群馬大学医学部と横浜市立大学医学部  | 不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba

群馬大学医学部と横浜市立大学医学部 

群馬大学医学部と横浜市立大学医学部 

(群馬大学医学部 腹腔鏡手術死亡事件から)


去年の11月から今年にかけ、非常に深刻な医療過誤として群馬大学医学部付属病院で行われた腹腔鏡手術死亡事件が報道されている。


その中で、特に疑問視されている点は、死亡事例が8例に至るまで内部で問題とならなかった院内の体制と、平成264月に安心・安全の医療提供を行う認定証を日本医療機能評価機構から交付されていたことだ。


日本医療機能評価機構が129日に、機構の対応を発表していることが興味深い。

http://hospital.med.gunma-u.ac.jp/outline2.html

http://jcqhc.or.jp/pdf/news/2014/20141209_iryoanzen.pdf


この事件は他人事とは思えない。それは、2003年、横浜市立脳血管医療センターで起きた横浜市大脳外科医らによる内視鏡的血腫除去術の医療過誤事件と非常によく類似しているからだ。


そして、その対応に当たったのが、日本医療機能評価機構の理事であった岩崎榮氏。初代の横浜市病院経営局長である。岩崎榮氏をトップとする横浜市病院経営局の医療事故対応は当時、市民団体に疑問視された。


今、超党派で成立を目指している脳卒中対策基本法の患者団体「脳卒中から助かる会」の代表である上野正東大名誉教授が、日本医療機能評価機構理事長にあてた文書が検証資料として参考になる。

http://nosottyu-tasukarukai.com/youbou0909_06.pdf


この群馬大医学部付属病院での医療過誤事件を機に、改めて横浜市の医療政策、病院経営、横浜市保健所の医療安全課の本質を検証することは、今後の横浜市民へ安全な医療を提供する上で非常に重要である。


先日、33日のNHKニュースでは、群馬大学病院院長が、死亡した患者8人全員の診療に過失があったとして記者会見の内容が放送されていた。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150303/k10010002281000.html


関連記事を検証すると、以下の問題点が挙げられている。①新規医療技術の導入に際し、倫理委員会への申請を怠った。②インフォームドコンセントが不十分であった。③診療科長は手術に慣れるまでは日本内視鏡外科学会認定の医師を助手として入るよう指示したが、3例目から入らなかった。④担当の診療科からインシデント報告があがらなかった。


平成16年、全員が横浜市立大学医局出身で構成されていた横浜市立脳血管医療センターの問題点と非常に酷似している。執刀医達は院内の倫理委員会に新しい手術方法(内視鏡手術)を行うことを通さず、また、未経験のまま手術を行い、50歳女性に重度の障害を引き起こし、最終的には亡くなられている。


横浜市衛生局(現病院経営局の前衛)によって立ち上げられた委員会報告書にも記載されているが、①執刀医達は院内の倫理委員会に新しい手術方法(内視鏡手術)を行うことを通さなかった。②インフォームドコンセントが不十分であった。③執刀医達は経験がゼロだった。


これは、日本内視鏡外科学会の認定した医師を助手としてつけて、最初の2例を行った群馬大学医学部よりひどい。


④担当の脳外科からはインシデント報告があがらなかった。救急初診医の所属する脳卒中診療部からの疑義でインシデントがあがった。

http://www.geocities.jp/shinzogeka/YokohamaCityNoKekkannIryoucenter.pdf

http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-11213879055.html


今回の群馬大学医学部の問題点は、閉鎖的な体制で、他からの意見や批判にさらされることなく、チームで進められてきたことが問題点だと言及されている。


平成261118日の読売新聞には、夫が8人目の死亡者となった女性のコメントが掲載されている。「こんなに人が亡くなっているのに、やめたほうがいいと言う先生は誰かいなかったのでしょうか」と。当時の横浜市立脳血管医療センターでは1例目から、おかしいと言う脳卒中診療部の存在があった。


横浜市立脳血管医療センターで起きた横浜市大脳外科医らによる内視鏡的血腫除去術の医療過誤事件の当時と大きく違うことは専門家である外科医のコメントである。


群馬大医学部の問題に関して、日本大学医学部消化器外科の高山忠利教授は「通常ありえない状況だ。外科医にとって最大限守らなければならないのは患者の安全性。」など、しっかりとコメントしている。


一方、横浜市の調査委員会が出したコメントは、「総体的にみると医療過誤と言わざる得ない」という表現で結論づけている。もちろん、調査委員会には参考人を含め、脳外科医師らの意見書が提出されている。


そして、この時の調査委員会の委員長も、横浜市立脳血管医療センターの名称変更部会の座長も、元北里大学医学部脳外科教授の藤井清孝氏である。


横浜市は一連のセンターのこの医療事故に関連し、25人の処分者を出した。ところが、いったん民事裁判が始まれば、日本医療機能評価機構理事が局長を勤める病院経営局は、一転して医療ミスはなかったと否定。最後まで医療ミスはなかったと押し通し、平成22年まで遺族と裁判で闘った。そして、最後まで謝罪しなかったと伺っている。


ところが昨今、一般の脳神経外科病院のホームページにも、神経内視鏡手術は、特殊な手術手技のトレーニングと熟練が必要だとされている。


低侵襲手術の名のもとに、ただ内視鏡を使用すればいいわけでなく、日本神経内視鏡学会では、平成18年度から技術認定医制度を発足していると明記してあるではないか?

http://www.oni.or.jp/specialty/endoscopic_surgery.html


脳卒中対策基本法を制定する上でも、センターで行われた内視鏡手術後の事故の対応の経過を検証することは、我々議員にとってとても重要なことである。


医療事故後、衛生局(病院経営局の前衛)常任委員会で日本医療機能評価機構理事岩崎榮参与と山本正博元センター長(去年、交通局の局別審査で産業医として5分~10分で5万円を貰っていると指摘させて頂いた。センターに現在も配置されている医師)が、チーム医療がなっていなかったと強調していた。


医療事故の問題を医局同志の内部抗争の問題に話をすり替えた。今回の群馬大医学部の院長とは逆の見解を言及している。そして当時、疑義を訴えた側の個人情報が2チャンネルに流出。


横浜市大学位審査の時も同様の事態が起こっている。まさに、大人による陰湿ないじめである。

http://giji.city.yokohama.lg.jp/kensaku/cgi-bin/WWWframeNittei.exe?USR=kanyoks&PWD=&A=frameNittei&XM=000100000000000&L=1&S=15&Y=%95%bd%90%ac16%94%4e&B=-1&T=0&T0=70&O=1&P1=&P2=%8e%e8%92%cb%90%c3%8d%5d+&P3=&P=1&K=179&N=1391&W1=&W2=&W3=&W4=&DU=1&WDT=1


その後、横浜市は重要ポストの脳血管医療センター長に市大出身の消化器外科医、神経内科部長に市大出身者を配置した。


そして、改革の名のもとに、1例目から、内部からおかしいと疑義を呈したセンターの脳卒中診療部を解体した。10年以上も前に先んじて行ってきた彼らのtPA治療の治験実績、血管内治療の実績をホームページに掲載しない。


まさに、横浜市役所が行ってきた組織的な無視というパワハラであり、一方で、人権侵害と思われても仕方がない状況がある。

http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-11849489894.html


さて、医療政策をライフワークとしてきた私だが、この4期16年間、医療政策に関連した委員会での議論に参加する機会をほとんど得られなかった。


今年度の市内報で、病院経営局の課長がセンターの改革を言及していると聞いたが、私は少しも改革とは思っていない。


行政側によって作られた都合のよい歴史を継承することは、本当の意味で市民の安全は守られないと確信している。