当院の看護師2名が、レーザー脱毛士の資格を取得しました。
レーザー脱毛士は、日本医学脱毛学会に入会し勉強して経験を積み、試験に受かって取得するものです。
看護師の資格があれば脱毛施術を行うことは可能ですが、更なる質の高い技術を提供し、様々な状況に対応できるための資格です。
当院で安心して脱毛施術を受けていただくために看護師自ら取得に向けて努力していましたし、私もこうしたスタッフ教育には労を惜しまず支援しています。
資格取得には条件があり全員いっぺんに取れるわけではありませんので、院内では定期的に勉強会や技術確認の機会を設けて質の均一化に取り組んでいます。
脱毛は看護師施術の施設がほとんどで、医師が行うことは非常に稀です。
そして施術の内容上、差が分かりにくい(どの施設で受けても同じと感じる)というのもあります。
しかしながら、施術の質を均一にする努力を意識的に行わなければ技術にバラつきが出ますし、機器の種類・設定によって効果や合併症の出やすさが異なってきます。
当院では私が肌の状態を診察し、必要に応じて波長や照射条件を変えます。
また、看護師も逐一様子を確認しながら施術します。
医療機関として当たり前のことなんですが、実際は医師が確認することなく流れ作業になっている施設も多いです。
(体制の問題は置いておいて)それでも大きなトラブルなく施術が進んでいくことが多いのでしょうし、効率がよいのは当然なのですが、一番問題になるのは合併症が出た時の対応です。
合併症といっても、技術の落ち度ではなく医学的に一定の確率で起こりうるものですが、そのあたりがきちんとフォローされずに「美容クリニックで脱毛していましたが、『皮膚科へ行ってください』と言われました」とのことで受診される方がいらっしゃいます。
そのクリニックの医師に診察もしてもらえず、カウンセラーさんに指示されるだけだったという場合もありました。
少し話は逸れますが、研修医終了後にそのまま美容へ進む医師が増えているのはご存じかと思います。
これには様々な意見があり、将来美容しかするつもりがないのに各科の専門医を取るために5年以上も美容と関係ない保険診療で修行をすることに対して、若手の先生方はいろいろ思うところもあるようなんですね。
しかし、これは私だけでなく多くの美容皮膚科や美容外科の先生が言っていることですが、保険診療の心得があることは安全な美容医療を行うために不可欠な要素です。
早くから美容の本業に携わった方が症例数や経験年数は勝りますが、「何かあった時」の対応の引き出しの多さが圧倒的に違うからです。
保険診療は病気を正常に近づける分野で、美容医療は正常を更に審美的によい状態に持っていく分野です。
合併症は「いったん病気になる」ようなものですから、そこを診療した経験がないと対応ができなくて「皮膚科へ行ってください」になるんですね。
さっきも書いた通り、脱毛だとそういうのが分かりにくいかもしれないですが、すべての施術において同じだと感じています。
私が施術時にやりとりしている場面を担当看護師は見聞きしているわけで、看護師の引き出しも増やせたらいいなと思います。
今日書いたようなことは、ホームページにも載せています。
私の持っている美容皮膚科・レーザー指導専門医という資格も、正直なくても美容医療はできます。むしろ持っている先生の方が少ないです(全国で60人くらいです)。
それでも、保険診療の延長としてきちんとした美容医療を行っていきたいという私のこだわりで取得しました。
私のもとで働いてくれている看護師も、意欲高く仕事に向き合っています。
医療は100%というのが難しい分野ではありますが、安心安全に診療を行っていけるようこれからも一同で精進していきますのでよろしくお願いいたします。