朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~ -20ページ目

朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

またまた終わりにどんでん返しがあった。

コロナが猛威を振るったあのパンデミックのころを振り返ると、終わりの見えない不安な毎日が今では隔世の感か。

コロナ禍マスクも手に入らない中、未承認のコロナワクチンの接種によるあるセレブの死亡が発生した。

浦和医大法医学教室の光崎教授による解剖によって思わぬ方向へ。

埼玉県警の古手川刑事や渡瀬班長、そして警視庁の犬養刑事や、キャシー准教授、栂野真琴助教授が動きまわる。

 

コロナ禍の世の中の混乱に乗じ紛れこむ悪意ある人間はとても恐ろしい。

 

黒死病とも言われたペストのパンデミック時の対応など、歴史から人は学ぶべきだ。

13P 

「まさか21世紀にもなって、14世紀と同じ轍を踏むなんて」

「人は悲しいほど学ばないのですよ。真琴。過去に何度もパンデミックを経験しながら、いざ発生してしまうとそれまで培ってきた人智を放り出してしまう。きっと疫病に対して遺伝子レベルで恐怖心が記憶されているからだと私は考えています」

遺伝子レベルの記憶云々はともかく、人は学ばないということは腹に落ちた。人間は絶望するほど愚かではないが、さほど賢くもない。それは真琴がここ数年で思い知らされた現実でもある。

「先行き、不安ですね」

「不安がっているうちは、まだ安全なのですよ」

キャッシーは脅すように言う。

 

こんな最低な思いで動くようなマスコミ関係者がいるとすれば、それに対応するのがとても難しく恐ろしいものだ。

234P

堪らず古手川は問い質す。人の心を弄ぶ尾山の本音を聞きたいと思った。

「ワタクシはヒトの本性を見たいのですよ。丹念に身体を洗い、入念な化粧をし、綺麗に着飾った上辺には何の興味もありません。誰しも裡に秘めて劣等感、物欲、金銭欲、支配欲、嗜虐性、嫉妬心、猜疑心、そして憎悪。そういうものを白日の下に晒してあげたいのですよ。そしてその対象は上流階級、セレブであればあるほど好ましい。お高くとまった彼ら彼女らの本性を暴く。大衆にはそれらを知る権利があります」

 

 <目次>

一 災厄

二 偽薬

三 困惑

四 混迷

五 宿痾

 

 

中山七里さん

1961年岐阜県生まれ。2009年『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しデビュー。幅広いジャンルを手がけ、斬新な視点と衝撃的な展開で多くの読者の支持を得ている。本シリーズの第一作『ヒポクラテスの誓い』は第5回日本医療小説大賞の候補作となり、WOWOWにて連続ドラマ化された。

はじめてWindows11を使う人のための入門書。

2024年10月にアップデートされた「24H2」に対応。

新機能やWindowsのAIチャット「Copilot」で変更された新しい使い方を解説している。

 

例えば、Copilot、OpenAIは、これから情報検索ではもっと頼って使っていきたいと思っています。

全く初めてではないけれども、パソコンを使用していてわかっているようでわからない作業があります。人にはなかなか聞けないものですよ。使っている時に訊かないと忘れてしまいます。アップデートで同じ11で何回も更新されておりその都度変更があったのです。もっと前に音声入力機能を知っていればラクに文章を作成できたのにと思います。

 

[Windows]+[H]キーを押すと音声認識機能が作動する音声での文字の入力や、仮想デスクトップ機能を使った複数のデスクトップ表示、さまざまなデータを交換できるパソコンとスマートフォンとの連携機能などは知りませんでした。

 

細かいところではデスクトップ上で貼れる「付箋」機能や、タスクバー設定でタスクバー配置位置をデフォルトの中央から左揃えにできるなど、もっと前に知っていたらよかったことや、すでに知っていてもよいようで知らなかったことありました。

気づかんかったことや知らないことがわかったので、今回あえて初心者向けのはじめて本を手に取って読めてよかったと思います。

 

 

 <目次>

はじめに

本書の使い方

1章 Windows11を使ってみよう

2章 スタートメニューから覚えるWindows11

3章 Windows11のアプリを起動して使ってみよう

4章 Copilot in Windowsを使ってみよう

5章 エクスプローラーを使ってファイル操作を覚えよう

6章 インターネットを楽しもう

7章 メールを使ってみよう

8章 パソコンの安全性を高めよう

9章 Windows11で音楽を楽しもう

10章 フォトアプリ

11章 Windows11のクラウドサービスを活用しよう

12章 Windows11の便利な機能を使ってみよう

13章 チャットやビデオ会議を使ってみよう

手順項目索引

 

 

戸内順一さん

東京理科大学理工学研究科修士課程を修了。現在、フリーのテクニカルライター

 

 

〈No1799】はじめてのWindows11 第4版2025年24H2対応 秀和システム(2025/01)

なりすましなどもありますが、きっかけのない人にはよい人と巡り合える画期的なツールです。マッチングアプリで知り合ったとしても、その後実際にリアルに顔を合わせることでしょう。リアルな五感を使った体験の積み重ねが、その人を魅力的に変えてくれると思います。

238P 利用する上で皆さんに何より心得てほしいことは、マッチングアプリはあくまで出会いの一つでしかないということ。

私たちの生活のメインはスマホの小さな画面ではなくその外側に広がる、リアルな大きな世界です。人と人とが目や顔を合わせながらコミュニケーションを取る中で、自然に相性の良い相手と出会う。そんな出会いも当然存在しています。是非そのことを忘れないでいてください。

 

順風満帆な平坦な道を歩くよりも、なにかしらトラブルがあったり、でこぼこな道で少し立ち止まったり少し寄り道をしてきた人のほうがいっしょにお話をしていて深みがあって楽しいものです。

ネガティブな出来事をポジティブに変換した、「捉え直しの法則」は経験上あります。人が成長するきっかけとなります。すでに克服しているからこそこう思えるのだと考えました。

234P ネガティブはポジティブに必ず変わる、捉え直しの法則

今ネガティブに感じている体験は、時が経過すればポジティブに捉え直すことができるということです。これは私は勝手に捉え直しの法則と呼んでいます。

過去を捉えなおす手法は、心理学においてもトラウマ体験のケアなどで使われます。

過去に起きたネガティブな出来事は、それ自体は心理的な負の遺産ではあるものの未来の自分の意識の持ちようによって、いくらでも意味を変えることが可能なのです。

236P 今を充実させよう

捉え直しの法則には、絶対的に必要なことがあります。

それは今を自分のやりたいことや楽しいことで充実させることです。パートナーや友人、仲間をつくることでもいいですし、仕事休みで満足する結果を出すなどなんでもいいです。

事実、過去に否定的に思った出来事を肯定的に捉え直したことで、多くの辛い出来事を乗り越えられてきた方々をたくさん見てきました。しかも苦難を乗り越えてきた方々のまあ楽しそうなことといったら!

失敗や後悔、苦労も全くなく人に語れることもないような人生はつまらないな、と思うことさえあります。ネガティブなことこそ、私たちの人生を豊かに彩ってくれるのです。

 

 

 <目次>

はじめに

第1章 今、結婚相手との出会い方が大きく変化している!

第2章 なぜ、マッチングアプリにハマるのか?

第3章 誰でも陥る マッチングアプリに潜む闇

第4章 利用者の声を赤裸々に!マッチングアプリ・ユーザーインタビュー

第5章 マッチングアプリで恋愛迷子にならないために

第6章 使い方を間違えなければ大丈夫!マッチングアプリとの上手な付き合い方

おわりに

 

 

香山リカさん

1960年、北海道札幌市生まれ。東京医科大学卒業。卒業後は精神科医として臨床に携わりながら、帝塚山学院大学教授、立教大学教授などを歴任。精神医学のほか幅広いジャンルで執筆活動を行い、多数の著書がある。2022年4月からむかわ町国民健康保険穂別診療所副所長となり、総合診療医としてへき地医療に携わる。

 

会話力を上げるための本であり、話し上手になるために読む本です。キャリアコンサルタントの相談者への対応がそもそもこれに当たるのではないかと思いました。

 

自分ではなくあなたが中心。うなずき、そうそう!相槌を打つ。笑顔で接する。反復、称賛、質問、共感する。聞く姿勢を整える、話は最後まで、相手の価値観を否定しない、アドバイス魔にならない、言葉の奥にある感情を聞く……等々。

 

 

38P 苦手な人とは可能な限り話さないようにすると決める

48P 合わない人とは会わない、話さない。人には合う合わないがある。合わない人と無理に付き合わない。

99P 人は本来話したい生き物である。相手の話す時間を削って自分の話をする人よりも、相手が話やすいように配慮する人、聞く力を持っている人のほうが、結果的に人に好かれる。相手に気持ちよく話させる。

136P 自分が言われて嫌なことを人に言わない。相手を否定しない。

 

 

 <目次>

はじめに 話し方は「もっと簡単に」うまくいく

第1章 話し方以前の大事なこと

第2章 心から好かれる人の話し方

第3章 また会いたくなる人の話し方

第4章 否定しない話し方

第5章 会話上手はコレに近づかない

第6章 これで会話がラクに楽しくなる

おわりに いい話し方がいい縁を作る

 

 

永松茂久さん

株式会社人財育成JAPAN代表取締役。大分県中津市生まれ。2001年、わずか3坪のたこ焼きの行商から商売を始め、2003年に開店したダイニング陽なた家は、口コミだけで毎年4万人(うち県外1万人)を集める大繁盛店になる。自身の経験をもとに体系化した「一流の人材を集めるのではなく、今いる人間を一流にする」というコンセプトのユニークな人材育成法には定評があり、全国で多くの講演、セミナーを実施。「人の在り方」を伝えるニューリーダーとして、多くの若者から圧倒的な支持を得ており、講演の累計動員数は延べ80万人にのぼる。2016年より、拠点を東京麻布に移し、現在は自身の執筆だけではなく、次世代の著者育成、出版コンサルティング、出版プロデュース、出版支援オフィス、講演、セミナーなど、数々の事業を展開する実業家である。

 

【No1797】人は話し方が9割2 1分でもっと人を動かし、100%好かれる話し方のコツ 永松茂久 すばる舎(2024/12)

 

腹八分の食事をとる、早寝早起き規則正しい生活を送る、適度な運動をするなど、病まない、ボケない、老いないように腸も健康的になるためには当たり前のことをするのです。

 

50歳までの若いうちは糖質を食べて細胞を大きくし活性化させるのが大事ではあるが、50歳からは、糖質が細胞の老化を進ませ活性酸素を加速させると主張されていました。

 

4P 人間の寿命を決めているのは、「ミトコンドリア」「テロメア」「長寿遺伝子」「腸内細菌」という、人体に存在する微小の物質たちです。

これらの物質は、すべての人の躰の中に備わっていて、私たちの食生活に影響されながら人間の生理機能を維持しようと働いています。

病気になるかどうかも、遺伝ではなく、日々の生活の中でこれらの4つの物質をうまく活性化できるかどうかにかかっているのです。

 

「清潔」は過ぎないことだ。身の回りにいる細菌にある程度触れることも健康維持のために必要という面白い論点だ。

227P 清潔にするほど免疫が落ちる?

最大の要因は、清潔すぎる社会環境にあります。抗菌・除菌グッズ、洗剤など、潔癖症と言えるまでの清潔志向が、薬品によって身の回りの細菌を排除し、免疫機能を鍛える機会を奪ってしまっているのです。

 

コーヒーフレッシュは、トランス脂肪酸の固まり。クリームや牛乳は全く入っていない。主成分はサラダ油で乳化剤や増粘剤カラメル色素などであり明らかに体にはよくないのです。

 

 

 <目次>

はじめに 人の躰は50歳を境に大きく変わる!

第1章 50歳からは、食べ方を変えなさい(人間の寿命はもともと100歳に設定されている、人体は「二つのエンジン」で動いている ほか)

第2章 寿命の回数券「テロメア」に効く食べ物(「人の寿命」はどのように決まるのか?寿命の回数券「テロメア」の秘密 ほか)

第3章 長寿遺伝子をオンにする食べ方(「長寿遺伝子のスイッチ」は50歳を過ぎないと入らない、老化の速度を遅らせるのが「長寿遺伝子」の働き ほか)

第4章 腸と心を充実させると、人はボケない(「ピンピンコロリ」は腸から、腸内細菌を増やして「介護のいらない体」になる ほか)

おわりに 足るを知り、今を大切に生きれば、人生は何歳になっても楽しい

 

 

藤田紘一郎さん

1939年、中国東北部(満州)に生まれる。東京医科歯科大学医学部を卒業し、東京大学大学院医学系研究科博士課程を修了。医学博士。金沢医科大学教授、長崎大学医学部教授を経て、東京医科歯科大学大学院教授を経て、同大学名誉教授。1983年に寄生虫体内のアレルゲン発見で小泉賞を受賞。2000年にヒトATLウイルス伝染経路などで日本文化振興会社会文化賞および国際文化栄誉賞を受賞。

 

【No1796】50歳からは炭水化物をやめなさい 病まない・ボケない・老いない腸健康法 藤田紘一郎 大和書房(2016/01)

ジェフ・ベゾス、イーロン・マスク、ティム・クック、ジャック・ドーシー、ミシェル・オバマ……。世界のトップクラスのこれらの方々に共通するのは、「朝型」ということです。なにか行動で彼らの真似をすることができないものか。

一日24時間は、誰にでもみんな平等に与えられています。しかし、その時間をどう使うのかは、その人の考え方や行動次第です。

このなかで「ひとり時間」は大切です。とくに早朝が最適で最高です。心に余裕をもってやりたいことができるし目標に向かって打ち込めるボーナスタイムだ。

新聞、読書、散歩、趣味、技能試験勉強等々で、僕は、思い切り毎早「朝活」して実践しています。それらの結果がだんだんと積み重なってきています。嬉しいし楽しいですね。

8P 朝の時間をどう活用するかで、その日にできることや自分が得られる機会が変わってくる。明け方起床によって、人生のボーナスタイムを手に入れる

 

 

 <目次>

グローバルリーダーたちの朝の過ごし方

プロローグ 早く起きるだけで、もっといい人生が送れるのなら

1 明け方は裏切らない

2 朝4時30分、新しい自分に出会う

3 少しずつ成長する方法

4 人生を変えるモーニングプランナー

エピローグ 明け方は、変化の種を蒔く時間!

参考文献

特別付録

 

 

キムユジンさん

米国ニューヨーク州、ジョージア州2州の弁護士資格を持つ弁護士。韓国生まれ、ニュージーランド育ち。米国ミシガン州立大学で学士号を取得。エモリー大学ロースクールに進み、卒業後、難関である米国司法試験(BAR)への合格を果たす。学生時代から現在に至るまで、早朝に起き、時間を有効活用することで挫折を乗り越え、多くの目標を達成してきた。その早起きルーティンをYouTubeで公開したところ、累積アクセス数1000万、フォロワー20万人を獲得。韓国国内に「早起きブーム」を起こし、パワーインフルエンサーとなる。現在は韓国国内の大手企業で社内弁護士として活動中

 

小笠原藤子さん

上智大学大学院ドイツ文学専攻「文学修士」。慶應義塾大学・國學院大學他でドイツ語講師を勤めながら韓国語翻訳に精力的に取り組むかたわら、大学等での講演や、韓国雑貨販売サイト運営など活躍の場を広げている。

 

 

【No1795】朝イチの「ひとり時間」が人生を変える キム・ユジン 訳・小笠原藤子 文響社(2023/04)

「さまざまな女性たちのこころによりそう恋愛小説で共感を得ている」という作家さん。

金沢城を真ん中にして、南の犀川がおとこ川、北の浅野川がをんな川と呼ばれている。二つの川は一度も相容れぬまま海に流れ着く。まさに男と女そのもの。

金沢弁の方言のひとつひとつがしみじみと深く懐かしく感情移入することとなった。様々な生い立ちで芸妓になった者が逞しく美しく生き抜いていく姿に惹かれて心が揺れてしまった。

唯川恵さんは、金沢市出身の小説家。

著者の故郷、ひがしの茶屋街に芸妓の朱鷺の色が映えた。

294P

「覚悟ですか……」朱鷺が呟く。

「それって、どんな時に決められるもんやろ」とトンボも考え込む。

時江はほほを緩めた。

「いまはわからんかもしれんけど、その時が来たらわかる。ああ、これが覚悟を決めることやって、そういう時が来るさけ、その時はしっかり肚をくくるんやぞ」

そして、時江は残りの蜜豆をするすると口にして、「ごちそうさん。おいしかった。また一緒に食べに来ような」と、少女のように顔をくしゃくしゃにした。

 

 <目次>

おとこ川をんな川

かそけき夢の音

荻の風吹く

雪夜の狼

満ちぬ月

名残の雨

陽の道

 

唯川恵さん

1955年、金沢市生れ。銀行勤務などを経て、84年「海色の午後」でコバルト・ノベル大賞を受賞し、作家デビュー。さまざまな女性たちの心に寄り添う恋愛小説、エッセイで多くの読者の共感を得ている。2002年『肩ごしの恋人』で直木賞、08年『愛に似たもの』で柴田錬三郎賞を受賞

リア充、リアルな世界で安定した職業を持ち結婚して子どもを育てる豊かな生活を築ける人と、努力しても豊かな生活を築ける見通しが持てない人で、希望格差社会でバーチャルな世界で格差を埋めていく人。こんな方向へと令和は分裂が進行していく!

将来を展望するとこれからの日本は、「みんな!一緒に!少しずつ!幸せに衰退していく」と予想されている。経済の停滞や女性活躍の低迷、少子高齢社会が加速度的に進行、格差社会の進展しているなかであながち嘘ではない気がする。

「婚活」や「希望格差」、「パラサイト・シングル」などの言葉を世に出して広めたのはこの山田昌弘さん。いわゆる大学の教授など先生が記す書物は、専門用語が多く比較的硬い文章で内容が難しいものが多いようだが、山田さんはそうではなく読みやすくわかりやすく書かれていた。

昭和から続いている「日本型雇用慣行」、「性別役割分業型家族」などを前提とした諸制度の抜本的な改革をすれば、日本が経済的に大きく発展する可能性があると予想されていたが、現状を大きく変えるような改革を国民がこころから望んでいるのかは疑問である。現状維持(だんだんと衰退していく!?)でよいような空気感で漂っているように思われる。

 

2P

私の分析は楽観的なものではない。格差は広がるだけでなく、固定化し、経済的に行き詰まりを見せている。しかし、人々は大きな不満を持つわけでもなく、幸福な生活を送っているようにみえる。実際に、様々な意識調査で、平成期に人々の生活満足度は上昇している。特に格差拡大の被害を最も受けているはずの若者の幸福度が上昇している。格差拡大、経済停滞と人々の幸福感の高まり、このギャップを「幸せに衰退する」と私は表現した。その秘密は、人々がリアルな世界ではなく、「バーチャルな世界」で満足を得る方法を見出すようになったからと考えている。リアルな世界では、生活は豊かにならず、経済的越えがたい格差が存在している。しかし、バーチャルな世界(ペット、ソーシャル・ゲーム、アイドルの推し活など)に意識を向けさえすれば、平等で希望にあふれた世界を体験することができる。

本書では、まず、平成時代の日本社会において、様々な格差がどのように拡大してきたかを分析する。希望という観点から、社会をみる視点を開設し、その人々の希望が戦後、昭和時代から現在に至るまでどのように変遷していったかを考察する。平成期に進行したバーチャルな世界の広がりが、リアルな世界の格差を埋めるように機能しているロジックを解説し、それらの点で、平成時代が江戸時代後期の日本社会と類似している点を指摘する。

 

 

 <目次>

まえがき

第1章 平成時代に生じた「4つの負のトレンド」

第2章 世界経済の構造転換と「4つの負のトレンド」の発生

第3章 生活者視点から「格差問題」を考える

第4章 格差社会の変遷―過去・現在・未来

第5章 令和の格差社会の形成

第6章 バーチャルで格差を埋める時代

第7章 江戸時代化する?令和日本

第8章 幸せに衰退するニッポン―令和日本のゆくえ

あとがき

参考文献

 

 

山田昌弘さん

1981年、東京大学文学部卒業。1986年、東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。現在、中央大学文学部教授。専門は家族社会学。親子・夫婦・恋人などの人間関係を社会学的に読み解く試みを行っている。学卒後も両親宅に同居し独身生活を続ける若者を「パラサイト・シングル」と呼び、2004年には『希望格差社会』を刊行し「格差社会」という言葉を世に浸透させたことでも知られる。また、「婚活」という言葉を世に出し、婚活ブームの火付け役ともなった。

養老さんがこのいまの世の中で求められているのではないか。祖父や父のような立ち位置の人で、街にいる赤の他人に対してはっきりと苦言を呈してくれる機会が少なくなってきたように思う。大人になり年齢が上がるにつれて、たとえ聞く耳を持っていたとしても自分のために腹を割って率直に話してくれる人が少なくなってくるからだろう。

 

例えばかつてあった三世代同居を思い浮かべると、祖父が孫に説教をするような関係はある意味健全な社会であった。相手のことを想いつつ良くないものは良くないし悪いものは悪いということを知らしめる役割が必要であったろう。世代間で問い合わせる時間は深い意味があった。この普遍的な考えは、過去から現在、未来へと時が移っても変わっても変わらない。ということは、現代にも十分活きてくるのではないかと。

 

日本に住んでいて関わった外国人からよく言われることだ。「日本人は子供を産まないといけない」子どもが少ないと活気がなくなると。いまの日本は「危急存亡の秋」か。

この少子化の状態からすると、日本人が存続を諦めた状態であると書かれてあった。この主張はやや頷くことができるが、座視しているだけでなくなにか前向きに行動しなければジリ貧となる傾向だとあたまのなかに入ってくるだけだった。

 

76P

保育園の必要性を私は重々認めている。ただ気になるのはその哲学というか、動機というか、そのあたりのことである。その何が気になるのか。まずいちばん大きな背景は、少子化の根本原因と関係している。少子化ということは、多くの人が子どもはいらないと思っているということである。

そんなことはない。子育てに適切な環境がないのだ。そういう意見も当然あろう。しかし子育てをしなければ、人類はそもそも存続しない。少なくとも日本社会の存続を考えるなら、環境が悪いから子育てができないというのは理由にならない。そんなことを理由にして、子育てを実行しないのであれば、もはや日本人が自分たちの存続をあきらめたとしか、いいようはないではないか。子育てのほうが、本来は環境よりも優先するはずなのである。

(中略)

つまり現代のわれわれは、日本の将来について、悲観的なのである。それは世論調査にも明瞭に出た。子どもたちは、我々よりも悪い時代を生きる。そう思っている人が、たしか八割を超えていたはずである。大人が未来をそれだけ悲観的に見ていれば、子育てに人気がなくて当然である。

 

 <目次>

1 身体を考える―脳はそんなにエライのか(田舎は消えた、メメント・モリ ほか)

2 学びを考える―知識だけでは身につかない(学習とは文武両道である、教育を受ける動機がない ほか)

3 個性を考える―オリジナリティーよりも大切なこと(人格の否定、人生安上がり ほか)

4 社会を考える―たった一人の戦争(歴史、ありがたき中立 ほか)

二十年後のQ&A

あとがき 世間がそうなっているのは、理由がある

編者解説 鵜飼哲夫

 

 

養老孟司さん

1937年鎌倉市生まれ。東京大学医学部を卒業後、解剖学教室に入る。東京大学大学院医学系研究科基礎医学専攻博士課程を修了。助手・助教授を経て81年より東京大学医学部教授、95年退官。96年から2003年まで北里大学教授。東京大学名誉教授。1989年『からだの見方』でサントリー学芸賞、2003年『バカの壁』で毎日出版文化賞特別賞を受賞

 

鵜飼哲夫さん

1959年名古屋市生まれ。中央大学法学部法律学科卒業後の83年、読売新聞社に入社。91年から文化部記者として文芸、書評を主に担当する。2013年から編集委員

 

 

【No1792】わからないので面白い 僕はこんなふうに考えてきた 養老孟司 鵜飼哲夫 中央公論新社 (2024/11)

たったひとりの読者に向けて、届くべき人のところに届きますようにと願いながら。

小説家という人たちは、人生が変わるような文章を提供し続けている。

日下部伸次郎の奥様多恵さんは、わからないとは言いながらほんとうに大切なことを理解していたのだった。

ぼくは、この小説家の視点の4章「夢は静か」が読んでいて心地よかったし好きだ。

終わりに、彼が山川英吾賞(直木賞か芥川賞のようなもの!?)を受賞できてよかったと思う。栄えある賞にノミネートされた作家さんは、受賞前にはゲン担ぎをし神妙な気持ちになるのかと推測できたのは良い機会であった。

人生に迷いを感じる人々と銀座の街に迷い込んだおとぎ話の王子との出会いから心に響くメッセージに溢れていた短編集だった。

 

155P

「原稿、書いてたの?苦戦中?」

そののんきさにちょっとイラついて、俺はつっけんどんに答えた。

「うん、まあ、読めば三分で終わるような短い話だけど」

「そうなんだ」

多恵はいつものように「よくわからないけど」を前置きし、こう続けた。

「だけどその三分間の間に、あなたが書いた一行で人生が変わる人がいるかもしれないんでしょう?」

 

 

 <目次>

プロローグ

1章 恋は愚か

2章 街は豊か

3章 嘘は遥か

4章 夢は静か

5章 君は確か

エピローグ

 

 

青山美智子さん

1970年生まれ。愛知県出身。大学卒業後、シドニーの日系新聞社で記者として勤務。2年間のオーストラリア生活ののち帰国、上京。出版社で雑誌編集者を経て執筆活動に入る。デビュー作『木曜日にはココアを』が第1回宮崎本大賞を受賞。『猫のお告げは樹の下で』が第13回天竜文学賞を受賞。『お探し物は図書室まで』(2位)、『赤と青とエスキース』(2位)、『月の立つ林で』(5位)、『リカバリー・カバヒコ』(7位)と2021年から4年連続で本屋大賞にノミネートされる。