警視庁刑事部捜査1課殺人犯捜査第11係の姫川班。
姫川班メンバーのそれぞれの視点から日常が描かれる。
随所に小技が効いているオムニバス。
読みごたえのあった事件としては「赤い靴」と「青い腕」だ。
滝野川署の管轄内のアパートで起きた殺人事件。
姫川玲子と日野利美がその応援に駆けつける。
小説家を目指していた同棲相手の男を刺殺したと自首して来た女。
彼女の自供内容は、事件の捜査結果と食い違っていた。
その疑問を解く鍵は、男が書いた過去の小説の中にあった。
背中がゾクゾクしながら読めるような連続した物語となっていた。
姫川の人となりを知ることができるところ。
事件に対処する姿勢が一瞬垣間見える箇所を引用した。
161P
ふと隣を見ると、姫川が、物凄い目つきで死体写真を睨んでいた。
少しでも理解を深めようとか、見逃しがないようにとか、もはやそういうレベルではない。よく見て、見つめて見つめて見つめて、なんだったら目から写真の中にヌルヌルと入り込んで、時間も空間も超えて犯行現場に化けて出たい―まで言ったら怖過ぎるけど、でもそれに近いものはある。これはいつものことなので、さほど驚きはしないけれど。
「……主任的には、どうですか、その死体」
そう(日野)利美が声をかけると、ふと我に返ったように、写真から眼を上げる。少しオドオドというか、自分が見られていたことを恥じるような、そんな表情を浮かべる。
<目次>
それが嫌なら無人島
六法全書
正しいストーカー殺人
赤い靴
青い腕
根腐れ
それって読唇術?
1969年、東京都生まれ。学習院大学卒。2002年、『妖の華』で第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞を受賞。2003年、『アクセス』で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞。2006年刊行の『ストロベリーナイト』に始まる“姫川玲子シリーズ”は、現在の警察小説ムーブメントを代表する作品のひとつとして多くの読者を獲得し、映像化も話題となった。
