Amos KeyはドイツはBayernのEmmeringから70年代前半に登場したKeybord Trio。当時、欧州を中心に数多く誕生したTrio編成になってからのThe Nice~Emerson, Lake & Palmer(ELP)に影響を受けた鍵盤奏者を中心とした3人編成のRock Band。鍵盤奏者のThomas Molinは子供の頃に父親からもらったAccordionを弾き始めて、ピアノやOrganを弾くようになり、独学でClassical MusicやJazzを学んで、プロになったという努力家。彼ら唯一のアルバムとなった本作は、J.S.Bach、L.v.Beethoven、 R.Schumannに捧げられていることからもわかるようにClassical Musicの強い影響下にあるのだが、面白いことに楽曲はCompactにまとめられていて、長くても5分台におさめられて、殆どの作品がInstrumentalであるが、歌モノも何曲かあって、非常に聴き易いのが彼らの特徴だ。鍵盤もHammond B-3ではなくSpeaker内蔵でReverbもついたHammond A-100を使用しているところが良い。バンド結成後、入念なリハーサルを行い、地元でLive活動を重ねて着々と知名度を上げていったAmos Keyは、StuttgartにあるIntercord Ton GmbH傘下のLabel Spiegeleiと契約を結ぶことになり、本作を74年にリリースすることになる。独創性や個性は全くないけれど、あえて、この手のTrioにありがちな大仰な大曲指向ではなく、Compactな楽曲を揃え、Vocalも決して上手いとは言えないが抒情出しまくり熱唱タイプではない雰囲気を出した欧州的な抒情が薫る中々の好盤に仕上がっている。変幻自在に躍動するリズム隊もイイ感じだ。Hammondも攻めまくりの弾き倒しもあるのだが、やたら攻撃的で技巧を誇示するだけでなく、丁度イイ塩梅でAggresiveにプレイするところが実に心地良い。自分のようにHammondのSoundと気持ち良さを追求する人間にとっては本作は手放せないものである。
『First Key』はAmos Keyが74年に Spiegeleiからリリースしたアルバム。
アルバム1曲目はThe Niceに強く影響を受けたOrganから始まる歌モノ“Shoebread”。緩急自在にDriveするLutz Ludwigのドラムスとピック弾きで押しの強いAndreas Grossのベースによるリズム隊もイイ感じ。
まるでThe Niceそのものといった感じの“Ensterknickstimmstamm”もOrganとベース、ドラムスが一体となって目まぐるしく変化する曲調が淡々と展開されていく。
“Knecht Ruprecht”はClassicalなイントロから始まる幻想的な雰囲気を持った歌モノではあるが、この曲も後半の展開が目まぐるしく、RockなShuffleになったかと思えばHammondが攻めまくるあたりはDeep Purpleを思わせる。
“Sometimes...”はThomas MolinのHammondとLudwig、Grossのリズム隊による技巧を尽くしたせめぎ合いが楽しいが2分足らずで終わってしまう。
“Got The Feelin”はLutz LudwigのSnare連打のドラミングから始まりHammondが唸りを上げる。Vocalが入るとCatchyな感じで、バックの演奏はBluesyなHammondなど攻めまくりの、これまたPurpleっぽい感じ。
赤ちゃんの泣き声から始まる“Escape”も変幻自在に躍動するリズム隊にのってThomasのHammndが暴れまくる。
“Important Matter”はベースのAndreas GrossのVocalがイイ感じ。一旦からJazz Rock調になったかと思えば、目まぐるしく曲調が変化していく。Blues Rockになったり、とりとめのなさが面白い。
L.v.Beethovenの“Für Elise(エリーゼのために)”で始まる“Dragon's Walk”も抒情的に始まる歌モノだが、例によってHammondが心地良いまでにガンガン攻めまくる。
アルバム最後をシメるのはタイトル曲“First Key”。神妙に始まるものの、RockなShuffleになったりスリリングなUnisonが飛び出したりする。
(Hit-C Fiore)