脳卒中・循環器病対策基本法成立の歴史と危うさ その2 | 不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba

脳卒中・循環器病対策基本法成立の歴史と危うさ その2

脳卒中・循環器病対策基本法成立の歴史と危うさ その2

 

1210日に、脳卒中・循環器病対策基本法が成立した。

https://www.asahi.com/articles/ASLDC33PYLDCUBQU001.html

 

前回のブログでも言及したが、この基本法の成立の歴史を振り返る時、政治的な理由のため、「脳卒中対策基本法」が「循環器病対策基本法」という名称に変えざる得ない状況となり、その名称変更に異を唱えた患者団体が排除されたという経緯がある。

 

病気の対策基本法が成立する上で忘れてはならないことは、患者に視点をおいたものでなければ、社会の共感を呼ぶことがないということである。したがって、この基本法の行く先の注目点は、行政及び医療従事者らが患者を置き去りにせず、患者の共感を呼ぶ実効性のある対策を立てられるかにある。

https://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12429546589.html

 

さて、1月24日、東大病院で心臓手術後死亡、医療事故調査機関に報告という記事が報道された。41歳の患者は10月に死亡しており、すでに3か月以上経過している。いろいろと検索してみると東大病院は最初病死として処理し、医療事故調査機関に報告していなかったことがわかる。

 

東京大学病院循環器内科(小室一成教授)で事故は起こっている。保険適用間もない最先端治療である「マイトラクリップ」治療が患者に行われ、術前検査では、この手術を行えるだけの機能を患者が持っていなかったこともカルテ開示で示されていた。

https://www.sankei.com/life/news/190124/lif1901240022-n1.html

http://www.wasedachronicle.org/articles/university-hospital/h1/

http://www.wasedachronicle.org/articles/university-hospital/h2/

http://www.wasedachronicle.org/information/c51/

 

東京都福祉保健局 医療政策部 医療安全課宛に、内部の医師らが告発しているようだ。そして東京都も立ち入り検査を行っており、安全が確認されるまでこの治療を中止するようにと指導している。

https://www.news-postseven.com/archives/20190121_851086.html?PAGE=1#container

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190124/k10011789401000.html

 

この記事を通して私が最も驚いたことは、2017年1月20日、「脳卒中・循環器病対策基本法の成立を求める会」を支持し、声明文を出している「日本循環器病学会」の代表理事が、この一連の事態を引き起こしている東大病院の小室一成教授だということだ。

http://www.asas.or.jp/jhfs/pdf/info_20170203.pdf

 

日本循環器病学会は「成立を求める会」に、突然名乗りをあげた学術団体の一つでもある。この東大病院循環器内科の姿勢をみたとき、患者視点の医療が展開されているとは、現時点ではなかなか言い難い。

 

また、今回の事例でさらに驚いたのは、東京都福祉保健局 医療政策部 医療安全課と、横浜市医療安全課の大きな違いである

 

東京都の医療安全課は、内部告発した医師らの訴えを真摯に受け止め、すぐに立ち入り検査を行い、この新しい治療を中止させている。

 

横浜市健康福祉局の医療安全課は、大口病院連続殺人事件前の内部からの告発を無視し、すでに全国的にもその姿勢が話題となった組織である。

https://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12215108823.html

https://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12392766123.html

 

さかのぼること14年、横浜市医療局の前衛である横浜市衛生局は、 “倫理委員会も出さず、かつ一度もトレーニングを行わず、指導者なしに行なわれた内視鏡的血種除去術による無謀な医療事故” を隠ぺいしようとした。

 

また、内部告発した医師たちを病院から追い出している。さらに、内部告発者の情報を漏洩するなど横浜市のコンプライアンスは林市政下9年で劣化している。

https://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12002018365.html

https://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12311701760.html

 

一部の報道によると、今回の東大病院の問題はある意味、新しい治療法の実績作りにあったようだ。

http://www.wasedachronicle.org/articles/university-hospital/h2/

 

また、横浜市の脳血管疾患救急医療体制も、当初と違い患者視点が欠落、病院側と連携し数をこなすだけのtPA治療の実績づくりに見えてしまう。

 

さらに、tPA安全指標である副作用の頻度を10年間も公表していない。(tPAの副作用である脳出血の頻度が少ないだけ安全)安全が確認されるまで新しい治療を中止するようにと指導した東京都とはあまりに違う。

https://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12033487492.html

 

脳卒中・循環器病対策基本法の先行きの危うさは、この東大病院の例をとってもよく見えてくる。

https://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12252803165.html