悪夢
首を絞められて はっと目が醒めたのさ
君は知らないまま ずっと眠っていた
風の音が聞こえる 風の音が聞こえる
耳をふさいでも 聞こえる音がある
瞳を閉じても 見える映画がある
胸の音が高鳴る 胸の音が高鳴る
ぐっすり眠っているよ 愛する君の寝顔
みつめているとなぜか 脳裏に突き刺さる
夢さ幻さ それも一つの出来事
僕はもう一度 夢を見たいと思う
朝が来るその前に 朝が来るその前に 朝が来るその前に
僕の野良犬はどこ行った?
「もうウザイよー!!最低。」
この言葉が彼女が僕に発したラストメッセージだった。かつてなき衝撃が僕の胸を襲い、爆発は時間の問題だった。
一つのモノを失った分、人は他のことに夢中になったりする。以前から勤めている化学会社での研究にも
当然手に力が入っていた。
「おい!君!今日は何かヘンだぞ。どうかしたのか?」
「いつものお前らしくないぜ。帰りに気晴らしに一杯行くか?」
「ねぇ!ねぇ!どうしたの?KARADA大丈夫?」
天からの声だろうか?誰もが同じ事を耳でささやいているようだ。
「そんなに心配なら、日頃から僕を愛してくれよ!!!!!」
誰も責めるつもりは無かったが、無性に叫びたかった。
残業し疲れたまま、電車の揺れに任せ家に辿り着く。家に着いてもまた仕事のことで徹夜が続く。
しかし、そんな時間ももうすぐ終わる。あと少しあと少しで終わるんだ!あと少しで・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
最後のネジをドライバーで強く締めた瞬間、大の字になって後ろに倒れ掛かった。時はすでに太陽と蛍光灯の光が二重に重なり合い、僕の瞳に訴えかけていた。
「やったぞ!ついについに出来上がったぞ!!」
わざと隣近所に分かるように叫んでやった。
「ははははぁー。やったぞやった!!!ついにやったんだ。はははははぁ。」
出来上がったからって、そのまま寝るわけでもなく背広に着替えて、すぐに会社へ向かう。
もちろん完成した作品をしっかり右手に抱えて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
一睡もしない割には瞳の炎は消えていない。まだ生きはアル。
研究所へ行く道すがら、カタコトカタコト歩く音が心臓の音と同じに感じた。なぜか研究所がいつもより遠く感じた。ちょっとした旅行をした気分だ。長い道のりだ。
ドアの前で立ち止まり、ゆっくりと開いていくのを固唾を呑んで待った。扉が開く隙間から白衣の天使達がなぜか笑いながら僕の到着を待ちわびてるようだった。
僕もそれに答えて、人生最高の笑顔を辺り一面にばらまいた。心臓の音が聞こえる。心臓ってこんなに大きい音なのか?あー鼓膜が破れそうだ。
ガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
JUST ALONE
愛も恋もなく 今はただ・今はただ JUST ALONE
片手で持てるくらいの札束と ハープを握り家を出たのさ
一人で歩こう 黙って無口で歩こうよ どこへ行くのかわからない
でも今は JUST ALONE
FU---------今はもう 今はただ・今はただ JUST ALONE
平和も争いも 今はただ・今はただ JUST ALONE
何も見えない PROLOGを見てるようだ
先が読めない ROAD MOVIEみたい
一駅までのキップを手にし 電車に転がり一息ついた
山の手一周 揺られて着いた先が 僕が一番知ってるところ
そこは JUST ALONE
終わる駅のない 列車に乗ったようだ
一眠りしても また同じ駅のまま
FU---------今はもう 今はただ・今はただ JUST ALONE
平和も争いも 今はただ・今はただ JUST ALONE
今日も明日も 今はただ・今はただ JUST ALONE
愛も恋もなく 今はただ・今はただ JUST ALONE
自分の本とは?
「ないない!!ないよ!!一体どこ行けばあるんだい!!」
神田神保町、中野、新宿・・・・・・・・日が暮れると少しは涼しくなる今日この頃だが、昼間は違う。
これでもか!これでもか!と畳み掛けるような日差しに僕はいつまで耐えれば安らげるのだろう?
いや、いつまで耐えれるのだろう?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
僕は一人、足を棒にして歩き回った。たった一つの本のために・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あのう、すいません。この作者の本ありますか?」
「題名は何ていうものでしょう?」
僕への視線とパソコンへの視線とを交互に行き来させながら、店員の指は僕の発する検索言葉をいまかいまか待っていた。
「この作者の本であれば何でもいいんです。その作者が書いている本なら・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ピストルが鳴り、今にもスタートしそうな指を僕の言葉はピタリと止めさせた。
その後少しの間、僕の心と店員さんとの間に沈黙が流れ、周りのノイズがフェードインしてくるようなどよめきを感じた。
「お客様、お待たせいたしました。誠に申し上げにくいんですが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
店員の声を最後まで聞いていられるほど、僕は強靭な肉体を持っていない。
ただ一言で、ただ最後の一声で、僕は諦念という重荷をまた背負わされるような気がしてならなかった。
最後の一声を聞かなかったおかげで、明日からまたあの本探せる。探せるんだ!!!
現にそのあとも本を探していた。昼休みも帰宅途中でも休みの日も一日も休まず毎日・・・・・・・・・・・・・・・
本当に無いと諦めもつくのだろうか?最近では半分笑顔になりながら、「もうないよなぁ。あるはずがないよ。
ある方がおかしい。」とつぶやくようになっていた。
家を出て駅へ向かう途中、ふと古本屋が目に入った。
「こんなところに古本屋?へぇーあったんだ。」
時間も少し余裕がある。ちょっと顔出してみようか。足が古本屋に向かっているのを自分で理解する頃には店の中、レジのそばにいる主人の前に立っていた。
「あのう、すいません。本を探してるんですが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
自分自身もう聞き飽きたセリフだ。何を言ってるんだろう?自分で自分に問いただしたくなる瞬間だ。
「誰の本かね?」
「自分が書いた本ですが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「あーアレね。あるよ。」
「えー!あるんですか!!」
青天の霹靂とはこのことなのか?たった今自分が天使になったような浮遊感を感じた。
「これね。」
ハタキでホコリを払いながら、持ってきた本に目をやったら、確かに自分の本である。
店の主人が渡してくれたのは、甘いラブストーリーが書いてあるモノだった。ぺらぺらとページをめくっただけで、背筋をゾクゾクさせた。
「いい本なんだけどなぁ。それ書いてその人亡くなったよ。かわいそうに。」
「えー!!!」
僕はショックのあまり、本を落としてしまった。なんて残酷な・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ねぇ!ねぇ!着メロ鳴ってるよ。早く起きて。」
コレは夢か?ハッと我に返るのに時間は大してかからなかった。
「わかったよ。んーはい、もしもし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
何事も無かったかのように今日も一日が始まった。所詮、夢は夢なんだろう?
部屋のテーブルには、ノートパソコンと一冊の本が誰かを見守るように置かれていた。
「捜し求めた自分と待っていたあのコ」という本が・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
誘惑
汚れたあたし見ないで ずっとこのまま抱きしめてよ
あたしのブルーなところ あなたに見せたくないの
一歩外に飛び出せば 身体中が泥だらけよ
あなたの声が聞ければ 心が洗われるのに
世界の終わりが 来てもあたしはかまわない
あなたの背中を 一途に追いかけて
男達の視線浴びて 身も心も傷だらけよ
あなたの視線であたし すぐに癒されるのに
世界の終わりが 来てもあたしはかまわない
あなたの背中を 一途に追いかけて
あなただけを見ていたいのに 社会がそれをさえぎるの
誘惑に取り囲まれ おかしくなりそうだわ
あたしにとって大切なものは ちやほやされることじゃなく
あなたの肌に触れ合う 一瞬のヒトトキなの
たとえあなたへの 道が遠くイバラ道でも
迷いはしないわ まっすぐ歩いていくわ
世界の終わりが 来てもあたしはかまわない
あなたの背中を 一途に追いかけて
野良犬 IS MY FRIEND
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・KATIKATIKATIKATIKATIKATI・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・ZIRIRIRIRIRIRIRIRI・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
いきなり頭をハンマーで叩かれたように目覚めが悪い。数日間の疲労が身体全体を蝕んでるんだろう。しばらく放心状態のままテントの屋根を見、焦点が定まるのを待った。
ようやく息を吹き返した自分をテントから出て待ちうけていたものは、丸焼きになりそうなほどのまぶしいRISING SUNと辺り一面の砂であった。
とうとう来たんだな!!!
ふとその時、他人の生暖かい言葉が脳裏をよぎった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「馬鹿だなぁ!何もそこまで追い込まなくたっていいじゃないか?」
「本当に行くのかね?両親には相談したのか?」
「将来を見据えた試練を自分に課してエライよなぁ。」
「行ってきなさいよ。どうせ3日で飽きるんだから。おみあげ忘れないでよ。」
女性ホルモンが多いせいか?普段はあんまり生えなかった僕の髭も放浪の余波でみるみるうちに仙人ほどになっていた。
果たして僕が今していることは自分にとってよかったことなのか?ついに安息の地に辿り着いたのか?今の自分にはわかる術もない。
「僕がやっていることは正しいんだ。間違ってるはずなんて無い!!」
そう胸の病に言い聞かせながら極人の階段を一歩一歩脇目も振らず渡ってるようだ。ただわかってることはどれだけ考えてもやってみないと始まらないということだけだ。
あれだけ用心して、多めに飲料水を調達したのに、すべてラクダ君に飲まれてしまった。悔しいながらもそのことを責めるラクダ君も今はいない。
ポケットの中に手を突っ込んでみると、くしゃくしゃになったYUKICHI FUKUZAWAのお札とモミクチャになった当ての外れた自負心だけが恥ずかしそうに顔を覗かせていた。まさに紙切れさ。
次第に考えることにも疲れて、自分の呼吸する音が鼓膜を破る勢いで僕に何かを訴える。
オアシス・不思議な響き・オアシス・幻・オアシス・オアシス・オアシ・オア・アアアアアア・・・・・・・・・・・・・・・・
AHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
鏡の中の君
神様に一つお願いするよ 鏡が欲しいと
絶対に割れることの無い 丈夫な鏡を
心も口も髪の一本も 見逃せないよ
一つ一つなめらかに 僕の手を流れてく
シャラララ シャラララ シャラララ シャラララ
君の心が読めなくて 鏡の中へ
君の笑顔が鏡に写り はっと目を開ける
心も口も髪の一本も 見逃せないよ
一つ一つなめらかに 僕の手を流れてく
鏡だけは必ず 持っていたいよ
君だけを大事な 胸のポケットに
世間が鏡に反射して 見えなくなった
僕の女神がそっとささやき すべて元通り
心も口も髪の一本も 見逃せないよ
一つ一つなめらかに 僕の手を流れてく
シャラララ シャラララ シャラララ シャラララ
タッチの差で僕は野良犬を見逃した
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・HAHAHAHAHAHAHAHA
HAHAHAHAどこまで歩いてるのか?疲れて量ることも出来やしない。かといって足を止めると死んでしまいそうで、止まる事も出来ない。
”人間てのは、何も飲まないと声を出すことにも一苦労な動物なんだな”と初めて実感したが。それにしてもノドが渇いた。
なんかこうキャップを開けた瞬間シュワーっと泡が僕の瞳全体を潤し、ゴクゴクゴクとノドを鳴らしながら、僕の心も潤してもらいたいものだねまったく!!
グッタリとしながらも辺りを見渡すと、なんと幸か不幸か目の前に自動販売機があるではないか!
”なーんだこんなところに。ハハァーン馬鹿だな俺って”
心の中で考えるのも体力の消耗だろう?僕は自販機の前に立ち、ポケットから小銭を取り出して自販機に入れ、ジュースのボタンを押した。ところがマシーンは”お金が足りません”と言いやがる。
”ムカつくよ!!”マシーンに足元みられてやがる。しょうがない背に腹は換えられないんで仕方なく、なけなしの万札を入れ(自販機に万札なんて入ったっけ?)、「FREEDOM」という缶ジュースのボタンを押した。そこで返ってきた答えがまたも”金額が不足してます”だった。1度ならず2度までも。天は我を見放したか?ふざけんなよ!!キレて、わずかな力を振り絞ってマシーンを蹴ったが、音沙汰なし。”チキショー。ノドが渇いてなければ半殺しの目にあわせていたのに。”仕方がない。まだ金あったっけ?自分の身体全体を手探りに触り始めた。無いモノはない。やっぱりなかった。
ふと前の自販機を眺めると、姿形も無くなっていた。おかしいと思いながら、廻りを見てみると自販機が全速力で逃げているのが見えた。”おい、マジかよ!!マシーンも泥棒すんのかよ!!””おーい、待てよ。ばかやろう!!”すでに立って追いかけることも出来ず、這いつくばって自販機との距離を縮めようとしたが、ただ一向に縮まる気配が無い。金を取り返したいのか?ノドを潤したいのか?自分でもわからないまま、やみくもに力の許す限り追いかける。追いかける。HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA
HAHAHAHAHAところで”FREEDOM”というジュースはどんな味がするんだろうね?HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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SWALLOWTAIL
空高く舞い上がる A Beautiful Swallowtail
いつもあの子を見つめて
When I Was a Younger Day
林の中を駆けずり回り 疲れて寝そべると
現れて 鼻の上に止まる
団扇のように やさしく羽根をばたつかせ
起き上がると 空の彼方へ
太陽が沈まない時だった
心が落ちない瞬間だった
And I Live in a Modern World
見つけることすら忘れてる そんな時
現れて 窓越しに楽しそう
太陽が沈まない時だった
心が落ちない瞬間だった
空高く舞い上がる A Beautiful Swallowtail
いつもあの子を見つめて
振り返った答え
「今日仕事終わってから、泊まりに来てもいい?」
「いいよ。」
「じゃー、あとでメールするね。」
君はしばらく僕と目線を合わせ、少し照れながら小さく手を振った。
僕は当たり前のように手を振って、君の後ろ姿を見送った。
君は僕の熱い視線を背中に感じていないかのようにそのまま僕の視界から消えていった。
それだけのことさ、たったそれだけのことだったのさ!!
ほんの数秒の出来事に僕は、ふと妙な寂しさを感じていた。
ひょっとしたら、君が本当に消えていきそうで、僕の記憶から完全に消去しそうで・・・・・・・・・・・・
蒸し暑い夏なのに、背中が凍りつくほどの震えを感じていた。なぜだろう。なぜなんだろう!!!
今日の夜また会えるのに・・・・・・すぐまた君とキスできるのに・・・・・・・・
歴史の偶然か、時代の変化か、時は悲しくも僕に同じワンシーンを作り出してしまった。
翌朝君と僕は、同じ場所で同じセリフを言い、同じように手を振った。
また同じ気分を味わわなければならないのか?不安というよどんだ空気を吸いながら、僕はまたも当たり前のように君の背中を見送った。
絶望の崖っぷちで君が出した答えは、再度僕を振り返り、見たこともない大きな手と忘れることがない笑顔を僕の瞳に焼き付けることだった。
うれしかった。とてもうれしかった。飛び上がりたかった。
不安から解放され、晴れ間が見えた自分には手を振り返すことも忘れていた。
ただ僕の笑顔だけが君に答えていた。
今年の残暑も厳しくなりそうだ。