極彩色ジャポニズムのすゝめ/0.1gの誤算
1. サムライSE
2. 桜花爛漫!天晴れサムライ応援歌
3. 利己的メルヘン症候群
4. 虹彩の遺書
5. 超旋律的疾走暴曲 -ネオヴィジュアロックパロディウス-
6. 救済バタフライ
7. 絶望メンブレガール
8. PENETRATE~革命と赫明~
0.1gの誤算としては初となる1stミニアルバム。
配信限定でのリリースとなりました。
オリンピックを盛り上げる目的で制作された「桜花爛漫!天晴れサムライ応援歌」。
しかし、コロナ禍におけるオリンピックの延期により、楽曲は封印されてしまっていました。
更には、バンドもライブの中止や延期の煽りを受けて、MVの制作用の資金が不足するという事態に。
逆境を跳ね返そうと、2021年に入ってクラウドファンディングに挑戦した彼らでしたが、見事、198%の達成率で充実したMVが完成。
勢いあまってリリースされたミニアルバムが、この「 極彩色ジャポニズムのすゝめ」となります。
登場SEのような「サムライSE」を経て届けられた「桜花爛漫!天晴れサムライ応援歌」は、バンカラな応援歌のフレーズと、キラキラ系ど真ん中のポップでメロディアスな展開が融合したドラマティックなナンバー。
寸劇調の台詞だったり、運動会の定番曲からのオマージュだったり、彼ららしいギミックを詰め込んで、本来であれば混ざり合うことのないふたつの要素を見事に昇華。
ライブでも盛り上がりそうな、インパクト抜群の楽曲に仕上げていました。
感染対策の観点から、オリンピック期間中までにファンと一緒に大合唱、とはいかないのがもったいないのですが、ワールドカップをはじめ、お祭り騒ぎになる世界大会があれば汎用的に使える楽曲。
いつか、真価を発揮してくれる日を心待ちにしたいところです。
以降も、一筋縄ではいかない誤算ワールドが全開。
「利己的メルヘン症候群」はダークでナイーヴな方向性を強めているし、「虹彩の遺書」は疾走感のある哀愁ロックが格好良い。
「混沌的極悪暴曲-ヴィジュアロックパロディウス-」の進化系になるのか、「超旋律的疾走暴曲 -ネオヴィジュアロックパロディウス-」は、V系らしい様式美を詰め込みつつ、サビの王道っぷりには目を見張りますね。
とにかくバリエーションが豊富で、器用さなところを見せつけているのですが、その楽曲の粒の大きさにも驚かされます。
ダンサブルなリズムでお洒落に仕立てた「救済バタフライ」、カオティックに展開される「絶望メンブレガール」は、アルバム全体の中でのピークと言ったところでしょうか。
特に後者は、次に待っているメロディがまったく読めない、1曲の中で表情がコロコロと変わる誤算節が全開。
終盤、突き抜けたポップチューンに変貌するあたり、思わずニヤリとしてしまうのでは。
ラストは、ミディアムナンバーの「PENETRATE~革命と赫明~」でクロージング。
これまでのシングル中心、アルバムは出してもベスト盤、という戦略から、1曲入魂型のバンドであると認識していたのですが、アルバムを作らせても、なかなかどうして様になっている。
企画力で注目されることが多いバンドですが、いよいよ、アルバムが評価される時が来た。
そう言い切っても良いのでは、と思わされる作品でした。
<過去の0.1gの誤算に関するレビュー>