RE:SOUZOU PROJECT「奇跡」 / LAID BACK OCEAN | 安眠妨害水族館

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RE:SOUZOU PROJECT「奇跡」/LAID BACK OCEAN


1. ストリーミング奇跡
2. しんぱいきのう
3. SHINE

LAID BACK OCEANの新企画。
2016年8月、9月、10月の3ヶ月連続で、スペシャルパッケージのCDを配送するRE:SOUZOU PROJECT。
本作は、その第一弾として発送された1stパッケージです。

タイトルのみ発表されている全9曲を、「奇跡」、「童貞」、「想像」というテーマに分けてシングルカット。
バラ売りはされず、三部作セットで事前入金したリスナーに、毎月CDが届けられるプロジェクトとなっています。
詳細は発表されないままの配送となるため、どんな曲が入っているかを確認してからの購入が当たり前になっている昨今、久しぶりに未知の音楽に対価を払うというドキドキワクワクを思い出すことができましたよ。

LAID BACK OCEANのロゴが入ったオリジナルの段ボール箱を開封すると、中に入っているCDを見てびっくり。
スライムで満たされたパッケージに、CDケースが閉じ込められているではありませんか。
CDを取り出すとスライムが崩れ、CDを戻そうとするとまたスライムが崩れ、と聴けば聴くほどズタズタになってしまうという鬼仕様。
取り出したCDも、スライムでベタベタになっており、大事に保存して長く聴き続けるということを想定していないかのよう。
盤面に記載された"どうせ捨てるんでしょ?"というメッセージとともに、現代の音楽事情に対する痛快な皮肉になっているな、と。

「ストリーミング奇跡」は、本作におけるリードトラック的な位置づけなのかな。
軽快なリズムに乗って、跳ね回るようなピアノのフレーズが印象的。
流れるように展開される気持ちの良い楽曲です。

ただし、サビ前くらいから一気にテンポを落とし、ミディアムナンバーに様変わり。
これ、このままダンサブルに続けたって違和感はないはずなのだけれど、わざと癖を作ったのだろうな。
前のめりに突っ切りたいところで、あえてスローに。
自分がドラマーだったら、走らないでリズムキープできる自信がないです。
なかなか面白い演出でしたね。

「しんぱいきのう」は、7分以上の尺があるロッカバラード。
ピアノによる美しい旋律と、Vo.YAFUMIさんによるハスキーな歌声が見事にハマり、壮大な歌モノとして成立しています。
マニアックさもあった「ストリーミング奇跡」とは雰囲気が変わるのだが、かといって流れも悪くない。
こういう楽曲を飽きさせずに演奏できるあたり、成長を感じさせますな。

「SHINE」は、"死ね"が"シャイン"に変わるまでの心境の変化を、ドラマティックに表現。
こういうの、何て言えばいいのだろう。
メロディを歌うわけでもなく、語りや台詞ともまた違う、尾崎豊が得意としていそうな言葉を詰め込む歌い回し。
フォーキーな楽曲ならともかく、キラキラしたポップロックサウンドに重ねられると面白いものです。

ジャケット仕様を含めた企画そのもののインパクトが大きいのだけれど、収録曲も十分にシングルとして機能する存在感を持っている。
CDが送達される前に販売期間が終了してしまっているため、買い逃してしまったリスナーも相応にいそうだけれど、もう次の出荷はないのかしら。
口コミで広がったときにもう聴けない、ではもったいない気もするのですが。

<過去のLAID BACK OCEANに関するレビュー>
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