Choronzon/Tangerine Dream | BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

Choronzon/Tangerine Dream

 Tangerine Dreamは、何度かGroupを離脱を繰り返していたPeter Baumannが最終的な脱退を表明して以降の作品は、精彩を欠くものと感じた古くからのファンの方も多かったことだろう。つまりはEdgar FroeseChristopher Franke、そしてPeter Baumannの3人が揃っていた時代こそがTangerine DreamがCreativityの頂点にあり最も輝いていた黄金時代であるという意見に、自分も異論はない。76年にリリースされた『Stratosfear』はBaumannnが参加した最後のStudio Albumで、続く77年リリースのSoundtrack盤となった『Sorcerer』にもBaumannは参加しているが、Pop化/Compact化したとかつてからのファンから批判されるその後の路線を感じさせる作品となっていた。黄金のTriangle崩壊後の彼らは迷走しメンバーも固定できず解散状態にあったが、Frose、FrankeにJohannes Schmöllingが加わった3人体制で80年にリリースされた『Tangram』は個人的に起死回生の作品と捉えており、以降80年代の、Schmölling脱退までのTangerine Dreamの作品は個人的に愛聴しているのであった。そう、80年代の彼らは、かつての実験精神創造性は失われてしまったかもしれないが決して捨てたもんじゃないのである。サントラ盤も数多く発表し、その影響からか長尺の大作志向からPopなMelodyを持ちImaginativeな小品を連ねることによって彼らは再び映像を喚起させるElectronicなBerlin-Schoolの長老として健在ぶりを知らしめていくのだった。 

 

Exit/Tangerine Dream

 “Choronzon”はTangerine Dream81年にリリースしたアルバムExitに収録されている。このアルバムからDigital SynthesizerであるSynclavierの導入が始まった。Tangerine DreamといえばAnalog Synthesizer幻想的で分厚い音色がどうしても思い浮かぶが、ある意味でこの作品にはそういったSynthesizer/電子楽器を駆使して、いかに陳腐化しないようにPopで心地良く仕上げるかの答えが隠されている。Roland TR-808Prophet-5といった80年代前半一世を風靡した楽器にARP OdysseyOberheimMinimoogElka String Synthといった70年代を代表するサウンドがPPG Wave 2PPG 360の響きも共存し、今聴いても実に気持ち良くて、ある意味新鮮でカッコイイのである。

(Hit-C Fiore)