お笑い芸人ウーマン村本さん テレビに出なくなった僕が、朝鮮学校に笑いを届けに行った話【後編】 | かっちんブログ 「朝鮮学校情報・在日同胞情報・在日サッカー速報情報など発信」

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あの芸人が 年末漫才にて 朝鮮学校を取り上げると宣言!  

 

動画・SNSの反響はこちら 朝鮮学校無償化問題を漫才ネタに(THE MANZAIにて) 

 

朝鮮学校無償化問題を漫才ネタに 2 (SNSの反響はこちら②&朝鮮学校 急上昇ワードに)

 

キッカケは何だったのか?ウーマンラッシュアワー 村本さんと広島朝高生の心温まる写真と投稿 

 

朝鮮学校や在日の問題についてここまで書けるウーマンラッシュアワー村本さんはすごい 

 

朝鮮学校で独演会をして来ました。その感想(ウーマンラッシュアワー村本さんのnoteご覧ください)  

 

大阪の朝鮮学校独演会にて ウーマンラッシュアワー村本さん(学生たちに囲まれながらの写真はこちら) 

 

どうやって呼び事が出来たのか?大阪の朝鮮学校独演会にて ウーマンラッシュアワー村本さん 

 

お笑い芸人 ウーマン村本さんが広島朝鮮初中高級学校で独演会(大阪に続き広島でも) 

 

お笑い芸人 ウーマン村本さんが広島朝鮮初中高級学校で独演会 2 (SNSの反響) 

 

お笑い芸人 ウーマン村本さん 昨日の朝大ヘイトについて質問に答えてくれました。 

 

「在日は面白い」 お笑い芸人 ウーマン村本さんインタビュー(朝鮮新報より)

 

本日限定!お笑い芸人ウーマン村本さん無料講座「在日コリアンの彼らと漫才師の僕の話を60分」 

 

お笑い芸人 ウーマン村本さん 朝鮮学校の話など(日刊ゲンダイの記事より) 

 

動画あり お笑い芸人ウーマン村本さん民放フジテレビ(THEMANZAI)にて朝鮮学校の話を 1

 

動画ありお笑い芸人ウーマン村本さん今年も朝鮮学校の話題を取り上げる 2 (SNSの反響②) 

 

動画ありお笑い芸人ウーマン村本さん今年も朝鮮学校の話題を取り上げる 3 (SNSの反響③) 

 

お笑い芸人ウーマン村本さん テレビに出なくなった僕が、朝鮮学校に笑いを届けに行った話【前編】

 

 

の続き

 

 

 

(引用元:フジテレビ THE MANZAI より)

 

 

テレビに出なくなった僕が、朝鮮学校に笑いを届けに行った話【後編】

 
 

 

 

 

 

 

「テレビに出ずに全国を回って人と話してきたのでそれを本にしました」。ウーマンラッシュアワー村本大輔が一冊の本を12月16日に刊行した。彼がさまざまな地で見て、感じた“痛み”をつづった『おれは無関心なあなたを傷つけたい』というタイトルの本だ。村本大輔は現場で何を見て、どう感じたのか? 本連載では、本書の内容を期間限定で公開していく。今回は、“在日コリアン”について触れた「手作りキンパに想うこと」という項目の後編を公開。

 

 

初めて食べた手づくりの「キンパ」

 ※前編はこちらからご覧いただけます

 朝鮮学校に向かう途中、いろんな話を聞いた。チマチョゴリを着て街を歩くと罵声を浴びせる人たちがいて危険なので、生徒たちは学校まで私服で来てからチマチョゴリに着替えるらしい。

 それを聞いて、日本の18歳以下の野球の代表チームが韓国に行くとき、空港で日の丸のないシャツを着せられて入国したという話を思い出した。それに対して彼らはバッシングを浴びていたけど、一番日の丸を付けたかったのは選手たちだろう。いつでも大人たちの幼稚な喧嘩に巻き込まれるのは彼ら子どもらだ。

 お母さんたちは手作りのキンパという韓国の巻き寿司をお弁当に持ってきてくれた。だいたいこんなときは店で買ったお弁当でも用意してくれるんだけど、人の手作りが食べられない派の僕は最初、まじか……と思ったけど食べてみたらめっちゃおいしかった。

 そして、朝鮮学校に着いた。お母さんたちに「子どもたちにはサプライズなのでバレないように楽屋まで行きます」と言われた。これが芸人にとって一番つらい。笑 おれが毎日テレビに出ている芸人ならまだしも、ここ何年もテレビに出ていないやつのサプライズは、こけたときの恥ずかしさはすべて僕にのしかかる。

 楽屋に向かう途中、風邪で早退する生徒とすれ違った。お母さんたちはおれを必死で隠そうとしたけど、彼に見つかってしまった。彼は素でペコっと会釈だけして帰っていった。

「お母さん! 見ましたか!! あのリアクション! 絶対、サプライズ変な空気になりますって!」とビビりまくったが、お母さんたちは絶対に大丈夫です、と謎の自信で僕を舞台に送り込んだ。

僕が朝鮮学校の生徒たちに伝えたかったこと

 体育館に集められた子どもたちは、僕を見てすごい歓声をあげた。あとで聞いたらテレビの漫才で朝鮮学校無償化にふれたことで、生徒たちの間でもすごく話題になっていたらしい。

 中学生、高校生たちがキラキラした目で僕を見ていた。僕は怖くなった。なぜなら、このまだ幼い彼らに、これからショッキングな話をしないといけないからだ。勇気が揺らいだ。葛藤した。

 知らなくていいことを言って傷つける必要はあるんだろうか。もしかしたら、それはあくまでも僕が見てきた人たちであって、彼らは素晴らしい日本人に出会うかもしれない。わざわざそんな先入観になるようなことを言わなくてもいいのでは、と。でも、ただお笑いをやるならおれじゃなくてもいい。おれは彼らに知ってほしい、この国の現実を。

 途中、何度も話が止まった。静まり返っては笑いをとり、笑いをとって小休憩したらまた突きつける。その中で僕は言った。

 ルーツがあることは素晴らしいことだ。ルーツに迷い、困惑し自分が何者かを悩むことは素晴らしいことだと。アメリカのコメディアンは自分のルーツを学び、発言する。黒人白人メキシコ人などなど、なぜここにいるのか、自分は何者か、と。そこから気づきがたくさんある。

 たとえば黒人なら、アメリカという国に奴隷として連れてこられた。まだまだ白人との格差も目立つ。彼らはそのルーツから学び、人としての尊厳を主張する。ジャズもヒップホップも、表現は彼らの権利の主張だ。だから僕は、朝鮮学校の彼らにもルーツに真摯に向き合い、そして権利を勝ち取ってほしかった。

 

 

 

 

 

なぜここに来たのか、独演会をしながら頭の中で何回も僕は僕に聞いた。

 僕は味方だよ、と言いたかった。

 僕はよく、どうして日本人なのに朝鮮学校にそこまで関心を持ってくれるんですか?と言われる。僕は高校も中退していて、たまたま芸人として生活ができている。もし笑いがなかったら、おれの人生はなかった。可愛い女の子とデートできるのも、高い家賃のマンションに住めるのも、笑いで自分が幸せになる権利を勝ち取ってきたからだと自信を持っている。

 だから彼らにも、打ちのめされることや、無力で涙を流すことを、すべて未来への大事な経験にして幸せを勝ち取ってほしい。怒りに取り憑かれて恋することや友達との時間を忘れないでほしい。彼らのように、いろんな景色を見てきた人たちは格段に強く優しくなれる。

 それを伝えたかった。

手作りキンパに想うこと

 独演会後に、生徒たちが教室のベランダに集合して手を振ってくれた。難しい話、ショックな話をしたけど、最後までいい顔で聞いてくれた。伝わってほしいことを心で感じてくれた。

 そして僕が、今回の朝鮮学校訪問で一番素敵だと思ったのは、翌日、50枚近い写真が彼らのお母さんから送られてきたことだ。その写真はほぼすべて僕ではなく、子どもたちの笑顔だった。つながりの薄くなってきているこの時代に、強いつながりと結びつきを見た。

 社会がすごく緊張状態にあるから、そこから自分たちを守るために強く一体化する。彼らをルーツだけで批判する人たちに言いたい。

 あなたには、彼らのようにあなたの笑顔を見たい一心で必死に行動し、あなたの笑顔を守るために走り回り、あなたの笑顔を自分の幸せのように写真に撮ってくれるような人がいますか、と。

 僕はお母さんたちの手作りのキンパから、すごく温かいものを感じさせてもらった。

(本原稿は、村本大輔著『おれは無関心なあなたを傷つけたい』からの抜粋です)

 

 

『おれは無関心なあなたを傷つけたい』はじめにより

 この本は、僕が文字を使って描いた“絵”だ。絵は同じものを描いても人によって違うものになる。同じ富士山を描いても、遠くから見たものか、はたまた樹海の中から見たものかで変わる。

 僕は福井にいた子どもの頃、目の前の海の桟橋に行き、絵を描いた。通りすがりの近所のおばあちゃんが僕の絵を見て驚いた。

「大ちゃん、なんで海を描かんの? こんなにお日さんが射してキラキラしとるのに」

 僕は海の手前にあるボロボロの船小屋の、誰も乗らなくなった木の船を描いていた。それはとても寂しそうな船だった。いま思えば、当時、僕の生まれ育った漁村は過疎化が少しずつ始まり、漁をやる人もほぼいなくなっていた。木の船は朽ち果て、ゴミが捨てられ、それはそれはとても寂しそうに見えた。僕は、海ではなくその船を描いた。

 世界は、日本は、人間は、そのときによって良くも悪くも見える。世界の貧困や紛争、そんなことばかりを見ていたら世界を描くときに、とても暗くて怒りに満ちた絵を描くだろう。一方で、優しい友達、新しい発明、素敵なものばかりが目につく人たちはとてもキラキラした絵を描けるだろう。

 この本で僕は、文字を使って、僕から見えた世界を描いた。美しい海を見ずに朽ち果てた船を描くような男だ。あなたには、これまで見えていなかった景色を僕は描いているかもしれない。そしてそれは、誰かに恐怖や怒りを覚えさせるだろう。

 もちろんそれは、僕にはそう見えた、その程度のものかもしれない。あなたとは違うかもしれない。だけど、一つだけ言えることがある。見え方は違えど、それは、確実にそこに「ある」ということだ。

 あの頃に僕が見た、朽ち果てた木の船のように、そこに確実に存在するのに、ないものにされている景色がある。そんな透明にされている景色を、おれはこの本であなたたちに現実として突きつけてやりたい。

 見て見ぬふりをする、すべての無関心なあなたたちへ。

 

 

 

 

村本大輔(むらもと・だいすけ)

1980年生まれ。福井県おおい町出身。2008年に中川パラダイスとお笑いコンビ「ウーマンラッシュアワー」を結成。2013年に漫才コンクール第43回NHK上方漫才コンテスト、THE MANZAIともに優勝。AbemaTV「ABEMA Prime」を通じてニュースに触れ興味を持ち始めたことをきっかけに、原発や沖縄基地問題、朝鮮学校など政治・社会問題を取り上げた漫才をつくり、フジテレビ系「THE MANZAI 2017」で披露。劇場を主な活動の場にしており、積極的に全国で独演会を開催している。SNSでも積極的に発信。