Then Play On/Fleetwood Mac | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC


 Peter GreenでもLindsey Buckinghamもなく、Bob WelchでもJeremy SpencerでもBob Westonでもない。自分にとってFleetwood MacのGuitarist/Singer/SongwriterといえばDanny Kirwanなのである。以前ご紹介したMiller Andersonもそうだが、ギターも歌も最高で、Songwritingのセンスも抜群という人並み外れた才能を持った音楽家としてBryn Haworthとともに世界で最も過小評価されている英国人ギタリスト御三家の一人といえよう。それにしてもKirwanは、その才能を考えると本当に勿体ない悲劇的な運命を辿っている。Peter Greenに見いだされて18歳でFleetwood Macに加入。Green、Jeremy Spencerに次ぐ第3のギタリストというより、曲も書けて歌えるギタリストとしてKirwanの才能は、バンドにWhite Blues Bandから一歩踏み出した新たな可能性を模索させる変化をもたらした。タイプの異なるGreenとSpencerというギタリストを擁し、本格的なBlues BandとしてLondonから登場した初期のMacも素晴らしいが、徐々にBluesの枠からはみ出していく時期の彼らも、過渡期と言って片づけてしまうには余りにも魅力的すぎるのだ。BluesにとどまらずTradFolkCountryFunkJazzなどの影響も感じられるKirwanの幅広い音楽性はGreen脱退後の『Kiln House』、そしてSpencerが脱退しBob Welchと正式にChristine McVieが加入した『Future Games』、『Bare Trees』で聴くことができる。本作はPeter GreenがMacに在籍した最後の作品である。Green自身もゴリゴリのBluesから視野を拡げた“Black Magic Woman”や“Albatross”、名曲“Oh Well”といった作品を残していく時期であった。KirwanがGreen同様5曲のナンバーを書いている。オリジナル盤には“Oh Well”こそ収録されていないが味わい深いインスト曲を含め、この時期ならではの魅力が詰まっている。そして、“Oh Well”で激カッコイイ燃えるようなギターを弾いているのはGreenではなくKirwanであったという事実。当時あのギターはGreenだと思っていた人が殆どだろう。後にようやくSongwriterのみならずギタリストKirwanの才能が世に知れた時、彼は消息不明となっていたのだ。

 『Then Play On』はFleetwood Mac69年にリリースしたアルバム。初めてProduceも自分たちで手掛けた作品。尚、本作にはSpencerは参加していないようである。
アルバムの冒頭を飾るのはDanny Kirwan作の“Coming Your Way”。PercussiveなサウンドにBluesyな2本のギターの絡みが炸裂するナンバー。この曲でも既に、単なるBluesにLatinな雰囲気が加味されている。
Peter Green作の“Closing My Eyes”。ここでもGreenとKirwanのギターの絡みが美しい。Greenらしい内省的なナンバー。
ドラムスのMic Fleetwood作の“Fighting For Madge”は熱く燃えたぎるPeterとKirwanのギターのかけ合いが聴きもののBluesyなインスト・ナンバー
Kirwan作の“When You Say”。アコギの弾き語りでどこか寂しげ甘さと憂いがいい塩梅のDannyのVocalが素晴らしい。この曲はChristine McVieがまだChristine Perfectだった頃にソロのデビュー・シングルとして取り上げ、KirwanのProduceでリリースされている。
Green作の“Show-Biz Blues”はSlideがカッコイイ大好きなナンバー。
続いてもGreen作で“Under Way”。この時期の彼らお得意のLatinのスパイスが利いたBluesyなインスト。やっぱりギターの絡み合いが最高。
Kirwan作のBluesOne Sunny Day”。
アコギがイイ味出してる“Although The Sun Is Shining”は物憂げなKirwan節が冴えるFolkyなナンバー。
Green作のDarkでHeavyなBluesRattlesnake Shake”。
Without You”はKirwan作のSlow Blues
John McVie作の“Searching For Madge”は疾走感のあるインスト。
Kirwan作の美味なインスト“My Dream”。夢見心地のギターの響きに酔いしれる。
続く“Like Crying”もKirewan作のCountry Blues。GreenとKirwanのDuetが最高。
最後を飾るのはGreen作のDeepなBluesBefore The Beginning”。EmotionalなVocalとギターが沁みますなぁ。

Like Crying/Fleetwood Mac

Oh Well/Fleetwood Mac

Like it This Way/Fleetwood Mac

(Hit-C Fiore)