朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~ -18ページ目

朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

リア充、リアルな世界で安定した職業を持ち結婚して子どもを育てる豊かな生活を築ける人と、努力しても豊かな生活を築ける見通しが持てない人で、希望格差社会でバーチャルな世界で格差を埋めていく人。こんな方向へと令和は分裂が進行していく!

将来を展望するとこれからの日本は、「みんな!一緒に!少しずつ!幸せに衰退していく」と予想されている。経済の停滞や女性活躍の低迷、少子高齢社会が加速度的に進行、格差社会の進展しているなかであながち嘘ではない気がする。

「婚活」や「希望格差」、「パラサイト・シングル」などの言葉を世に出して広めたのはこの山田昌弘さん。いわゆる大学の教授など先生が記す書物は、専門用語が多く比較的硬い文章で内容が難しいものが多いようだが、山田さんはそうではなく読みやすくわかりやすく書かれていた。

昭和から続いている「日本型雇用慣行」、「性別役割分業型家族」などを前提とした諸制度の抜本的な改革をすれば、日本が経済的に大きく発展する可能性があると予想されていたが、現状を大きく変えるような改革を国民がこころから望んでいるのかは疑問である。現状維持(だんだんと衰退していく!?)でよいような空気感で漂っているように思われる。

 

2P

私の分析は楽観的なものではない。格差は広がるだけでなく、固定化し、経済的に行き詰まりを見せている。しかし、人々は大きな不満を持つわけでもなく、幸福な生活を送っているようにみえる。実際に、様々な意識調査で、平成期に人々の生活満足度は上昇している。特に格差拡大の被害を最も受けているはずの若者の幸福度が上昇している。格差拡大、経済停滞と人々の幸福感の高まり、このギャップを「幸せに衰退する」と私は表現した。その秘密は、人々がリアルな世界ではなく、「バーチャルな世界」で満足を得る方法を見出すようになったからと考えている。リアルな世界では、生活は豊かにならず、経済的越えがたい格差が存在している。しかし、バーチャルな世界(ペット、ソーシャル・ゲーム、アイドルの推し活など)に意識を向けさえすれば、平等で希望にあふれた世界を体験することができる。

本書では、まず、平成時代の日本社会において、様々な格差がどのように拡大してきたかを分析する。希望という観点から、社会をみる視点を開設し、その人々の希望が戦後、昭和時代から現在に至るまでどのように変遷していったかを考察する。平成期に進行したバーチャルな世界の広がりが、リアルな世界の格差を埋めるように機能しているロジックを解説し、それらの点で、平成時代が江戸時代後期の日本社会と類似している点を指摘する。

 

 

 <目次>

まえがき

第1章 平成時代に生じた「4つの負のトレンド」

第2章 世界経済の構造転換と「4つの負のトレンド」の発生

第3章 生活者視点から「格差問題」を考える

第4章 格差社会の変遷―過去・現在・未来

第5章 令和の格差社会の形成

第6章 バーチャルで格差を埋める時代

第7章 江戸時代化する?令和日本

第8章 幸せに衰退するニッポン―令和日本のゆくえ

あとがき

参考文献

 

 

山田昌弘さん

1981年、東京大学文学部卒業。1986年、東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。現在、中央大学文学部教授。専門は家族社会学。親子・夫婦・恋人などの人間関係を社会学的に読み解く試みを行っている。学卒後も両親宅に同居し独身生活を続ける若者を「パラサイト・シングル」と呼び、2004年には『希望格差社会』を刊行し「格差社会」という言葉を世に浸透させたことでも知られる。また、「婚活」という言葉を世に出し、婚活ブームの火付け役ともなった。

養老さんがこのいまの世の中で求められているのではないか。祖父や父のような立ち位置の人で、街にいる赤の他人に対してはっきりと苦言を呈してくれる機会が少なくなってきたように思う。大人になり年齢が上がるにつれて、たとえ聞く耳を持っていたとしても自分のために腹を割って率直に話してくれる人が少なくなってくるからだろう。

 

例えばかつてあった三世代同居を思い浮かべると、祖父が孫に説教をするような関係はある意味健全な社会であった。相手のことを想いつつ良くないものは良くないし悪いものは悪いということを知らしめる役割が必要であったろう。世代間で問い合わせる時間は深い意味があった。この普遍的な考えは、過去から現在、未来へと時が移っても変わっても変わらない。ということは、現代にも十分活きてくるのではないかと。

 

日本に住んでいて関わった外国人からよく言われることだ。「日本人は子供を産まないといけない」子どもが少ないと活気がなくなると。いまの日本は「危急存亡の秋」か。

この少子化の状態からすると、日本人が存続を諦めた状態であると書かれてあった。この主張はやや頷くことができるが、座視しているだけでなくなにか前向きに行動しなければジリ貧となる傾向だとあたまのなかに入ってくるだけだった。

 

76P

保育園の必要性を私は重々認めている。ただ気になるのはその哲学というか、動機というか、そのあたりのことである。その何が気になるのか。まずいちばん大きな背景は、少子化の根本原因と関係している。少子化ということは、多くの人が子どもはいらないと思っているということである。

そんなことはない。子育てに適切な環境がないのだ。そういう意見も当然あろう。しかし子育てをしなければ、人類はそもそも存続しない。少なくとも日本社会の存続を考えるなら、環境が悪いから子育てができないというのは理由にならない。そんなことを理由にして、子育てを実行しないのであれば、もはや日本人が自分たちの存続をあきらめたとしか、いいようはないではないか。子育てのほうが、本来は環境よりも優先するはずなのである。

(中略)

つまり現代のわれわれは、日本の将来について、悲観的なのである。それは世論調査にも明瞭に出た。子どもたちは、我々よりも悪い時代を生きる。そう思っている人が、たしか八割を超えていたはずである。大人が未来をそれだけ悲観的に見ていれば、子育てに人気がなくて当然である。

 

 <目次>

1 身体を考える―脳はそんなにエライのか(田舎は消えた、メメント・モリ ほか)

2 学びを考える―知識だけでは身につかない(学習とは文武両道である、教育を受ける動機がない ほか)

3 個性を考える―オリジナリティーよりも大切なこと(人格の否定、人生安上がり ほか)

4 社会を考える―たった一人の戦争(歴史、ありがたき中立 ほか)

二十年後のQ&A

あとがき 世間がそうなっているのは、理由がある

編者解説 鵜飼哲夫

 

 

養老孟司さん

1937年鎌倉市生まれ。東京大学医学部を卒業後、解剖学教室に入る。東京大学大学院医学系研究科基礎医学専攻博士課程を修了。助手・助教授を経て81年より東京大学医学部教授、95年退官。96年から2003年まで北里大学教授。東京大学名誉教授。1989年『からだの見方』でサントリー学芸賞、2003年『バカの壁』で毎日出版文化賞特別賞を受賞

 

鵜飼哲夫さん

1959年名古屋市生まれ。中央大学法学部法律学科卒業後の83年、読売新聞社に入社。91年から文化部記者として文芸、書評を主に担当する。2013年から編集委員

 

 

【No1792】わからないので面白い 僕はこんなふうに考えてきた 養老孟司 鵜飼哲夫 中央公論新社 (2024/11)

たったひとりの読者に向けて、届くべき人のところに届きますようにと願いながら。

小説家という人たちは、人生が変わるような文章を提供し続けている。

日下部伸次郎の奥様多恵さんは、わからないとは言いながらほんとうに大切なことを理解していたのだった。

ぼくは、この小説家の視点の4章「夢は静か」が読んでいて心地よかったし好きだ。

終わりに、彼が山川英吾賞(直木賞か芥川賞のようなもの!?)を受賞できてよかったと思う。栄えある賞にノミネートされた作家さんは、受賞前にはゲン担ぎをし神妙な気持ちになるのかと推測できたのは良い機会であった。

人生に迷いを感じる人々と銀座の街に迷い込んだおとぎ話の王子との出会いから心に響くメッセージに溢れていた短編集だった。

 

155P

「原稿、書いてたの?苦戦中?」

そののんきさにちょっとイラついて、俺はつっけんどんに答えた。

「うん、まあ、読めば三分で終わるような短い話だけど」

「そうなんだ」

多恵はいつものように「よくわからないけど」を前置きし、こう続けた。

「だけどその三分間の間に、あなたが書いた一行で人生が変わる人がいるかもしれないんでしょう?」

 

 

 <目次>

プロローグ

1章 恋は愚か

2章 街は豊か

3章 嘘は遥か

4章 夢は静か

5章 君は確か

エピローグ

 

 

青山美智子さん

1970年生まれ。愛知県出身。大学卒業後、シドニーの日系新聞社で記者として勤務。2年間のオーストラリア生活ののち帰国、上京。出版社で雑誌編集者を経て執筆活動に入る。デビュー作『木曜日にはココアを』が第1回宮崎本大賞を受賞。『猫のお告げは樹の下で』が第13回天竜文学賞を受賞。『お探し物は図書室まで』(2位)、『赤と青とエスキース』(2位)、『月の立つ林で』(5位)、『リカバリー・カバヒコ』(7位)と2021年から4年連続で本屋大賞にノミネートされる。

自らの才能に気づき、才能を磨き、才能を活かすためのきっかけになれば。

サッカー選手として頂点を極めた中村さんが語る内容から凡人でもなにかきらめきがある大切なヒントがもらえればと手に取りました。サッカーを目指して頑張っている人が読むことができれば、さらに直接的にサッカーの取り組み方や心構えなど重要な視点が得られると思います。

元サッカー日本代表であり18年間川崎フロンターレで活躍した中村憲剛さん。彼の前線に送る華麗なスルーパスはぼくの記憶の中にあります。

挫折には縁がないと思われる彼にも、中学や高校などではもがき苦しんだ数々のエピソードがありました。

120P

ピンチを乗り越えれば、選手としての引き出しがひとつ増える。ピンチは実は成長するチャンスであり、苦しい時にどうあがけるか。この「発想の転換」に気づけるかが、とても重要です。プロサッカー選手やその予備軍に限らず、子どもたちも、中高生も、です。

 

「好きこそものの上手なれ」

191P できないをできるにする

小さな才能をたくさんかけ合わせて、プロの世界で何とか頑張ることができた僕に、誰かに誇れる才能があるとしたら。サッカーをとことん好きでいられることです。

苦しいことも辛いこともたくさんあるけれども、それも自分が成長する糧だと思えば乗り越えられる。乗り越えて、もっとうまくなろうと思う。サッカーに関することなら、どんなことでも苦にならない。それが、中村憲剛を支えた最も大きな「才能」だった気がします。才能に気づく、磨く、いかすために、「考える力」が必要だと繰り返し書いてきました。

 

 

 <目次>

はじめに 

1 「才能」とは何なのか

2 天才少年はなぜ消える?

3 変わることを恐れるな

4 自分のやり方を探せ

5 ブレイクの理由

6 才能の方程式

おわりに 

 

 

中村憲剛さん

1980年10月31日、東京都生まれ。東京都立久留米高等学校を卒業後、中央大学に進学。4年時は主将として関東大学サッカーリーグ2部優勝を果たし1部に復帰。2003年、テスト生として参加していた川崎フロンターレに正式加入し、04年にトップ下からボランチへコンバート。この年、J2で優勝し、J1に昇格した。06年、A代表に初選出される。同年、Jリーグベストイレブンにも選出され、以降5年連続を含め、計8回ベストイレブンに選出。10年、南アフリカワールドカップに出場。16年、歴代最年長の36歳でJリーグ年間最優秀選手賞を獲得した。21年に現役引退。国際Aマッチは68試合出場6得点

インパクトがある表紙だ!

「『昭和』の夢の跡を振り返る一冊」

古市憲寿さんは、大衆に迎合することなく物事を冷静に客観的に見て判断する人だと読んでいて思った。

小気味よい。はっきりと語っている彼の主張は読んでいて気持ちがよい。

 

国内外を飛び回り現地で取材をしているほど相当な熱量を感じた。直近に開催された万博跡地を自分の足を運んで目で見て調査し肌でつかんだ情報を知らせてくれているので意味がよく伝わってくる感覚があった。

 

古き良き時代であった昭和は、大きなイベントが起爆剤となるなど人口の増加や経済が成長していた時代であった。セビリアやミラノなど直近の万博開催後の状況を見てみるとよくわかる。今世ではそれらは簡単に見込めないし望めない。オリンピックや万博でインパクトあった過去の昭和の亡霊に憑かれているのはよくないことが伝わってくる。

 

もうすでに取り返しがつかず気づくのも全く遅い感がある。

しかしいまが一番早いのだ。

例えば、人口減少鈍化対策のために結婚する人を増やして子ども安心して産めるようにすることだ。超異次元の人口を増やす対策をしなくてはいけないと、たとえ古市さんに言われなくてもリーダーシップ取って目に見える行動をして成果を生みださなければ……。

 

 

◎271P 確実な未来予測を無視した日本

出生率や死亡率に多少の増減はあるものの、人口は急な変化がないため、数十年先のことが予測しやすい。逆に言えば、数十年単位の未来予測をする場合、人口以外に信頼に足るデータはない。つまり未来予測の基本は人口なのだ。

大まかにいって、経済が発展しやすいのは「若者が多い国」である。まず消費者としての若者が多いとモノが売れる。一方で労働者が豊富なので人件費は安く抑えられる。さらに医療・年金など社会保障費の負担も少なく済む。いいことずくめのこの時期は「人口ボーナス期」と呼ばれる。

もし2000年時代の日本が本当に「未来」を見据えていたならば、何としてでも「異次元の少子化対策」に踏み切るべきだった。だが少子化が社会に影響を与えるのは文字通り「未来」である。子どもが生まれてから、労働者や消費者として育つには約20年かかる。少子化対策は後回しにされ、介護保険法の準備など、高齢社会への対応が急務とされた。

最も確実な未来予測である人口を無視し続けた日本は、高齢社会への道を突き進んでいる。

 

 

291P 

思えば、1990年代というのはこの国にとって分水嶺でもあった。もしもあの時、公共事業によって「昭和」の延命を図っていなければ、もしもあの時、人口動態の変化に危機感を抱き、本格的な少子化対策を打ち出せていれば、もしあの時、きちんと「昭和」と決別できていれば、日本は随分と違った世界観を歩むことになっていただろう。

この本の主題である「昭和100年」もまるで別物になったはすだ。

 

 <目次>

はじめに 

1章 昭和100年の万博

2章 それでも人類は宇宙を目指す

3章 東京オリンピック 大冒険の終わり

幕間 戦後100年

4章 近代が夢見たユートピア

5章 「昭和」は終わらない

あとがき

謝辞

 

 

古市憲寿さん

1985年、東京都生まれ。社会学者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員。日本大学藝術学部客員教授。日本学術振興会「育志賞」受賞

例えば、スライド順を覚えるまで繰り返し練習する、話し始めは大きな声で目を大きく開けてゆっくりと話す、全員ではなくうなづいて聞いてくれるあるひとりの人に向かって話をするなど、緊張せずに人前で話すことができるよい実例も示してくれていました。

 

この4つの力をすべて持っていれば最強だ。

27P コミュニケーションに必要なのは4つの力

1 自分の言いたいことを「言葉で伝える力」

相手に伝えたい情報を簡潔かつ効果的に伝えるために重要な力です。

2 自分の言いたいことを「言葉以外で伝える力」

非言語コミュニケーション。身振り手振りなどのジェスチャーや文章化、資料作成、表情、視線などをうまく活用することで言葉を使わずに強力かつ効果的にメッセージを伝えることができる。微妙なニュアンスを表現したいときに有効。

3 相手の気持ちや本当の思いを「洞察する力」

相手が発する言葉や行動の裏側にある本当の気持ちや意図を理解しようとする能力。相手の気持ちを汲み取ることや真の思いを見抜くことができる。

4 相手の言葉を「聴く力」

コミュニケーションがスムーズとなり信頼関係や人間関係が深まる。問題解決や協力関係が必要な場面で重要な役割を果たす。

 

プレゼン時、大いに役に立てられる方法だ。

53P クリアで伝わるメッセージの作り方

1 難しい言葉を使わない。わかりやすい言葉を使う。

2 長い文章にしない。短いほど伝わりやすい。

3 できるだけ数値化して話す。あいまいな言葉を使わない。

4 具体的な例や数字、データを使う。メッセージの信頼性が高まる。受け手がイメージしやすくなり理解が深まる。説得力も増す。

5 受け手の視点に立つ。相手の興味関心や価値観など相手を理解する。

 

目的を明確にして話すことを目指したい。

62P 話す前にやるべき準備

何のために話すのか、話そうとしているのか、話す目的を明確にすることです。次に、メインメッセージを明確にし準備する。

 

 

 <目次>

はじめに

プロローグ 言ってる意味がわからないと言われてしまう問題の正体

第1章 コミュニケーションの基礎

第2章 Aタイプ 言葉によるコミュ力を高めたい

第3章 Bタイプ 言葉以外でコミュ力を高めたい

    (1)資料活用編 (2)ジェスチャー編

第4章 Cタイプ プレゼン力を高めたい

第5章 Dタイプ 1対1力を高めたい

最終章 コミュ力の継続的な磨き方

おわりに

 

【No1788】一流のリーダーが磨く伝え上手聞き上手のメソッド ヤフーの管理職1500人が学んだ極意 寺下 薫 日経BP(2024/11)

新人作家、書評家、文学賞がほしい中堅作家、小説教室講師、ゴーストライターなど、小説に関して起こした数々の事件に毒島が顔を出して問題を解決していくストーリー。

この作家兼業刑事の毒島は、彼らに対して超のつくほどに毒舌だった。

炎上商法でベストセラーを目指す新人作家、

文学系インフルエンサーに対抗心を燃やす書評家、

実績もないのに小説教室で荒稼ぎする講師 等々。

文芸界が生んだ承認欲求モンスターを毒舌で退治しろ!

 

はたまた中山七里さんを読んでしまった。どれだけ好きなんだよ。

 <目次>

一 予選を突破できません

二 書籍化はデビューではありません

三 書評家の仕事がありません

四 文学賞が獲れません

五 この世に神様はいません

 

 

【No1787】作家刑事毒島の暴言 The abusive language of“BUSUJIMA”,the Writer Detective 中山七里 幻冬舎(2024/09)

日頃会話をしているなかで、言葉のすれ違いや誤解がある。

例えば、「大丈夫です」、「いいです」、「結構です」、「冷房を上げてください」など。

これらには、前後関係がなくてそれだけではこれが肯定しているのか、それが否定しているのかどちらにも意味がとれるのでよくわからない。

お互いが反対の意味で言葉を受け取ってしまうとトラブルが生じる。それをできる限り防ぎたい、曖昧さの要因をわかっていれば相手が何を言いたいのか推察もできる。

曖昧さをすべてなくすのは難しいが、それを理解した上で発信したり受信したりできればSNS上でのトラブルも減るだろう。その曖昧さを逆手に取った言葉遊びを楽しむこともできるだろう。

 

文章を作成する際はできるだけ推敲したい。

 

日本語の曖昧さを、実例により解説した本だった。

普段何気なく使っている言葉がじつは曖昧だったことがわかった。曖昧であるが故に本人が話したつもりであっても、聞いた側は必ずしも話した本人と同じ意味で理解しているとは限らない。話している時は前後関係や文脈などで理解していることもあるが、抜き出してみると曖昧なやり取りをしていることに気づかされることが多いと感じた。

 

第三者の視点を持つ、多面的に考えるなど、曖昧な言葉を察知するためには、物事を客観視することだ。この態度が日ごろの文書を作る際にも当てはまることを知ってうれしい。

6P

言葉のすれ違いを察知し、ある程度の対処ができるようになるには、言葉を「多面的に見る」ことが必要になってきます。その際に役立つのは、曖昧さがどういうときに起こるかについての知識です。曖昧さの要因が頭に入っていれば、「もしかしたら私の言葉は誤解を与えるかも」とか、「もしかしたら相手は、私が思っているのと違う意味でこう言っているのかも」などと考える余裕が出てきます。

本書では、言葉のすれ違いの事例を紹介し、それらをもとに言葉の複雑さや面白さを紹介していきたいと思います。本書で目指しているのは、読者の皆さんが言葉の曖昧さに少し敏感になり、言葉のすれ違いを早めに察知できるようになることです。同時に、言葉をさまざまな角度から眺める経験を、頭のエクササイズのような感覚で気軽に楽しんでほしいと思います。

 

216P 第三者の目を入れる

重要な文書の場合は、誤解を避けるために公開する前に第三者に見てもらうのが良いでしょう。どんな巧みな書き手でも、言葉の曖昧さからは逃げられません。言葉を発する側は、自分の言いたいことが明確に分かっている分、自分が使う言葉の「それじゃない方」の解釈に気付きにくくなります。こういうとき、他の人に読んでもらうと、誤解を招きそうな個所が見つかりやすくなります。できるだけ多くの人の知恵を借りるのが得策です。

 

 

 <目次>

はじめに 本書を手に取ってくださった皆様へ

1 「シャーク関口ギターソロ教室」―表記の曖昧さ

2 「OKです」「結構です」―辞書に載っている曖昧さ

3 「冷房を上げてください」―普通名詞の曖昧さ

4 「私には双子の妹がいます」―修飾語と名詞の関係

5 「政府の女性を応援する政策」―構造的な曖昧さ

6 「二日、五日、八日の午後が空いています」―やっかいな並列

7 「二〇歳未満ではありませんか」―否定文・疑問文の曖昧さ

8 「自分はそれですね」―代名詞の曖昧さ

9 「なるはやでお願いします」―言外の意味と不明確性

10 曖昧さとうまく付き合うために

おわりに 曖昧さは悪いものではない

あとがき

問題の答え

 

 

川添愛さん

1973年生まれ。言語学者、作家。九州大学文学部卒業、同大大学院にて博士(文学)取得。2008年、津田塾大学女性研究者支援センター特任准教授、12年から16年まで国立情報学研究所社会共有知研究センター特任准教授。専門は言語学、自然言語処理。

言葉ひとつで人生は変わるもの。前向きな言葉、いい言葉を選び、使い続けるだけで、人生は簡単に好転します。

成功をつかんだ人、人生がうまくいっている人は、対話のなかで「わたしは運がいい」を口にする。

 

141P 誰にも教わってない → 勉強になるなあ

 どんなことからでも学ぶことができる。学ぶ姿勢を持ち続ける人こそが幸せ!

 

嫌いだな → 好きじゃないな

面倒ばかり回ってくるな → 期待されているんだ

意味がわからない → その発想はなかった!

説教してきてうっとうしいな → はっきり言ってくれてありがたいな

わたしががんばったんです → あの人のおかげです

 

他人は変えられません。

でも自分の言葉使いや行動は、すぐ変えることができます。

発する言の葉は、言霊です。

言葉には力があります。

言葉一つで幸せになれるのならば、いまから使えばよいという考えに共感しました。

 

 <目次>

はじめに 運がよくなる「最強のひとこと」

1 毎日にプラスを増やす(世の中を見る視点「おもしろい!」愚痴を言いたくなったら「だったら、こうしてみよう」 ほか)

2 人生は「他人」でできている(人への向き合い方「おもしろい人だな」社会での立ち振る舞い「周りとうまくやっていこう」 ほか)

3 動けば運もついてくる(ものごとに取り組む姿勢1「どうせならやってみよう」ものごとに取り組む姿勢2「勉強になるなあ」 ほか)

4 向き合い、認め、前に進む(「過去」と向き合う1「昔の自分はだめだったな」「過去」と向き合う2「過去のおかげでいまがあるんだ」 ほか)

おわりに

 

 

ゲッターズ飯田さん

これまで7万人を超える人を無償で占い続け、「人の紹介がないと占わない」というスタンスが業界で話題に。20年以上占ってきた実績をもとに「五星三心占い」を編み出し、芸能界最強の占い師としてテレビ、ラジオに出演するほか、雑誌やwebなどにも数多く登場する。メディアに出演するときは、自分の占いで「顔は出さないほうがいい」と出たことから赤いマスクを着けている。LINE公式アカウントの登録者数は180万人を超え、著書の累計発行部数は1100万部を超えている(2024年9月現在)

 

【No1785】ゲッターズ飯田の運がよくなる口ぐせPhrases That Bring Good Luck ゲッターズ飯田 プレジデント社(2024/10)

280P「この惨劇はまだまだ終わらない」

中山七里さんから直接聞いたことを思い出す。

「すでに頭の中にあるものを書いているだけ」

このカエル男シリーズもそうだったのか!

 

カエル男!?有働さゆりは、以前に医療刑務所から脱走し行方知れず。

刑法第三十九条、精神疾患を抱える殺人犯を無罪にした人権派弁護士、烏森、木嶋、津万井の三人の弁護士が相次いで何者かに猟奇的で残虐に殺害される。遺体のそばには、これまでのカエル男的な稚拙な犯行声明文が残されている。

 

古手川刑事、渡部警部、法医学教室の光崎教授、キャシー、真琴、御前崎教授、御子柴弁護士等々。主役を張るくらいの蒼々たる贅沢なメンバーも出てきて活躍していく。

物語がだんだんと盛り上がっていったので、読む手がけっして止まらない。

 

このシリーズの完結は、切ないラストシーンとなった。

これでほんとうに終わってしまうのか!と思うとなにか少し寂しいような気がした。

 

 <目次>

一 引き摺る

二 啄む

三 乾かす

四 誘う

五 射殺す

エピローグ

 

中山七里さん

1961年、岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』にて第8回『このミステリーがすごい!』大賞・大賞を受賞し2010年デビュー