「雑念恐怖」を退治する
受験を目前に勉強を始めたら、急に雑念が浮かび始めました。
追い払おうとすればするほど、それにとらわれ勉強の能率があがりません。
授業中に先生の話を聞こうとすると、ふと雑念が浮かびます。
「今日は帰りに本屋に寄ろうかな」「日曜日は図書館に行こうかな」「A君は勉強はかどっているかな」etc
次々に勉強とは関係ない雑念がうかんでは消えます。
普通の人はそれは当たり前で、他の人も同じだと思っているから、苦にもなりません。
しかし、神経質は人は、自分だけが雑念が浮かび、大変な病気になったのではと騒ぎ立てます。
その心理の奥底には自己防衛も潜んでいます。
「雑念さえ浮かばなければ、人並み以上の成績があげられるのに・・・」と自分をかばいます。
そもそも雑念を目の仇にしていますが、生きていくためには雑念は大切なものなのです。
もしも、隣の教室で火事が起こり、みんな騒ぎ出しても、先生もこの子もまったく雑念が浮かばず、
授業に熱中していたとすれば、火事から逃げ遅れてしまうでしょう。
雑念をなくそうとあがくのはやめて、雑念とうまくつき合っていく工夫が大切になってきます。
それには、逃げてはいけない。机の前にすわり、教科書を開き、じっくり読むことです。
雑念は浮かんでもいいのです。本の内容が頭に入らなくてもいい。何度も読み返すことです。
森田正馬先生も医学生の頃に雑念恐怖に悩んだそうです。何度も勉強を放棄しようとしたが、
最後には破れかぶれになって教科書に取り組んだそうです。そして試験に合格し雑念恐怖も治りました。
そしてこの貴重な体験を生かして、わが国で初めての本格的な精神療法である森田療法を創始されました。
この雑念恐怖も不安恐怖も全く同じです。
この「雑念」を「不安」や「確認」等に置き換えてみてください。
根底にあるものはみんな同じ「症状へのとらわれ」です。