仏教の欲に関する考え方も、とても興味深いものがあります。
仏教では、"もっともっと" と駆り立ててる欲、つまり貪欲に気をつけろと教えます。
心の苦しさにつながったり、建設的な生活を妨げる原因になっているからです。
貪欲は、現実の理解を歪めたり、目の前のやるべきことから気持ちを逸らしたりします。
そして、その欲求が満たされない時、不安、不満、怒りなどの不快感情の元にもなり、人を苦しめます。
困ったことに、人は知恵を持ったために、欲が貪欲化しやすい傾向があります。
仏教では、それを予防したり、貪欲の解消の仕方なども教えています。
面白そうでしょ?
まず、欲について整理してみましょう。
動物は個体の生存や種の繁栄に必要なことに快を感じるようにできています。そして、その快を得ようとする衝動が欲です。
欲というのは、私達を幸せに向かうように仕向けているもので、意欲などとも関係があります。
貪欲というのは、それが強くなったものです。
厳しい自然界の中で、食料が少なくなったりしたら、少ないチャンスを獲得するように貪欲にさせる機能で、多くの動物に備わっているものです。
自然界の動物は、その努力でも効果が得られないことが続くと、逆にエネルギーを無駄にしないように貪欲が消えるようになっています。
ところが、人は自ら自分の欲を満たすものを作ったり、代用品を使う知恵を得たために、貪欲が消えないこと多くなっています。
その代用品の代表が妄想です。
貪欲は、比較的簡単に起こります。軽度のものは簡単に消えますが、気付ずに欲に身を任せていると、どんどん膨らんでいきます。
この仕組みの詳しくは別の機会に記事にしたいと思います。
まず、貪欲がどいうものかを知って、気付くことを考えてみましょう。
気付けなければ対処ができませんし、軽度なうちに気付けると、対処が簡単だからです。
貪欲があると以下のように感じます。
- "もっともっと"と、駆り立てられる
- 何度も繰り返したくなる
- 手放せなくなる
- 何かを犠牲にしてでも、欲しくなる
これらの感覚は不快感情にもつながっていきます。
- 怒り
- 欠乏感、イライラ
- 執着、失う不安
- 葛藤、迷い
逆にいうと、このような感覚に気付くことで、何かの貪欲の影響を受けていることを知ることができます。
また、人の場合は、ストレスの原因の多くは、この貪欲から来ていますから、貪欲から解放されるとストレスから解放されます。
不快感情以外にもいろいろな悪影響を受けます。
- 不平不満、批判などの妄想を生んだり、とどまらせる
- 目の前のことから集中を逸らしたり、集中を妨げる
- 作業を止めたり、遅らせる
- ホントに大切なことを見失わせる
つまり、私たちが幸せを掴んだり、建設的な行動をすることを妨げるのです。
わかりやすいように、例も挙げてみましょう、
- 勝ちたいという貪欲の影響で、効果的な練習に集中できない。
本番のプレイに集中できない。 - 何かの好きなことに意識が向いてしまい、仕事が進まない。
これで、貪欲の影響がイメージしやすいと思います。
欲を満たしてばかりいると、貪欲化します。
ですから、対処方法を簡単に言えば、「不用意に欲を満たさない」ということになります。
そのためには、貪欲を上で説明したような特徴で見つけたり、貪欲にはどんなものがあるのかを知っていると、早めに対処することができるようになります。
これについても、別の記事で詳しくお話をします。