被告人は、心神喪失の状態にあり…/0.1gの誤算
1. 被告人Aの告白
2. JUDGEMENT [THE] DAY
3. Le Diable~太陽を裁く者~
4. オオカミ男と月兎 (メタルver.)
5. if...
"洗脳と贖罪"をテーマに据えた0.1gの誤算のデジタルミニアルバム。
闇深いモチーフに引き摺られるように、ダークな作風になっている本作。
コテオサ文化を現代に踏襲しようとするアプローチが多く見られる彼らですが、特にコテコテ要素が強まっている印象です。
メッセージ性が強いリードトラック「被告人Aの告白」は、コロコロ変わる曲調に彼ららしいアイデンティティを見出せるものの、それを構築しているのは激しく退廃的な古き良きヴィジュアル系の文脈。
硬派さすら感じさせる「JUDGEMENT [THE] DAY」、耽美なフレーズに発狂シャウトまで飛び出す「Le Diable~太陽を裁く者~」と、そこから続く楽曲も、0.1gの誤算のイメージを覆すほどのゴシックテイストでまとめられているのですよ。
定番曲「オオカミ男と月兎」は、メタルヴァージョンで。
ここにきて、ポップさの片鱗が見えるのですが、コンセプトに合わせて激しさに特化したアレンジになっていることもあって、全体観としては激しさのほうが印象に残ります。
ラストの「if...」についても、デジタルなサウンドワークに現代的センスが散りばめられていると言える一方で、切なく疾走する展開には、ノスタルジックな王道感を受け取らずにはいられません。
ハードに、ダークに、メロディアスに。
正攻法な彼らは、素直に格好良いのだな、と再認識するきっかけになりました。
ジャケットのアートワークは、ヴィドールの「我輩ハ、殺女成リ...」を連想させますが、偶然でしょうか。
そこに「if...」という曲名をあてることで、薬物濫用のイメージを付加しているところまで計算していたら、むしろ天晴。
"洗脳と贖罪"というテーマには馴染んでいない気もする切ない歌詞が、薬物による幻覚だとしたら、と思うと景色が変わって見えるのですよね。
もちろん、それは想像力を逞しくしすぎだとしても、意表を突くほどの正当派コテ。
動画企画での軽めのノリで避けている層や、カラフルなコテオサバンドとして彼らを認識しているリスナーにこそ、聴いてみてほしいと思わせる1枚です。
<過去の0.1gの誤算に関するレビュー>