UNDERWORLD / VAMPS | 安眠妨害水族館

安眠妨害水族館

オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

UNDERWORLD/VAMPS

UNDERWORLD(通常盤) UNDERWORLD(通常盤)
3,240円
Amazon

 

1. UNDERWORLD

2. CALLING

3. BREAK FREE feat.KAMIKAZE BOY of MAN WITH A MISSION

4. DON’T HOLD BACK

5. BLEED FOR ME

6. IN THIS HELL

7. INSIDE OF ME feat.Chris Motionless of Motionless In White

8. RISE OR DIE feat.Richard Z.Kruspe of Emigrate / Rammstein

9. SIN IN JUSTICE feat.APOCALYPTICA

10. B.Y.O.B. (BRING YOUR OWN BLOOD)

11. RISE UP

 

VAMPSの2年ぶりとなる4thアルバム。

"裏の世界"こそがVAMPSの本質であるというコンセプトを置いて制作された意欲作です。

 

あまり使わないようにしている言葉だが、あえて使わせていただく。

これはかなり"洋楽っぽい"サウンドに仕上げてきたな、と。

全編英詞というのもあるのだが、日本人の耳にフィットするエモーショナルなメロディを完全に割り切って、シンプルで乾いた響きに特化。

HYDEさんの歌い方も、代名詞でもある艶やかなファルセットはほとんど用いず、洋楽ネイティブ的な歌唱法を意識している印象ですね。

 

この割り切りは戦略的なものとのことで、HYDEさんの趣味に振り切ったというよりも、VAMPSらしく世界で戦うには、という試行錯誤を繰り返した中で行き着いた答え。

種を蒔くために、ヘヴィーでダークな楽曲のみに絞ったといったところでしょう。

日本においては"媚びた"と捉える見方も出てきそうではありますが、これまでの作品がある程度バラエティを広げる意図があったことを勘案すれば、ここらで確固たる軸を示すアプローチというのも、あながち間違いではなさそうです。

 

では、アメリカ向けの作風となったことで、VAMPSらしさが失われたのかと言えば、それは否。

ファルセットを使わなくたって、HYDEさんのボーカリゼーションには、やはり彼にしか出せない色気がある。

インダストリアルを下地に、エレクトロな味付けを加えつつ、最後はヘヴィーに仕立て上げるサウンドワークは、K.A.Zさんのもとからの強み。

世界中の様々なアーティストとコラボレーションを実現させる柔軟性についても、VAMPSだからこそ出来たことなのかも。

 

これまでの作品との相違性や、L'Arc~en~Cielのhydeを求める層が依然として多いことを加味すれば、賛否両論あるのは納得。

ただし、メロディが完全に死んだわけではなく、キャッチー性は残っている。

とても感覚的に言ってしまえば、Linkin Parkのような、日本人にも受け入れやすいスタイルの洋楽バンドといった雰囲気なので、聴きやすいのも事実なのだ。

 

洋楽コンプレックスがなくなってきた感もある邦ロックシーン。

こういう時代だからこそ、完全アメリカ志向の音楽性が新鮮に映る部分もあるのかもしれません。

世界基準では馴染みやすい、日本では1周回って目新しい。

次の作品が勝負、ということにはなるのでしょうが、実験作と切り捨ててしまうにはクオリティが高すぎる1枚です。

 

<過去のVAMPSに関するレビュー>

BLOODSUCKERS

VAMPS