VHS / 3470.mon | 安眠妨害水族館

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VHS/3470.mon

 

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5. 悪魔くん

 

 

Vo.平一洋、Key.SYUTO、Ba.RENAにて結成された3470.monによる0th EP。

 

デジタルリリースとなった本作のタイトルは「VHS」。

"二度と手に入らない"という意味合いを持たせたかったとのことだが、そこで「VHS」が出てくる言語センスが相変わらず秀逸です。

リリース当日には、iTunes Storeのロックアルバムのランキングで第1位を獲得。

いかに彼らの音楽を待っていたリスナーが多いかが数値化されたといったところでしょう。

 

本作は、これまでに凄い人達(仮)として発表してきた楽曲4曲に、3470.monとしての初音源となった「悪魔くん」を加えたアルバム作品。

これまでのリリースは、数量限定のミュージックカードのみとなっていたため、フルで聴くことができていたのは一部のコアなファンのみ。

サブスク解禁&ダウンロード販売の開始という試みは、新規のファンを拡大するにはうってつけで、いよいよ攻めに転じてきましたね。

"ヴィジュアル系"というシーンのセオリーにはまったく当てはまらない、お洒落で大人びた音楽性。

受け入れさせるには、じっくりと足場を固める必要があったものの、ようやく機は熟しました。

洗練されたサウンドと、唯一無二の言語感覚を武器に、シーンの外に活路を見出すのではなく、真正面から内側に切り込んで。

彼らの音楽性が、少し先の未来で"王道"や"流行"と呼ばれていたら......なんて想像してみるのも面白いものです。

 

楽曲について触れておきたいのは、ずばり「悪魔くん」。

擬人化シリーズが続いているが、"さん"付けが、"くん"に変化したのは、3470.monとして正式始動したことと関連性はあるのだろうか。

アダルトなピアノロックという音楽性はそのままに、バンド感を強めてきた印象で、なんだかんだ、平さんにはこういう楽曲も歌っていてほしいのだよな、という最後のピースが嵌められた感覚。

新たな一面を引き出しながら、ニーズにもしっかり応えていこうとするひたむきさに、なんともグッときてしまうのですよ。

 

音楽性とは裏腹、溢れている衝動性。

ベーシストが正式メンバーとして加入したのも、音楽的な幅を広げる新たな刺激となっていて、ますますたくさんの化学反応が期待できそう。

常識を塗り替えてしまう、3470.mon渾身の作品です。

 

<過去の3470.mon(凄い人達(仮))に関するレビュー>

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