子育ての施策で全国に先駆けて「明石モデル」で成功を収めたことを聞いていた前明石市長の泉房穂さん。
かれは、政治家や議会、官僚、マスコミなどの四面楚歌の中でも、明石市のために変革を断行した人だった。
また、特定の集団への利益誘導ではなく、サイレントマジョリティーの一般市民の生活目線に合った政策を強行にすすめたことにあったことがわかった。
177P ものを買う側に光を当てる
今、政治に一番求められていることは、ものをつくる側に偏ることなく、ものを買う側にも光を当ててお金を回していくことです。市民がお金を使えるようになって初めて、社会全体で経済が循環していくのです。
モノを作る側だけで潤沢に資金を回して内部留保で肥太り、需要側であり働き手でもある一般市民のお金がむしろそちら側にグーっと引っ張られ続けて疲弊してきた。そういう状態です。
だから、一般市民にとっては、物価が上がり保険料も上がる、負担は上がるけれども給料は上がらない、使える金がないから物を買わない、その結果、社会全体にお金が流れないという負の連鎖。
<目次>
はじめに
第1章 理不尽な社会に「復讐」を誓った日(人生の原点は「貧困」と「差別」、障害を持って生まれた弟 ほか)
第2章 役所という伏魔殿(漫然とした「官僚政治」が続いてきた悲劇、官僚に寄生する政治家とマスコミ ほか)
第3章 議会は本当に必要なのか?(「三権分立」はフィクション、議会は「個別利益」代表者の集合体 ほか)
第4章 国民不在のマスコミ報道(「財務省は正義」という幻想、マスコミが維新の会を批判できない理由 ほか)
第5章 「常識」という言葉に騙されるな(「ものを買う側」に光を当てる、「子育て支援策」重視への異議と抵抗 ほか)
おわりに
泉 房穂 さん
1963年、兵庫県明石市生まれ。兵庫県立明石西高校、東京大学教育学部卒業。NHK、テレビ朝日でディレクターを務めたあと、石井紘基氏(2002年、衆議院議員在任中に刺殺される)の秘書を経て、1997年に弁護士資格を取得。2003年に民主党から出馬し衆議院議員に。2011年5月から2023年4月まで明石市長を務めた。18歳まで医療費無料など「5つの無料化」や養育費立替に代表される子ども施策のほか、障害者支援、高齢者福祉などにも注力し、市の人口、出生率、税収などを伸ばして「明石モデル」として注目される、社会福祉士の資格も取得している。