「みんなのうた」体験版 / 3470.mon | 安眠妨害水族館

安眠妨害水族館

オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

「みんなのうた」体験版/3470.mon

 

1. みんなのうた

2. 龍神さま

3. 月夜見さん

4.

 

1stフルアルバム「みんなのうた」の体験版として発表された3470.monのEP。
 
アルバムの収録曲の先出し音源的なものかと思いきや、必ずしも全曲が収録されるわけではないようで。
カップリング曲がアルバム未収録となる先行シングル、と捉えておくとわかりやすいのかな。
当初は、枚数限定でのリリースがアナウンスされていたものの、転売防止の観点から、完売した場合は増産する方針に変更。
完全版を更に完全なものにするには、こちらに収録されている楽曲も聴いておきたいところです。
 
表題曲となる「みんなのうた」は、Key.SYUTOさんの持つキャッチー性と、Vo.平一洋さんの言語感覚がマッチしたお洒落ロック。
未来に向かうほど、生きづらさが増していく現実世界の息苦しさを、翳りのある歌詞で表現している一方で、後半に進むにつれて明るくポップに展開されるサウンド。
一見して矛盾しているようにも見えるのだけれど、相反する感情を抱えて生きているのも人間の本質だよな、と妙に納得してしまうのですよ。
なるほど、これを「みんなのうた」と呼ぶか。
考察を駆り立て、その結果、3470.monの世界観に没入させるタイトルセンスには脱帽です。
 
作曲のクレジットがバンド名義となっている「龍神さま」は、ポエトリーラップ調のメロディが、ビシビシと突き刺さる。
サビは歌謡曲風に展開していきますが、平さんの歌唱はあくまでも感情最優先。
ここに、吐き捨てるような歌い方を持ってくるか、といちいちドキっとさせらますね。
リズムやシンセは淡々としているのだけれど、コーラスワークがフックになり、メリハリを感じることができるのが「月夜見さん」。
やはりヴィジュアル系のセオリーには収まらない彼ら。
シティポップ的な雰囲気と中毒的なベースラインが重なって、どうにも癖になる、違いを生んだ1曲となっています。
 
なお、4トラック目にはシークレットトラックも。
その位置づけの特異性もあって、完全版にも入るかどうかが読めませんが、不気味なシンセとシニカルなストーリーの相性は良し。
じっくり歌詞を読んでみたくなりました。
 
いずれにしても、フルアルバムが楽しみになる体験版。
発売延期は残念ですが、より鋭く感情をパッケージするためとあれば仕方ない。
妥協しないで作品を作り上げる職人気質が、どんな熱量で還元されるのか、首を長くして完成を待ちましょうか。

 

<過去の3470.mon(凄い人達(仮))に関するレビュー>

不確かさん

VHS

夜更かしさん

幻覚さん

スピード違反さん

純潔さん