これまでお話をしてきた貪欲の理解を深めるのに、行動分析の知識が有効のように思います。
行動分析は習慣や依存症などが発生する仕組みを、実験などで分析しています。
例えば、マウスにレバーを押すことを覚えさせる実験などです。
レバーを押すと餌がでるような仕組みを作ると、マウスはしばらくするとレバーを押すことを覚えます。
その後に、時々餌が出ないようにすると、一生懸命レバーを押すようになります。この餌が出ない間隔を上手に調整をするとマウスは狂ったようにレバーを押すようになります。
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このような状態になったマウスは、少しの餌で満足することがなく、しばらく餌がもらえなくて諦めることもなく、レバー押しに執着するようになります。
つまり、レバー押しの貪欲化です。
この絵は、行動分析の実験用の箱で、
スキナー箱と呼ばれる物です
動物はある行動をした結果うれしいことが起きると、その行動を繰り返すようになります。行動分析では、行動と結果の随伴性と言います。
上の話で、マウスにレバーを押すことを教える手順を強化と言い、餌(うれしいこと)を好子と言います。
毎回餌を出すことを連続強化と言います。
餌を出したり出さなかったりする強化することを間歇強化と言います。
間歇強化された行動は習慣化しやすく、消えづらい特徴があります。
http://www.counselorweb.jp/article/441371728.html
人にも同じことが起こります。
ギャンブル依存症になる主要なメカニズムの一つとされています。
ギャンブルの当たったり当たらなかったりするのが、間歇強化にあたります。
間歇強化で狂ったようにレバー押しをするようになったマウスは、「レバー押し」が好子になるようになります。
このマウスに、何かの別のボタンを押さないとレバー押しができない仕組みを与えると、しばらくするとボタンを押すことを覚えます。
これを間歇強化をすると、ボタンを狂ったように押すようになります。
最初は餌が欲しくて、レバー押しを覚えたのに、今はレバーを押したくて一生懸命ボタンを押します。
目的が「あれれ?」といった状態になります。
このマウスのそばに餌をおいたとき、このマウスは餌に気づくでしょうか?
正直いうと、そんな実験は知りませんので、結果は知りません …
ですが、人間の場合だと気づかないかもしれません。
今度は人でのお話です。
おいしい物が大好きな人がいました。
時々、親からお金をもらっておいしい物を食べているうちに、お金が大好きになり欲しくなりました。
大好きなお金を得るために、商売を始めました。時々お金が儲かるようになって、商売が大好きになりました。
でも、色々な困ったことがおきて、商売ができなくることがありましたが、それを解決すると大好きな商売ができるようになりました。
今は一生懸命、困ったことを解決しています。
あれ?
何のために頑張っていたんだけ?
貪欲は、このような状況を作ります。
幸せになりたくて、一生懸命仕事始めたのに、仕事しすぎて心や体を壊したりします。
誰かに好かれたくて、一生懸命努力をしていたら、そんな自分をほめることを覚え慢に陥って、その人との関係を壊してしまう。
みんな、貪欲の仕業です。
やっぱり、お釈迦様が言う通り、貪欲には早めに気づいて消去するのがよさそうです。