BLOODSUCKERS / VAMPS | 安眠妨害水族館

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BLOODSUCKERS/VAMPS

BLOODSUCKERS BLOODSUCKERS
2,891円
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1. REINCARNATION
2. ZERO
3. LIPS
4. AHEAD
5. EVIL
6. GHOST
7. VAMPIRE‘S LOVE
8. DAMNED
9. GET AWAY
10. REPLAY
11. BLOODSUCKERS
12. THE JOLLY ROGER
13. INSIDE MYSELF

オリジナルとしては「BEAST」以来約4年3ヶ月ぶりとなるVAMPSのフルアルバム。
ロッキン・ジェリー・ビーン氏によるジャケットイラストがインパクト大です。

もちろん、与える衝撃がアートワークだけであれば意味がない。
インストである「REINCARNATION」から、間髪入れずに送り込まれる「ZERO」への流れ。
これに驚かされました。
空間が広がっていくような開放的なサウンド。
VAMPSが、初期ラルクの白系的世界観を目指したらこうなる、と言わんばかりのファンタジックさに、これがVAMPSか?と思ったファンも少なくないのでは。

さて、それが良いか悪いか、白系サウンドは序盤だけ。
「LIPS」以降は、彼ららしいノリの良いストレートなハードロックが繰り広げられます。
特に、その「LIPS」はノリの良さに特化したような構成になっていて、擬音語を取り入れたラフな歌詞はライブの景色と一緒に再生されそう。
その後も、「AHEAD」、「EVIL」と、ロック色の強い楽曲が畳み込まれ、VAMPSの王道サウンドが好きなファンにも安心感を。
楽曲もさすがに粒揃いで、安定感も抜群。
この辺のバランス感覚は、プロ意識のたまものだよなぁ。

個人的に好みなのは、「GHOST」、「VAMPIRE‘S LOVE」のコンボ。
セクシーで妖艶な「GHOST」におけるボーカルは、HYDEさんの真骨頂。
世界観たっぷり。
ハードロックで汗を書いた後に、ダークなサウンドに浸るのも気持ちが良い。
続く、「VAMPIRE‘S LOVE」は、シングルで発表された楽曲の日本語バージョン。
優しく包み込むように歌い上げられるバラードです。
この2曲は、王道から外したアクセントの位置づけになると思うのですが、アクセントと言っては失礼なくらい、輝きを放っているのですよね。

仕切り直しという意図か、単なる天邪鬼か、続く「DAMNED」はガラっと雰囲気を変えるようにヘヴィーで激しいナンバーに仕上がった。
ゴシックで様式美的な部分もあり、VAMPSのサウンドではあるのだけれど、序盤に聴いたものとは異なる肌感覚。
一層深くまで潜り込んでしまったように錯覚してしまう。
気付いたら、こんなところまで引き込まれてしまっていたのか。

そんなわけで、地下のパーティーへと変わった中盤~終盤。
「GET AWAY」でダークなダンスナンバーを奏でると、「REPLAY 」はニューウェイブ的な音使いも垣間見られ、ギラギラ感は最高潮。
表題曲である「BLOODSUCKERS」は、1分半のショートチューン。
デジタルサウンドと、熱量の高いシャウトが面白く絡み合い、テンションは上がりっぱなしです。

「THE JOLLY ROGER」、「INSIDE MYSELF」は、広がりのあるロックンロールに帰ってきて、作品を美しくクロージング。
一枚のアルバムとしての完成度にこだわっただけあり、様々なアプローチの楽曲があれど、ごちゃごちゃした感じがなく、すっと耳馴染みが良く終わりを迎えたといったところ。
待たされた分、充実度の高いアルバムになりましたな。

インパクトを与えつつも、聴いた後は、その安定感に感心している。
リスナーの期待を押さえたうえで、なお、ワクワクを与えてくれるロックアルバム。
キャリアは伊達ではないというのを証明した形となりました。
ラルクとは別物と割り切れれば、素直に格好良いと言える作品ですね。

<過去のVAMPSに関するレビュー>
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