学部卒業。2006年にボイルドエッグズ新人賞を受賞した『鴨川ホルモー』でデビュー。昨年刊行した、本書のシリーズ第一作『八月の御所グラウンド』で第一七〇回直木三十五賞を受賞している。

をかし、もののあはれ、なまめかし、あたらし、通う、垣間見、逢坂の関を超える……等々。

約千年前の平安時代とは、生活や風習、ものの考え方や意味などが現代とは異なります。

その違いの本来の意味を知ると、感嘆や驚激したりします。

貴族社会ならではの風流さにときめきもします。

そんなときめきを、平安時代に使われたことのはを通じて、現代から垣間見るたのしい時を過ごせました。

 

 <目次>

はじめに

第1章 恋愛・結婚と祝辞・弔事

第2章 天皇家の人々と宮中の建物

第3章 宮中で働く男たち・女たち

第4章 貴族の私生活

第5章 服装と調度品・乗物

第6章 宮中行事と教養・娯楽

第7章 宗教と俗信

索引

参考文献

 

荻野文子さん

兵庫県西脇市生まれ。上智大学文学部国文学科卒。編集プロダクション勤務、家業の書店経営を経験したのち、1985年に予備校講師になり、代々木ゼミナール、東進ハイスクールなどで締め切り講座を続出させ、「マドンナ先生」として人気を博す。「学研プライムゼミ」にて全16講座を配信中

 

【No1636】キーワードで味わう平安時代 人物&できごとガイドつき常識事典 荻野文子 GAKKEN(2024/02)