Holy Nights/MIYAVI
1. Holy Nights (Intro)
2. Need for Speed
3. Holy Nights
4. Bang!
5. Heaven is A Place On Earth
6. Danger Danger
7. TOKIO
8. Tomaranai ha-ha
9. Perfect Storm (feat.Amber Liu)
10. Live To Dream (feat.FAIS)
11. Hands To Hold
12. DAY 1 (Reborn)
LDHマネージメント移籍後初となるMIYAVIさんのフルアルバム。
SAMURAI SESSIONSシリーズやベスト盤を除けば、通算12枚目となります。
前作、「NO SLEEP TILL TOKYO」にて、グローバルなサウンドの中での日本語詞への回帰といった側面を見せた彼。
本作でも、リリック面では英語と日本語を織り交ぜており、まずは自分の伝えたい言葉を紡ぐ、ということが追求されていますね。
それが奏功して、語感重視でサウンドとマッチした部分もあれば、あえて引っかかりをつけることで歌詞のインパクトが強烈になった部分もあり、自由度が増した印象。
日本語で歌われるカヴァー曲も、そのおかげですんなり入ってきます。
表現力の向上は、こういった細かい部分からももたらされるのだな、と。
また、大きな特徴として、ヴォーカリストとしてのMIYAVIさんが強調されていました。
これまでは、あくまでギタリストとしての作品という意識が強かったように思うのですが、近年、グローバルなEDMサウンドに近接するにあたり、より総合芸術的な世界観作りを意識するようになったとのこと。
上述の歌詞へのこだわりもそうなのだけれど、表現者として、歌い手としてのスキルの限界に挑戦しよう、というのが本作の裏テーマだったりするのかもしれません。
結果として、エレクトロニカ的なサウンドとダンスビートがトラックメーキング上の肝となった。
もちろん、ギタープレイでの見せ場も用意はされているのだけれど、必ずしもそれありきではなく、楽曲によってはほとんど隠れてしまっているものも。
それがLDHに移籍した効果なのか影響なのかは読み取れないものの、いつかは必要となる変化の一端。
ある種、MIYAVIさんの得意分野であるコラボレーションの道筋も広がったと捉えておくのが良いでしょう。
もっとも、MIYAVIさんからしてみたら、既にEDMスタイルでも自分の型を見つけているといったところ。
勢いをつける「Need for Speed」や、表題曲の「Holy Nights」など、現時点での最新アップデート版の楽曲たちは、確実に流行のその先を見据えているな、といったソリッド感を覚えました。
触れずにいられないのは、沢田研二の「TOKIO」や、矢沢永吉の「Tomaranai ha-ha」を、その解釈上でカヴァーしてみせたこと。
これまでもカヴァーは積極的に行ってきた彼ですが、表現者としての自信がついたことの現れといっても良さそうなラインナップですよね。
コラボレーション作や、「DAY 1」のリテイクもあり、おもちゃ箱のような仕掛けの多さは相変わらず。
MIYAVIさんの枠に囚われない攻めのスタイルを、そのままパッケージしたような1枚です。
なお、秋には、早くも13枚目のアルバムも届けられる予定で、本作の対になるとの情報も。
安直に考えれば、ギタープレイを前に出したテクニカルな作品になるのでは、と思ってしまうのだけれど、天邪鬼なMIYAVIさんのことだから、どうなることやら。
本作のポップセンスを堪能しながら、そちらも楽しみにしておくとしましょうか。
<過去のMIYAVI(雅-miyavi-)に関するレビュー>