朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~ -15ページ目

朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

 

財政政策、金融政策、消費税、ベーシックインカム、エネルギー政策、原発再稼働、太陽光発電、外交、安全保障、食料安全保障、農業政策、少子化対策、東京一極集中、政治家のリーダーシップ、政権奪取へのスケジュール、女性の社会活躍の促進方法、若い日本人に期待すること等々、ザイム真理教と闘っている森永卓郎さんと元明石市長の泉房穂さんとの対談集だった。

 

若い人たちが子どもを産み育てることができる安心ができる社会をつくるべきか。

少子化の原因は、やはりそもそも結婚ができないことだという発言が印象に残りました。

88P 子育て支援と少子化対策は違うもの

森永: 私は厚生労働省の仕事を集中的にやっていた時期もありまして、もう四半世紀以上前から分かっていたことですが、少子化を解消するために必要なのは子育て支援ではなく、そもそも若い人たちが結婚できないところに問題があるのです。

特に、所得が低いとなかなか結婚に踏み切れなかったりします。そして、若い人たちがそもそも結婚できないから、子供も生まれなくなるのです

泉: 経済的な不安ゆえに難しいということですよね。

91P

泉: 確かに自治体レベルの政策と国は違います。少子化のポイントは、家計が厳しい層が結婚してない、あるいはできないことが多いですね。一方で、結婚した家族の子供の数は昔も今もそれほど変わっていないんです

ですからポイントは、結婚できる状況にもっていくことが、実効性の高い少子化対策につながるということ、そのためにも子育てに限らず、手元にお金が残るような国にする、そして将来も大丈夫と思えるような安心感を与えるメッセージを政治が発信する。この三つが国の方策としてはそれが必要だと思います

森永: 若い人たちが安心できる所得環境を作るというのが、やはり王道というか、一番の対策ということですね。

 

 <目次>

はじめに 森永卓郎

第1章 政治主導で健全な財政を取り戻す

第2章 医療や農業も広い意味でセーフティネットになる

第3章 タブーなき社会への道筋

第4章 現実を知らない官僚たち

第5章 東京一極集中をどうするか

第6章 諦めを希望に変える救民内閣構想

第7章 政治の力を信じるために

第8章 次世代へのバトンタッチに際して

おわりに 憧れの森永さんの思いを引き継いで 泉 房穂

 

森永卓郎さん

経済アナリスト。獨協大学経済学部教授。1957年東京都生まれ。東京大学経済学部卒業。日本専売公社、経済企画庁、UFJ総合研究所などを経て現職。執筆をはじめ、テレビやラジオ、講演など多方面で活躍。2023年末に原発不明がんを公表し、現在、闘病生活を送る

 

泉房穂さん

弁護士、社会福祉士、前明石市長、元衆議院議員。1963年兵庫県生まれ。東京大学教育学部卒業。NHK、テレビ朝日でディレクターを務めた後、石井紘基氏の秘書を経て、1997年に弁護士資格を取得。2003年に衆議院議員に。2011年5月から2023年4月まで明石市長

 

【No1821】緊急発刊 ザイム真理教と闘う!救民内閣構想 国民負担を減らし、日本を元気にする秘策 森永卓郎 泉房穂 ビジネス社(2024/11)

65P「自分のキャリアは、誰かと比較するものでもないですし、他人から評価してもらうものでもない。キャリアが成功したかどうかの正解は、自分の中にしかありません」

 

キャリアとは、馬車が通った後にできる「轍」を意味する。転じて、人が辿る軌跡や経歴を意味するものだった。

これは、キャリアデザインの基本的な考え方がわかる良書だ。

安定した時代からVUCAの時代、戦争やパンデミックありの激動と混迷のなか、メンバーシップ型からジョブ型へ移行中か、地位や名誉、お金などの外発的報酬から、やりがいや生きがいなどの内発的動機へと、以前のような組織主導のワークキャリアから、仕事以外の家庭、地域、余暇などを含む自立したライフキャリアへとシフトしているところ。

 

まずは、自分の興味・関心・価値観などの自分のキャリア・アンカーを理解しキャリア理論の考えを参考にしながら、これまでの自分の足跡をふり返って自分というものは何者なのか考え自己理解を深めていくのだ。

 

キャリアデザインはとても大切だ。

これからは、100年時代を見据えて自ら主体的に考え行動する、自律した未来の自分につながる将来の展望をもって前に進んでいけることができればよいかと思う。

 

ぼくは、やらないで後悔をするのならばあきらめしにくくなってしまうのではないかと、やってその結果が上手くいかなく後悔したほうが、あとであきらめもつきやすいのではないかと思うのだ。

66P

自分の選択が間違っていた、正解は別にあったのに、と考えてしまうかもしれません。重要なことは、その選択を主体的・自律的に行っていたかという点ではないでしょうか。主体的・自律的な選択であれば、たとえそれが思い通りの結果にならなかったとしても、その結果をどこかで受け入れることができるはずです。

 

 

 

 <目次>

はじめに

第1章 キャリアって何ですか?

第2章 「見通せるキャリア」の時代

第3章 「見通せないキャリア」の時代へ

第4章 キャリアはだれのもの?

第5章 不確実な時代のキャリアの創り方

終章 過去は変えられる、正解は自分の中に

 

 

武石恵美子さん

お茶の水女子大学大学院人間文化研究科人間発達科学博士後期課程修了、博士(社会科学)。1982年労働省、1992年(株)ニッセイ基礎研究所、2003年東京大学社会科学研究所助教授等を経て、2007年法政大学キャリアデザイン学部教授。専門は人的資源管理論、女性労働論、昨今の研究分野はダイバーシティ経営やキャリア開発など

 

 

【No1820】「キャリアデザイン」って、どういうこと? 過去は変えられる、正解は自分の中に 武石恵美子  岩波書店(2024/11)

はじめに手に取ると「ノルウェーの森」下巻の表紙や文字色の感覚に似ていると思った。

7つの章のすべての英単語の綴りが『C』から始まることが特徴だった。

「男に母親の下の世話はできないよ」

これまでの女性が当たり前に担っていた「介護」のリアルな現場を描き出していた作品だった。

主人公「美佐」の叔母と美佐の元恋人の母親との過去のいきさつは当然すぎるようだった。ごみ屋敷と思われる叔母の家の2階にある開かずの金庫。そこであった事件や元恋人との秘密。叔母のスカーフへの強いこだわり。嫁と姑の確執から介護を行う嫁の立場の理不尽さ等々、色々な課題がつぎつぎと浮かび上がってきた。

 

上・下巻に分かれている本のうちで、下巻だけを先に読むのはありなのかどうか!

下巻「ノルウェイの森」の謎、なぜ叔母の家にあったのか!解き明かされるまでのワクワク、ドキドキ感はさすが湊かなえさんだった。

 

 <目次>

第一章 チェーン(chain)

第二章 コード(code)

第三章 カバー(cover)

第四章 キャビン(cabin)

第五章 チェンジ(change)

第六章 クライム(crime)

第七章 ケア(care)

 

湊かなえさん

1973年、広島県生まれ。2007年、「聖職者」で小説推理新人賞を受賞。翌年、同作を収録する『告白』が「週刊文春ミステリーベスト10」で国内部門第1位に選出され、2009年には本屋大賞を受賞した。2012年「望郷、海の星」で日本推理作家協会賞短編部門、2016年『ユートピア』で山本周五郎賞を受賞

 

【No1819】C線上のアリアAir on the C string 湊かなえ 朝日新聞出版(2025/02)

 

「ちょっと面倒くさいなと思うことがあったら、あえてそれをやる」

面倒くさいをはるかに越えていき、それがルーティーン化して「当たり前」となっていく。

とにかく仕事のこなし方が半端でない。真似ができないくらいに数をこなしている。

時間の使い方は真似る価値があると思った。

小さなことから「記録をつける」など、やれること、やろうと思ったらすぐいまからやることだな。

 

井上新八さんの習慣化のすごみをこれでもかと見せつけていただく。

何かを継続してやっていく、小さな積み重ねが大切だということから、彼のワクワク感や楽しい気持ち感がよく伝わってくる内容だったと思う。

 

 

「時間をデザイン」したことでわたしが手に入れたいちばん大きなこと。

それは「1日が2倍になった」ことだ。

すべてを「習慣化」する考え方。

それが「時間のデザイン」と言っていい。

はじめられない、続けられない、という悩みはすべて「習慣」によって解決できる。

習慣によって仕事はいくらでも効率化できるし、時間はいくらでも生み出すことができる。

習慣によって時間を生み出す。それが「時間のデザイン」だ。

 

 

コツを掴もう!コツをつかんでやろう!!

◎52P 時間をデザインするためにすべてを習慣化する

コツ1「毎日やる」週7日やる

コツ2「小さくやる」小さくて確実に毎日やる

コツ3「セットにする」習慣はふたつでひとつ「ニコイチ」で考える。歯磨きと日記など

コツ4「いつやるかを決める」いつやるのかをしっかり決める。起きたらやるなど

コツ5「記録をつける」行動したら記録する。コレクションとして楽しむなど

コツ6「つなげて連鎖させる」規則正しく、ルーティーン化する

 

 

平凡なことを非凡にするコツだ。

◎315P 時間を充実させるために続けることで価値を生み出す

なにかをはじめたら、まずは続けてみる。くだらない思いつきでも「続ける」ことで「意味」が生まれる。それが「自分の一部」になり、ときにはそれが仕事になることもある。

無価値なことに「価値」を生み出すのは、継続だ。継続の先に、新しい仕事の可能性が広がっている。

何でもない人生をひっくり返す数少ない方法は、「誰にもできることを、誰もやらないくらい続けること」だ。

どんなくだらないことでも、続けた時間が長ければ、それがその人の価値になっていく。

 

 

 

 <目次>

1章 時間をデザインするために 習慣化する 朝のルーティーンとフレキシブルな午後(時間をデザインするきっかけ フリーランスとして生きる、時間のデザインが生まれたきっかけ すべては「どうぶつの森」が教えてくれた ほか)

2章 時間を生み出すために 早くやる 鬼速でやる(時間を生み出すために「早さは神」を口癖にする、時間を生み出すために締め切りを支配する ほか)

3章 時間を活かすために たくさんやる 圧倒的に数をこなす(時間を活かすために圧倒的に数をこなす、時間を活かすために 圧倒的量を提案する ほか)

4章 時間を充実させるために なんでもやる 無駄なことをとことんやる(時間を充実させるためになんでもやってみる、時間を充実させるためにまずは「やります!」と言ってみる ほか)

Epilogue 時間のデザイン エピローグ(ルーティーンとは変化だ)

あとがき

参考・引用文献

関連リンク

プロフィール

 

 

井上新八さん

ブックデザイナー・習慣家。1973年、東京生まれ。和光大学在学中に飲み屋で知り合ったサンクチュアリ出版の元社長・高橋歩氏に「本のデザインしてみない?」と声をかけられたのをきっかけに、独学でブックデザイン業をはじめる。大学卒業後、新聞社で編集者を務めたのち、2001年に独立してフリーランスのデザイナーに。自宅でアシスタントもなくひとりで年間200冊近くの本をデザインする

 

 

【No1818】時間のデザイン なぜあの人はあんなに多くのことができるのか? 井上新八 サンクチュアリ出版(2025/01)

「親の介護は突然やってくる」

介護の専門用語を使わずにわかりやすく、基礎から丁寧にきれいごとではなく現実的にものごとを教えています。

 

例えば、親の介護の準備について

親が老いていく兆候を見逃さず、早めに対策を講じることが推奨されています。

「介護が必要になる前に、親と介護についての話し合いを持つことが重要だ」

例えば、介護の経済的側面について

介護にかかる費用やお金の管理が重要であることが述べられています。

「親の介護費用は親自身が負担すべきであり、自分の生活に影響を与えないように計画を立てる必要がある」

例えば、親とのコミュニケーションについて

親と介護について話し合うためのタイミングや方法が提案されています。

「エンディングノートを利用して、親の意思や希望を確認することが重要だ」

 

親の介護は、親のためだけでなく自分のためになります。

親の介護を通して、老いを先に疑似体験できるからです。

 

27P 親が倒れたり認知症になったりしてからあたふたするんです。そうなる前に知っておくべき事、やるべきことをこの本でお伝えしていきます。老いた親のことがなんとなく気になっていてもそのまま見て見ぬふりをしている人が多いと思うんです。

 

84P 親のためにやるべきことはたくさんありますが、同時に自分の生活を守るための行動をする。結果として、それは親孝行になるし、自分のためにもなるわけです。

 

138P 親の老いを通して、自分がこれからどうなっていくかの予習ができる。些細な行動の一つひとつに時間と労力、お金がかかる母の姿は、30年後の自分の姿なんだと。この経験は無駄じゃない。

 

145P 親の老いを通して、若さや時間の大切さ、健康のありがたさを痛感するので、今という時間をより大切にするようになります。

 

156P 親の老いや介護を通して予習しておけば、その知識はそのまま自分の未来に活かせます。

 

 <目次>

はじめに

第1章 自分のことをいちばんに考える

第2章 親の老いを通して自分の人生を考える

第3章 知らないと後悔する介護の休みの基本

第4章 いくらかかる?介護のお金のリアル

第5章 情報を制する者が介護を制す

第6章 介護の正論に振りまわされない

第7章 ストレスを減らして身軽になっておく

第8章 老いていく親は30年後の自分の姿

第9章 親と話をしやすい3つのタイミング

おわりに

 

工藤広伸さん

介護作家・ブロガー。1972年、岩手県盛岡市生まれ。2012年、40歳のときに認知症の祖母と母のダブル遠距離介護がはじまり、介護離職。その後、介護ブログを立ち上げ独立。新聞やWebメディアなどでの執筆活動を中心に、大手企業や全国の自治体で講演活動をしながら、現在も介護と仕事の両立を続けている。途中、悪性リンパ腫の父も介護し、看取る。独自の介護の工夫やノウハウが、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」など、多数のメディアで紹介される

 

同じ会社で再雇用になるほか、他社に転職する、雇われないフリーランス(個人事業主)となる、ボランティアなどの稼がない働きをする事例紹介があった。中高年に対して長期に渡り丁寧に取材しており彼らのあるがままの定年後の働き方や意識の変化をまとめた本であった。

 

組織での肩書きが高かった人ほど定年後の処遇にギャップを感じてその状態を受け入れられない、プライドがあることも分かるし、ほぼ同じ仕事をするのにも報酬が3から4割以上下がるのに納得がいかないことも伝わってくる。

 

セカンドキャリアにおいて、勤務する会社でしか通用しない部署間の調整能力、いわゆる根回し力や自社の事業、商品の説明能力などの「ファーム・スペシフィック・スキル」ではなく、現状把握のための情報収集・分析力や課題設定・計画立案能力、社内外の対人関係・コミュニケーション能力などのどこの会社でも通用するポータブルスキルや、専門性を究めるために新たな知識やスキルを習得するリスキリングが必要だとわかった。

 

また自分に置き換えて考えると、外部的な報酬や地位ではなく、世のため人の役に立つなどのやりがいや達成感などの内部から沸き起こる内発的に動機づけられた労働へと転換することがこれからの方向性には大切だと気づけたことが大きな収穫となった。

 

 <目次>

はじめに 

第1章 再雇用は「価値観の転換点」

第2章 転職で「再チャレンジ」

第3章 フリーに懸ける―雇われない働き方

第4章 「人のため」をやりがいに―稼がない働き方

第5章 「均等法第一世代」女性の光と影

終章 シニア人材戦力化に向けて

おわりに

 

奥田祥子さん

京都市生まれ。近畿大学教授、ジャーナリスト。博士(政策・メディア)

2021年4月に70歳までの就業機会の提供を企業の努力義務とする法律が施行されました。65歳までの継続雇用から意欲があれば高年齢者が働き続けられる時代に移行しつつあります。

「どう働けば定年後の人生が充実したものになるか」

定年後が全くの余生ではありません。充実した人生となるための後半の時間となります。

定年後を見据えた、定年後を迎えた活動をしている方々へのインタビュー集です。

幸せは、会社での肩書などの外面よりも、その人の心や内面の充実感こそが大事であることを学びました。

「チャンスは、人が運んでくる。そのチャンスをゲットすることができるかどうか、準備している人の前にしかチャンスが現れない。目標を抱いて行動しているとそのチャンスをつかめる可能性が増える」

経験と知恵や人脈を生かした組織と組織を繋ぐ働き方で輝いている24人の橋渡し役の人生を知り、その中から人生のキャリア充実に向けた目標やロールモデルを見つけるなど、今後の生き方の指針を発見し前向きな行動に移すきっかけとなる内容でした。

 

自身の過去(足跡)を振り返って、充実感を得たこと、夢は何か、やり残したことや気になっていることはないかなど自己理解を深めていく。次に、自分の強みや弱みを知る。また会社が求める人材、注力を注ぐ分野はどこなのかなど、職場や社会のニーズを探る作業が必要だ。

以下の三つの交わるところにやりがいや生きがい、自己成長につながるヒントがあるのではないかと思います。

213P Will・Can・Mustで自身の将来戦略を練る

①  好きなこと、やりたいことはなにか(Will)

②  何ができるのか、どこを延ばしていきたいか(Can)

③  どんなニーズに応えていきたいか(Must)

 

読書後のブログ発信のような「大事なことは好きなことを継続していくこと」に共感しました。

94P ミドル・シニアのセカンドキャリアへのアドバイス

大杉さんはセカンドキャリアを見つける秘訣についてこうアドバイスします。

「好きなこと、得意と思うことをいかに見つけるか。つまり「何をしているときがいちばん幸せなのかがはっきり自覚できる人は、定年後の人生設計も上手にできています。そして、それに関する新しい情報をインプットすることとアウトプットを出すことを継続するのです。これが長期にわたって社会とつながるために必要な条件だと思います」

さらにこう続けます。

「こんなに楽しいということを発信し続けていくと、いつの間にか専門家としての発信レベルにステップアップしていきますし、発信した内容に共感する人が徐々に集まってくるようになります。私は著書でも「定年後のひとり起業」を勧めていますが、例え儲かりそうでも、嫌なことは長続きしません。一番大事なことは好きなことを継続していることだと確信しています」

 

 <目次>

プロローグ 「定年NEXT」とは何か?

第1章 期待と不安が交差する「70歳就業時代」の到来

第2章 「転機を乗り越えて」新たな世界で輝く不可欠な存在に

第3章 「誰かのために」奔走する、繋ぐミドル・シニア

第4章 「地方のために」自らの蓄積を還元する

第5章 企業を支える「社内リエゾンシニア」

第6章 「自分だけのリエゾンシニア」になってみませんか?

第7章 特別対談 厚生労働省職業安定局高齢者雇用対策課長 野﨑伸一氏に聞く「働くシニアと企業のこれから―自らの副業体験で見えてきたこと」

おわりに

 

 

池口武志さん

1963年京都府生まれ。86年同志社大学経済学部卒業後、生命保険会社へ入社。所謂「ジェネラリスト」として様々な業務を体験し、本部と販売現場の両面で管理職として多様な職種の人材育成に携わる。2016年、関連会社に出向。キャリア研修の企画・販売に従事。18年、一般社団法人定年後研究所の設立を担当。以来理事として調査・発信活動、サービス開発に携わる。21年4月、同所長に就任

 

【No1815】定年NEXT「繋ぐシニア」24人のロールモデルに学ぶ 池口武志 廣済堂出版(2022/05)

乙部響子66歳月収4万円、大島成美31歳月収8万円、滝沢明海29歳月収10万円、瑠璃華26歳月収100万円、鈴木菊子52歳月収300万円、斉藤静枝22歳月収17万円。

月収に見合う生活をするのがよいのか、もっと増やしたいそれでよいのかどうか。

先立つものはお金だ。月にどれくらいあったら幸せなのかちょっと考えさせられた。

 

離婚後年金と貯金を切り崩して生活している人、生活基盤を確保するため不動産投資を始めた作家、親の介護に備えて新NISAを始めた会社員など、六人の女性たちが月収をテーマに人間ドラマを織りなしていた。

 

月収が違うそれぞれの人たちの暮らしを知るのは面白かった。金額が多ければそれでよいのではなく、それぞれの立場で悩みが尽きない。受け取る人の気持ち次第によるのだなと。節約した生活をしていても、お金に余裕があっても不安はついて回るものだ。周りの環境によってガラっと変わってしまう。

 

「少欲知足」か!?

 

お金を通して見えてくるもの、お金では買えない大切なものに気づけたら。金額ではなくて生きたお金の使い方ができて幸せだと感じられたらそれがよいのではないか。

それぞれの女性たちがお話に微妙に重なり関わっていく。全体のストーリーはスカッと小気味よくてよい。

 

 <目次>

1 月収四万の女   乙部響子(66)の場合

2 月収八万の女   大島成美(31)の場合

3 月収十万を作る女   滝沢明海(29)の場合

4 月収百万の女   瑠璃華(26)の場合

5 月収三百万の女   鈴木菊子(52)の場合

6 月収十七万の女   斉藤静枝(22)の場合

 

原田ひ香さん

1970年神奈川県生まれ。2005年「リトルプリンセス二号」で第34回NHK創作ラジオドラマ大賞受賞。07年「はじまらないティータイム」で第31回すばる文学賞受賞

弘兼憲史さんは、人間交差点や黄昏流星群、島耕作シリーズなどで有名な漫画家です。

5P

面白いと思ったことをやろう。

人生は、楽しんだもの勝ちー。

人生楽しんだもの勝ちに全く同感です。

一人ひとりに共通の一度しかない人生。だから楽しまないともったいない。

例えば、人と会う時、映画を見る、コンサートに行く、スポーツ観覧する、旅行をする時には、行く前からワクワク感を持って準備をして興奮したりしながらその時間を思いっきり楽しむのです。できれば写真があったらよいかなと。あとで振り返ると印象が残りやすくなります。そして良き思い出ともなります。

こうした時の積み重ねが充実した有意義な人生になるものだと信じています。

 

218P 歳を取ることを楽しむ

人生を楽しむための最大の秘訣は“好奇心”だと書きました。

歳をとることによる変化、人はそれを「老い」あるいは「老化」と呼びますが、僕はそれさえも前向きに「成長」ととらえたいと思っています。

好奇心をもって、成長を楽しみたいのです。

物忘れがひどくなる(覚えなくていい)、目がかすむようになる(細かく見るものでない)、耳が聞こえづらくなる(聞かないほうがいい)のも、人間としての成長なのです。

弘兼さんの達観した域に近づけるよう、前向きな好奇心をもって老いていきたいと思います。

 

222P 

最後の言葉は、「死にとうない」だったと伝えられています。

そんな一休さんは死の直前、彼を慕う弟子たちに「どうしても困った時、苦しい時に開きなさい」と一通の手紙を託しました。

数年後、困難に直面し、困り果てた弟子がその手紙を開くとそこには、

「心配するな 大丈夫 なんとかなる」

と書かれていたそうです。

人生を楽しみ、老いをものともせず、生涯現役を貫いた一休さんは、究極のポジティブ思考の持ち主だったようです。

「なんとなりますよ。これまでを振り返ってみると、なんとかなったし、なんとかしてきましたから。」

人柄と生きざまによって多くの人に愛されたという一休さんがそう言われるのなら。

 

 <目次>

はじめに 一度きりの人生、楽しまなきゃ損

第一章 日常を楽しむ(まずは、表情を変える、笑うから楽しい ほか)

第二章 スポーツを楽しむ(テレビでスポーツ観戦、競技場に足を運ぶ ほか)

第三章 家の外で遊ぶ(達成感を味わう、見知らぬ駅で降りてみる ほか)

第四章 一人遊びの原点(絵を描く、ワンパクに遊ぶ ほか)

第五章 最後まで遊ぶ(恋愛を楽しむ、節約で遊ぶ ほか)

 

 

弘兼憲史さん

1947年9月9日、山口県生まれ。早稲田大学卒業後、松下電器産業(現パナソニック)勤務を経て、1974年に『風薫る』で漫画家デビュー。『人間交差点』で小学館漫画賞、『課長 島耕作』で講談社漫画賞、『黄昏流星群』で文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、日本漫画家協会賞大賞を受賞。2007年に紫綬褒章を受章

阿川佐和子さんは、古稀を迎えても好奇心の衰えを知らない。執筆からラジオ、講演会、ロケ、ゴルフまで嗜んでいる。ネガティブではなくポジティブな明るい気持ちで、うま~く歳を重ねていかれているようでなによりだと思います。

ボクシングの世界タイトルマッチやワールドカップのサッカー、オリンピック・世界選手権などの日本という国を代表とした人たちが出ている競技・試合を見るのが好きな理由として、アガワさんと同じように興奮と興味に心が揺さぶられる心境になるからだと気づきました。

36P バイキングオリンピック

「ティロリン」

スマホの音が鳴る。新しいニュースが入った合図だ。

「卓球のミックスダブルス、金メダル」

慌てて私は書斎を飛び出し、またもやテレビをつけるハメになる。

なぜオリンピックは面白いのか、その理由が今回、少しわかった気がする。

感動に浸る間もなく次なる競技が始まって、新たな興奮と興味に心が揺さぶられるからだ。まるでバイキングレストラン。食べても食べても違う味わいの料理が待っている。お腹も胸もいっぱいなのに、まだ食欲をそそられる。ああ、どうしよう。仕事が手につかないの。

 

やらない後悔をするよりもそのときにやればよい。その結果がいずれ出てきますから。うまくならなくても悔やむことが少なくなり諦めや納得がしやすくなるというものです。したいと思うのならばすればよい。すべてを手に入れることができないし、全部は叶わないものです。格言だなあ。

170P 夢の住処

人生は妥協の産物だ。何かを手に入れれば何かを捨てなければならない。叶わぬことがあるから明日への意欲は湧くというものだ。夢は一つくらい残しておいた方がいい。いつの日か、波の音を聴きながら朝ごはんを食べられるかもしれないのだから。たとえそれが施設であったとしても

 

「青春は今」と言えるアガワさんを見習って、しかし、ぼくは今は、……!?

246P

時々私より少し上の世代の方が若者に何か向かって語りかけている姿を見かける。

「若いうちの花よ。歳をとるとね、面白いことは何にもなくなるから」

そんな声を耳にするたび、私は秘かに反論したくなる。そうでもないんじゃないですか?まだ面白いこと、知らないこと、初めて出会って興奮することは、いくらでもある気がする。高齢者が物知りだというのは単なる思い込みに過ぎない。少なくとも私はろくにモノを知らない。若い頃、勉強を熱心しなかったツケが回っているせいかもしれない。癇癪持ちの父の圧政の下で自由を謳歌できなかったという意識もある。おかげで今のほうが楽しい。しだいに足腰が弱まり、頭の回転も鈍ってくるだろう。だからこそ毎日を笑って生きていたい。我が青春は、今なり。

 

 <目次>

すず子のこと

メイクはつらいよ

ワクチン星の使者

五輪の記憶

バイキングオリンピック

うーむ

親子爪切り

三つの目標

動かぬ時計

女心と秋の髪型

日曜日の神様

カチン虫のなだめ方

歯より始めよ

さみしい力

Wの悲劇

合点と落胆

六十八の手習い

披露目の段

いたずらばあさん

講演恐怖症 ほか

あとがき

 

阿川佐和子さん

1953年、東京生まれ。慶應義塾大学文学部西洋史学科卒。エッセイスト、作家。99年、檀ふみとの往復エッセイ『ああ言えばこう食う』で講談社エッセイ賞、2000年、『ウメ子』で坪田譲治文学賞、08年、『婚約のあとで』で島清恋愛文学賞を受賞。12年、『聞く力―心をひらく35のヒント』がミリオンセラーとなった。14年、菊池寛賞を受賞