溺愛ヤンデレボーイ/0.1gの誤算
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『溺愛ヤンデレボーイ』(通常盤B)
1,200円
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1. 溺愛ヤンデレボーイ
2. 混沌的極悪暴曲-ヴィジュアロックパロディウス-
"大真面目な悪ふざけ"をコンセプトに結成された0.1gの誤算。
本作は、3種類同時にリリースされた4thシングルです。
1stシングル「有害メンヘラドール」のアンサーソングとして作成されたのが、この「溺愛ヤンデレボーイ」とのこと。
実際、歌詞にはリンクしている部分がちらほら見受けられますね。
もっとも、それ以上に、その関連性を感じることができるのは、複雑な楽曲構成でしょう。
超絶ポップな出だし。
しかし、すぐにシンセで色づけられたダークサウンドに移行すると、それ以降もリズムチェンジを繰り返し、一筋縄ではいかない展開に。
これはまさに「有害メンヘラドール」を聴いたときの感覚とシンクロします。
パーツごとに切り取って、それぞれを聴かせても、まさか同じ楽曲だとは思えない変貌っぷり。
強引さがあるのは事実ですが、インパクトを高める要因になっているのは間違いなく、個性として成立しているのですよ。
なんとなく、この雰囲気、ゼロ年代からイチゼロ年代を繋ぐ時期にブームとなったコテオサ系に近い気がします。
ポップなところは、J-POPでも最近では避けられているレベルの甘ったるさで。
攻撃的な部分は、近年の流行をしっかり取り入れて、盛り上がりやすく。
そのうえで、パートの区切りをあえて不自然にして、印象を強めていく手法。
確かに、最近ではこの手のバンドって見なくなっていた。
もちろん、現代的なサウンドもちゃんと取り入れているので、焼きまわしという感覚も受けません。
なお、初回限定盤、および通常盤Aは、カップリングに「神と下克上」を収録。
通常盤Bには、それに代わって「混沌的極悪暴曲-ヴィジュアロックパロディウス-」が選曲されています。
取り急ぎ、通常盤Bを聴いたのですが、この「混沌的極悪暴曲-ヴィジュアロックパロディウス-」、タイトルどおりゴリゴリと激しく攻めているのだけれど、彼ららしく展開は多め。
軽い歌詞にポップなメロディもちゃんと用意されていて、最後の最後でガラっと空気を入れ替えてしまうのは見事でした。
とにかく1曲の中に詰め込んで詰め込んで、というスタイル。
硬派な世界観や、聴きやすいサウンドだけを求めてしまうと刺さらないのかもしれませんが、1周回って新鮮な音楽性。
あの頃が好きだった層であれば、懐かしさも感じるのではないかと。
そろそろアルバムも聴きたいところですが、コテオサバンドの勝手なイメージとして、まずはシングルをまとめた完売集的なアルバムを出してくる印象。
さて、彼らの場合はどうなるでしょうか。