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このシリーズ
1 面会交流について悩んでいるお母さんたちへ
2 『離婚した親と子どもの声を聴くー養育環境の変化と子どもの成長に関する調査研究』から
3 監護者母の場合の父との面会交流,子の評価①~人数,割合の紹介
4 監護者母・父との面会交流ありの場合の子の評価~子の声の紹介①
5 監護者母・父との面会交流なしの場合の子の意見~子の声の紹介②
6 監護者母・父との面会交流あり・なしの子の意見について~私が感じたこと
7 監護者父の場合の母との面会交流,子の評価②~人数,割合の紹介
8 監護者父・母との面会交流ありの場合の子の評価~子の声の紹介③
9 監護者父・母との面会交流なしの場合の子の評価~子の声の紹介④-1
10 監護者父・母との面会交流なしの場合の子の評価~子の声の紹介④-2
11 監護者父・母との面会交流あり・なしの場合の子の意見について~私が感じたこと①
12 監護者父・母との面会交流あり・なしの場合の子の意見について~私が感じたこと②
13 監護者父・母との面会交流あり・なしの場合の子の意見について~私が感じたこと③
14 監護者母・父との面会交流補足,監護者母・親権者父という場合について~序論①
15 監護者母・父との面会交流補足,監護者母・親権者父という場合について~序論②
16 監護者母・父との面会交流補足,監護者母・親権者父という場合について~序論③
17 監護者母・親権者父の父との面会交流ありの子4人の声
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久しぶりの面会交流の記事です。
『離婚した親と子どもの声を聴くー養育環境の変化と子どもの成長に関する調査研究ー』(FPIC)の紹介の解説を続けていきます。
この記事からは,離婚したときの子の年齢という観点から,FPICの調査研究を紹介していきましょう。
3 離婚時の年齢と面会交流の有無(子の回答)
まず,以下のように一覧表にまとめられています。
あり なし 無回答 計
1~5歳 10 7 2 19(20%)
6~9歳 9 13 1 23(24%)
10~12歳 15 7 1 23(24%)
13~15歳 8 2 0 10(11%)
16~19歳 7 7 0 14(15%)
20歳以上 6 0 0 6(6%)
計 55 36 4 95(100%)
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FPIC解説では,上記の一覧表について,子が13歳未満の場合の合計61人について,分析検討を進めています。
回答者の20%が6歳未満で親の離婚を経験し,68%が小学校を卒業するまでに親の離婚を経験しているとしています。
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(1)
13歳未満で親の離婚を経験した65人のうち面会交流が行われているのは34人(52%),行われていないのは27人(42%),無回答が4人(6%)です。
FPICの解説内容から私が整理して,まず,人数と割合を概観します。
(2)
13歳未満面会交流が行われている34人について
A 肯定的評価は28人
(65人全体の43%,面会交流有り34人の82%)
B 否定的評価は2人
(65人全体の3%,面会交流有り34人の6%)
C 評価不明は4人
(65人全体の6%,面会交流有り34人の12%)
(3)13歳未満面会交流がなかった27人について
A 面会交流があってほしかったという回答は5人
(65人全体の8%,面会交流無し27人の19%)
B 否定的評価及び評価不明は22人
(65人全体の34%,面会交流無し27人の81%)
*FPIC解説では,13歳未満面会交流無しの27人について,面会交流について否定的評価をした人数,無回答などの評価不明の人数が明示されていません。
そのため,否定的評価及び評価不明22人としてまとめざるを得ませんでした。
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FPIC解説では,13歳未満の回答65人のうち,無回答を除く61人について,以下のように解説しています。なお割り算を間違えている部分があるので私の方で数字を修正しています。
61人のうち34人(56%・・・しもちゃん註:FPIC解説では「58%」としてるが,34÷61≒56%)は面会交流が行われているが,肯定的に評価しているのは28人(46%)なので,子どもが親との関係を築き上げていく途上の自我の未成熟な成長過程で,子どもと別れた親が精神的な支えになっているのは半数に満たない。
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FPICが上記解説で何を特に指摘しようとしているのか,FPIC解説では分かりにくい部分があります。13歳未満で無回答を除く61人のうち,面会交流ありが34人(56%),面会交流なしが27人(44%)です。
面会交流なしが44%もいるのですから,その時点で,61人のうち別居親が精神的な支えになっているというケースは半分近くになります。
そして,面会交流有りの34人のなかでも,肯定的評価が28人であり,否定的評価が2人,評価不明が4人ですので,61人のうち面会交流有りand肯定的評価は,半数を下回ってしまうということになるのです。
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離婚時13歳未満の子で面会交流の有無が明らかな61名について,面会交流有りand肯定的評価の28人(46%)については,「半数に満たない」というのは調査結果の指摘としてそうです。
ただ,私が気になったのは,13歳未満で面会交流無しの27人のうち,面会交流があってほしかったという回答者がわずか5人(面会交流の有無が明らかな61人中の8%,面会交流なしの27人中の17%)しかなかったということです。
つまり13歳未満で面会交流無しの27人のうち,22人は,面会交流について,「否定的評価または評価不能」となります。
FPIC解説では,その内訳が分からないのですが,
私は,この22人のうち,面会交流否定的評価の人数が何人であったのかとても気になりました。
なぜなら,もし,その22人が全て面会交流否定的評価であったとしたら,離婚時13歳未満の子で面会交流の有無が明らかな61人のうち,面会交流無しの27人の81%が,「別に面会交流はなくてもよかった」というような回答をしているということになります。
これはとても大きな数字です。
子が離婚時13歳未満の場合,面会交流無しでも,回答した子の約8割は,別に面会交流があってほしかったなんて考えないで成長しているという分析結果を導きます。
「子の離婚時年齢が13歳未満と幼ければ,別に面会交流が無くても,8割の子はそのことをあまり気にしないで成長している」ということになるように思います。
もちろん評価不能の人数が多くなると,面会交流なしでもそのことを気にしないで育っている子の割合は下がっていきます。
ですから,私は,「面会交流否定的評価or評価不能」の22人の内訳がとっても気になった次第です。
そして,もし離婚時13歳以上の子につて,別居親との面会交流なしの場合,面会交流があってほしかったと望む子の割合が13歳未満よりも跳ね上がるとしたら,子が幼いときの離婚ほど,面会交流なしでも子は面会交流を望まないで育っていくという分析を導くことになります。
この点はFPIC解説では全く数字が出ていないので分からないところです。
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離婚時年齢13歳で面会交流の有無が明らかな61名中,面会交流が実施された34人のうちの28人(82%)は面会交流を肯定的に評価しているというのは高い割合です。
ですから,面会交流を実施すれば,それを子は肯定的に受けとめる割合が約8割ということは押さえておく必要があります。
他方,もし面会交流を実施しなかったとしても,もしかしたら「約8割」は,面会交流があってほしかったとは思わないで成長している可能性があるということ・・・・・これも大きな数字です。
この両面を見たとき,「離婚時13歳未満の子については,面会交流を行ったら行ったでプラスになることが多いし,別にそれを行わないでも子がそれを余り気にしないで育つことが多い」ということが言えるのかもしれません。
誤解されたくないのでくどく書きますが,このことは離婚時13歳以上でも同様なのか別の結果になるのかについては何も言及するものではありません。あくまでも離婚時13歳未満の数字を分析していくと,そのような推論が成り立つかもしれないという域を出ません。
では,離婚時13歳以上の子についても同様のことが言えるのかそれとも違う結果になるのか・・・・それは離婚時の子の年齢が,子と別居親との愛着関係喪失にどれほど影響するのかという観点から,私としては,とても気になるところです。
もし,離婚時13歳以上だと結果が大きくことなってくるなら,「離婚時の子の年齢が幼ければ幼いほど,子と別居親との愛着関係はそう強くなく,離婚による子のダメージが少ない」という推論が可能になるかもしれません。そのような推論が調査研究の数字から導けるのかどうか・・・・。
FPIC解説では数字を拾えないので,私としては,この点を私なりに検討できないことが,とっても残念でした。
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