「何かに執着する」というのは、「何かに依存している」ともいえます。
そして、依存は過去の経験の中で身につけてしまった心のクセです。
単純な生物でも、エサを見つけるための法則性に気付くと、それを学びます。
たとえば、マウスを「レバーを叩くとエサがもらえる」という仕組みのそばに置いておいて、たまたまレバーを叩いてエサがもらえると、また叩いてみるようになります。
毎回エサがもらえるのを何回か繰り返すと、マウスは好んでレバーを叩くようになります。
でも、これはマウスが「レバーを叩くとエサが間らえる」という因果関係を学習したとのではなく、「なんかレバーを叩きたい」という新しい衝動がうまれたという状態です。
言い方を変えると、マウスは、「エサをもらうためにレバーを叩く」のではなく、「レバー叩きたい!」と感じているだけです。
このような学習は、小さな微生物でも起きています。自然環境で生きにく基本的な仕組みだからです。
そして、これは人でも起こります。これを行動分析では、オペラント条件付けと言います。
好む結果を得るための条件つけだけではなく、嫌なことを避ける条件付けもあります。
人は知的な脳の部分で理解するだけでなく、古い原始的な脳の部分で新しい衝動としても覚えます。
つまり、「因果関係を学習した」というより「新しい衝動を得た」ということなので、考えを変えただけではこの衝動は消えません。
これは、けっこう簡単に起きますし、私達の習慣のほとんどが、この仕組みで獲得したものです。
上のマウスの実験に続けて、以下のようにやると「レバー叩き依存症」のマウスが作れます。
レバーを叩くと毎回出ていたエサを、時々出ないようにします。
それでもマウスはレバーを叩きます。
そして、エサが出ない回数を減らしていきます。
ランダムに、エサが出たり出なかったりするようにします。
すると、必死にレバーを叩く「レバー叩き依存症」のマウスになります。
人でも、ギャンブル依存症になる要因の一つがこの仕組みです。
まったくエサを出さなくなると、しばらくするとマウスはレバーを叩くのを止めます。
依存症から解かれた状態です。
が、マウスがレバー叩きを辞める前にエサを出してあげると、依存症から解かれずに「レバー叩き依存症」が続きます。
そして、依存が強化していきます。
ここに、依存症や執着から解かれるヒントがあります。
依存症の元になっている衝動にみを任せて、まんまと喜びを得られると依存症が続きます。
場合によっては強化されていきます。
ギャンブル依存症でも、しばらく負けていても良いタイミングで勝たされると、依存症が続いてしまいます。
その衝動に身を任せてはいけないということです。
衝動に身をまかせて、うっかり喜ばされると依存症を強めてしまいます。
また、その衝動は理屈から生まれているものではないので、考えで消そうとしても消えません。
その衝動をやり過ごすしかないのです。
少し前に「感情を受け流す練習」で書いた、RAIN などの方法です。
どの場面でどんな衝動があるのかを見つけて、「心を整える方法」に取組むのも効果的です。
私達は、オペラント条件付けなどで、考えることなく自動的に動いていることが沢山あります。
そのような行動は、自分がしている事にもなかんか気づきません。
マインドフルネスのスキルは、そのような自分の言動に気付きやすくなる効果もあります。
ふとストレスを感じたときは、その前後の自分の言動や考えたことを棚降ろしして、その中に隠れる感情や衝動について、「心を整える方法」に取組むと心がどんど軽くなりますよ
