朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~ -114ページ目

朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

香奈枝は、高校生のときにつき合っていた先輩との子を宿し生んだ経緯があった。

それから未婚の母として息子の真斗と二人でつつましく暮らしていた。

あるとき友人からの紹介で恭一と出会い、子どもを身ごもったのち結婚をした。

その恭一が何者かに殺されたのだ。

死の直前に救急隊員に対して恭一が「知らない男に刺された」と言っていた。

豪雨のなかで特に目撃者がおらず、当初は犯人がまったく見つからなかった。

香奈枝に好意を抱いていた会社の上司の目黒弘樹などが捜査線上に挙げられた。

拙い学童のような犯行声明から、香奈枝は自分の息子が犯人ではないかと疑いを持っていた。

ホシはミステリーものでよくありがちなよく出てきている人物であったが……。

 

「達意の文体と、ミステリー畑には貴重な文芸センスの人間描写によって、上手な混乱を殺人のドラマに持ち込んだ、優れた作例であると感じた」(島田荘司氏の選評から)

 

【目次】

プロローグ

第一章 守らなければならないもの

第二章 早まるな!

第三章 スクープ

第四章 贖罪

エピローグ

 

映像制作の会社に勤めるかたわら執筆活動を開始。

2020年、『依存』で島田荘司選第13回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞.。

「愛とは他人の運命を、自己の興味とすることである。他人の運命を、傷つけることをおそれるこころである」(倉田百三)

「恋愛は芸術である。血と肉とを以て作られる、最高の芸術である」(谷崎潤一郎)

「恋愛は、唯性欲の誌的表現を受けたものである。少なくとも、詩的表現を受けない性欲は、恋愛と呼ぶに値いしない」(芥川龍之介)

 

生きているうちにどれくらいの人と出会えるのだろう。

何度も袖を触れ合うくらいに親しくなれる関係、腹を割って自分をさらけ出せる機会は、多くはならないものだと思う。

 

主人公の脚本家の唐沢燿子と15歳年下の恋人、建設現場で働く鳶職、沢渡漣とのSNSからの出逢い。そして「私は、あなたが考えているような男ではない!」と突然の別れ。また、燿子の高校時代の同窓生たち、4人の女性の人生を絡めた恋愛小説だった。

 

古稀を超えて行われる明け透けな性愛が垣間見られた。

知らない未踏の境地だったので興味を抱いた。

性愛は子どもを産むためとか、男性の性欲を満たすためだとか、女性が奉仕するためだけではない。

そこには性による差別も年齢の壁もなく、お互いに愛し合うためのものであることを知った。

 

36P

四十五歳で脚本家でデビューを果たすと、唐沢燿子は、あっという間に人気脚本家の一人として、あちこちの局から引く手数多の存在になった。

そして彼女は、遅らせながら知ったのである。

女の人生の幸せは、誰かに与えてもらうものでなく、自分の力で摑むものだということを。

「ママは、いつも誰かのために生きているフリをして、いちばん大事なのは、自分なのよ」

 

1946年生まれ。東京出身。早稲田大学文学部演劇科卒。雑誌ライター、テレビドラマのプロデューサーを経て、映画監督。著書に「松井久子の生きる力」など。

児童向けの図書は、大人が借りて読んでもよいのだ。

10年前から偉人貴人の伝記、iPS細胞の意味や宇宙観測「はやぶさ」の活躍等知りたいことが書かれた児童書を読んでいます。

子供にはもちろんのこと、大人にとっても内容がとても分かりやすくかみ砕いて書かれてあります。

ぼくは積極的に児童向けの図書を読んで概要を摑んでから専門的な本を読むようにしています。

 

駅の伝言板やビデオデッキ、プリントゴッコ、二槽式洗濯機、先割れスプーンなど、昭和から平成時代に活躍していたのに関わらず、最近はあまり見かけなくなったモノたちが描かれてあります。

「伝える」「記録する」「住まう」「学ぶ・遊ぶ」「出かける」などの行動ごとに分けて写真を交えて紹介しています。

 

昭和に生まれたぼくにとって懐かしいものばかりでした。

ぼくにとって昔の道具というと江戸か明治から昭和初期ぐらいまでのイメージなのかな。

この本に載っている道具たちは、令和の子どもたちの小学校の社会科の教科書では、昔の道具だというふうに紹介される日もそう遠くではないかな(笑)

 

『赤チン』(マキューロクロム液)

肘や膝の傷口に塗ると、広い範囲がすぐ真っ赤に染まります。

しばらくすると乾いて、表面が玉虫色に光りました。

お風呂に入って洗ってもなかなか消えなかったです。

強力なのに傷にあまりしみないので、擦り傷には欠かせない、学校の医務室や家庭の常備薬でした。

小学生時代、運動場や公園など外でよく遊んでいました。

しょっちゅう腕や膝を擦りむいていていたのでこの赤チンは、ほんと大活躍しました。

有機水銀が使われているためか、良く効くのにいつの間にか手に入らなくなったのを思い出します。

 

『ペナント』

懐かしいです❗

1980年代ごろまでお土産店で売られていました。

かつて大人気でした。

部屋のかべに画鋲で貼るのが定番。

観光名所に行ったらどこにでも売っていました。

ご当地おみやげとして御用の行灯とか、

京都府など観光名所をかたどったキーホルダーもありました。

おみやげで貰って嬉しい人、そうでない人いろいろだったのではないかと思います。

 

『ラジカセ(ラジオカセットレコーダー)』

ラジオとカセットレコーダーを合体させた画期的な家電製品でした。

LPレコードから45分なら45分かけてその時間録音していたころ、

いまと違って、時間がゆっくりと流れていたころです。

FM放送でよくエアチェックしていました。

歌番組からカセットテープに好きな曲を録音

テレビに線を繋いで音楽番組で好きな歌手の歌声を録音したり。

ダブルカセットでテープをダビングしたり。

プールや海やキャンプに必需品で持って行って寝そべりながら聞いたり。

夜、勉強をしながらビートたけしのオールナイトニッポンを聞いたり。

カセットテープは、あまりに聴きすぎて巻き取りすぎて、よくリールに絡まったりしました。

いまも根強いファンがいるため、カセットテープは現在も生産されています。

 

数々の思い出は、これらの物を思い浮かべながら、目や耳、触感、匂い、舌など五感を通してぼくの中にあります。

ついこの前のように思い出せるのは楽しい。

新鮮な気持ちがあった感受性が強い青春時代だったから。

 

 <目次>

1 伝える(黒電話、アナログ電話回線 ほか)

2 記録する(カーボン紙、青焼き ほか)

3 住まう(電話カバー、応接間 ほか)

4 学ぶ・遊ぶ(ブックバンド、アルコールランプ ほか)

5 出かける(食堂車、寝台列車(夜行列車) ほか)

コラム

・屋上遊園地

・コンピュータの歴史

・知を広める印刷の歴史

・プラスチックのゆくえ

・お金が消える!?

博物館ガイド

さくいん

警視庁捜査一課犬養隼人シリーズ。

相棒の高千穂明日香との掛け合いはいつも面白い。

彼の彼女の扱いは、堂に入っている。

プロローグの黙示の汲田姉妹がこの事件とどのようにリンクしているのかが解くカギだ。

難病患者の高い治療費の最先端治療、藁にもすがる思いで怪しくても縋りたくなる民間治療。切ないお話だった。

高額医療、民間治療、新興宗教、コカインなどの麻薬などの社会問題を絡めたエンターテイメントでした。

 

 <目次>

一 黙示

二 聖痕

三 怪僧

四 教義

五 殉教

 

1961年、岐阜県生まれ。2009年『さよならドビュッシー』で第8回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、デビュー

 

桜木紫乃さんが描く物語は、だいたい濃い鼠色の雲のように澱んだ空気感がある。

うす暗い倉庫の中で突然解き放たれると、やがて暗闇に目が慣れてきて物がうっすらと見えてくる。ぼくは、そんな味わいのある雰囲気が彼女の小説に漂っていると思う。

 

自分のことを師匠と呼ぶようにという世界的有名マジシャンの「チャーリー片西」、

シャンソン界の大御所という触れ込みのブルーボーイの「ソコ・シャネル」、

今世紀最大級の踊り子で年齢不詳、実はストリッパーの「フラワーひとみ」

3人皆が流されるようにして場末の釧路のキャバレー「パラダイス」にたどりついた。

キャバレーの寮に住み込んで照明役を担当するなど下働きをしている章介。

夢も希望もなくその日をただ生きているような日々を過ごしていた章介は、ショーに出演するこの3人の芸人たちと寮で同居し仲良くなるのだった。

 

フラワーひとみの娘の登場、ストリッパーとマジシャンの淡い恋、同姓の他家の墓への亡父の納骨、章介の母親との再会、寮の突然の火事などさまざまな出来事が起こっていく。

キャバレーのステージ期間限定のつきあいだったから、章介と3人が別れるまでのカウントダウンがありどこかもの寂しい感じがした。

出演者たちはみな孤独に生きてきたのに、ここでしばらくの間仲間となり、ワイワイガヤガヤとして楽しく明るく生きている感覚が感じ取れた。

 

芸人たちはやがてまた次のステージへと旅立っていった。

章介も人生の次のステージへと足を踏み出すのだった。

別れがあれば出会いもあるからこそ、人は生きる糧が得られるものだ。

ふとした大切なご縁や素敵な出会いを大切にしていきたいと思った。

 

187P

「つまんないねえ、なんでもいいって言う男は。女は多少わがまま言ってくれるくらいの男が好きなのよ。自分に甘えてくれると勘違いできるじゃない。そうやってババを引く女を何人も見てきたわねえ」

「じゃあ。なんでもいいっていう男のほうがいいってことになりませんか」

「だから、つまんないのよ。俺はこれがいい。こっちじゃなきゃ嫌だ、って言ってる男がたまにゃお前はどうなんだって訊いてくれるのがいいんじゃないの。ババにはババの驚きと華やかさがあるのよ。五十三枚のうちの一枚よ。これが入っていない人生って、女にとっては味気ないものなの」

 

1965年北海道生まれ。2002年「雪虫」で第82回オール讀物新人賞を受賞。07年に同作を収録した単行本『氷平線』を刊行。13年『ラブレス』で第19回島清恋愛文学賞を受賞。同年、『ホテルローヤル』で第149回直木三十五賞を受賞し、ベストセラーとなる。20年には『家族じまい』で第15回中央公論文芸賞を受賞

日本古来の民俗信仰である「神道」、

政治学・帝王学として受容された「儒教」

当時の最先端の学問とされた「仏教」の3つの思想をうまく調和させたものとして、聖徳太子が定めた十七条憲法を読み解くことが大切だ。

仁義礼智信の精神の十七条憲法は、「和を以て貴しとなす」の第一条が有名で重要な箇所です。

周りとの調和を保つことです。

これを乱すことが悪いこととされてきました。

和を乱さないことが、我々日本人の日々の精神的支柱となってきたからです。

第一条 和を以て貴しとなし、さからう無きを宗とせよ。

人はこころの通い合う和の精神を大切にし、不毛な争いが起こらないように“共生き”の精神で支え合うことを第一にせよ。

(上位に立つ人も下の人も)誰もがお互いに和やかなこころで親しみをもって話し合えば、きっと分かり合えるようになるし、何事も解決できないものはない。

第二条の「篤く三宝を敬へ」ほか条文ごとにわかりやすく解説しています。

十七条憲法は、1400年が経過した今でも社会組織の中に生きる我々に教訓を示してくれているものだと思います。

 

2P 序文 人生三分の計

仮に“第一の人生”で神童と呼ばれようとも、また“第二の人生”で栄華を極めたとしても、“第三の人生”が満足できなければ決して幸福な人生だったとはいえないでしょう。逆に、第一の人生でつまずいたとしても、また第二の人生が左遷や病気療養の人生であったとしても、第三の人生がよいものであれば、きっとその人の人生は満足のいくものであるに違いない。

その第三の人生をいかに積極的に生きるかは、第二の人生をいかに誠実に生きるかにかかっています。栄華を極めることでもなく、左遷や罹病に落胆することでもなく、その折々に自分に与えられた役割・責任を誠実に果たしていくことが、第三の人生において前向きに取り組むヒントを生み出してくれます。

大事なことは、三分された人生それぞれの意義をどれだけ認識して誠実に生きるかです。人生を大局的な見地から見据えてみる、これが「人生三分の計」です。

 

跋文“一隅を照らす”これすなわち国宝なり

金銀財宝が宝なのではなく、“一隅”つまり今置かれている持ち場持ち場で一所懸命努力し、その場あるいはその社会を明るく照らしてゆく人物こそが宝なのだ。

 

 <目次>

序文 人生三分の計

序論 「憲法十七条」と「冠位十二階」(神道と儒教・仏教、聖徳太子の人生と時代背景、「憲法十七条」と「冠位十二階」との相関性)

本論 「憲法十七条」を読む(和を以て貴しと為す―“和”とは“共生き”のこころ、篤く三宝を敬え―「仏・法・僧」とは「師・志・友」、詔を承りては必ず謹め―“長たる者”の念(おもい)、礼を以て本と為よ―自己を節し、相手を敬する、明らかに訴訟を辨めよ―「慎独」と「知足」と「配置の妙」 ほか)

跋文 “一隅を照らす”これすなわち国宝なり

付録

引用文献

主要参考文献

 

 

号は淡泉。1950年2月奈良県大和郡山市に生まれる。1974年京都産業大学経済学部卒業。クラボウ(倉敷紡績株式会社)、藤沢薬品工業株式会社(現、アステラス製薬株式会社)に勤務。2003年3月早期退職。同年4月より六年間京都大学文学部中国哲学史研究室に在籍、東洋思想を学ぶ。

そう伝えることで誰が得するのか、誰が意図的にそれを推進したのかどうか。

マスコミ、政府、製薬会社など。

健康面や金銭面で少なくない影響を受けているのです。

世の中でどれを信じてどれを信じないかというのは、一つひとつきちんと当たってみなければならないのではないか。

一方的な様子を知るとか聞くのでなく、反対する者、同意する者、中間的な者などいろんな意見を踏まえる、木を見るだけでなく、森を見て、鵜吞みにするのではなく、理系思考で自分なりに判断したいと思います。

 

164P 

私たちの頭脳が正しいとか間違っているということを判断するときに、現在の知識で説明できることは「正しい」と、知識にないものは「間違っている」と判断してしますのです。フェイクニュースに騙されることを防ぐ一つの考え方です。

 

全てを取りあげないのですが、武田さんが伝えていたフェイクニュースの一部を引用します。

 

91P 人々を不安にさせるフェイクニュースの大罪

ダイオキシンが猛毒ならば、焼き鳥屋の主人はみんな健康被害に遭っている。

ダイオキシンの毒性は低い。

ダイオキシン騒ぎは科学が社会に負けた例である。

 

97P 人々の健康を害してきた高血圧問題

血圧は年齢とともに少しずつ上がっていく。人間というものの年齢的な変化にもとづく合理的な変化である。

157P 

血圧の問題も「高齢者は血圧が高い」「高齢者は死亡率が高い」という極めて自然な事象を組み合わせて「血圧の高い人は死亡する」というグラフをつくり、減塩活動を展開してきた事実があります。

 

131P コレステロールは人体に必要なもの

人間の細胞の外膜はほとんどコレステロールでできています。脳の中にはコレステロールが35%もあって、頭の機能を正常に保つためにはコレステロールが大量に必要なのです。

 

151P 政府の借金は国民の財産

日本政府の借金は1000兆円ありますが、日本国の借金はないどころか350兆円を他国に貸し出しをしている黒字です。

日本政府の借金と言っても、国債を買っているのは私たち国民ですから、「国民の貯金」です。日本国の他国に貸し出している黒字分を合わせると1350兆円になります。

つまり、国民全体では1350兆円の貯金を持っていて、そのうちの350兆円を海外に、1000兆円を政府に貸しているという形になっているわけです。

 

終わりに結論です。

231P 自分自身で判断することの大切さ

つまり「貴族社会であることと大衆社会の何が違うのか、そして自分がどういう立場にあるのか。テレビはどういう姿勢で私たちに対する放送を流しているのか。そしてそれに対してどのような注意を払わなければいけないのか。ということを私たちは今後、総合的に“理系思考”で考え、自分なりに判断できるようにならなければいけない」ということが本書の結論になるのだと思います。

 

 <目次>

はじめに―なぜ「理系思考」が必要なのか?

序章 基礎編―フェイクニュースに惑わされないための「科学」の基本のキ

第1章 検証編1―主要メディアに多数登場する、平気でウソをつく人々…‐地震予知とダイオキシン問題

第2章 検証編2―「健康」を害する、新聞・テレビの緊迫的なニセ情報‐血圧、タバコ、コレステロールについて

第3章 検証編3―「理系アタマ」の考え方で、巷のウソを見抜け!‐日本経済から死後の魂まで

第4章 検証編4―日本全体を覆う「錯覚」の正体とは?‐先の大戦と日本文化を考察

おわりに―フェイクニュースで損をするのは民である

 

 

1943年東京都生まれ。工学博士。専攻は資源材料工学。東京大学教養学部基礎科学科卒業後、旭化成工業に入社。同社ウラン濃縮研究所所長、芝浦工業大学教授、名古屋大学大学院教授を経て、2007年中部大学総合工学研究所教授、2014年より同特任教授.。

 

 

【No.785】フェイクニュースを見破る 武器としての理系思考 武田邦彦 ビジネス社(2021/03)

日本昔話は、突っ込みどころ満載だという。

浦島太郎の玉手箱。「決して開けてはいけない」と言われたら、無性に開けたくなるのが人というものだ。

花咲か爺さんの「枯れ木に花を咲かせましょう」。本当に花が咲いたのかどうか。正直爺さんは、愛する犬を殺されて正気を失って心神喪失していたのではないか。

鶴の恩返しで「機を織っている間は決して部屋をのぞかないでください」。でも若者はのぞいて鶴だと知ってしまうことや、何回も身を削って織らせるのは、その布を売って儲けたい若者の金の亡者精神があったからだ。

 

「耳なし芳一」-天才音楽家を巡る嫉妬と愛情があった。

芳一という琵琶法師は、下関の阿弥陀寺に住んでいた。芳一は目が不自由だったが、琵琶の腕前は天才的、幼いころから師匠をしのぐほどの腕前で、その演奏は鬼神ですら涙を流すほどであった……。

夜な夜な亡霊に呼び出された芳一は、寺の裏にある安徳天皇の墓前で琵琶をかき鳴らす。平家の仕業だと悟った住職は、芳一の全身に般若心経を書きつけるが、耳だけ経文を書き忘れてしまった。亡霊は、迎えに来た証拠として耳を引きちぎって持ち帰った……。

 

この耳だけを失うことについての意味について。

中世日本では犯罪者への刑罰として「耳鼻削ぎ」が行われていた。本来なら死罪となるような罪人であっても、罪を許す温情的な処罰だったという。

また、琵琶法師というのは芸人であり音楽家であり語り部であった。

住職は、この琵琶法師によって慰められていた。

僧侶に妻帯が許されていなかった時代に、肉体的にも慰める役割を担っていたのかもしれない。

芳一がこっそりと外出していたことが住職を怒らせたのだった。嫉妬と怒りで独占欲が支配し始め、住職はわざと耳に経文を書かなかったのだ。

やんごとなき人に招かれて舞い上がっている芳一にお灸をすえるため、芳一を守ることができるのは住職だけだと見せつけるために、芳一を独占するために。

 

あくまで想像ではあるが、その時代の背景や出来事などを踏まえ考えている。

あながち間違いではないかもしれない。

子供向けなのでそのように直接的に判断するだけでなく、違う目で物事を俯瞰すること、客観的に事実を見て考えることが必要でなかろうかと教えられたのだった。

 

 <目次>

第1章浦島太郎―乙姫の愛と復讐

第2章たにし長者―入れ替わった男

第3章こぶとり爺さん―異端の象徴としての「こぶ」

第4章手なし娘―継母の執念とその背景

第5章花咲か爺さん―花は本当に咲いたのか?

第6章舌切り雀―爺と雀の二時間サスペンス

第7章鶴の恩返し―家庭を壊す底なしの金銭欲

第8章猿の婿入り―異類婚姻譚に待ち受ける悲劇

第9章かちかち山―残酷描写・言葉遊び満載のエンタメ

第10章食わず女房―普通の暮らしにあこがれた山姥

第11章耳なし芳一―天災アーティストをめぐる嫉妬と愛情

第12章桃太郎―次世代ヒーローの条件

あとがき 

参考文献

 

三重県出身。著述家。絵本や童話などの児童書の他、小説やエッセイ、作詞なども手掛ける。言葉遊びや日本の民話、妖怪などの面白さを子ども向けにわかりやすく表現する作品が多い.。

「難しい本から逃げて、やさしいものばかり読んでいると脳は退化する」

カール・マルクス「資本論」、フリードリヒ・ニーチェ「ツァラトゥストラ」、西田幾多郎「善の研究」など。

いつも柔らかい離乳食のような食べ物ばかり口にしていると、しだいに歯ごたえのある食べ物、難しくて骨のある文章が受け付けられなくなるのだ。

自分の体に置き換えてみても、使わない筋肉は衰えていくのみ。

難解な本は最初にわかりやすい解説本を読むなど、おおまかにその本の全体を把握してから。

 

振り返ってみると、国内のベストセラーや各種受賞作、また自分の好きな分野や作家さんを読んでいることに気がついた。

海外のものは読んでこなかった。

宗教観、言葉、環境などが違い理解し難く読みづらいと避けておいた。

ぼくにとっては、まずは海外のものから。

読書と共に知的好奇心に溢れた充実した人生を歩んでいきたい。

 

 <目次>

はじめに 

第1部 難しい本の読み方「理論編」(やさしいものばかり読んでいると脳は退化する、今、難しい本を読むことの意味、チャレンジする勇気を持とう、「難しさ」は「意味のない難しさ」と「意味のある難しさ」に分けられる、無意味な「難しさ」に付き合ってはいけない ほか)

第2部 難しい本の読み方「実践編」(ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル『精神現象学』、カール・マルクス『資本論』、フリードリヒ・ニーチェ『ツァラトゥストラ』、フェルデイナン・ド・ソシュール『ソシュールの思想』、西田幾多郎『善の研究』 ほか)

参考文献

 

1960年、静岡県生まれ。東京大学法学部卒、同大学大学院教育学研究科博士課程を経て、明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション技法。著書に『宮澤賢治という身体』(世織書房、宮澤賢治賞奨励賞)、『身体感覚を取り戻す』(日本放送出版協会、新潮学芸賞)、『声に出して読みたい日本語』(草思社、毎日出版文化賞特別賞)など多数

警視庁刑事部捜査1課殺人犯捜査第11係の姫川班。

姫川班メンバーのそれぞれの視点から日常が描かれる。

随所に小技が効いているオムニバス。

読みごたえのあった事件としては「赤い靴」と「青い腕」だ。

滝野川署の管轄内のアパートで起きた殺人事件。

姫川玲子と日野利美がその応援に駆けつける。

小説家を目指していた同棲相手の男を刺殺したと自首して来た女。

彼女の自供内容は、事件の捜査結果と食い違っていた。

その疑問を解く鍵は、男が書いた過去の小説の中にあった。

背中がゾクゾクしながら読めるような連続した物語となっていた。

 

姫川の人となりを知ることができるところ。

事件に対処する姿勢が一瞬垣間見える箇所を引用した。

161P

ふと隣を見ると、姫川が、物凄い目つきで死体写真を睨んでいた。

少しでも理解を深めようとか、見逃しがないようにとか、もはやそういうレベルではない。よく見て、見つめて見つめて見つめて、なんだったら目から写真の中にヌルヌルと入り込んで、時間も空間も超えて犯行現場に化けて出たい―まで言ったら怖過ぎるけど、でもそれに近いものはある。これはいつものことなので、さほど驚きはしないけれど。

「……主任的には、どうですか、その死体」

そう(日野)利美が声をかけると、ふと我に返ったように、写真から眼を上げる。少しオドオドというか、自分が見られていたことを恥じるような、そんな表情を浮かべる。

 

 <目次>

それが嫌なら無人島

六法全書

正しいストーカー殺人

赤い靴

青い腕

根腐れ

それって読唇術?

 

1969年、東京都生まれ。学習院大学卒。2002年、『妖の華』で第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞を受賞。2003年、『アクセス』で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞。2006年刊行の『ストロベリーナイト』に始まる“姫川玲子シリーズ”は、現在の警察小説ムーブメントを代表する作品のひとつとして多くの読者を獲得し、映像化も話題となった。