監護者父・母との面会交流なしの場合の子の評価~子の声の紹介④-1 | 金沢の弁護士が離婚・女と男と子どもについてあれこれ話すこと

金沢の弁護士が離婚・女と男と子どもについてあれこれ話すこと

石川県金沢市在住・ごくごく普通のマチ弁(街の弁護士)が,日々の仕事の中で離婚,女と男と子どもにまつわるいろんなことを書き綴っていきます。お役立ちの法律情報はもちろんのこと,私自身の趣味に思いっきり入り込んだ記事もつらつらと書いていきます。

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このシリーズ
1 面会交流について悩んでいるお母さんたちへ
2 『離婚した親と子どもの声を聴くー養育環境の変化と子どもの成長に関する調査研究』から
3 監護者母の場合の父との面会交流,子の評価①~人数,割合の紹介 
4 監護者母・父との面会交流ありの場合の子の評価~子の声の紹介① 
5 監護者母・父との面会交流なしの場合の子の意見~子の声の紹介②
6 監護者母・父との面会交流あり・なしの子の意見について~私が感じたこと
7 監護者父の場合の母との面会交流,子の評価②~人数,割合の紹介
監護者父・母との面会交流ありの場合の子の評価~子の声の紹介③

前記事では
『離婚した親と子どもの声を聴くー養育環境の変化と子どもの成長に関する調査研究』 で取り上げられている監護者父・母との面会交流ありのケースについて,3人の子の声を紹介しました。
 ここでは,監護者父で母との面会交流なしの8人の声を見ていきましょう。


 調査研究では,冒頭で,8人の離婚時年齢と現在の年齢を概観します。

① 10代3人 (離婚時8歳,11歳,12歳)
② 20代2人(離婚時9歳,19歳)
③ 30代1人(離婚時10歳)
④ 40代1人(離婚時15歳)
⑤ 70歳1人(離婚時6歳)

2 10代3人の声

(1)
 調査研究によるとこの3人は兄弟,つまり同一の両親の離婚を体験し,監護者父で母との面会交流なしで,調査方法は調査者との面接ということです。
 父の実家が父祖父母とも同居しており,出て行った母を慕う気持ちを表現していないということです。
 祖母と母との日常の結果を見てきており,父母の離婚を祖父母から問われて,「かまわない」と答え,さらに,父から,どちらと暮らしたいかと問われて3人とも「父」と答えたということです。
 調査時は,離婚で母と別れて2年です。
 
 調査者が「これから離婚しようとしている大人に,どのようことを考えてほしいですか」と質問すると,長男,二男は,それぞれ以下のように答えたようです。

長男A(12歳) 「できるだけ離婚しない方がいい。子どもが可愛そう」
二男B(11歳) 「子どもの前では喧嘩をしないでほしい」

(2)
調査研究では,この3人について,以下のまとめを行っています。

 親の離婚を祖母から問われて「かまわない」と答え,どちらと暮らしたいかを父から聞かれて「父」と答えた結果,母が家族からはじき出されてしまったという思いがあるのではないかと考えられる。子どもたちの年齢と両親の離婚の事情からすると,母との関係を全く閉ざしたままでいいのかについて,父として考えなければならない課題が残されている。

(3)
 しもちゃんも,以下が気になりました。

①祖母と母との日常の喧嘩の中で3人が育ったこと。
②父母の離婚について,祖父母が3人の子の意向を聞き,子らは「かまわない」と答えたこと
③両親の離婚に当たって,父がどちらと暮らしたいかを質問し3人とも「父」と答えていること
④上記①②の中で,長男Aは,現在,「できるだけ離婚しない方がいい。子どもが可哀想」と回答していること。
⑤上記①②の中で,二男Bは,「子どもの前では喧嘩をしないでほしい」と答えていること(この二男回答の「喧嘩」が夫婦間のものか祖母と母間のものかは不明です。)

 解説文からは詳しい事情は分かりませんが,調査者面接ということですから,FPIC解説では,離婚の経緯とか3人の子らの心情とか,この解説に記載されているよりも詳しい情報があって,その情報の上に,前記(2)のような考察をしたように私は感じました。
 私の想像ですが,FPICの前記(2)の考察は,もっと露骨に表現しますと,祖母と母との不和の中で,父が祖母につき,母が家庭内で孤立し,祖母の強いイニシャティブで離婚の話が進められ,3人の子は,そのような中で,「両親の離婚同意,父と暮らしたい」と意思表明するように仕向けられた,3人の子らはそのように仕向けられて母追い出しに加担させられたことへの罪責感を抱え込んでいるという調査者の理解があるように感じました。
 それゆえに,子らの罪責感を解消していくためにも,母との面会交流を考えることが父としての課題となるというFPICの理解につながるのだろうと私は感じました。はっきりとは書いてありませんが,FPIC解説からは,私は,父の主体性の乏しさと祖母への依存を何となく感じとりました。なんとなくです。


 ブログで当事者の方々の記事を読んでおりますと,義父母のモラルハラスメントに思い悩んでいる方々も一定数存在します。
 この3人の子のケースからは,面会交流という問題だけでなく,両親の離婚を子にどのような方法で伝えるか,両親の離婚自体や離婚後の監護についての子の意見を聞く際にはどのようなことに留意すべきかという問題も大きいことが分かります。
 FPICの調査研究では,子に対する説明の問題,子の意見聴取の問題についても,大きなテーマとして取り上げられておりますので,そこでまた,この問題について検討をしてみたいと思います。


 監護者父母との面会交流なし8人のうち残り5人の声は次の記事で紹介していきます。

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