マイノリティ・マイノリティ/梟
1. 夜行
2. アルバスの旅
3. 猫
4. MOM!
5. テキサスホールデムポーカー
6. 「BitterChoco」
7. 罪の中、夜の中
8. 「月光」
9. ららら
10. 誰も救えない歌だとしても
11. ヒーローごっこ
12. "Beep"
結成2周年を迎える梟から届けられた、待望の1stフルアルバム。
アコースティックアレンジによるセルフカヴァーミニアルバムの発表から僅か4ヵ月というインターバルでのリリース。
同時並行的な制作だったと思われ、よくそんな切り替えが出来るものだと感心してしまいます。
もっとも、アコースティックであろうとなかろうと、自らの演奏によって放たれたサウンドを主軸に置いている彼らにとっては、あくまでライブで育てた楽曲をそのままパッケージしているだけなのかもしれませんけれど。
ギターレスの編成を活かすべく、ピアノとベースは、リズムを支える役割と上モノとしての役割を兼任。
ドラムだけに負荷が集中することがないようにコントロールしながら、メロディにも噛み込んでいくようなフレーズがたくさん飛び出すので、大人びた音楽性とは裏腹、刺激的です。
「罪の中、夜の中」で見られる、ピアノが旋律に特化して、ドラム&ベースがシンプルなビートを重ねていくスタイルがロックシーンにおいてはスタンダードと言えるのですが、個性的な楽曲に溢れる本作の中で聴くと、むしろアクセント的になっているから面白いなと。
中盤に放り込まれた「月光」がリードトラックとなっているのも象徴的で、シリアスで、ほんのり不気味。
だけど、ふとした瞬間に美しいメロディが顔を出す、聴き込むことを前提に味わい深くなる楽曲を選んでいるのですよ。
ちょうどこの曲を境に、歌詞のメッセージ性がぐっと高まっているように思うのですが、気のせいでしょうか。
不安に押し潰されそうでも力強いメッセージを歌い上げる「誰も救えない歌だとしても」から、刹那的な疾走感を重視した「ヒーローごっこ」に繋げるコンボに心を揺さぶられないリスナーなんていないでしょ。
最後は"Beep"でしっとりと完結。
強すぎる個性によって、独特な世界観が生まれているものの、アルバム構成として押さえるべきところは押さえていて、初期衝動と戦略性のバランスが絶妙です。
"はじめまして、梟です。"のキャッチーコピーを踏まえると、2周年の集大成というよりも、ようやくここからスタートするという意味合いが強いのかな。
CD盤はオフィシャル通販とライブ会場限定での取り扱い。
ストリーミングで物足りないリスナーは、深掘りするためにフィジカルで手に取ってみても良いのでは。