A WHORE NEW WORLD/THE NOSTRADAMNZ
1. HELLO
2. And so I
3. Sweetkiller
4. Fallen
5. Breaking world
6. I wanna go to America
7. 1999
8. Sick Of All People
9. アカリファの花
10. Miracle arrive universe
11. IDWBYxxx
3年ぶりのリリースとなったTHE NOSTRADAMNZの4thアルバム。
Ba&Vo.Lucifer the Lucci Nemoto、Dr&Vo.8ppy、Gt&Vo.SCHEHAAANの編成となってからは初となるフルアルバム。
noteにてダウンロード販売されたシングル「And so I」、「アカリファの花」、「1999」を含む、全11曲が収録されています。
ディズニーのパロディ的な作品タイトルは継続。
アートワークにおいても際どいラインを攻めていて、届くべき人以上に届いてしまったら炎上するのでは、というブラックユーモアが彼ららしいですね。
結成から8年。
相応にキャリアも積み上がってきたといったところですが、ここにきて、再び初期衝動を感じる作品が飛び出しました。
1曲目の「HELLO」こそ、彼らのテンポに慣れるまでの準備運動といったミディアムナンバー。
緩急をコントロールしながらじわじわと引き込んでいくのかな、と思わせるものの、ある種のブラフとなっていて、続く「And so I」からは全力疾走を開始。
速い楽曲のほうが気持ち良い、とうプリミティブなバンド観に立ち返りでもしたのか、スピーディーなパンクチューンを次々と繰り出し、落ち着くどころか勢いを増したのでは。
アクセントを加えるにしてもゆるめの歌モノではなく、もっと激しいミクスチャーパンクを持ってきているあたり、ぶっ飛んでいます。
加えて、キャッチー性は損なわれず。
ルーツに90年代のJ-POPがあるようで、カラオケで歌えるような歌謡メロディにもこだわりが感じられます。
テンポが速いからといって安易なフレーズの繰り返しになることを良しとせず、日本語特有の節回しをメロディに反映。
ヴィジュアル系シーンの中でも異端児的な音楽性の彼らですが、どこか聴き馴染みがある印象を持たせることに成功しているのですよ。
それどころか、清々しいサウンドと対極にある哀愁やセンチメンタリズムにもリーチ。
メロディックパンクの刺激的で新鮮な音像が、想像している以上にすっと体に染み渡っていくな、と。
締めくくりは、ポエトリーラップと呼ぶには攻撃的すぎるヴォーカリゼーションが特徴となる「IDWBYxxx」。
結局、余裕を感じられたのは「HELLO」だけで、残りはひたすら駆け抜ける。
早く、速くと急かされるようなスピード感が爽快だった1枚です。
<過去のTHE NOSTRADAMNZに関するレビュー>