「愛とは他人の運命を、自己の興味とすることである。他人の運命を、傷つけることをおそれるこころである」(倉田百三)
「恋愛は芸術である。血と肉とを以て作られる、最高の芸術である」(谷崎潤一郎)
「恋愛は、唯性欲の誌的表現を受けたものである。少なくとも、詩的表現を受けない性欲は、恋愛と呼ぶに値いしない」(芥川龍之介)
生きているうちにどれくらいの人と出会えるのだろう。
何度も袖を触れ合うくらいに親しくなれる関係、腹を割って自分をさらけ出せる機会は、多くはならないものだと思う。
主人公の脚本家の唐沢燿子と15歳年下の恋人、建設現場で働く鳶職、沢渡漣とのSNSからの出逢い。そして「私は、あなたが考えているような男ではない!」と突然の別れ。また、燿子の高校時代の同窓生たち、4人の女性の人生を絡めた恋愛小説だった。
古稀を超えて行われる明け透けな性愛が垣間見られた。
知らない未踏の境地だったので興味を抱いた。
性愛は子どもを産むためとか、男性の性欲を満たすためだとか、女性が奉仕するためだけではない。
そこには性による差別も年齢の壁もなく、お互いに愛し合うためのものであることを知った。
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四十五歳で脚本家でデビューを果たすと、唐沢燿子は、あっという間に人気脚本家の一人として、あちこちの局から引く手数多の存在になった。
そして彼女は、遅らせながら知ったのである。
女の人生の幸せは、誰かに与えてもらうものでなく、自分の力で摑むものだということを。
「ママは、いつも誰かのために生きているフリをして、いちばん大事なのは、自分なのよ」
1946年生まれ。東京出身。早稲田大学文学部演劇科卒。雑誌ライター、テレビドラマのプロデューサーを経て、映画監督。著書に「松井久子の生きる力」など。
