Imaginary / MIYAVI | 安眠妨害水族館

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Imaginary/MIYAVI

 

1. New Gravity

2. Imaginary (feat. Kimbra)

3. Warrior

4. Smells Like Teen Spirit

5. Living In Fire

6. Hush Hush (feat. Kang Daniel)

7. Youth Of the Nation (feat. Troi Irons)

8. I Swear

9. Are You With Me?

10. Dance With Me

11. Super Hero

 

 

40歳の誕生日にあわせてリリースされた、MIYAVIの13thアルバム。

 

もともとは2020年秋のリリースを想定したようですが、社会情勢を踏まえて冷凍保存。

2021年になって歌詞を仕上げて、再構築したのが、この「Imaginary」となります。

音楽プロデューサーのジェフ・ミヤハラ氏とタッグを組んでの楽曲制作。

ボーダレスなサウンドを意識しつつも、日本市場でも馴染みやすいポップネスが強まった印象で、 「NO SLEEP TILL TOKYO」 以降目立ってきた日本語で歌うスタイルが、より洗練されたと言えるでしょう。

 

本作の肝は序盤の2曲、と本人が語る通り、「New Gravity」と「Imaginary」のインパクトが抜群。

デジタルサウンドを噛ませながら、感情表現に特化させたギターのリフが、強いメッセージを持った楽曲によく映えます。

しばき倒すと表現されたかつてのプレイスタイルとはだいぶ変化したものの、駆け引きを覚えて、ギターの可能性を更に広げてきたな、と。

ギターの主張を強くするために、メロディのキャッチー性をもっと強める。

ギタリストのソロ作品が、このアプローチに辿り着くとは、20年前の時点では誰も想像していなかったはずですが、こうして耳にすると、実に彼らしいなと思ってしまうのですよ。

 

豪華アーティストとのコラボレーションや、ニルヴァーナのカヴァーなど、彼らしいギミックも豊富。

大幅にアレンジを施し、モダンに生まれ変わった「Smells Like Teen Spirit」が、なかなかどうして格好良い。

ラストに、「Super Hero」が再録されているのも、ある種のファンサービスですね。

終盤、よりエモーショナルに展開されていく構成の中で、更に強まるメッセージ性。

今のMIYAVIサウンドにより当時の楽曲が再演されたことで、実は、今のスタイルの源流は既にあったのだな、と気付かされます。

巡り巡って、雅-miyavi-として活動していた時代の音楽性と繋がりが見えてきたのは、なんだか面白い発見でした。

 

海外に足を運べない環境要因を逆手に取った、J-POP性の追求。

尖ったダンスナンバーが主流になってきたシーンと、世界目線の彼のサウンドが重なった感もあり、タイミングとしてもばっちり。

10代の頃から第一線だった彼が40歳という事実に戸惑いを隠せませんが、着実に積み重ねてきたキャリアと戦略眼を感じずにはいられない1枚です。

 

<過去のMIYAVI(雅-miyavi-)に関するレビュー>

Holy Nights

NO SLEEP TILL TOKYO

SAMURAI SESSIONS vol.2

Fire Bird

The Others
MIYAVI
SAMURAI SESSIONS vol.1
[雅-みやびうた-歌]~独奏~

雅楽-gagaku