横浜市医療安全課の歴史
横浜市医療安全課の歴史
なぜ、横浜市保健所は再三の大口病院で生じた異変のメール告発に対し、すぐ対応しなかったのか? この疑問は今や、大きな国民の関心事であろう。
さて、横浜市がどの様に医療安全に取り組んできたかを示す上で、非常に参考となる人事的事実がある。
平成16年、横浜市健康福祉局や病院経営局の前衛である横浜市衛生局が、初代医療安全課長に誰をすえたかという経緯について、市議会で指摘・追及された。
そして、横浜市医療安全課の立ち入り検査の立ち位置が、いかに病院側に軸足をおいてきたかが分かる。
平成15年7月、横浜市立脳血管医療センターで横浜市大の脳外科医局員らによる内視鏡的血腫除去術による医療過誤が起きた。この医療過誤は、現在、非常に問題視されている群馬大学病院で起きた医療過誤と非常に類似した点がある。
また、横浜市は、センター内で医療過誤を隠ぺいしたとして、衛生局職員及びセンター内の医療職を含め、25名の処分を行った。ところが、最も注目すべき点は、疑義を呈し 無謀な手術を阻止した医師達に、組織的パワハラを行い、内部の自浄作用を一掃したことだ。
また、裁判を起こされれば一転して医療過誤を否定。一方、25名の処分は取り消さなかった。横浜市は、そんなおかしなことが平気でまかり通ってきた組織である。
http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12002018365.html
http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12004916871.html
http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-11849489894.html
大口病院からの9月20日の点滴異物混入への告発メールに対してすら、何も問い合わせなった横浜市保健所が「適切な対応だった」と言及できる体質は、そう簡単に出来上がるものではない。
http://mainichi.jp/articles/20160924/dde/041/040/041000c
http://www.sankei.com/affairs/news/160925/afr1609250020-n1.html
衛生局は、平成15年7月に起きた医療事故対応にあたった横浜市立脳血管医療センター事務職トップの管理部長と管理課長を、平成16年4月に異動させた。しかし、大きく問われたのは その異動先である。
平成16年10月5日に行われた衛生局審査で、わが党の大滝正雄議員が質問に立ち追及。端的に言えば、その人事とは 前年度におかしたミス(医療事故、その対応)を、ミスを犯した本人を、そのミスの調査する部署に異動させ、調査を行わせた。
また、都合の悪い事案が起こると公表を遅らせ、当時の状況が良く分らない、翌年の新メンバーで構成される常任委員会で報告し、議論をさせるという横浜市特有の手法も指摘した。
当時の衛生局とのやりとりを少し長いが、あえて一部を紹介する。
◆(大滝委員)―略― 私は昨年、「福祉衛生環境保全委員会」委員長として、市立病院の経営改革についての議論を丸1年かけて行い、そのリーダーシップをとらせて頂きました。
―略― 今回の医療過誤問題、私は2つの点で大きなショックを受けました。1つが、経営改革の審議をしている真っ最中に起きていたという事。もう1つは、私どもの委員会における病院経営改革の議論は5月末に終わっているのに、委員会に、この事が一回も報告されなかったという事なのです。
―略― 調査報告書の中に、総体的に見ると医療過誤だと最初に結論づけています。この総体的というところが私は非常に意味が重いと思っておりますし、客観性を持った組織としての活動が見られないとも断じられているわけです。
―略― センターも含めた衛生局内部の安全管理意識というものが欠如していると 見られていますし、同時に病院という現場、それを管理監督しなければならない衛生局の日常的な連携の中に重要な問題が潜んでいると私は思います。
―略― 私は今、手元に脳血管医療センター診療科会議の議事要旨を持っています。議事要旨を見ますと、内視鏡手術に関連してカンファレンスに上げたり、ディスカッションの場をきちんと設けて貰いたいという要望等提案が、既に8月の時点で出されていることが読み取れるのです。
11月の会議で、さらに診療科会議で詳しい資料等々が提出されて疑義が提起されているわけです。そこから始まったという事になっておりますけれども、既にその前に指摘もされている。
局長、先の常任委員会で報告を受けたのは2月9日と答弁されていますが、
◎(渡辺衛生局長)―略― 先生御指摘の先の常任委員会でお答えした2月9日で御座います。
◆(大滝委員) 病院の中で疑義が提起されたのは11月の診療科会議ということでありますが、実はその前にも、そうではないのですか ということが病院の先生方からいろいろな形であって、センター側もこれはやはりきちんとした会議体を持って内部調査をしなければならないということで、小委員会に至っているわけです。
―略― 意思の疎通が現場と本局の中にないという弛緩した無責任な体質は、隠ぺいという事とは別の意味で 非常に大きな意味を持っていると私は申し上げましたが、その事が事故の遠因になっていると局長はお考えになりませんか。
―略― この報告書をご覧になって、いろいろおっしゃっていますけど、この状態、この時点で遅滞なく市会に報告されなかった理由は何なのですか。議会報告しなくてもいいと判断されたのは局長ですか。
◎(渡辺衛生局長)―略― 医療事故との認識がその時点で全くなかったため、市会への御報告が遅れてしまい大変申しわけなく思っております。また、議会報告をすべきかどうかの判断は局長である私がいたしました。
◆(大滝委員) 実は、医療事故の公表基準というものを当局自身が作成しているわけです。この医療事故の公表基準の1のウの項に、患者さんに相当の有害な結果を生じた医療事故で、過失によることが明らかでなくとも、公表すべきと判断される場合というのがあります。
これは最も緩い基準なのです。この基準に照らしても、実はもう既に患者さんに相当の有害な結果が生じているわけです。―略― 基準作成をしたのは他ならない衛生局ですから、その判断というのは5月末まで結果的に公表されなかった、議会にも発表されなかったという判断は正しかったと局長は理解していますか。
◎(渡辺衛生局長) ―略― まさしく今回公表基準の公表事例に当たらないと考えておりました。確かに委員がおっしゃるとおり認識の甘さがあったということについて強く反省しております。
◆(大滝委員) ―略― 最初から当局の中でそう決めつけてしまっているというか、それに何の疑いもない。
―略― 今月1日に、医療法第25条の規定に基づく立入調査というものをされました。私は新聞発表でも承知いたしましたけれども、この立入調査は衛生局の医療安全課が行ったのですけども、指揮をした課長さんが、実はこの4月まで脳血管医療センターの管理課長だったことが、今日の新聞にも出ています。これは誰が見てもやはり指弾されてしまう。
また、組織として本当に問題意識や体制がきちんとなっているのかということを疑われてしまうのですが、この課長も立場がないと思うのです。可哀そうだと私は思います。どういう結果が出るかわかりませんけれども、ちなみにこの管理課長はセンター内でどういう仕事についていたか。
―略― つまり、この事件に結果的にすべて関係しなければならない立場にいた人です。その人が本局に戻った途端に今度は、立入検査の責任者にならなければならない。これはひど過ぎませんか。
マスコミの記者会見には組織で仕事をしていると答えているようですが、可哀そうなことに、実はこの立入検査をやった後の記者会見の記者との対応の場で、この管理課長が記者に対して説明しているではありませんか。
こういう事というのは、結果的に患者家族とか関係者の感情を逆なですることになりませんか。本当に患者の立場に立って物事を考えているのだろうかと市民は益々疑問を持つことになると思います。
例えば、法に基づいた検査として、これを市でやらなければならないのだとしたら、公正で客観性を持った立入調査の方法は考えれば幾らでもあるではありませんか。
どうしてそういう知恵が働かないのかということに非常に疑問を持つのですけれども、このことについて衛生局長はどの様にお考えですか。
◎(渡辺衛生局長) ―略― 今回、この立入検査につきましては区の福祉保健センターが主体ということで御座います。(管理部長は立ち入り検査を主体に行う磯子区福祉保健センターの担当部長に異動していた。)
◆(大滝委員) ―略― 市長はどういうふうにお考えになっておられますか。
◎(中田市長) ―略― きちんと監督や指導ができていない衛生局の問題がある。さらには、病院の人事なども含めて、あちらこちらで ある種の派閥の対立があったり、日本の医局人事の問題があったり、こういったところまで含めて、できて間もないにもかかわらず実に数年の間で根づいてしまっている根深い温床があるから発生している問題なのだと私は思います。
中田市長自身が、衛生局よりもいち早く横浜市立脳血管医療センター内で起こったこの医療過誤の情報を内部から得ていたことが、この市長答弁のあとに公開され、新聞でも報道された。
横浜市には、群馬大学医学部の医療過誤と類似した過誤に関する内部からの告発を 首長自身が放置した歴史がある。