RE:SOUZOU PROJECT FINAL「音楽」/LAID BACK OCEAN
1. 音楽と旅人
2. ENDING NOTE
CDには収まらない創造性をテーマにした"RE:SOUZOU PROJECT"の最終章。
2021年8月、9月、10月と3ヶ月に渡って届けられるスペシャルパッケージの第一弾です。
既にソールドアウトとなっており、1stパッケージは行き渡ったであろうタイミング。
そろそろ感想を綴っても良い頃合いかな、と。
万が一、購入したけどまだ未確認というファンがいましたら、ネタバレにご注意くださいませ。
さて、デザインされた封筒により届けられた本作。
既視感があるぞ、と思ってよく見ると、"復音堂"と印刷されている。
中身を開けても、やはりどこか見覚えがある、新聞紙に包まれたCDが。
そう、これは過去に「想像」をテーマに、"音楽がなくなった"世界を表現したパッケージを展開したときと同様のギミックなのですよ。
端的に言うと、"音楽の戻ってきた"世界を表現した、「想像」の続編。
最初にショートフィルムに誘導し、世界観に没入させると、その高揚感から畳み掛けるように「音楽と旅人」へと繋ぎ、晴れ晴れとした気分を増幅させていました。
映像も、楽曲も、音楽への渇望を思い起こさせるパッションに溢れている。
「想像」がリリースされた頃には想定していませんでしたが、奇しくも現在はコロナ禍で、音楽を楽しむことが難しくなった時代。
そういう背景と重なって、そうか、音楽を楽しんでもいいんだ、と鳥肌が立ちましたよ。
ただし、驚きをそれだけでは終わらせなかった彼ら。
映像を進めていくと、音楽が戻ってきて使命を終えたため、LAID BACK OCEANが消滅することが発表されたのです。
後日、改めて解散が発表されましたが、その衝撃を作品のインパクトとして利用してしまうなんて、良い意味でどうにかしている。
歌詞の中にも、ドキっとするフレーズがあり、なるほど、だからこの作品群をもって"RE:SOUZOU PROJECT"は完結するのだな、という寂しい気持ちと、残り2つ、これを上回るドキドキが待っているのか、と期待する気持ちが交錯。
決して忘れることはないであろう思い入れとなったリスナーも多かったのでは。
カップリングに収録された「ENDING NOTE」は、淡々と切なく歌い上げるしっとりしたナンバー。
タイトルも歌詞も、このタイミングで持ってくることでメッセージ性がより沁みる。
ピアノロックという彼らの強みを活かした大人びたアレンジは、彼らの足跡に浸りながら聴くにはぴったり。
収録されたのはたった2曲なのですが、ボリューム満点の大作に触れたような余韻に痺れるしかありませんでした。
"解散"を彩るプロジェクトとなった"RE:SOUZOU PROJECT FINAL"。
いきなり禁じ手を使ってきた感はあるものの、ここがピークではないことは過去3回の実績が証明している。
散り際の美学を見せつける1枚です。
<過去のLAID BACK OCEANに関するレビュー>
RE:SOUZOU PROJECT 2「零度」/PUNK BACK OCEAN
RE:SOUZOU PROJECT「想像」
RE:SOUZOU PROJECT「童貞」
RE:SOUZOU PROJECT「奇跡」
Bifrost