僕の野良犬はどこ行った?
「もうウザイよー!!最低。」
この言葉が彼女が僕に発したラストメッセージだった。かつてなき衝撃が僕の胸を襲い、爆発は時間の問題だった。
一つのモノを失った分、人は他のことに夢中になったりする。以前から勤めている化学会社での研究にも
当然手に力が入っていた。
「おい!君!今日は何かヘンだぞ。どうかしたのか?」
「いつものお前らしくないぜ。帰りに気晴らしに一杯行くか?」
「ねぇ!ねぇ!どうしたの?KARADA大丈夫?」
天からの声だろうか?誰もが同じ事を耳でささやいているようだ。
「そんなに心配なら、日頃から僕を愛してくれよ!!!!!」
誰も責めるつもりは無かったが、無性に叫びたかった。
残業し疲れたまま、電車の揺れに任せ家に辿り着く。家に着いてもまた仕事のことで徹夜が続く。
しかし、そんな時間ももうすぐ終わる。あと少しあと少しで終わるんだ!あと少しで・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
最後のネジをドライバーで強く締めた瞬間、大の字になって後ろに倒れ掛かった。時はすでに太陽と蛍光灯の光が二重に重なり合い、僕の瞳に訴えかけていた。
「やったぞ!ついについに出来上がったぞ!!」
わざと隣近所に分かるように叫んでやった。
「ははははぁー。やったぞやった!!!ついにやったんだ。はははははぁ。」
出来上がったからって、そのまま寝るわけでもなく背広に着替えて、すぐに会社へ向かう。
もちろん完成した作品をしっかり右手に抱えて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
一睡もしない割には瞳の炎は消えていない。まだ生きはアル。
研究所へ行く道すがら、カタコトカタコト歩く音が心臓の音と同じに感じた。なぜか研究所がいつもより遠く感じた。ちょっとした旅行をした気分だ。長い道のりだ。
ドアの前で立ち止まり、ゆっくりと開いていくのを固唾を呑んで待った。扉が開く隙間から白衣の天使達がなぜか笑いながら僕の到着を待ちわびてるようだった。
僕もそれに答えて、人生最高の笑顔を辺り一面にばらまいた。心臓の音が聞こえる。心臓ってこんなに大きい音なのか?あー鼓膜が破れそうだ。
ガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・